<登山道にて>
曇,青空,驟雨の丹沢:塔ノ岳(今年30回目)
(単独山行)
2009年7月7日(火)
■やっと塔ノ岳へ行けるぞ!
この所,梅雨らしい毎日が続いている.そんな中で,今日の天気予報は,曇で少し晴れ間があるかもしれないというご託宣である.この時期の天気予報は当たり外れが多いので,あまり信用できないが,兎に角,丹沢に出掛けることにした.途中に野暮用があったり,他の山へ行ったりはしていたが,塔ノ岳を登るのは,6月25日以来のことである.もう10日以上も間が空いている.多分,大分体力が落ちていて,そう簡単には登れないのではないかと不安になる.
東海道本線で小田原駅に6時21分に到着する.超駆け足で階段を上り下りして,小田原6時23分発新宿駅電車に乗り換える.
■渋沢発1番バス
渋沢発大倉行の1番バスは,梅雨の合間を狙った登山客で,この時期にしては結構混雑している.ざっと車内を見回すと,韋駄天のTさん,三角髭のTさん,もうすぐ登頂回数2000回のMさん,カメラマンのMさんなど,多士済々である.
私の前に席に座っている三角髭のTさんに,
「今日は三ノ塔ですか?」
と伺ってみる.
「いえ,三ノ塔は昨日(7月6日),登ったんで,今日は塔ノ岳を往復します・・」
「昨日登られたんですか? すごい雨ではなかったですか?」
「いやぁ~・・凄かったです.靴の中までビショビショになっちゃいましたよ・・」
さすがにご常連は凄い.実は,昨日,私も塔ノ岳に登ろうかと思ったが,天気予報があまり良くなかったので,登山を中止した.ところが,ご常連の皆様は,あの雨の中を登っていたようである.ご常連の皆様の,平素からの登山への気の入れ方が,私とは大違いのようである.だから,皆さんは2時間前後で,大倉尾根を登ることができるんだなと納得する.
■久々の山行なので慎重に
バスは,6時58分に大倉に到着する.ご常連の皆様はすぐに登山を開始する.私は,ストレッチをしたり,何となくモタモタしている内に,何となく出遅れて,7時05分に歩き出す.
私の前方には,同じバスに乗車していた登山者の皆様が列になって登っている.足許は連日の雨でビショビショに濡れている.気温は27℃と高めである.湿度が高く,湿った空気が身体にまとわりつく.久々の塔ノ岳なので,自分の体調に十分気をつけながら,体力を消耗しないように,最初は意図的にゆっくりしたペースで登り続ける.
■駒止茶屋まで1時間06分
7時25分,観音茶屋を通過する.やがて,前方数名の登山者の先に前方に先発したカメラマンMさんの後ろ姿が見え出す.私は,
「勾配がなだらかな所は,先に行かせて貰います・・・」
とお断りして,Mさんの前に出る.
今日も蒸し暑い.7時42分の見晴茶屋の気温は,手許の寒暖計では23℃もある.ただ,歩き始めを自重して歩いていたので,体調は万全ではないもの,ここまで,全く汗はかかずに,疲労感もない.そのために,見晴茶屋から一本松までの急坂は,途中で2人の登山者を追い抜きながら,意外なほど楽に登りきる.
喘ぎながら汗ビッショリの女性に,
「すみません」
と声を掛けてから,追い抜かせて貰う.
「どうぞ,急ぎすぎて,熱射病にならないように・・・」
と,ちょっとトゲのあるお言葉が返ってくる.
「汗もかかずに,リラックスして,登っているのに,何で熱射病なの」
私は,頭の中だけで反発する.
8時11分に駒止茶屋を通過する.登り始めてから,駒止茶屋までの所要時間は1時間06分.1時間を6分も超過しているが,今日の疲労度から見て,何とか2時間30分台で山頂まで行けそうである.
<久々の青空だが富士山は雲の中>
■ウグイスの啼き声
堀山の尾根に差し掛かる.木の枝の間からこぼれ日が射し込んでくる.久々の太陽である.木陰が斑模様に写っている道を,晴れやかな気分になって歩く.やがて,富士山が良く見える場所に到着する.今日も富士山はモクモクと立ち上る雲に覆われていて,姿は全く見えない.廻りの林の中からウグイスの啼き声が絶えず聞こえてくる.
8時11分,堀山ノ家を通過する.この辺りには人影が全くない.
私はそのまま岩礫混じりの急坂を登り始める.堀山ノ家から5分ほど急坂を登っていると,前方で1人の老人が座り込んでいる.近付くと,驚いたことに,2000回登頂間近のMさんである.額に汗ビッショリのまま休憩を取っているようである.私は,少々気が引けるが,
「すみません・・・ちょっと,先へ行かせて貰います・・・」
と挨拶して先へ進む.
■萱場平
8時46分,萱場平を通過する.雨が降り続いたのに,路面はそれ程ぬかるんでいない.私は定点観測用の写真を撮って先へ進む.今日は出だしをユックリと歩いたためか,まだ,体力に十分余裕がある.私は自分が最も楽に歩ける速度に保ちながら登り続ける.
■いろいろな方々とすれ違う
やがて,もう少しで花立山荘前の長い階段に差し掛かるころ,下ってくる老夫婦とすれ違う.登山に馴れていないらしくて.傍らの岩にしがみつきながら,見るからに危なっかしい仕草で,ソロリソロリと下ってくる.
9時04分に花立山荘を通過する.堀山ノ家から花立山荘までの所要時間は37分.登山にブランクのあった私には,マアマアの速度である.
9時14分,花立場を通過する.ここで何時も富士山の写真を撮るのだが,今日は四方を霧に覆われていて,眺望は全くない.それでも,富士山はこの辺りに見えるはずと考えながら,霧ばかりの写真を数枚撮る.そうこうしている内に,ショートパンツで背が高い男性に,スッと追い抜かれる.この男性には,これまで数回追い抜かれている.
馬の背で下山してくる2人の男性とすれ違う.
「・・・山頂は,もうすぐそこですよ・・頑張って下さい」
と片方の男性が私を励ましてくれる.
■濃い霧に覆われた塔ノ岳山頂
9時19分,金冷シを通過する.辺りは濃い霧に覆われている.霧の中はとても涼しくて気持がよい.濃い霧の中,前方から2人の男性が降りてくる.韋駄天のTさん達である.
「今日は涼しい風が吹いていて,気持ちが良いですね・・・」
とTさんが言う.
金冷シから最初の長い階段を登りきった所で,下山してくる三角髭のTさんとすれ違う.
これらの方々は,同じバスに乗っていたご常連である.さすがに健脚揃いである.
9時33分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間28分.ほぼ予想通りである.山頂は,直ぐ近くにある尊仏山荘も隠れてしまうほどの濃い霧に覆われている.私は習性で霧ばかりの風景を写真に収める.案の定,霧ばかりで何も写っていない.
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.あまり見掛けない先客が1人居る.今日の小屋番はオーナーのHさん.営業部長が,外に出たいようで,私が入口の扉を開けるのを待っている.
「営業部長さんよ・・そう急がなくても良いでしょう.写真を撮らせてください」
とネコを慰める.
9時30分現在の山頂の気温は+16.5℃.涼しくて気持がよい.
300円也のお茶を飲みながら,Hさんと雑談をする.Hさんが私に質問する.
「この間,土曜日だったかな? 例の看護士さんが来られましたよ・・・あの方,お名前,なんて言うんですか」
「ああ,あの看護士さん.有名の女流登山家と同じ名前ですよ.『野詩歌さん』です.賑やかなトドさんや私と同じに山旅スクール5期の同窓生ですよ・・・」
「そうでしたか.なかなか健脚のようですね」
「健脚ですよ! 標高3000メートル位までなら,私も彼女に負けないつもりですが,4000メートル越えたら,断然,野詩歌さんの方が強いですよ・・」
私が到着してから,10分ほど後にカメラマンのMさんが到着する.それから5分ほどして若い新顔の男性が山荘に入ってくる.お互いに雑談が始まる.
Hさんが,
「夫婦連れに会いませんでしたか?」
と私に聞く.私は花立山荘の手前で会ったと答える.
「あの方々,昨日,8時頃,ヤビツを歩き出して,5時半頃に山荘に到着しましたよ・・9時間も掛けて.努力家ですよ」
「ええ~っ! 昨日は大雨でしょう.あんな雨の中,あの岩場を降りたんですか!」
「そうでしょう.大変だったようですよ・・」
私は危なっかしそうに下山していた姿を思い出しながら「無謀すぎるな,良く無事だったな」と驚く.
10時過ぎに2番バスのご常連の女性Xさんが到着する.私の顔を見るなり,
「あれ,2番バスに乗って居られたんですか・・?」
とビックリする.
「いえ,今日は1番バスで来ました・・」
その後,昨年,私がペルーに行ったことや,今年,ツブカル山に登ったことなどが話題になる.
彼女は,岩稜歩行が大好きで,この夏はジャンダルムや八峰キレットへ行きたいそうである.私は高所恐怖症.一昨年,八峰キレットへ行ったが,あんな所へは二度と行きたくない.
その後,南アルプスの蝙蝠岳,千枚小屋の火事のことなどが話題になる.
10時25分頃,突然大粒の雨が,音を立てて降り出す.私がいくら物好きでも,雨の中を下山する気にはなれない.暫く,雨足の様子を見ることにする.
<外へ出たい営業部長>
■雨と晴れが同居する下山道
10時33分,雨足が大分弱くなる.私は雨具の上だけを着て,尊仏山荘を出発,下山を開始する.
沢山の登山客とすれ違いながら,転倒しないように慎重に下山し続ける.山頂付近の霧はますます濃くなる.ところが花立山荘を過ぎると,霧が晴れ渡って,薄日が射すようになる.さらに下ると,雲は多いものの晴れてくる.
12時10分,雑事場ノ平を通過する.前方に夫婦連れがしゃがみ込んでいるのが見える.登る途中,花立山荘手前ですれ違った夫婦である.昨日のヤビツからの苦戦が響いているのか,今日も大変なようである.
「また,お会いしましたね・・・お気を付けて」
と挨拶して,先に行かせて貰う.
<馬の背付近は花盛り>
[ラップタイム]
7:05 大倉歩き出し
7:25 観音茶屋
7:42 見晴茶屋
8:11 駒止茶屋
8:27 堀山ノ家
9:04 花立山荘
9:19 金冷シ
9:33 塔ノ岳山頂 着
=====================================
10:32 塔ノ岳山頂 発(+16.5℃)
10:43 金冷シ
10:53 花立山荘
11:26 堀山ノ家
11:43 駒止茶屋
12:08 見晴山荘
12:21 観音茶屋
12:39 大倉
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1201m
■登攀所要時間
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 9:33
(所要時間) 2時間28分(2.47h)
登攀速度 1201m/2.47h=486.2m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:32
大倉 着 12:39
(所要時間) 2時間07分(2.12h)
下降速度 1201m/2.12h=566.5m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f926a9e6b6a147a5146a4d01ddb2a8f4
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5c5858b492615f49011313d4ac2b0db2
曇,青空,驟雨の丹沢:塔ノ岳(今年30回目)
(単独山行)
2009年7月7日(火)
■やっと塔ノ岳へ行けるぞ!
この所,梅雨らしい毎日が続いている.そんな中で,今日の天気予報は,曇で少し晴れ間があるかもしれないというご託宣である.この時期の天気予報は当たり外れが多いので,あまり信用できないが,兎に角,丹沢に出掛けることにした.途中に野暮用があったり,他の山へ行ったりはしていたが,塔ノ岳を登るのは,6月25日以来のことである.もう10日以上も間が空いている.多分,大分体力が落ちていて,そう簡単には登れないのではないかと不安になる.
東海道本線で小田原駅に6時21分に到着する.超駆け足で階段を上り下りして,小田原6時23分発新宿駅電車に乗り換える.
■渋沢発1番バス
渋沢発大倉行の1番バスは,梅雨の合間を狙った登山客で,この時期にしては結構混雑している.ざっと車内を見回すと,韋駄天のTさん,三角髭のTさん,もうすぐ登頂回数2000回のMさん,カメラマンのMさんなど,多士済々である.
私の前に席に座っている三角髭のTさんに,
「今日は三ノ塔ですか?」
と伺ってみる.
「いえ,三ノ塔は昨日(7月6日),登ったんで,今日は塔ノ岳を往復します・・」
「昨日登られたんですか? すごい雨ではなかったですか?」
「いやぁ~・・凄かったです.靴の中までビショビショになっちゃいましたよ・・」
さすがにご常連は凄い.実は,昨日,私も塔ノ岳に登ろうかと思ったが,天気予報があまり良くなかったので,登山を中止した.ところが,ご常連の皆様は,あの雨の中を登っていたようである.ご常連の皆様の,平素からの登山への気の入れ方が,私とは大違いのようである.だから,皆さんは2時間前後で,大倉尾根を登ることができるんだなと納得する.
■久々の山行なので慎重に
バスは,6時58分に大倉に到着する.ご常連の皆様はすぐに登山を開始する.私は,ストレッチをしたり,何となくモタモタしている内に,何となく出遅れて,7時05分に歩き出す.
私の前方には,同じバスに乗車していた登山者の皆様が列になって登っている.足許は連日の雨でビショビショに濡れている.気温は27℃と高めである.湿度が高く,湿った空気が身体にまとわりつく.久々の塔ノ岳なので,自分の体調に十分気をつけながら,体力を消耗しないように,最初は意図的にゆっくりしたペースで登り続ける.
■駒止茶屋まで1時間06分
7時25分,観音茶屋を通過する.やがて,前方数名の登山者の先に前方に先発したカメラマンMさんの後ろ姿が見え出す.私は,
「勾配がなだらかな所は,先に行かせて貰います・・・」
とお断りして,Mさんの前に出る.
今日も蒸し暑い.7時42分の見晴茶屋の気温は,手許の寒暖計では23℃もある.ただ,歩き始めを自重して歩いていたので,体調は万全ではないもの,ここまで,全く汗はかかずに,疲労感もない.そのために,見晴茶屋から一本松までの急坂は,途中で2人の登山者を追い抜きながら,意外なほど楽に登りきる.
喘ぎながら汗ビッショリの女性に,
「すみません」
と声を掛けてから,追い抜かせて貰う.
「どうぞ,急ぎすぎて,熱射病にならないように・・・」
と,ちょっとトゲのあるお言葉が返ってくる.
「汗もかかずに,リラックスして,登っているのに,何で熱射病なの」
私は,頭の中だけで反発する.
8時11分に駒止茶屋を通過する.登り始めてから,駒止茶屋までの所要時間は1時間06分.1時間を6分も超過しているが,今日の疲労度から見て,何とか2時間30分台で山頂まで行けそうである.
<久々の青空だが富士山は雲の中>
■ウグイスの啼き声
堀山の尾根に差し掛かる.木の枝の間からこぼれ日が射し込んでくる.久々の太陽である.木陰が斑模様に写っている道を,晴れやかな気分になって歩く.やがて,富士山が良く見える場所に到着する.今日も富士山はモクモクと立ち上る雲に覆われていて,姿は全く見えない.廻りの林の中からウグイスの啼き声が絶えず聞こえてくる.
8時11分,堀山ノ家を通過する.この辺りには人影が全くない.
私はそのまま岩礫混じりの急坂を登り始める.堀山ノ家から5分ほど急坂を登っていると,前方で1人の老人が座り込んでいる.近付くと,驚いたことに,2000回登頂間近のMさんである.額に汗ビッショリのまま休憩を取っているようである.私は,少々気が引けるが,
「すみません・・・ちょっと,先へ行かせて貰います・・・」
と挨拶して先へ進む.
■萱場平
8時46分,萱場平を通過する.雨が降り続いたのに,路面はそれ程ぬかるんでいない.私は定点観測用の写真を撮って先へ進む.今日は出だしをユックリと歩いたためか,まだ,体力に十分余裕がある.私は自分が最も楽に歩ける速度に保ちながら登り続ける.
■いろいろな方々とすれ違う
やがて,もう少しで花立山荘前の長い階段に差し掛かるころ,下ってくる老夫婦とすれ違う.登山に馴れていないらしくて.傍らの岩にしがみつきながら,見るからに危なっかしい仕草で,ソロリソロリと下ってくる.
9時04分に花立山荘を通過する.堀山ノ家から花立山荘までの所要時間は37分.登山にブランクのあった私には,マアマアの速度である.
9時14分,花立場を通過する.ここで何時も富士山の写真を撮るのだが,今日は四方を霧に覆われていて,眺望は全くない.それでも,富士山はこの辺りに見えるはずと考えながら,霧ばかりの写真を数枚撮る.そうこうしている内に,ショートパンツで背が高い男性に,スッと追い抜かれる.この男性には,これまで数回追い抜かれている.
馬の背で下山してくる2人の男性とすれ違う.
「・・・山頂は,もうすぐそこですよ・・頑張って下さい」
と片方の男性が私を励ましてくれる.
■濃い霧に覆われた塔ノ岳山頂
9時19分,金冷シを通過する.辺りは濃い霧に覆われている.霧の中はとても涼しくて気持がよい.濃い霧の中,前方から2人の男性が降りてくる.韋駄天のTさん達である.
「今日は涼しい風が吹いていて,気持ちが良いですね・・・」
とTさんが言う.
金冷シから最初の長い階段を登りきった所で,下山してくる三角髭のTさんとすれ違う.
これらの方々は,同じバスに乗っていたご常連である.さすがに健脚揃いである.
9時33分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間28分.ほぼ予想通りである.山頂は,直ぐ近くにある尊仏山荘も隠れてしまうほどの濃い霧に覆われている.私は習性で霧ばかりの風景を写真に収める.案の定,霧ばかりで何も写っていない.
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.あまり見掛けない先客が1人居る.今日の小屋番はオーナーのHさん.営業部長が,外に出たいようで,私が入口の扉を開けるのを待っている.
「営業部長さんよ・・そう急がなくても良いでしょう.写真を撮らせてください」
とネコを慰める.
9時30分現在の山頂の気温は+16.5℃.涼しくて気持がよい.
300円也のお茶を飲みながら,Hさんと雑談をする.Hさんが私に質問する.
「この間,土曜日だったかな? 例の看護士さんが来られましたよ・・・あの方,お名前,なんて言うんですか」
「ああ,あの看護士さん.有名の女流登山家と同じ名前ですよ.『野詩歌さん』です.賑やかなトドさんや私と同じに山旅スクール5期の同窓生ですよ・・・」
「そうでしたか.なかなか健脚のようですね」
「健脚ですよ! 標高3000メートル位までなら,私も彼女に負けないつもりですが,4000メートル越えたら,断然,野詩歌さんの方が強いですよ・・」
私が到着してから,10分ほど後にカメラマンのMさんが到着する.それから5分ほどして若い新顔の男性が山荘に入ってくる.お互いに雑談が始まる.
Hさんが,
「夫婦連れに会いませんでしたか?」
と私に聞く.私は花立山荘の手前で会ったと答える.
「あの方々,昨日,8時頃,ヤビツを歩き出して,5時半頃に山荘に到着しましたよ・・9時間も掛けて.努力家ですよ」
「ええ~っ! 昨日は大雨でしょう.あんな雨の中,あの岩場を降りたんですか!」
「そうでしょう.大変だったようですよ・・」
私は危なっかしそうに下山していた姿を思い出しながら「無謀すぎるな,良く無事だったな」と驚く.
10時過ぎに2番バスのご常連の女性Xさんが到着する.私の顔を見るなり,
「あれ,2番バスに乗って居られたんですか・・?」
とビックリする.
「いえ,今日は1番バスで来ました・・」
その後,昨年,私がペルーに行ったことや,今年,ツブカル山に登ったことなどが話題になる.
彼女は,岩稜歩行が大好きで,この夏はジャンダルムや八峰キレットへ行きたいそうである.私は高所恐怖症.一昨年,八峰キレットへ行ったが,あんな所へは二度と行きたくない.
その後,南アルプスの蝙蝠岳,千枚小屋の火事のことなどが話題になる.
10時25分頃,突然大粒の雨が,音を立てて降り出す.私がいくら物好きでも,雨の中を下山する気にはなれない.暫く,雨足の様子を見ることにする.
<外へ出たい営業部長>
■雨と晴れが同居する下山道
10時33分,雨足が大分弱くなる.私は雨具の上だけを着て,尊仏山荘を出発,下山を開始する.
沢山の登山客とすれ違いながら,転倒しないように慎重に下山し続ける.山頂付近の霧はますます濃くなる.ところが花立山荘を過ぎると,霧が晴れ渡って,薄日が射すようになる.さらに下ると,雲は多いものの晴れてくる.
12時10分,雑事場ノ平を通過する.前方に夫婦連れがしゃがみ込んでいるのが見える.登る途中,花立山荘手前ですれ違った夫婦である.昨日のヤビツからの苦戦が響いているのか,今日も大変なようである.
「また,お会いしましたね・・・お気を付けて」
と挨拶して,先に行かせて貰う.
<馬の背付近は花盛り>
[ラップタイム]
7:05 大倉歩き出し
7:25 観音茶屋
7:42 見晴茶屋
8:11 駒止茶屋
8:27 堀山ノ家
9:04 花立山荘
9:19 金冷シ
9:33 塔ノ岳山頂 着
=====================================
10:32 塔ノ岳山頂 発(+16.5℃)
10:43 金冷シ
10:53 花立山荘
11:26 堀山ノ家
11:43 駒止茶屋
12:08 見晴山荘
12:21 観音茶屋
12:39 大倉
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1201m
■登攀所要時間
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 9:33
(所要時間) 2時間28分(2.47h)
登攀速度 1201m/2.47h=486.2m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:32
大倉 着 12:39
(所要時間) 2時間07分(2.12h)
下降速度 1201m/2.12h=566.5m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f926a9e6b6a147a5146a4d01ddb2a8f4
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