<鳥取駅「おこわ弁当」>
趣味三昧;駅弁回顧録:昭和57年鳥取駅「おこわ弁当」
2012年9月4日(火)
※駅弁回顧録のつづき
昭和57年6月19日
当時,オフィスオートメーションブームに沸いていた.それこそ“猫も杓子もOA”だった.
「OAって,一体何だ?」
私もまだ若手(でもないか?)の汎用コンピュータ関連の技術者だったが,OAの三種の神器であるパソコン,ワープロ,ファックスを使って,どんな新しいことができるか,どんなことがOAに相応しいかについて迷ったり悩んだりの毎日を送っていた.
そんなある日,鳥取のディーラー経由で,鳥取市の某所でOAの説明をしてくれという依頼があった.私は入手可能な欧米のOAの実態や日本での状況を拾い集めて,何とかそれらしい資料を作成して,この講演会に臨んだ.
詳しいことは忘れたが,夜行列車に乗って,朝,鳥取駅に到着した.そして駅前広場に出て驚いた.広場に面したビルの屋上から「オフィスオートメーション講演会講師○○○会社×××」と大きな字で書いた垂れ幕がぶら下がっている.
会場に入ると地元官公庁企業にお勤めの方が沢山参加されている.私は冷や汗をかきながら,それでも一生懸命にお話しをした.講演会は2時間余りで終了した.
このとき,東京と地方では,OAに限らず,さまざまな分野で大きな情報格差があることを実感した.
講演会が終わった後,窓口のディーラーさんとの仕事をセッセと済ませた.
翌日は休日でフリー.
私は,大急ぎで鳥取砂丘を一回りする.
この旅で,念願の鳥取駅の駅弁にありつく.
当時は,駅弁の包装紙にばかり気を取られていて,肝心の中身の写真は撮っていない.ま・・今のようにデジカメはなく,高価な写真フィルムを使っていたので,駅弁など撮影する気にならなかったんだろう.ただ,この駅弁,“おこわ”がくっついてひと塊になっていて少々食べづらかったことだけは覚えている.
この駅弁の包装紙をシゲシゲと眺めてみる.当時の合い言葉「いい日旅立ち」が印刷されている.発売元の元祖かに寿司(株)アベ鳥取堂の連絡先にテレックスの番号が印サスされているのが,今となっては懐かしい.
この包装紙に印刷されている鳥取城跡まで,駅前から散策してみた.
城趾は市街地を通り抜けた小高いところにあった.たまたま私が訪れたときには,公園風の城趾には人影がなく静まり返っていた.鳥取の落ち着いた雰囲気がとても気に入ってしまった.
私の記憶が正しければ,この頃.日航機の逆噴射事件があった.
あれから幾星霜.
今の私は遠の昔に現役を退いて,山旅三昧の日々を送っている.
鳥取を訪れていた当時の私には,現在,怠惰な生活をのんべんたらりと過ごしている私の姿は全く想像できなかった.
(つづく)
「閑話休題;駅弁回顧録」の前回の記事
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