野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

木に着生するラン科のセッコクの優雅な花

2019年06月20日 07時56分15秒 | 

木に着生する蘭のセッコクの花が、六月初めの高尾山でまだ咲いていた。五月にいったときに撮影し損ねていたので、うれしかった。最初の白い花の写真は野草園のもの。次のピンクの花の写真はさる園のもの。優雅な花で、人気も高いらしい。

(2019-06 東京都 高尾山)

 

 

セッコク
セッコク(石斛、学名:Dendrobium moniliforme)は、単子葉植物ラン科の植物。日本の中部以南に分布する。岩の上や大木に着生する着生植物である。

概説
茎は細長く、堅く、始めは緑色を帯び、通常は後に黒紫色になる。多数の節があり、節ごとに出る葉の基部の鞘に包まれる。一年目の茎には節ごとに葉がある。葉は細い楕円形で、厚くやや堅く、つやがある。葉は年の終わりには葉鞘との間で脱落する。新しい芽は古い茎の基部から横に顔を出す。また、茎の先の方から新しい芽が伸び、その根元から根を生じる形で新しい個体ができることもある。

大きさが十分であれば、葉のなくなった茎は、次の年に花を咲かせる。花は、茎の先端に近い数節から出る。各節からは、短い花茎が出て、そこから数個の花を咲かせる。花は赤紫がかった白の花弁で、よい香りがする。唇弁以外の五弁は、いずれも同じくらいの大きさの卵状楕円形、先端はややとがる。唇弁は外見は他の花弁と似たような形で、ただし蕊柱との間の奥の方にくぼみが入り込み、短い距を作る。側弁の基部が下側の外でこれにつながっている。

花が咲いた後も茎は数年間生き残り、場合によっては大きな株になる。

名称及び利用
セッコクは漢字では石斛で、本来は中国産の近似種(D. crispulum、D. Kwantungenseなど)に当てられた名称であり、健胃、強壮作用などがあり、漢方薬として用いられる (現在は、細葉石斛D. hancockiiなども使われる。) 。

日本名は、そのまま音読みにしたセキコクが使われる場合もあるが、セッコクを使う場合のほうがはるかに多い。セッコクはセキコクが詰まったものと思われる。また、薬用にされることから記紀神話の医療神である少彦名命(すくなひこなのみこと)にちなみ、少彦薬根(すくなひこなのくすね)の古名も持つ。

シノブ玉やイワヒバの鉢植え、庭木につけるなどの形で栽培される。 また、野生で発見される葉変わり品などを選別・命名する形で江戸時代より古典園芸植物としても栽培された歴史があり、現在も栽培されている品種が多い。東洋ランとしての名称は、長生蘭(ちょうせいらん)である。主として葉変わり、姿や模様の変化を楽しむ、いわゆる柄物が主体であったが、昭和の終わりころより花変わりにも関心が集まるようになり、花物の品種も登録されている。同様に古典植物として栽培される着生ランのフウラン(富貴蘭)と異なり、株分けや、古い茎を切り離してミズゴケの中で腋芽の発芽を促す「矢伏せ」により、株の増殖は容易である。

ただし、このような栽培のための採集によって、野外の個体数は激減し、大株を見ることはほとんどなくなっている。昭和50年代までは神社の境内の木に大株が見られることもあったが、現在ではそのようなものはすべて取り尽くされた。幸いに、繁殖力の弱いものではないので、採集熱が冷めるにつれ、次第に回復の気配があるようである。

同属の熱帯産の種には、洋ランのデンドロビウムとして栽培されるものが多く含まれ、セッコクもデンドロビウムの園芸品種のうち、矮性品種作出の交配親のひとつとなっている。

 


宵待草のやるせなさ

2019年06月20日 05時59分25秒 | 

待てど暮らせど 来ぬひとを 宵待草の やるせなさ 今宵は月も 出ぬそうな

という竹久夢二の歌で懐かしいマツヨイグサだが、最近では見かけることが少なくなって寂しい。
大マツヨイグサとメマツヨイグサはしぼむと赤くならないらしいので、これはマツヨイグサらしいのだが。

俳句の世界では白の月見草と一緒に歌われている。ヒルザキツキミソウに似た月見草も最近みかけなくなって寂しい。「人の世に月見草あり夜明あり 星野立子」

(2019-06 川崎市 路傍)

 

 

 

 

マツヨイグサ

マツヨイグサ(待宵草、学名:Oenothera stricta)は、アカバナ科マツヨイグサ属の一年草。

分布
原産地はチリやアルゼンチンといった南米で、嘉永年間(1848年?1853年)に日本にもたらされ、当初観賞用として植えられていたものが逸出し、昭和30年代に同属のオオマツヨイグサ O. erythrosepala とともに空き地などに大群落を形成した。しかし近年はこれも同属のメマツヨイグサ O. biennis に押され、姿を見る機会は減った。

生態
オオマツヨイグサ O. erythrosepala と似た環境に自生するので紛らわしいが、オオマツヨイグサに較べ丈が低く、葉が細いことから区別できる。

 

月見草 の例句


「古妻」ならで「経る妻」なるぞ月見草 中村草田男
「夜」を盗むたぐひか月見草摘みぬ 中村草田男
かの母子の子は寝つらんか月見草 中村草田男
こよひ咲かん晩翠草堂月見草 山口青邨
さゆらぎは開く力よ月見草 稲畑汀子
とびかかる焜炉の火の粉月見草 富安風生
とぶ虻に花粉の糸や月見草 高野素十
どの花も旦のあはれ月見草 飴山實 句集外
ひとを訪はずば自己なき男月見草 中村草田男
み仏の前に二輪や月見草 高野素十
わかものゝ口笛娯し月見草 日野草城
わが心海より昏し月見草 福田蓼汀 山火
アセチレン瓦斯の手入よ月見草 茅舎
ゴルフ場斜面 その月見草までは刈るな 伊丹三樹彦
デスマスク白きを拝す月見草 山口青邨
ポイントマン走り転轍月見草 山口青邨
モンペ脱ぎ夜の裳ゆるらか月見草 香西照雄 素心
一つ蛾に浜の月見草みなひらく 林翔 和紙
一面といふ月見草今は枯れ 深見けん二
下といふは吉田のことよ月見草 山口青邨
不知火の見ゆとふ岬の月見草 藤田湘子 神楽
乳牛と炭焼く人と月見草 金子兜太
人の世に月見草あり夜明あり 星野立子
人をらぬ時月見草蛾を誘ふ 山口青邨
今日の花やうやく動く月見草 高浜年尾
別棟へ一人寝にゆく月見草 松本たかし
刻と相関して月見草ひらく 上野泰
北斗露の如し咲きすむ月見草 渡邊水巴 白日
咲ききりし花の明るさ月見草 高浜年尾
咲ききりて動きやまずよ月見草 星野立子
城草のしげるがままに月見草 山口青邨
夜の燈も乏しき村や月見草 香西照雄 素心
夜の雷雨朝も降りつぐ月見草 水原秋櫻子 残鐘
夜振火に浮みいでたり月見草 日野草城
天地のあひびき長し月見草 三橋鷹女
天地の一興月見草ひらく 上野泰
女客あり月見草こよひ咲くか 山口青邨
女立つ時男立つ時月見草 山口青邨
宵待草ぱつちり闇に戦見つむ 香西照雄 対話
宵待草河原の果に落ちこむ日 鬼城
富士の霧圧倒し来る月見草 富安風生
工員は下駄履きが好き月見草 後藤比奈夫
床頭台暗し月見草が欲し 岸田稚魚 紅葉山
影絵劇一団下車す月見草 山口青邨
思ひ出のひとつふたつは月見草 加藤秋邨
明笛鳴り軍艦通る月見草 中村草田男
星流れつぎ月見草開きつぎ 上野泰
晩涼の月見草皆咲き終る 松本たかし
暁の雲ほぐれゆく月見草 清崎敏郎
月あらぬ空の澄みやう月見草 臼田亜浪 定本亜浪句集
月の穢に妙にも黄なる月見草 松本たかし
月出でぬ月見草咲き蛾とびかひ 星野立子
月明の蛾の跳梁や月見草 松本たかし
月見草 麦藁帽で誰か 来ぬか 伊丹三樹彦
月見草うち伏すままに丘の雨 水原秋櫻子 緑雲
月見草かく美しき宵ありき 星野立子
月見草かの家もかく咲きゐるか(たまたま庭前に簇生した純生種を来訪の諸友に分株) 飯田龍太
月見草ここで折れてはおしまひよ 飯島晴子
月見草だんだん昼となりゆく黄 山口青邨
月見草には宵といふ目覚あり 稲畑汀子
月見草に月尚さゝず松の下 杉田久女
月見草のつぼみのさきに花粉かな 高野素十
月見草はなれ~に夜明けたり 渡邊水巴 白日
月見草はらりと地球うらがへる 三橋鷹女
月見草は月の輪の渡しにもさいていよう福島につく 荻原井泉水
月見草ばかりを見よと利根の宿 山口青邨
月見草ぼうぼうとたくたなごころ 飯島晴子
月見草ゆれつつ宵を待つてをり 上野泰
月見草よべあまた咲きしことをいま 山口青邨
月見草ランプのごとし夜明け前 茅舎
月見草レールも歯止石も錆び 鷹羽狩行
月見草一刀あらば野を拓く 古舘曹人 能登の蛙
月見草初花一花凛々と 山口青邨
月見草別るるときを摘まれけり 大野林火 海門 昭和十年
月見草別れてのちの山霧は 臼田亜浪 旅人 抄
月見草咲きこぞりけり月一つ 松本たかし
月見草咲きそむあはれ雨の中 水原秋櫻子 浮葉抄
月見草咲くころ着けば人親し 山口青邨
月見草咲くと欅や夕炊ぎ 松本たかし
月見草咲くまでけふの女客 山口青邨
月見草咲くまで君をかへすまじ 山口青邨
月見草咲く野を供華の心もて 稲畑汀子
月見草四五歩離れて相言はず 大野林火 冬青集 海門以後
月見草墓前をかすめ日雨ふる 飯田蛇笏 霊芝
月見草夕月よりも濃くひらき 安住敦
月見草夜発ちの船のさみしさよ 汀女
月見草大輪能登の夜をありく 前田普羅 能登蒼し
月見草太陽は今沖にゆらぎ 高田風人子
月見草川上の雲雑然と 廣瀬直人 帰路
月見草己が朝影置きにけり 清崎敏郎
月見草旦の露のみどりなる 茅舎
月見草明日咲く蕾無くなれり 津田清子
月見草昼もしぼまず草深く 山口青邨
月見草月のけはひのありそむる 日野草城
月見草梅雨の川波かむりけり 水原秋櫻子 緑雲
月見草梟の森すぐそこに 茅舎
月見草水車の生める風に咲く 大野林火 雪華 昭和三十六年
月見草汀があれば波寄せて 清崎敏郎
月見草流亡のわが蹇(あしなへ)に 佐藤鬼房
月見草浄らかに咲き月濁る 松本たかし
月見草湾を距てて山灯る 中村草田男
月見草潮もかなひて舟出人 大野林火 月魄集 昭和五十六年
月見草煤煙朝の海に降る 水原秋櫻子 残鐘
月見草牛は四肢より暮れそめて 藤田湘子 途上
月見草白沙を神の御前まで 前田普羅 能登蒼し
月見草百姓泣きしを思ひ出づ 石田波郷
月見草目路に人思ふ夕端居 山口青邨
月見草砂地は風の吹くままに 桂信子 新緑
月見草空を捻りてひらきけり 上野泰
月見草群がり咲きて尚淋し 上野泰
月見草花ひらく辺に門火燃ゆ 松村蒼石 雁
月見草萎れし門に帰省せり 前田普羅 普羅句集
月見草蘂あり~と暮れにけり 茅舎
月見草蘂さや~と更けにけり 川端茅舎
月見草蛾の口づけて開くなる 松本たかし
月見草蜜吸ふ火蛾の来ることも 高浜年尾
月見草話しゐて人遠きかな 岡本眸
月見草買物籠の女子寮生 大野林火 雪華 昭和三十八年
月見草跼めば水の音消えし 橋閒石 雪
月見草踏切番にいとまあり 木村蕪城 一位
月見草開きしときの夕明り 高浜年尾
月見草開く刹那の蒼白に 山口青邨
月見草闇に溺るる仔犬あり 草間時彦 中年
月見草闇馴れたれば船見ゆる 橋本多佳子
月見草雲の夕焼が地を照らす 橋本多佳子
月見草頭をすゑてすれちがふ 飯島晴子
月見草飯綱山は裾長し 大野林火 冬雁 昭和二十一年
月見草鳴瀬は遠くなりにけり 山口青邨
月見草黄色の帯にまぎれぬる 山口青邨
来年は来れるかどうか月見草 高田風人子
橋の上のまだ夕焼けて月見草 大野林火 冬雁 昭和二十一年
母のこと待宵草に雨降れば 燕雀 星野麥丘人
気力薄き者等引きあげ月見草 中村草田男
水かけて二の腕洗ふ月見草 岡本眸
水泳着しぼりほそめぬ月見草 原石鼎 花影
汝と我の間の月見草ひらく 上野泰 春潮
汽車煙熱きがかかる月見草 鷹羽狩行
洗髪乾きて軽し月見草 松本たかし
浅間大影真ッ向に暮れつ月見草 村山故郷
涼風や湖をうづめて月見草 百合山羽公 春園
湖に沿ふ駅のホームの月見草 清崎敏郎
漂流記読む椅子暮れぬ月見草 福田蓼汀 山火
潜水の四肢を見下ろす 月見草 伊丹三樹彦
燈の障子月見草色妻和むか 香西照雄 素心
牛の群歩き出す意ぞ月見草 古舘曹人 砂の音
白露やうしろむきなる月見草 茅舎
砂をふむ音ばかりなり月見草 日野草城
砂洲が支ふ国引きの岬月見草 松崎鉄之介
破船埋もれ待宵草を点す闇 佐藤鬼房
磯墓に みちあるなしの 月見草 伊丹三樹彦
竹割つた気性高きに月見草 古舘曹人 能登の蛙
荒地待宵草 稀には女来る 伊丹三樹彦
落葉松の露に立ち濡れ月見草 松本たかし
西山は雲のごとくに月見草 山口青邨
覚えあり待宵草の大磧 佐藤鬼房
記憶ほど咲かぬ岳麓月見草 稲畑汀子
車窓左右月見草にて降り出せり 大野林火 潺潺集 昭和四十年
遠き灯の一つ二つや月見草 日野草城
遠くまで灯は及ぶもの月見草 波多野爽波 鋪道の花
金の靴もすでに暮色や月見草 山口青邨
陽炎や砂より萌ゆる月見草 水原秋櫻子 葛飾
離陸せり夜を待つ月見草そこに 汀女
雨粒のそれかあらぬか月見草 飴山實 次の花
風のむきかはりつゝあり月見草 清崎敏郎
風ふるゝさきしばかりの月見草 清崎敏郎
馬柵つづくかぎり空ある月見草 桂信子 草樹
鰹船あげて明るし月見草 三橋鷹女
鴉描いて足がふくれたよ月見草 永田耕衣
黄の上に緑の露や月見草 茅舎