2014年9月22日夜、フリーランス保育士 小竹めぐみさんのアメリカ出張報告会に参加してきました。
以下はそのレポートになります。
小竹めぐみさんは、フリーランスの保育士として園に属さず自由に動き、NPOと会社を運営しています。全国あちこちで他業種とコラボレーションをして、こどもに関わる環境づくりをする傍ら、幼児教育や子供を育てる親のかかわり方などについて近年、講演やワークショップをされていて、海外での保育事情にも詳しく、その動向に個人的に注目している一人です。
さて、報告会は小竹さんの講演と、その講演について参加者の小グループでの対話の組み合わせで進行していきました。
参加者はみな、子育てや親子の関わりについて関心の高い方々なので、話は盛り上がりました。
アメリカ出張の日程は、パサデナ(3日)→サンディエゴ(1日)→ボストン(6日)ということでした。
>>>>>>>パサディナ編
小竹さんの中で、子供の成長と親の関わりははずせないテーマであり、そのためにはまずは個人が自分に満足した状態でパートナーに接し、そうした関係性のあるパートナーが子供に接していくのが理想であるため、最近は夫婦のパートナーシップについてプログラムを開発してきたそうです。そんな中、マインドフルネスなどの言葉に出合い、ピータードラッガースクールでの教えと自分の活動の方向性が近いということが、知人を通じて分かり、その知人のいるアメリカに飛んだそうです。
つまり、今回のアメリカ出張は、開発パートナーの獲得とそのアップデートということだそうです。
今回の開発パートナーは井上有紀※さんということでした。
新しいプログラムをなんとなく作るのではなく、エビデンス(学術的な証拠や裏付け)が必要ということでアメリカまで渡り、その足掛かりを得てきたということです。
※プロフィール 井上有紀(いのうえ・ゆき)
一般社団法人イノラボ・インターナショナル共同代表。クレアモント大学院大学ピーター・ドラッカー・スクール・オブ・マネジメント客員研究員(Visiting Practitioner)。慶応義塾大学大学院卒業後、ソーシャルイノベーション(社会変革)のスケールアウト(拡散)をテーマとして、コンサルティングやリサーチに従事。スタンフォード大学(Center on Philanthropy and Civil Society)客員研究員を経て、現職。NPO法人ミラツク理事。
話題1)マインドフルネスについて
前提の知識として、マインドフルネスが話題にあがりました。
近年、アメリカのビジネス界でも注目されているマインドフルネスについての記事はこちら
マインドフルネスは心のエクササイズの一種で、1つのことに集中するトレーニングの一種です。
働きすぎが問題になっているアメリカでは、ビジネスにおいても日常においても一番いい状態に居続けることを維持しつづけるために、またストレスを削減したり、感情をうまくコントロールするために、マインドフルネスが注目されているということです。小竹さんもかつて禅などをしていたことがあり、今回のプログラム開発ではマインドフルネスを根底に意識しているということです。
話題2)ピータードラッガースクールと新しい人間関係構築のプログラムの開発
ピータードラッガースクールの話が、随所に出てきました。このスクールでは、チームに効果的な手法などを教えており、家族の関係性のヒントにもなるということでした。
特に、ジェレミー・ハンター教授のセルフマネジメント理論研究などに注目。
フロー理論、ポジティブサイコロジー、脳科学、コーチングといった理論をベースとして研究をしており、これらが実践を重視したコンテンツの開発のヒントになっているということです。
現代社会では、子ども・母親の精神負担が増加傾向、さらにこのことによる社会問題も増加傾向にあります。
小竹さんは、子育てにおいても、子どもにいきなりフォーカスするのではなく、子供を育てる大人にフォーカスすることの重要性を感じているということです。そのため、大人が自分自身を知り、認めていないと自分の価値観に自信が持てず、起こったことに判断できないため外に答えを求めてしまうのが現代。そこで、さきほどのマインドフルネスが登場します。そして、大人が自分について知る機会がないまま親になっていってしまう。だから、まずは自分を知り認めることが必要であり、そのツールとしてマインドフルネスは有効であるといいます。
小竹さんの当面の目標は、持続可能なしあわせ家族になるため3日でつくる新プログラム『とつきとおかの習い事(仮)』の完成です。
ざくっというと、
1日目 自分・相手を知ること
2日目 知識を得て視野を広げる
3日目 大切にしたい軸をみつけること
セミナーの内容は、次のステップで進んでいくということです。
目指すもの(intention) ありたい状態(意図、具体的なゴール)
意識する(attention) ゴールに対して
気づく(awareness) 必要なことに気付き
選択する(choice) 適正な選択をする
行動する(Action)
結果(result)
このセミナーのゴールは、チームを創っていくにあたり必要不可欠な
対話力あげ、持続可能な幸せ家族を多くつくっていくことだそうです。
すばらしい試みだと思います。
自分との対話では禅などもあるものお、お寺式は敷居が高かったり、妊娠中のママはなかなか行けない。
また、子育て中で悩んでも、お寺にはなかなか入らない。
身一つでできるおしゃべりをしながら、「答えをもらいにきたようで、問いを持ち帰る」そんな空間をつくっていきたいそうです。
>>>>>>ボストン編
ここでは、ローレンススクールガーデンおよび隣接するローレンススクール・キンダーガーデンを見学。
とにかく自由の国、アメリカ。
登校では、キックボードで通学生徒も多いとのこと。
アメリカでは、子どもだけで学校に行くと虐待とみなされるので、親が必ずついていく習慣があります。
老化には、気持ちのチェックなどが貼り付けてあり、いまどんな気持ち? の喜怒哀楽をチャートで表現する。
このへんは、オランダの小学校によく似ていますね。
廊下には、クラスメンバーの写真とプロフィールが貼ってあり、写真をうまく使っているそうです。
◎ 隣接する保育園ローレンススクール・キンダーガーデン
・ 豊かな素材
・ 多様なプロック
・ 先生との連携スタイルで暮らすがえなどを行う
◎ ローレンススクールの保護者さんにインタビュー
・日本の方が文化的に慣れていて楽だけど、子どものためを思ったら環境の良さから低学年くらいまではこちらがいい。
・保育園は圧倒的に広く、都会でも色々な人が声をかけてくれる環境。子育てがしやすい。なので、日本に帰るとくじけそうになる。
など。
◎サークルオブボストンナーサリースクール(マサチューセッツ州初のバイリンガル保育園)
・英語と日本語のバイリンガル
・週の半分が日本語で、もう半分が英語で園児と接する方式
・大変なことと言えば、バイリンガルができる人材がいないこと
・外遊び、内遊びの組み合わせなど、カリキュラム的には日本と同じ
・難しいのは食のこと。協会による決まり事が多い。(研修のスタイルや、食、面談など)
・病児保育がないのが問題。
・とにかく協会の決まり事が多く、1週間で規則が変わるので、その対応が大変
(1回でもどこかで事故が発生すると、一斉に禁止になる)
・助成金が出ないので保育料が高い。
◎ボストン チルドレンズミュージアムのレポート webはこちら。
・とにかくすべての展示が触れるようになっている。
・結果、子供が一番集中するのは、単純な仕掛けのもの。工夫していろいろな遊び方をする。
プロデューサー、エデュケーターへのインタビュー
・役割は、遊びにどう意味があるのか、どういう意味を持たせるのかをデザイン
・ファミリーラーニングを大事にしているので、ファミリーにいいものを提供したい。
・ただ楽しいだけでなく、家でもできるようなサポートをする
・多様なカルチャーが共存しているため、いろんな人に対応する難しさもある。
・都会なのでどれくらいやっても、自然にはかなわない
・ボランティアはいないので、この点は遅れていると思う、とのこと。
・彼女らはライフチルドレンスペシャリストであり、発達が専門。
発達とは、対象が0~21歳。目的は、本来あるべき発達からそれた人を発達のレールに戻すということ。
逆に、小竹さんが聞かれた質問
・どんなものに出会っていくかが大事だと思うが、日本はどうなっているのか?
・日本では保育士同士は横のつながりあるのか?
・日本は、発達を踏まえて遊びを提供しているか?
小竹さんの感想
・日本の幼児教育の多くはまだまだ教え込むことを重視していることが多い。
・多くの幼児教育は一斉保育が中心。この時間はこれをやろうと、大人の意図から提案をしていくことが現状。
・ 食の場面ではアメリカは楽しさを重視し、日本はしつけを重視する傾向にある。
など
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海外の教育事情を聴く機会には、積極的に参加するようにしています。
幼児期の教育は、人間の基礎形成でとても大事な時期。
海外の事情もさることながら、海外から目線での日本がどう見えるのかということも興味深いです。
今回のお話の中では、マインドフルネスを取り入れた小竹さんのファミリープログラムとボストンのChildren's Museumが興味深かったです。体験型特に乳幼児やその家族にも刺激になる博物館が日本にも今後増えるといいなと思いました。
以下はそのレポートになります。
小竹めぐみさんは、フリーランスの保育士として園に属さず自由に動き、NPOと会社を運営しています。全国あちこちで他業種とコラボレーションをして、こどもに関わる環境づくりをする傍ら、幼児教育や子供を育てる親のかかわり方などについて近年、講演やワークショップをされていて、海外での保育事情にも詳しく、その動向に個人的に注目している一人です。
さて、報告会は小竹さんの講演と、その講演について参加者の小グループでの対話の組み合わせで進行していきました。
参加者はみな、子育てや親子の関わりについて関心の高い方々なので、話は盛り上がりました。
アメリカ出張の日程は、パサデナ(3日)→サンディエゴ(1日)→ボストン(6日)ということでした。
>>>>>>>パサディナ編
小竹さんの中で、子供の成長と親の関わりははずせないテーマであり、そのためにはまずは個人が自分に満足した状態でパートナーに接し、そうした関係性のあるパートナーが子供に接していくのが理想であるため、最近は夫婦のパートナーシップについてプログラムを開発してきたそうです。そんな中、マインドフルネスなどの言葉に出合い、ピータードラッガースクールでの教えと自分の活動の方向性が近いということが、知人を通じて分かり、その知人のいるアメリカに飛んだそうです。
つまり、今回のアメリカ出張は、開発パートナーの獲得とそのアップデートということだそうです。
今回の開発パートナーは井上有紀※さんということでした。
新しいプログラムをなんとなく作るのではなく、エビデンス(学術的な証拠や裏付け)が必要ということでアメリカまで渡り、その足掛かりを得てきたということです。
※プロフィール 井上有紀(いのうえ・ゆき)
一般社団法人イノラボ・インターナショナル共同代表。クレアモント大学院大学ピーター・ドラッカー・スクール・オブ・マネジメント客員研究員(Visiting Practitioner)。慶応義塾大学大学院卒業後、ソーシャルイノベーション(社会変革)のスケールアウト(拡散)をテーマとして、コンサルティングやリサーチに従事。スタンフォード大学(Center on Philanthropy and Civil Society)客員研究員を経て、現職。NPO法人ミラツク理事。
話題1)マインドフルネスについて
前提の知識として、マインドフルネスが話題にあがりました。
近年、アメリカのビジネス界でも注目されているマインドフルネスについての記事はこちら
マインドフルネスは心のエクササイズの一種で、1つのことに集中するトレーニングの一種です。
働きすぎが問題になっているアメリカでは、ビジネスにおいても日常においても一番いい状態に居続けることを維持しつづけるために、またストレスを削減したり、感情をうまくコントロールするために、マインドフルネスが注目されているということです。小竹さんもかつて禅などをしていたことがあり、今回のプログラム開発ではマインドフルネスを根底に意識しているということです。
話題2)ピータードラッガースクールと新しい人間関係構築のプログラムの開発
ピータードラッガースクールの話が、随所に出てきました。このスクールでは、チームに効果的な手法などを教えており、家族の関係性のヒントにもなるということでした。
特に、ジェレミー・ハンター教授のセルフマネジメント理論研究などに注目。
フロー理論、ポジティブサイコロジー、脳科学、コーチングといった理論をベースとして研究をしており、これらが実践を重視したコンテンツの開発のヒントになっているということです。
現代社会では、子ども・母親の精神負担が増加傾向、さらにこのことによる社会問題も増加傾向にあります。
小竹さんは、子育てにおいても、子どもにいきなりフォーカスするのではなく、子供を育てる大人にフォーカスすることの重要性を感じているということです。そのため、大人が自分自身を知り、認めていないと自分の価値観に自信が持てず、起こったことに判断できないため外に答えを求めてしまうのが現代。そこで、さきほどのマインドフルネスが登場します。そして、大人が自分について知る機会がないまま親になっていってしまう。だから、まずは自分を知り認めることが必要であり、そのツールとしてマインドフルネスは有効であるといいます。
小竹さんの当面の目標は、持続可能なしあわせ家族になるため3日でつくる新プログラム『とつきとおかの習い事(仮)』の完成です。
ざくっというと、
1日目 自分・相手を知ること
2日目 知識を得て視野を広げる
3日目 大切にしたい軸をみつけること
セミナーの内容は、次のステップで進んでいくということです。
目指すもの(intention) ありたい状態(意図、具体的なゴール)
意識する(attention) ゴールに対して
気づく(awareness) 必要なことに気付き
選択する(choice) 適正な選択をする
行動する(Action)
結果(result)
このセミナーのゴールは、チームを創っていくにあたり必要不可欠な
対話力あげ、持続可能な幸せ家族を多くつくっていくことだそうです。
すばらしい試みだと思います。
自分との対話では禅などもあるものお、お寺式は敷居が高かったり、妊娠中のママはなかなか行けない。
また、子育て中で悩んでも、お寺にはなかなか入らない。
身一つでできるおしゃべりをしながら、「答えをもらいにきたようで、問いを持ち帰る」そんな空間をつくっていきたいそうです。
>>>>>>ボストン編
ここでは、ローレンススクールガーデンおよび隣接するローレンススクール・キンダーガーデンを見学。
とにかく自由の国、アメリカ。
登校では、キックボードで通学生徒も多いとのこと。
アメリカでは、子どもだけで学校に行くと虐待とみなされるので、親が必ずついていく習慣があります。
老化には、気持ちのチェックなどが貼り付けてあり、いまどんな気持ち? の喜怒哀楽をチャートで表現する。
このへんは、オランダの小学校によく似ていますね。
廊下には、クラスメンバーの写真とプロフィールが貼ってあり、写真をうまく使っているそうです。
◎ 隣接する保育園ローレンススクール・キンダーガーデン
・ 豊かな素材
・ 多様なプロック
・ 先生との連携スタイルで暮らすがえなどを行う
◎ ローレンススクールの保護者さんにインタビュー
・日本の方が文化的に慣れていて楽だけど、子どものためを思ったら環境の良さから低学年くらいまではこちらがいい。
・保育園は圧倒的に広く、都会でも色々な人が声をかけてくれる環境。子育てがしやすい。なので、日本に帰るとくじけそうになる。
など。
◎サークルオブボストンナーサリースクール(マサチューセッツ州初のバイリンガル保育園)
・英語と日本語のバイリンガル
・週の半分が日本語で、もう半分が英語で園児と接する方式
・大変なことと言えば、バイリンガルができる人材がいないこと
・外遊び、内遊びの組み合わせなど、カリキュラム的には日本と同じ
・難しいのは食のこと。協会による決まり事が多い。(研修のスタイルや、食、面談など)
・病児保育がないのが問題。
・とにかく協会の決まり事が多く、1週間で規則が変わるので、その対応が大変
(1回でもどこかで事故が発生すると、一斉に禁止になる)
・助成金が出ないので保育料が高い。
◎ボストン チルドレンズミュージアムのレポート webはこちら。
・とにかくすべての展示が触れるようになっている。
・結果、子供が一番集中するのは、単純な仕掛けのもの。工夫していろいろな遊び方をする。
プロデューサー、エデュケーターへのインタビュー
・役割は、遊びにどう意味があるのか、どういう意味を持たせるのかをデザイン
・ファミリーラーニングを大事にしているので、ファミリーにいいものを提供したい。
・ただ楽しいだけでなく、家でもできるようなサポートをする
・多様なカルチャーが共存しているため、いろんな人に対応する難しさもある。
・都会なのでどれくらいやっても、自然にはかなわない
・ボランティアはいないので、この点は遅れていると思う、とのこと。
・彼女らはライフチルドレンスペシャリストであり、発達が専門。
発達とは、対象が0~21歳。目的は、本来あるべき発達からそれた人を発達のレールに戻すということ。
逆に、小竹さんが聞かれた質問
・どんなものに出会っていくかが大事だと思うが、日本はどうなっているのか?
・日本では保育士同士は横のつながりあるのか?
・日本は、発達を踏まえて遊びを提供しているか?
小竹さんの感想
・日本の幼児教育の多くはまだまだ教え込むことを重視していることが多い。
・多くの幼児教育は一斉保育が中心。この時間はこれをやろうと、大人の意図から提案をしていくことが現状。
・ 食の場面ではアメリカは楽しさを重視し、日本はしつけを重視する傾向にある。
など
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海外の教育事情を聴く機会には、積極的に参加するようにしています。
幼児期の教育は、人間の基礎形成でとても大事な時期。
海外の事情もさることながら、海外から目線での日本がどう見えるのかということも興味深いです。
今回のお話の中では、マインドフルネスを取り入れた小竹さんのファミリープログラムとボストンのChildren's Museumが興味深かったです。体験型特に乳幼児やその家族にも刺激になる博物館が日本にも今後増えるといいなと思いました。