野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

ノビルの奔放な花

2019年06月12日 08時05分47秒 | 
ノビルは以前に蕾の写真を紹介したが
野原でのびのびと花開いているのをみつけた。
孤高の蕾も素敵だが、奔放な花もまた捨てがたい。
野原のニンニクという名前だから、食べてもおいしいのだろうが、
その姿を鑑賞するのが、何よりかも。
(2019-06 神奈川県川崎市 野原)






ノビル

科名:ユリ科/属名:ネギ属
和名:野蒜/生薬名:薤白(がいはく)/学名:Allium grayi
日本全土の日当たりのよい草地、土手などに普通に群生する多年草

見分け方・特徴

山野など日当たりの良い土手などに普通に見られる多年草で、地中には小さな鱗茎(りんけい)があり丸く白い下部にはひげ根があり、全草にはネギのような芳香があります
茎は、円柱形で単一で長く伸び、晩秋から葉を出して冬を越します。
葉は、数枚が下方にあって、互生(ごせい)して、狭線形で先は尖り中空で、下部で茎を包みます。
花は、夏に茎頂(けいちょう)に、淡紅紫色の花を多数つけます。
果実は、多くはムカゴだけになって紫黒色です。

ノビルと良く似た、タマスダレは有毒植物で、葉は似ていますが、深緑色で質は厚く、少し硬く、鱗茎が茶褐色、花は白い、全草にはネギのような芳香がないので区別ができます


採集と調整
春から初夏にかけて、地中の鱗茎(りんけい)を抜き取って、そのまま水洗いして用います。

中国では、ノビルの鱗茎(りんけい)を乾燥して、生薬で薤白(がいはく)として扱います。


薬効・用い方
ノビルは、民間薬として用いられています
全草を良く乾燥させたものを煎じて服用すると、血を補い、良く眠れるといわれます

また、そのまま野菜としても食べることができます。

毒虫などに刺されたかゆみ、ぜにたむし、はたけなどには、鱗茎をつぶして、その汁を塗ります。
はれものの痛みなどには、全草を金網の上で黒く焼いて粉末にして、ゴマ油で練り合わせて患部に塗布します、また、鱗茎を、すりつぶして小麦粉と練り合わせて患部に塗布します。

これは、地中の鱗茎を含めた全草には、制菌作用をもつタンニンに似た含硫化合体が含まれているといわれています。


その他
名前の由来は、ニンニクを古名で、蒜(ひる)といい、野生する蒜(ひる)という意味から、ノヒルとなり転訛して、ノビルになったとされています

中国では、古くから「小根蒜(しょうこんさん)」または「薤白(がいはく)」と呼んでいて、薬用に用いていました

日本では、山菜として食用に食べらていて、万葉の昔から春の幸として親しまれています
「古事記」にも「野蒜(のびる)つみに蒜(ひる)つみに」という記述があり、古くから食用にしていた

ノビルは、まだ花が咲かない若い全草を抜き取って、ぬた、雑炊、いため物にして食べます
秋田地方では、残雪にちらほらと芽吹く新芽を、サシビルと呼び珍重して、秋田名物のショッツルに入れたりして食べます

黄色いともしびが点灯したようなコウホネ

2019年06月12日 06時22分03秒 | 
五月末の調布野草園では池にコウホネが一輪だけ咲いていた。
睡蓮もそうだが、水中に咲く花はいかにも涼し気で好きだ。
コウホネは黄色が水の色と対比されて目立つので、みたときにはっと驚く。
「河骨の水の幽さに灯りけり   (小松世史子)」。
(2019-05 東京都 調布野草園)





コウホネ
コウホネ(学名Nuphar japonicum)は、スイレン科の植物の1種である。

水生の多年生草本。浅い池や沼に自生する。

特徴
根茎は白くて肥大しており、やや横に這い、多数の葉をつける。葉は水中葉と水上葉がある。いずれも長い葉柄とスイレンの葉の形に近いが、やや細長い葉身をつける。水中葉は薄くてやや透明で、ひらひらしている。冬季には水中葉のみを残す。暖かくなるにつれ、次第に水面に浮く葉をつけ、あるいは一気に水面から抽出して葉をつける。水上葉はやや厚くて深緑、表面につやがある。花期は6月から9月ごろで、長い花茎の先端に1つだけ黄色い花を咲かせる。

和名の由来には複数の説がある。牧野はこれを河骨であるとし、川辺に生え、その根茎が白骨のようだから[1]とした。一般にはこれが流布しているようである。しかし園芸植物大事典によると日本最古の本草書『本草和名(ほんぞうわみょう)』には崔禹錫の『食経』よりの引用として「骨蓬」という名を引き、その和訓として加波保祢を当てており、これは「カハホネ」と読める。このことから骨蓬の音便によってこの名が生まれたとみるべきという[2]。日本では本属の根茎を薬草として「川骨(せんこつ)」と言うが、これもこの語に漢字を当てたものと見られる。

生育環境など
日本、朝鮮半島に分布する。浅い池によく見かけるが、流れの緩い小川に出現することもある。

庭園の池で観賞用に栽培されることもある。沈水葉をアクアリウムで鑑賞する例もある。

【河骨の参考句】
      河骨の花に集る目高かな   (河東碧梧桐)
      河骨の黄は星のごと鏡池   (皆川盤水)
      河骨の葉と葉と花とさし交す (飯島晴子)
      河骨や息づまるまで沼平ら   (片山由美子)
      河骨の水の幽さに灯りけり   (小松世史子)