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presented by 福島 毅

映画”原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち” 視聴

2022-10-27 | 環境・エネルギー

映画 「原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち」を観てきました。

「 2014年。関西電力大飯原発の運転停止命令を下した樋口英明・福井地裁元裁判長は、日本の全原発に共通する危険性を社会に広める活動をはじめた。原発が頻発する地震に耐えられないことを指摘する“樋口理論”の啓発である。そして原発差止訴訟の先頭に立つ弁護士・河合弘之は、樋口理論を軸に新たな裁判を開始した。逆襲弁護士と元裁判長が挑む訴訟の行方はいかに!
 
 一方、福島では放射能汚染によって廃業した農業者・近藤恵が農地上で太陽光発電をするソーラーシェアリングに復活の道を見出す。近藤は環境学者・飯田哲也の協力を得て東京ドームの面積超の営農型太陽光発電を始動させる。原発をとめるために!
 
脱原発への確かな理論と不屈の魂、そして若き農業者たちの故郷への思い。原発事故11年目、真実と希望の映画が誕生した!」 (公式ページより)

原発は、登場当初はエネルギーを生み出す原価が最も低いという触れ込みで、国内では震災前には54基が稼働していました。しかし2011年の東日本大震災により福島原発ではチェルノブイリ原発事故に並んで世界史上最悪の原発事故を引き起こし、ひとたび事故が起こった時の影響の大きさが世界で再認識されたわけです。

しかし、震災後も電力会社は、この危険な原発を順次再稼働し、2022年6月現在、2022年6月時点で地元の同意を得て再稼働した原発は大飯(関西電力)、高浜(関西電力)、美浜(関西電力)、玄海(九州電力)、川内(九州電力)、伊方(四国電力)の6発電所の10基となっています。そんな中、原発再稼働の差し止め訴訟が全国で起きているのです。

ただ、裁判では、ほとんどが再稼働の差し止め請求を認めない判決が出ており、この映画で紹介される樋口英明・福井地裁元裁判長の例は例外的。違法の根拠は、設計想定されている地震動の加速度(gal)が、現実の地震動よりはるかに低く見積もられているという至極まっとうなもの。感情論ではなく、科学的な根拠に基づいても当たり前の判断が通常では出ていない不思議を映画をみると実感できます。裁判官は内閣が指名することから、政府側・電力会社側に不利な判決は裁判官自身の生活の安定を脅かすという心理的な事情も働いているのかもしれません(これは推定ですが)。三権分立とは教科書で習いますが、実質的に内閣への忖度や顔色をうかがっての人事制度は日本の司法制度をゆがめている事実も国民は知る必要があるでしょう。

さて、映画のもう一つの話題は、農地上でのソーラーシェアリングです。こちらは、映画でも紹介されている二本松営農ソーラー株式会社が出ているので、そのホームページをみると、営農ソーラーについて記述があります。
「営農型発電(ソーラーシェアリング)とは、農地に間隔を取ってソーラーパネルを設置することによって、作物とパネルで太陽光をシェアして農業と発電を両立できる仕組みです。作物が必要な量の太陽光は確保しているので、生育に悪影響は及ぼしません。むしろ、強すぎる光による日焼けから作物を守ったり、放射冷却を防いで霜が降りるのを防ぐなどメリットがあるとも言われています。また、売電で得た利益は、農家の持続的な経営を支えます。今、カーボンニュートラルの実現に向けて太陽光発電所の増設が必要とされています。営農型発電なら、山を削って自然や景観を壊すことなく再生可能エネルギーを生産することができます。さらに耕作放棄地の解消にもなるということで、注目が集まっています。」(二本松営農ソーラー株式会社のHPより)

広大な山を削って無理やりソーラーパネルを設置するのではなく、農作物にとってもメリットがあるように農地をソーラーの畑としても運営する。この発想は、今後の世界にぜひとも広げていってほしい方法です。原発事故の被災地である福島県から、このような立ち直りの試みを観て、勇気をもらい、また自身も資源・エネルギーについて今後も発信したいと改めて思った次第です。(以下、写真は二本松営農ソーラー株式会社のHPより)

 

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