<山麓に春が来た>
桜満開の丹沢:塔ノ岳(今年14回目)
(単独山行)
2010年4月14日(水)
■ご常連が一杯の1番バス
月日の過ぎ去るのは早いものである.ついこの間4月になったばかりだと思っている内に,もう中旬.あっという間に桜の見頃は終わってしまった.
この所,桜を追いかけて,鎌倉市内のあちこちをさまよい歩いたり,五十三次洛遊会の皆様と中山道を歩いたり,あるいは丹沢のミツバ岳に出掛けたりしている内に,すっかり塔ノ岳をご無沙汰してしまった.
雨の多いこの頃だが,今日は北海道や東北地方では台風並みの風雪が吹き荒れているらしいが,関東地方だけ,大分ましな天気になりそうである.しばらく山行をしていないと,山へ出掛けるのがだんだんと億劫になるが,意を決して塔ノ岳に出掛けることにする.
この頃,水彩画の方にも興味がわいているので,額縁や絵の具など画材を購入するのに,かなりの出費をしている.それをリカバリーするために,少しでも運賃が安い藤沢経由小田急回りで行こうかと迷うが,結局,早く登り下りしたいので,運賃は高いが東海道本線小田原経由で小田急線渋沢駅に向かう.
渋沢発大倉行1番バスの乗客は10名ほど.過半数がご常連である.韋駄天のTさん他韋駄天組,三角髭のTさん,カメラマンのMさん,名前は失念したがご常連の女性(仮にAさんとしておこう)など多士済々の顔ぶれである.
バスが大倉に到着すると,すぐにご常連の方々は登山を開始する.
ドングリ山荘の前のベンチで出発の準備をする.近くに居るカメラマンのMさんから,
「・・随分暫く振りですね・・・」
と声を掛けられる.そして直ぐにカメラマン氏も歩き始める.
■花一杯の山麓
ご常連の皆様より数分遅れて,私も7時05分に大倉から歩き出す.昨日に比べれば,今日はかなり寒いものの,数週間前に比較すれば随分と温かいし,気のせいか陽光も大分明るい.大倉の集落は正に花盛り.私より少し先に出発したカメラマンのMさんが今は盛りの草花を盛んにデジカメに収めている.私も真似をして,集落を彩る綺麗な草花の写真を何枚もカメラに収める.
幸いなことに,今日の登山道の状態はかなり良さそうである.この所,平地に近いところしか歩いていなかった私は,今日はとにかく慎重に歩こうと心に決める.
観音茶屋を通過すると,木々の間から朝日が差し込むトラバース道になる.この朝日が実に心地よい.私は,谷を挟んで三ノ塔につづく尾根を眺めながら,美味しい朝の空気を胸一杯に吸い込む.何とも言えない心地よさである.
「気持が良いな~ぁ・・・ラップタイムなど糞喰らえだ・・・」
私は悟ったようなことを心の中で叫ぶ.そして,心地よい朝の雰囲気を愛おしむようにして,ユックリと緩やかな登り坂を楽しむ.
7時42分,見晴茶屋を通過する.そして,このコース最初の急坂に差し掛かる.休日と違って全く人気がない.辺りは静まりかえっている.前後に人が居ないと,自ずと気分も穏やかになる.一本松付近まで登ると,どこからともなくキツツキが気を叩く「ドドドド,ドドドド,・・」という機関銃のような音が聞こえてくる.
道を挟んで一本杉の向かい側に小さな石積みがある.聞くところによると,地元の某バス会社の運転手が登山途中,ここで急死した.その運転手を偲んで積み上げた石積みだという.石積みの脇に生えている桜が満開になっている.また,ここで立ち止まって,何枚かの写真を撮る.
■富士山の眺望が素晴らしい
のんびりと歩いているせいか,久々の登山にもかかわらず,今のところ,全く疲労感がない.そのまま,何となく惰性で歩き続ける.やがて急坂をユックリ登って,8時10分に駒止茶屋を通過する.登山を開始してから,駒止茶屋までの所要時間は1時間05分.途中で写真を撮ったり,のんびり歩いたりの気まま歩きにしては,意外に好タイムである.
「なぁ~んだ,今日の体調は,案外,良さそうだな・・」
私は,体調の微妙さを再認識させられる.
やがて,堀山の尾根に差し掛かる.この辺りには沢山の桜の木が生えている.今が満開.植物のことは全く分からないが,豆桜というのだろうか,小ぶりな花が枝全体にビッシリと咲いている.実に可愛い.上空にはうっすらと薄い雲が沸いているが,富士山がとても良く見えている.私はここで立ち止まって富士山や桜の写真を撮りまくる.
12時08分,山道を駆け下りてくるご常連のYさんとすれ違う.Yさんは2本ストックを飛行機の羽根のように両側に開いて持ったまま,
「おはよう・・」
と挨拶を交わしながら,猛スピードで駆け下りていく.気のせいかドプラー効果があったような声である.
<新緑が眩しい山麓>
<堀山の桜は満開>
<堀山の富士>
■露岩帯を登る
8時27分,堀山の家を通過する.私の前後には誰も居ないので,自分のペースを乱されることもなく登り続ける.岩稜帯を登り続けていると,上の方から,かすかに人声が聞こえてくる.私との距離がだんだんと近付く.女性2人と男性1人である.
「追い越すのもまずいな・・」
と思いながらも,マイペースで登り続ける.
近付くと,先頭を行く女性の後ろ姿に見覚えがある.何時も凄い速さで登られるAさんである.私はAさんに挨拶する.
「・・あれ,今日は.今日は随分ユックリですね・・・」
「今日は妹夫婦と一緒なんです・・」
とAさんから妹夫婦を紹介される.ご夫婦が,
「・・尊仏山荘で時々お見かけしますね・・」
と言う.言われてみると,このご夫婦に何回かお会いしたことがあるようだ.
「・・・今日は2時間30分程度を目安にして登るつもりです.先に行かせて貰います・・」
「2時間半ですか.随分速いですね・・」
「とんでもない!・・ご常連は2時間位ですよ・・」
「あの人達は特別ですよ・・」
私は心の中で思わず苦笑する.平素から「他人とは競争しない」と言っているくせに,ついつい韋駄天組と比較している自分が情けなくなる.
■萱場平
8時45分,萱場平を通過する.萱場平入口で定点観測の写真を写す.立派な木道が完成してから,この辺りの情景は一変した.ベンチで休憩を取っている方が居られる.軽く会釈をして通過する.
■花立山荘
今日は“あと7分坂”を6分で登って,9時05分に花立山荘に到着する.大倉を歩き始めてから丁度2時間経過している.2時間は切れなかったものの,ユックリ歩いても,案外,所要時間には大差がないなというのが率直な感想である.
花立山荘からも富士山が良く見えている.誰も居ない山荘前のベンチを前景にして富士山の写真を数枚撮る.
花立山荘を通過して,階段道を過ぎる頃,同じバスの乗っていた韋駄天組のお一人が下山してくる.
「相変わらずお速いですね・・・」
「いえ,いえ,それほどでも・・・今日は小田原経由ですか・・?」
「はい,1番バスに乗りたいので,小田原経由で来ました・・」
■富士山と南アルプス
9時14分,花立場(花立山)に到着する.相変わらず富士山が良く見えている.多少春霞が掛かっているものの,この時期には珍しく,南アルプスや八ヶ岳連峰も良く見えている.ここでも,また,写真である.
■塔ノ岳山頂
花立山荘を通過する頃から,急に寒くなる.今まで捲り上げていた長袖を延ばすが,それでも寒い.
9時20分,金冷シを通過する.最初の長い階段道を登り終えて木道を過ぎる.前方から韋駄天のTさんが降りてくる.
「今日はとても登りやすい陽気でしたね・・」
とTさんが言う.
やがて最後の階段に差し掛かる.今度は三角髭のTさんが降りてくる.
「やあ・・ご苦労さん・・」
とTさんは私に明るく挨拶して下山していく.
9時33分,塔ノ岳山頂に到着する.山頂には誰も居ない.大倉からの所要時間は2時間28分.ユックリ歩いたつもりでも,所要時間には大差がないことを再認識する.
いつの間にか辺り一面が曇り空になっている.先ほどまで見えていた富士山も雲の中である.山頂を冷たい風が吹き抜けている.とにかく寒い.大急ぎで儀式としての写真を数枚撮って,尊仏山荘に飛び込む.
<今日の塔ノ岳山頂>
※気温はそれほど低くないが,冷たい風が吹いている.
■尊仏山荘
山荘の先客は夫婦連れ1組.ご常連のようである.今日の小屋番はオーナーのHさん.私は早々と営業部長のミー君との面会を諦める.山頂の気温はプラス4.2℃.体感温度に比較して案外温かい.早速,300円也のお茶を所望する.
山荘の入口近くにミー君が頭を下げている写真が貼ってある.写真に「いらっしゃいませ」と書いてある.誰かが写真を撮って山荘にプレゼントしたのだろうか.なかなか良くとれている.
今日はミー君とは会えないが,元気だろうかと気になるが,何となくミー君以外の話題で雑談が始まる.
夫婦連れの方が,尊仏山荘のコーヒーがとても美味しいと言っている.
「・・有名な○○山荘のコーヒーを注文したらインスタントコーヒーでした.ガッカリしましたよ・・」
と,あちこちの山小屋を引き合いに出して,盛んに蘊蓄(うんちく)を語る.これらの山荘の中には,私もコーヒーを賞味したことのあるところが多かったが,話題に入ることは差し控える.
そうこうしている内に,Aさんが山荘に到着する.
「あれ・・お連れの方々は?」
「途中で置いてきました・・」
するとオーナーのHさんが,
「・・じゃあ,途中で下山じゃないですか・・」
と茶々を入れる.
「いえ・・多分,ユックリでも山頂まで登ると思いますよ・・」
■顔見知りとすれ違いながら下山
そろそろ引き上げる頃合いだなと感じる.そして,9時55分に尊仏山荘を出発,下山を開始する.寒い山頂で,1人の女性が休憩を取っている.良くこんな寒いところで休めるなと感心する.
安全を考えて,下りではストックを使用することにする.山頂直下の急階段を下っているときに,カメラマンのMさんとすれ違う.
暫く歩いて,金冷シに近くで,ご常連のローギヤー氏とすれ違う.
花立山荘を過ぎて露岩帯を降りているときに,数名の男性の集団とすれ違う.その中に山旅スクール7(?)期のHさんが居る.Hさんはミロクのメンバーでもある.
「こんにちは,今日はミロクですか?」
「やあ,こんにちは.今日はミロクの定例会です.15キロです」
と手短に挨拶してすれ違う.先日も15キロのリュックを背負って登っているHさんと会ったばかりである.
すれ違った後で,
「あの方何方ですか・・?」
「山の学校で一緒だった方です・・」
と話し合っているのが聞こえてくる.
その後も,ミロクの方々が,随分,沢山,登ってくるのとすれ違う.結構な年配者が頑張っているなという印象を受ける.
「・・・俺もミロクへ入ろうかな・・」
と心の中で思い始める.何にでも首を突っ込みたくなる悪い癖である.
12時04分,大倉に到着する.
下界は初夏を思わせるほど,ホカホカ陽気である.この時期,山頂と下界との温度差がとても大きく感じる.山へ行くには,まだ,まだ,冬の装備が必要だなと実感する.
<ラップタイム>
7:05 大倉歩き出し
7:20 観音茶屋
7:42 見晴茶屋
8:10 駒止茶屋
8:27 堀山の家
9:05 花立山荘
9:20 金冷シ
9:33 塔ノ岳山頂 着
=========================================
9:55 塔ノ岳山頂 発(4.1℃)
10:07 金冷シ
10:18 花立山荘
10:52 堀山の家
11:09 駒止茶屋
11:33 見晴茶屋
11:46 観音茶屋
12:04 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 9:33
(所要時間) 2時間28分(2.47h)
登攀速度 1269m/2.47h=513.8m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 9:55
大倉 着 12:04
(所要時間) 2時間09分(2.15h)
下降速度 1269m/2.15h=590.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/24f84ee6ab51f700c950fd1cbce5652e
「塔ノ岳」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/428fdd57922010152df9ca79cbc98946
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/19039ce0e2e0ce27dacfe914fcd3c137
桜満開の丹沢:塔ノ岳(今年14回目)
(単独山行)
2010年4月14日(水)
■ご常連が一杯の1番バス
月日の過ぎ去るのは早いものである.ついこの間4月になったばかりだと思っている内に,もう中旬.あっという間に桜の見頃は終わってしまった.
この所,桜を追いかけて,鎌倉市内のあちこちをさまよい歩いたり,五十三次洛遊会の皆様と中山道を歩いたり,あるいは丹沢のミツバ岳に出掛けたりしている内に,すっかり塔ノ岳をご無沙汰してしまった.
雨の多いこの頃だが,今日は北海道や東北地方では台風並みの風雪が吹き荒れているらしいが,関東地方だけ,大分ましな天気になりそうである.しばらく山行をしていないと,山へ出掛けるのがだんだんと億劫になるが,意を決して塔ノ岳に出掛けることにする.
この頃,水彩画の方にも興味がわいているので,額縁や絵の具など画材を購入するのに,かなりの出費をしている.それをリカバリーするために,少しでも運賃が安い藤沢経由小田急回りで行こうかと迷うが,結局,早く登り下りしたいので,運賃は高いが東海道本線小田原経由で小田急線渋沢駅に向かう.
渋沢発大倉行1番バスの乗客は10名ほど.過半数がご常連である.韋駄天のTさん他韋駄天組,三角髭のTさん,カメラマンのMさん,名前は失念したがご常連の女性(仮にAさんとしておこう)など多士済々の顔ぶれである.
バスが大倉に到着すると,すぐにご常連の方々は登山を開始する.
ドングリ山荘の前のベンチで出発の準備をする.近くに居るカメラマンのMさんから,
「・・随分暫く振りですね・・・」
と声を掛けられる.そして直ぐにカメラマン氏も歩き始める.
■花一杯の山麓
ご常連の皆様より数分遅れて,私も7時05分に大倉から歩き出す.昨日に比べれば,今日はかなり寒いものの,数週間前に比較すれば随分と温かいし,気のせいか陽光も大分明るい.大倉の集落は正に花盛り.私より少し先に出発したカメラマンのMさんが今は盛りの草花を盛んにデジカメに収めている.私も真似をして,集落を彩る綺麗な草花の写真を何枚もカメラに収める.
幸いなことに,今日の登山道の状態はかなり良さそうである.この所,平地に近いところしか歩いていなかった私は,今日はとにかく慎重に歩こうと心に決める.
観音茶屋を通過すると,木々の間から朝日が差し込むトラバース道になる.この朝日が実に心地よい.私は,谷を挟んで三ノ塔につづく尾根を眺めながら,美味しい朝の空気を胸一杯に吸い込む.何とも言えない心地よさである.
「気持が良いな~ぁ・・・ラップタイムなど糞喰らえだ・・・」
私は悟ったようなことを心の中で叫ぶ.そして,心地よい朝の雰囲気を愛おしむようにして,ユックリと緩やかな登り坂を楽しむ.
7時42分,見晴茶屋を通過する.そして,このコース最初の急坂に差し掛かる.休日と違って全く人気がない.辺りは静まりかえっている.前後に人が居ないと,自ずと気分も穏やかになる.一本松付近まで登ると,どこからともなくキツツキが気を叩く「ドドドド,ドドドド,・・」という機関銃のような音が聞こえてくる.
道を挟んで一本杉の向かい側に小さな石積みがある.聞くところによると,地元の某バス会社の運転手が登山途中,ここで急死した.その運転手を偲んで積み上げた石積みだという.石積みの脇に生えている桜が満開になっている.また,ここで立ち止まって,何枚かの写真を撮る.
■富士山の眺望が素晴らしい
のんびりと歩いているせいか,久々の登山にもかかわらず,今のところ,全く疲労感がない.そのまま,何となく惰性で歩き続ける.やがて急坂をユックリ登って,8時10分に駒止茶屋を通過する.登山を開始してから,駒止茶屋までの所要時間は1時間05分.途中で写真を撮ったり,のんびり歩いたりの気まま歩きにしては,意外に好タイムである.
「なぁ~んだ,今日の体調は,案外,良さそうだな・・」
私は,体調の微妙さを再認識させられる.
やがて,堀山の尾根に差し掛かる.この辺りには沢山の桜の木が生えている.今が満開.植物のことは全く分からないが,豆桜というのだろうか,小ぶりな花が枝全体にビッシリと咲いている.実に可愛い.上空にはうっすらと薄い雲が沸いているが,富士山がとても良く見えている.私はここで立ち止まって富士山や桜の写真を撮りまくる.
12時08分,山道を駆け下りてくるご常連のYさんとすれ違う.Yさんは2本ストックを飛行機の羽根のように両側に開いて持ったまま,
「おはよう・・」
と挨拶を交わしながら,猛スピードで駆け下りていく.気のせいかドプラー効果があったような声である.
<新緑が眩しい山麓>
<堀山の桜は満開>
<堀山の富士>
■露岩帯を登る
8時27分,堀山の家を通過する.私の前後には誰も居ないので,自分のペースを乱されることもなく登り続ける.岩稜帯を登り続けていると,上の方から,かすかに人声が聞こえてくる.私との距離がだんだんと近付く.女性2人と男性1人である.
「追い越すのもまずいな・・」
と思いながらも,マイペースで登り続ける.
近付くと,先頭を行く女性の後ろ姿に見覚えがある.何時も凄い速さで登られるAさんである.私はAさんに挨拶する.
「・・あれ,今日は.今日は随分ユックリですね・・・」
「今日は妹夫婦と一緒なんです・・」
とAさんから妹夫婦を紹介される.ご夫婦が,
「・・尊仏山荘で時々お見かけしますね・・」
と言う.言われてみると,このご夫婦に何回かお会いしたことがあるようだ.
「・・・今日は2時間30分程度を目安にして登るつもりです.先に行かせて貰います・・」
「2時間半ですか.随分速いですね・・」
「とんでもない!・・ご常連は2時間位ですよ・・」
「あの人達は特別ですよ・・」
私は心の中で思わず苦笑する.平素から「他人とは競争しない」と言っているくせに,ついつい韋駄天組と比較している自分が情けなくなる.
■萱場平
8時45分,萱場平を通過する.萱場平入口で定点観測の写真を写す.立派な木道が完成してから,この辺りの情景は一変した.ベンチで休憩を取っている方が居られる.軽く会釈をして通過する.
■花立山荘
今日は“あと7分坂”を6分で登って,9時05分に花立山荘に到着する.大倉を歩き始めてから丁度2時間経過している.2時間は切れなかったものの,ユックリ歩いても,案外,所要時間には大差がないなというのが率直な感想である.
花立山荘からも富士山が良く見えている.誰も居ない山荘前のベンチを前景にして富士山の写真を数枚撮る.
花立山荘を通過して,階段道を過ぎる頃,同じバスの乗っていた韋駄天組のお一人が下山してくる.
「相変わらずお速いですね・・・」
「いえ,いえ,それほどでも・・・今日は小田原経由ですか・・?」
「はい,1番バスに乗りたいので,小田原経由で来ました・・」
■富士山と南アルプス
9時14分,花立場(花立山)に到着する.相変わらず富士山が良く見えている.多少春霞が掛かっているものの,この時期には珍しく,南アルプスや八ヶ岳連峰も良く見えている.ここでも,また,写真である.
■塔ノ岳山頂
花立山荘を通過する頃から,急に寒くなる.今まで捲り上げていた長袖を延ばすが,それでも寒い.
9時20分,金冷シを通過する.最初の長い階段道を登り終えて木道を過ぎる.前方から韋駄天のTさんが降りてくる.
「今日はとても登りやすい陽気でしたね・・」
とTさんが言う.
やがて最後の階段に差し掛かる.今度は三角髭のTさんが降りてくる.
「やあ・・ご苦労さん・・」
とTさんは私に明るく挨拶して下山していく.
9時33分,塔ノ岳山頂に到着する.山頂には誰も居ない.大倉からの所要時間は2時間28分.ユックリ歩いたつもりでも,所要時間には大差がないことを再認識する.
いつの間にか辺り一面が曇り空になっている.先ほどまで見えていた富士山も雲の中である.山頂を冷たい風が吹き抜けている.とにかく寒い.大急ぎで儀式としての写真を数枚撮って,尊仏山荘に飛び込む.
<今日の塔ノ岳山頂>
※気温はそれほど低くないが,冷たい風が吹いている.
■尊仏山荘
山荘の先客は夫婦連れ1組.ご常連のようである.今日の小屋番はオーナーのHさん.私は早々と営業部長のミー君との面会を諦める.山頂の気温はプラス4.2℃.体感温度に比較して案外温かい.早速,300円也のお茶を所望する.
山荘の入口近くにミー君が頭を下げている写真が貼ってある.写真に「いらっしゃいませ」と書いてある.誰かが写真を撮って山荘にプレゼントしたのだろうか.なかなか良くとれている.
今日はミー君とは会えないが,元気だろうかと気になるが,何となくミー君以外の話題で雑談が始まる.
夫婦連れの方が,尊仏山荘のコーヒーがとても美味しいと言っている.
「・・有名な○○山荘のコーヒーを注文したらインスタントコーヒーでした.ガッカリしましたよ・・」
と,あちこちの山小屋を引き合いに出して,盛んに蘊蓄(うんちく)を語る.これらの山荘の中には,私もコーヒーを賞味したことのあるところが多かったが,話題に入ることは差し控える.
そうこうしている内に,Aさんが山荘に到着する.
「あれ・・お連れの方々は?」
「途中で置いてきました・・」
するとオーナーのHさんが,
「・・じゃあ,途中で下山じゃないですか・・」
と茶々を入れる.
「いえ・・多分,ユックリでも山頂まで登ると思いますよ・・」
■顔見知りとすれ違いながら下山
そろそろ引き上げる頃合いだなと感じる.そして,9時55分に尊仏山荘を出発,下山を開始する.寒い山頂で,1人の女性が休憩を取っている.良くこんな寒いところで休めるなと感心する.
安全を考えて,下りではストックを使用することにする.山頂直下の急階段を下っているときに,カメラマンのMさんとすれ違う.
暫く歩いて,金冷シに近くで,ご常連のローギヤー氏とすれ違う.
花立山荘を過ぎて露岩帯を降りているときに,数名の男性の集団とすれ違う.その中に山旅スクール7(?)期のHさんが居る.Hさんはミロクのメンバーでもある.
「こんにちは,今日はミロクですか?」
「やあ,こんにちは.今日はミロクの定例会です.15キロです」
と手短に挨拶してすれ違う.先日も15キロのリュックを背負って登っているHさんと会ったばかりである.
すれ違った後で,
「あの方何方ですか・・?」
「山の学校で一緒だった方です・・」
と話し合っているのが聞こえてくる.
その後も,ミロクの方々が,随分,沢山,登ってくるのとすれ違う.結構な年配者が頑張っているなという印象を受ける.
「・・・俺もミロクへ入ろうかな・・」
と心の中で思い始める.何にでも首を突っ込みたくなる悪い癖である.
12時04分,大倉に到着する.
下界は初夏を思わせるほど,ホカホカ陽気である.この時期,山頂と下界との温度差がとても大きく感じる.山へ行くには,まだ,まだ,冬の装備が必要だなと実感する.
<ラップタイム>
7:05 大倉歩き出し
7:20 観音茶屋
7:42 見晴茶屋
8:10 駒止茶屋
8:27 堀山の家
9:05 花立山荘
9:20 金冷シ
9:33 塔ノ岳山頂 着
=========================================
9:55 塔ノ岳山頂 発(4.1℃)
10:07 金冷シ
10:18 花立山荘
10:52 堀山の家
11:09 駒止茶屋
11:33 見晴茶屋
11:46 観音茶屋
12:04 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 9:33
(所要時間) 2時間28分(2.47h)
登攀速度 1269m/2.47h=513.8m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 9:55
大倉 着 12:04
(所要時間) 2時間09分(2.15h)
下降速度 1269m/2.15h=590.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/24f84ee6ab51f700c950fd1cbce5652e
「塔ノ岳」の前回の記事
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「丹沢の山旅」の次回の記事
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コメント,ありがとうございました.
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