耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

放射能の単位

2011年06月19日 18時29分05秒 | 都会の風景
 昔は、というか我々が若い頃は、放射能と言えば原水爆実験のあとの雨
に含まれる死の灰のことだった。
 訳が分からないままレントゲンとかキュリーとかレムとかいう単位と、
ガイガーカウンターがガリガリ音を出すのを、不気味に聞いたものだった。

 放射線を被曝すると、細胞内のDNA損傷が発生し細胞分裂に障害が発
生する。大量の放射線だと細胞が死滅するが、少量の被爆でもガンが発生
したり細胞の寿命に伴い障害が出てくる可能性がある。
細胞分裂をしない脳への影響は少ない。従って死ぬまで痛みと苦しみが続
くという。

 今テレビや新聞では、シーベルトだのベクレルだの耳慣れない単位が、
さも常識であるかのように飛び交っている。話題に取り残されるのもシャク
だから、少し調べてみた。

 放射能に関する単位は、国際単位系への切り替えもあって、全て昔とは
変わっていた。年寄りには理解できないはずだ。

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測定量  放射能    吸収線量   線量当量
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昔の単位 キュリー[Ci] ラド[rad]  レム[rem]
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今の単位 ベクレル[Bq] グレイ[Gy]  シーベルト[Sv]
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ここに、
放射能:α線、β線、γ線、中性子線等の放射線を発射する能力
     1秒間に1発の放射線を発射すると、1Bq
吸収線量:吸収した放射線のエネルギーの総量 1Gy=1J/kg

線量当量:「人体への影響」を基準に考えた等価線量
     同じ1Gyの吸収線量でも、α線は人体組織に対しβ線の20倍ほど
影響が大きい

 被曝に依る人体への影響は、線量当量[Sv]の値で推測され、累積線量
により、下表の様に考えられている。

<外部被曝>
大部分がγ線に依る

γ線被曝線量(mSv)と症状( http://www.hicare.jp/09/hi04.html)

250以下 ほとんど臨床的症状無し
500   白血球(リンパ球)一時減少
1000  吐気、嘔吐、全身倦怠リンパ球著しく減少
1500  50%の人に放射線宿酔
3000  5%の人が死亡(骨髄障害)
4000  30日間に50%の人が死亡
6000  14日間に90%の人が死亡(中枢神経障害)
7000  100%の人が死亡

<内部被曝>
 内部被曝では、飛距離が短いα線、β線の影響が大きいはずだが、疫学
的に定量化されていない。
仮定を置いたうえでの計算だが、同じ線量でも外部被曝の10倍の影響と
言う説もある
(http://d.hatena.ne.jp/T-norf/20110321/Radiogen2)
 半減期が日単位と短くてもヨウ素131のようにベータ線の放出が多いと
影響は大きいはずである。

<放射性物質>
 福島第一原発で漏出した蒸気に多く含まれるのは、ヨウ素131、セシウ
ム137、キセノン133、キセノン135、クリプトン85などの放射性同位体という(http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2011/03/post-2013.php)

 この中で最も厄介なのがヨウ素131。被曝すると甲状腺に吸収され、甲
状腺癌や白血病の原因となる。クリプトン85やキセノン133の気体は骨や
組織には影響しないが、非常に不安定な同位体のため、大量の放射線を
放出し、人体システムに悪影響を及ぼす可能性がある。

 それぞれの放射性物質の振る舞いと人体への影響は、諸説があるようで
もう少し調べて、改めて書いてみたい。

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