野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

大きなドングリをつけるマテバシイが満開になっていた

2019年06月18日 08時11分41秒 | 

大きなドングリをつけるマテバシイが満開になっていた。ドングリやシイの仲間たちと同じような花を咲かせる。大きなドングリはそのままで食べられる。ぼくは焼いて食べたことがあるが、まずまずの味だった。この時期のドングリやクリの木の花の香りは、むせ返るように強い。見えなくても、すぐにその位置が分かるほどである。

マテバシイの名前は、日本刀の短刀の馬手差しから来ているらしい。少し縦長なの葉が刀に似ているというわけだが、ハテ?

(2019-06 川崎市 路傍)

 

 

マテバシイ

マテバシイ(馬刀葉椎、全手葉椎)は、ブナ科の常緑高木である。学名 Lithocarpus edulis(シノニム Pasania edulis)。
学名の種小名の edulis は英語の edible に相当するラテン語の形容詞で「食べられる」という意味である。 和名は葉がマテガイに似たシイノキであるという意味だが、植物分類上はマテバシイはマテバシイ属に属し、シイノキが属するシイ属とは同じブナ科でも別属に分類されるため、葉や幹などの外見は似ているものの系統上はシイノキの近縁の別属である。日本に自生するマテバシイ属の植物は、本種とシリブカガシの2種のみである。

形態・生態
別名 マテバガシ、マテガシ、マタジイ、サツマジイ、アオジイ、トウジイ。
分布 日本固有種で九州から南西諸島の温暖な沿岸地に自生し、本州の房総半島の南端、紀伊半島に分布している。
樹高 15m
幹  暗褐青灰色、滑らか、若枝は無毛。
葉  互生、楕円形で全縁。厚く平滑で、光沢がある。
花  5~6月頃、黄褐色の10cm程度の雌雄花穂を結ぶ。雄花は皿状の花被から長い12本の雄蕊が突き出る。雌花は三つに分かれた雌蕊がある。
果実 堅果(どんぐり)で長楕円形、2年かけて熟す。
用途 
樹木 街路樹、防風樹、防火樹
材  建築材・器具材・木炭・薪
果実 実はタンニンをあまり含まないため、アク抜きを必要とせず、そのまま炒って食用になる。粉状に粉砕してクッキーの生地に混ぜて「縄文時代のクッキー」として味わうこともできる。


奇妙な配置で花をつけるサイハイラン

2019年06月18日 06時04分20秒 | 

 

奇妙な配置で花をつけるサイハイランは、キンランなどと同じように、栄養を菌類からもらう「部分的菌従属栄養植物」らしい。そのため葉は一枚しかつけないらしい。キンランやサイハイランが移植が難しいのも、そのためである。なかなか賢い植物ではある。采配というのは時代劇でしかみたことがないが、次のようなものらしい。

グンバイナズナの名前のもとになった軍配は、相撲などでもみるが、サイハイランの花はたしかに采配を思わせる。

(2019-06 東京都 高尾山)


サイハイラン

サイハイラン(采配蘭、学名:Cremastra appendiculata var. variabilis)は、ラン科サイハイラン属の多年草。

特徴
偽球茎は卵形。偽球茎の頂部につく越冬性の葉は狭長楕円形で革質、長さ15-35cm、幅3-5cmで先端は尖る。ふつう1葉がつく。葉の基部は鞘状になって茎を抱く。

花茎は直立し、高さは30-50cmになる。花期は5-6月で、淡紫褐色の花を総状花序に10-20花を下向きにつける。萼片と側花弁は線状披針形で長さ3-3.5cm、幅4-5mm、唇弁は長さ3cmで紅紫色になる。

分布と生育環境
日本では南千島、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林床に自生する。アジアでは樺太南部、朝鮮南部、中国(本土および台湾)、ヒマラヤに分布する。

和名の由来は、花序の様子を戦場で指揮官が兵を指揮する采配に見立てたもの。

栽培
長期栽培や移植が難しい植物として知られる。採集・移植直後は偽鱗茎に蓄積された養分で順調に発育し、開花もする。しかし新しい偽鱗茎が肥大不良となり、多くの場合は数年で養分の蓄積が枯渇し衰弱枯死する。これは、サイハイランが生育に必要な養分を光合成以外に菌類からも得て生育する部分的菌従属栄養植物(Partial mycoheterotrophic plant)であるためと考えられる(参考:腐生植物>部分的菌従属栄養植物の項目を参照)。

近年、サイハイランの種子は担子菌門のナヨタケ科の菌種である、コキララタケCoprinellus domesticusにより発芽が促されることが、人工培養条件下で確認された。ナヨタケ科の菌種は、生育に必要な養分のすべてを菌根菌に依存するタシロランやイモネヤガラなどから菌根菌として検出されている。これらのラン科植物と菌根共生するナヨタケ科の菌種は、光合成することなく生育する菌従属栄養植物の生育を支えるだけの充分な養分供給能力を有している。さらに、タシロラン・サイハイランそれぞれから検出された菌根菌は分子系統解析の結果からも極めて近縁であることが明らかにされている。このような生態的特性から、サイハイランは緑色葉を有しつつ、菌従属栄養性を発達させる途上にある植物であると考えられる。

本種には「素心」(そしん:アントシアニン合成能力を欠く緑花個体=アオサイハイラン)や斑入り、「銀葉」と呼ばれる葉色変異など、数多くの変異個体が発見されており、栽培も試みられている。しかし、それらが栽培下で増殖に成功した事例は報告されていない。無菌播種はエビネ類に準じた培地・技法で可能だが、培養容器から出して開花株まで育成した報告は、研究・営利・趣味、いずれの分野においても確認できない。

園芸店などで販売品が見られるが、すべて野生採集個体であり、消費的に栽培されていると推定される。

保護
開発や園芸目的の採集で個体数は減少傾向にあり、埼玉県・千葉県で絶滅危惧II類、群馬・山梨・奈良・鹿児島各県で準絶滅危惧種に指定されている。栽培技術、移植技術ともに未確立であるため、現在のところ自生地保護以外に効果的な保護対策はない。