教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

特別入試と補習授業

2009-01-18 | 教育事情(国内・脳科学・心理)
一般入試やAO入試などの特別入試を行っている中堅大学で、中学・高校内容の補習を行っている大学が増えています。文部科学省の調査によれば、2008年の推薦・AO入試の進学者が全体の43.4%になったということです。

一般入試を受ける受験生は、おしなべて受験教科全体の学習を計画的にやらねばなりません。それに対して特別入試の受験生は、普段の中間・期末考査などで高得点を揚げることが至上目標となっており、基礎体力ともいうべき、教科の基礎学習がおろそかになっている傾向があること。加えて、早くに合格が決まってしまうと入学まで学習をしない生徒が多いことがあげられます。実際に中央大学理工学部の入学時のプレースメントテスト(診断テスト)では、一般入試生徒の正解8割の問題が、特別入試対象の生徒だと6割程度であったという報告があります。

大学では、そのために、入学までに多くの宿題を課したり、入学後に補習をしているというわけです。この弊害は高校にも出ていて、推薦入学などで大学が決まった途端に欠席が目立ったり、生活がルーズになったり、授業に身が入らないといった傾向が残念ながらあります。

私立大学など特別入試を行っている立場からは、早くから定員を満たしておきたい。入学者が定員より少なければ経営側から非難され、定員より多ければ文部科学省から指導が入る。そこで、適切な人数を確保しようという考えのようです。

少子化の時代、受験生の学力とモチベーションをあげ、かつ大学の質を高めるという観点から言えば、現在のように特別入試の偏重傾向を是正する必要があるのではないでしょうか。また特別入試で進路決定した後のフォローなども宿題を出しっぱなしにして、合格した生徒が高校の先生を頼って課題をやるのではなく大学側で学力のフォローをしていくべきでありましょう。
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