第2回のICT&AL(アクティブラーニング) 実践交流会が、2015年2月21日に、関東第一高校を会場として行われました。
今回はその簡単な報告をします。
予定スケジュールは以下のとおりでした。(進行では若干押してましたがほぼ予定どおりでした)
14:00〜14:05ご挨拶
14:10〜14:40実践発表①ICT
☆堀内陽介先生(広尾学園中学校・高等学校)
「ICTがもたらす新しい学び
-反転授業実践報告-」
14:50〜15:20実践発表②AL
☆小島昭彦先生(藤沢清流高等学校)
「《アクティブラーニング型授業》による
藤沢清流高校での組織的な授業改善について」(仮)
15:40〜16:10実践発表③ICT
☆小酒井正和先生(玉川大学 )
「ビジネス未経験者へのビジネス教育
−アナログとデジタルの使い分け」
16:20〜16:50実践発表④AL
☆皆川雅樹先生(専修大学附属高等学校 )
「専大附属のアクティブラーニング型授業と私」
以下、実践を聞いて感じたことなどを手短に述べたい(★印)と思います。
1.堀内先生(広尾学園)
医進サイエンスコースでは、Chrome BookのPCを使い、Google Appsを積極的に使って授業進行しているということでした。
授業シーンでは、テキストを打つ機会も多いため、この選択にしたようです。
数学授業ではEDuAの高校数学標準講義を使って反転授業をしており、以下のステップで学習を進めているとのことです。
①EDuPAの動画視聴とpdfで提供されている予習ノートを埋める作業 {家庭などで行う}
②授業では予習確認のチェックテスト実施(予習ノートと同じ問題)
③レベル別問題を独自に学校側が作成し、解かせる。
堀内先生によれば、教材の準備は大変であるが教師のやりがいは上昇。ただ、直接教えるという行為が少なくなるので教師としての心理的葛藤はあるとのこと。
★標準的な良質なビデオ講義がネット上にあるというのは、基礎事項の定着という意味でも大きなメリットですね。
それと予習ノートまで準備されていることも心強いです。NHK高校講座は内容が平易なため、ワンランク高いレベルの基礎学習をしっかり行えるようなこうしたビデオ教材がいろいろな科目であるといいと感じました。
2.小島先生(藤沢清流高校)
個々の取組というよりも、学校を上げての全体の取り組みをどのように行ってきたかの報告でした。
お話を伺うに、小島先生がマンネリ化した授業に行き詰まりを感じ、管理職にも相談しながら、90分の授業をアクティブラーニング中心に。
そして神奈川県への計画申請で「確かな学力向上研究推進校」に認可され、3年計画(2013-2015)で今も進行中。
1年目はアクティブラーニングに関する調査研究、全職員研修、セミナー参加
2年目は前年度の成果を活かした授業実践や実践事例の共有や整理
3年目(来年)は、研究成果の検証
★取組の特徴としては、学校をあげてスローガンとして掲げ実践や共有をしていることでした。また研究成果の検証なども関連大学のアドバイスや生徒による授業評価などのフィードバックをうまく利用し向上させていこうという取組をされています。フラットに参加できる座談会や職員相互の授業見学、教科会で話題にしたり、AL授業の方法は縛らず各教師の持ち味を生かすなど無理なくランディングできる工夫などもしています。
3.小酒井先生(玉川大学)
ビジネス教育について
ビジネスプロセスと経験学習サイクルとの関係性や、大学の学びの本質は何かという議論が提示されていました。
特に、最後の小酒井先生のデジタルとアナログの使い分けの資料が興味深かったです。
それによれば、
デジタル向き(パソコンなど)→知識取得、ビジネスプロセスや業務の概観、学びのスタイルをブラックボックス化し初学者にわかりやすくする。思考としては発想や右脳的なもの、行動としてはアウトプット、プレゼンテーションなどのコミュニケーション
アナログ向き(紙ベース)→応用技術や活用場面、ビジネスでは技能・スキル獲得、思考としてはロジカルで左脳的なもの、行動としてはインプットのシーン、問題解決や論理思考などのプロセス
★大学で机上で経営を学んだだけでは、ほとんど実社会で使い物にならないという説は、教育のリアリスティックアプローチ(実践の振り返りからの学び)に通じるものがあると思いました。
いくら自転車の乗り方マニュアルを読んでも自転車に乗れないのと一緒ですね。会社経営をしたことのない人が大学で経営論をふりまわしても実務の実習はデザインできないことでしょうし。
4.皆川先生(専修大学付属高校)
日本史授業のアクティブラーニングについて。
写真にあるような、グランドルールを繰り返し掲げ、なるべく生徒の自主的な活動が促進されるような授業設計や問いの設計などについてお話がありました。
日本史の知識習得だけでなく、日本史を通じて社会人=学び家になる! ことが目標。指示待ちで終わる教わり家でなく、主体的・積極的に学べる”学び家(か)”ということ。
クラスメイトとのコミュニケーションを通じて感謝の気持ちや謙虚さを持てること これは態度目標といわれているもの
皆川先生の典型的な授業スタイルは、
①講義(15分)・・・ 学習内容との対話 KP法(紙芝居プレゼンテーション)+板書、本日の問いの提示、単元説明:すなわち単元内容に関わる本日の問いを板書し、レジュメの内容に即して授業内容説明。
②作業(10分)・・・ 学習内容(基礎事項)との対話、仲間との対話1:すなわち4名程度でチームを作り、基礎事項(最低知っておく用語等)の意味を配布プリント、一問一答問題驟雨などで確認しワークシート記入。
③学習(10分)・・・ 仲間との対話2 本日の事柄のつながりを学び合う
④試験(5分)・・・ 自己との対話1 ①②③で学んだ内容の問題演習:目標は全員正解の簡単な正誤問題
⑤まとめ(10分)・・・自己との対話2 試験の答え合わせ+ポイント解説+リフレクション(振り返りシート使用)
★なぜそれを学ぶかという哲学が年間の授業の最初で語られるだけでなく、毎時間の授業で常に意識させる姿勢が感じられ、それに納得した生徒たちが自主的に学んでいくことが容易に想像できました。
それほど、なぜ学ぶのかという腹落ちというのは必要なことだと思います。そうしないと、ただアクティブに学習している、手段が目的化したアクティブラーニングが発生してしまいます。
第1回は1月3日開催で参加者は5名程度だったらしいのですが、今回は100名近い先生や教育関係者が訪れ、関心の高さがうかがえました。
今後も1か月に1回くらい開かれる予定ということでした。
今回はその簡単な報告をします。
予定スケジュールは以下のとおりでした。(進行では若干押してましたがほぼ予定どおりでした)
14:00〜14:05ご挨拶
14:10〜14:40実践発表①ICT
☆堀内陽介先生(広尾学園中学校・高等学校)
「ICTがもたらす新しい学び
-反転授業実践報告-」
14:50〜15:20実践発表②AL
☆小島昭彦先生(藤沢清流高等学校)
「《アクティブラーニング型授業》による
藤沢清流高校での組織的な授業改善について」(仮)
15:40〜16:10実践発表③ICT
☆小酒井正和先生(玉川大学 )
「ビジネス未経験者へのビジネス教育
−アナログとデジタルの使い分け」
16:20〜16:50実践発表④AL
☆皆川雅樹先生(専修大学附属高等学校 )
「専大附属のアクティブラーニング型授業と私」
以下、実践を聞いて感じたことなどを手短に述べたい(★印)と思います。
1.堀内先生(広尾学園)
医進サイエンスコースでは、Chrome BookのPCを使い、Google Appsを積極的に使って授業進行しているということでした。
授業シーンでは、テキストを打つ機会も多いため、この選択にしたようです。
数学授業ではEDuAの高校数学標準講義を使って反転授業をしており、以下のステップで学習を進めているとのことです。
①EDuPAの動画視聴とpdfで提供されている予習ノートを埋める作業 {家庭などで行う}
②授業では予習確認のチェックテスト実施(予習ノートと同じ問題)
③レベル別問題を独自に学校側が作成し、解かせる。
堀内先生によれば、教材の準備は大変であるが教師のやりがいは上昇。ただ、直接教えるという行為が少なくなるので教師としての心理的葛藤はあるとのこと。
★標準的な良質なビデオ講義がネット上にあるというのは、基礎事項の定着という意味でも大きなメリットですね。
それと予習ノートまで準備されていることも心強いです。NHK高校講座は内容が平易なため、ワンランク高いレベルの基礎学習をしっかり行えるようなこうしたビデオ教材がいろいろな科目であるといいと感じました。
2.小島先生(藤沢清流高校)
個々の取組というよりも、学校を上げての全体の取り組みをどのように行ってきたかの報告でした。
お話を伺うに、小島先生がマンネリ化した授業に行き詰まりを感じ、管理職にも相談しながら、90分の授業をアクティブラーニング中心に。
そして神奈川県への計画申請で「確かな学力向上研究推進校」に認可され、3年計画(2013-2015)で今も進行中。
1年目はアクティブラーニングに関する調査研究、全職員研修、セミナー参加
2年目は前年度の成果を活かした授業実践や実践事例の共有や整理
3年目(来年)は、研究成果の検証
★取組の特徴としては、学校をあげてスローガンとして掲げ実践や共有をしていることでした。また研究成果の検証なども関連大学のアドバイスや生徒による授業評価などのフィードバックをうまく利用し向上させていこうという取組をされています。フラットに参加できる座談会や職員相互の授業見学、教科会で話題にしたり、AL授業の方法は縛らず各教師の持ち味を生かすなど無理なくランディングできる工夫などもしています。
3.小酒井先生(玉川大学)
ビジネス教育について
ビジネスプロセスと経験学習サイクルとの関係性や、大学の学びの本質は何かという議論が提示されていました。
特に、最後の小酒井先生のデジタルとアナログの使い分けの資料が興味深かったです。
それによれば、
デジタル向き(パソコンなど)→知識取得、ビジネスプロセスや業務の概観、学びのスタイルをブラックボックス化し初学者にわかりやすくする。思考としては発想や右脳的なもの、行動としてはアウトプット、プレゼンテーションなどのコミュニケーション
アナログ向き(紙ベース)→応用技術や活用場面、ビジネスでは技能・スキル獲得、思考としてはロジカルで左脳的なもの、行動としてはインプットのシーン、問題解決や論理思考などのプロセス
★大学で机上で経営を学んだだけでは、ほとんど実社会で使い物にならないという説は、教育のリアリスティックアプローチ(実践の振り返りからの学び)に通じるものがあると思いました。
いくら自転車の乗り方マニュアルを読んでも自転車に乗れないのと一緒ですね。会社経営をしたことのない人が大学で経営論をふりまわしても実務の実習はデザインできないことでしょうし。
4.皆川先生(専修大学付属高校)
日本史授業のアクティブラーニングについて。
写真にあるような、グランドルールを繰り返し掲げ、なるべく生徒の自主的な活動が促進されるような授業設計や問いの設計などについてお話がありました。
日本史の知識習得だけでなく、日本史を通じて社会人=学び家になる! ことが目標。指示待ちで終わる教わり家でなく、主体的・積極的に学べる”学び家(か)”ということ。
クラスメイトとのコミュニケーションを通じて感謝の気持ちや謙虚さを持てること これは態度目標といわれているもの
皆川先生の典型的な授業スタイルは、
①講義(15分)・・・ 学習内容との対話 KP法(紙芝居プレゼンテーション)+板書、本日の問いの提示、単元説明:すなわち単元内容に関わる本日の問いを板書し、レジュメの内容に即して授業内容説明。
②作業(10分)・・・ 学習内容(基礎事項)との対話、仲間との対話1:すなわち4名程度でチームを作り、基礎事項(最低知っておく用語等)の意味を配布プリント、一問一答問題驟雨などで確認しワークシート記入。
③学習(10分)・・・ 仲間との対話2 本日の事柄のつながりを学び合う
④試験(5分)・・・ 自己との対話1 ①②③で学んだ内容の問題演習:目標は全員正解の簡単な正誤問題
⑤まとめ(10分)・・・自己との対話2 試験の答え合わせ+ポイント解説+リフレクション(振り返りシート使用)
★なぜそれを学ぶかという哲学が年間の授業の最初で語られるだけでなく、毎時間の授業で常に意識させる姿勢が感じられ、それに納得した生徒たちが自主的に学んでいくことが容易に想像できました。
それほど、なぜ学ぶのかという腹落ちというのは必要なことだと思います。そうしないと、ただアクティブに学習している、手段が目的化したアクティブラーニングが発生してしまいます。
第1回は1月3日開催で参加者は5名程度だったらしいのですが、今回は100名近い先生や教育関係者が訪れ、関心の高さがうかがえました。
今後も1か月に1回くらい開かれる予定ということでした。