過去の【ブロガー殺人事件】各話は コチラ→→→☆
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車は広島市内を走っている。
中心部に入ると張り巡らされた電線と、車道を普通に走る路面電車が目に入る。
赤賀は広島市内の警察署に所属しているとはいえ、
未だに路面電車と乗用車が混在するこの街並みを走るのが苦手だった。
どうしても『 事故が起こらなければ良いが・・・ 』と思い見てしまう。
そんな緊張感を察したのか、石原が口を開いた。
『 戦後から続くこの風景、出来れば残して行きたいですね 』
『 地下鉄も確かに良いですけど、この電線と路面電車。これこそが【 広島 】だと私は思うんです 』
広島で生まれ育った石原には、この風景がいつまでも続いて欲しいと
そう思っているのだろう。
赤賀も石原が言う【 これぞ広島 】と言うこの風景が嫌いなわけではない。
ただどうしても・・・・・・
そう考えながら
『 そうだな。これが広島であり、これが無かったら広島じゃ無くなるのかも知れないよな 』
と、自らに言い聞かせるかのように呟いた。
そのまま車は電車通りを抜け、広島城のそばを北上していった。
数分もすると、眼前に広島新交通システム、いわゆる『 アストラムライン 』が現れた。
"あれは何年前なんだろう・・・"
"そうだ、カープが最後の優勝を果たした年の開幕前だったな・・・"
赤賀の頭の中で、1991年に起きた橋桁落下事件が思い出された。
"あれから25年間も経つのか・・・"
赤賀は心の中で手を合わせた。
あんな悲惨な事故は二度と起きて欲しくない、と祈りながら。
そんな時、石原が口を開いた。
『 警部。釣りなんかするんですか?初耳でした 』
カツヤ丸に最後に呟いた言葉を石原は聞いていたのだ。
『 ははっ。今はしないよ。そんな時間も無いしね。ただ若い頃はよくやってたよ 』
『 当時、ボウズで帰るのと釣果を出して帰るのとでは、圧倒的にボウズの方が多かったがね 』
石原は『 へ〜。意外ですな 』と言い
『 私は、自分は釣りに向いてないと思うので一切やったことないんですよ 』
『 あの、当たりがあるまでじっと待つ・・・と言うのも性に合いませんし 』
『 確かにヨシさんは、釣りというより投網と言った雰囲気だよな! 』
赤賀がそう言うと、2人の笑い声が車内で響いた。
そうこうしていると、車は目的地に着いた。
3人目の重要参考人、女将こと北川の経営する料理屋だ。
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