<薩埵峠付近からの富士山>
静岡の景勝地:由比・浜石岳・薩埵峠周遊
(ARENAオフミ)
2012年1月29日(日)
<登山地図>
<プロフィールマップ>
■由比駅へ
大船7時55分発東海道本線下り熱海行電車に乗車する.同行の皆さんが大船,藤沢,小田原から同じ電車に乗車しているはずである.
熱海でJR東海の電車に乗り換えて,10時06分にJR由比駅に到着する.参加者は11名.内男性6人,女性5人である.女性2人の内,2人は五十三次洛遊会のメンバーで,今回が初参加である.
まずはタクシーに分乗して,浜石岳山頂付近の電波塔まで登る.タクシーの台数が少ないので,最後のグループが由比駅を出発したのが10時21分である.
由比駅から北西の方向を望むと,ひときわ高い山の山頂付近に大きな電波塔が建っている.タクシーの運転手に伺うと,あの電波塔の山が浜石山(標高707m)だそうである.
<JR由比駅に到着>
■浜石山山頂近くまでタクシーで
私たちを乗せたタクシーは曲がりくねった急勾配の道を登り続ける.たちまちの内に高度を稼ぐ.やがて,急斜面の山裾の先に駿河湾が見下ろせるようになる.
「この辺りから富士山が見えるんですが,今日はあいにくの曇り空で見えないですね・・」
と運転手が残念そうに説明する.
「山頂までタクシーで行く人は多いですか?」
と伺ってみる.
「いえ,ほとんど居ませんよ.途中の野外センターまで来る人は居ますが・・・」
と意外な返事である.
由比駅前で乗車してから17分で電波塔前の広場に到着する.
今朝方までの天気予報では,今日は12時頃まで曇.その後は晴ということであった.幸いなことに,予報より早く,私たちが電波塔の前に到着する頃には,青空が見えだす.そして,雲間に,雄大な富士山の姿を表す.
<電波塔前に到着する>
■浜石岳山頂
電波塔前から,尾根に沿って南へほんの2~3分登ると浜石岳である.路面の霜柱は凍結している.この霜柱が融けたら大変な泥んこになりそうである.
浜石山の山頂は,広々とした原っぱになっていて,大変気持ちがよい.
山頂は眺望絶佳.もちろん,目の前にはドンと富士山が聳えている.その先には真っ白に雪化粧した南アルプスの山々が,まるで屏風のように立ちはだかっている.
<浜石山山頂の標識>
<浜石山山頂からの富士山>
<浜石山からの眺望>
<浜石山からの眺望>
■登山道に倒木
10時58分,浜石山から尾根沿いの道を南へ歩きだす.
暫くの間は,尾根伝いの素晴らしい散策路が続く.
ところが,20~30分進むと,行く手を倒木が立ちふさがるようになる.多分,昨年の台風で倒れた物のようである.さらに,先へ進むにつれて,倒木がますます増えだす.
<だんだんと倒木が増え始める>
■展望台
11時40分,高圧線の真下に到着する.高圧線鉄塔が展望台と呼ばれるところである.右手に高圧線が走っていて,風景を眺めるには,ちょっと残念.
この辺りから富士山を見上げると,山頂の最高峰,剣ヶ峰が手前になり尖って見える.山丁度太陽が具合がよいので岩肌が浮き上がって見えている.
私たちとほぼ同じ頃,浜石岳に到着した某ツアー会社の一行が到着する.リーダーの方が,
「ここで昼食です・・」
よ言っている.
私たちは,もう少し先で昼食を摂ることにする.
<展望台からの富士山>
■立花池の標識に迷う
12時18分,立花池分岐の標識に到着する.もう分岐か早すぎるなと感じるが,標識に従って,分岐を右折する.
一方,“ほんの15分もあれば立花池を往復できる”筈が,行けども行けども一向に立花池に着かない.
やがて,緩やかな登り坂になる.地形図にはない登りである.一生懸命地図を見ていた私にも,現在地が怪しくなっている.先頭を行くリーダーもおかしいと気がついたらしく,途中で止まる.前方には伸びやかな丘陵が見え始めているが,池のようなところは見当たらない.
「もとへ戻りましょう・・」
往路を引き替えず.ロスタイムは21分は痛い.
<この案内板のところで右折,途中で引き返す>
<この景色の場所で引き返す>
■再び立花池の標識がある
登り下りのある尾根道が続く.途中で沢山の倒木が折り重なって迷路のような所に到着する.後部に居た私は,進行方向左手に踏み跡のような道を見つける.
「こっちに道がありましたよ・・」
とリーダーに報せてから,藪こぎをして,踏み跡道に出る.
私が一番早く踏み跡道に出た関係で,偶然に私が先頭になる.リーダーからそのまま先頭で歩くように指示される.
12時51分,再び立花池分岐の案内板に到着する.
「あれ,また立花池ですよ・・・どうしますか?」
「どうせ,どこかで昼食を摂らなければならないですから,立花池へ行きましょうよ・・」
とリーダーが言う.
<2番目の立花池案内板;極めて紛らわしい>
■杉林の中の踏み跡道
案内板のところで右折すると,鬱蒼とした杉林になる.
池は何処だろうと周囲を見回しながら,先へ進む.およそ5分ほどで,右手の杉林を通して池が見えだす.
僅かな踏み跡で右折.途端に踏み跡はなくなる,適当に杉林の中の急坂を下り,13時丁度に,立花池に到着する.
<踏み跡もハッキリしない杉林の中を下る>
■立花池で昼食
立花池の畔に案内板が立っている.
小さな池である.日が当たらない所は凍結している.池には案内板の他には何もない.寒い.
「向こう側の日が当たっているところで食事をしましょう」
時間が押しているので,食事の時間は少々ケチる.
<立花池の案内板>
<池の畔で昼食>
<立花池全景>
■悪路の連続
そそくさと昼食を済ませ,13時30分に立花池を出発する.
再び分岐へ戻って,尾根筋を薩埵峠に向けてひたすら歩く.進むにつれて,ますます道は荒れ,数え切れないほどの倒木が行く手を阻む.まるでジャングルジム状態の倒木を四苦八苦して通過する.ときには巨大な倒木に阻まれて,この倒木を大きく迂回する.
それにしても,どこが踏み跡なのか分からない状態には閉口する.たまたま先頭になった私の精神的な負担はだんだんと大きくなる.
「道を間違えたらどうしよう・・・」
そんな心配が絶えず私の頭の中を過(よ)ぎる.
私のすぐ後ろに居るOさんに,
「私が踏み跡を間違えたら,すぐ教えて下さい・・」
お願いして,慎重に進む.
ときどき,半ば朽ち果てそうな案内杭が現れるので,道は間違っていないなと安心する.
■不覚!
相変わらず踏み跡を見つけながら慎重に進む.
途中で,等高線沿いにほぼ水平に進む踏み跡に入る.少し先へ進むと,緩やかな上り勾配になっている.
「こんなところで登りとはおかしいな.でも,方向はこっちのような気がするが・・・」
と迷う.
そのとき,Oさんが,
「真っ直ぐに下る踏み跡がありますよ・・・」
と私を呼び止める.
私は躊躇なく数十メートルほど引き返す.そして,尾根沿いの下り坂をそのまま進む.
ところが後になって,これが重大なミステークだったことに気がつく.
■朽ちた木橋や崩れたトラバース道
下るにれて踏み跡のような道はますます荒廃した様相になる.数え切れないほどの倒木が行く手を阻む.やがて急斜面のトラバース道になる.ところどころ道が崩落ししていて,よほど注意しないと谷間に落ちそうなところが何カ所も出てくる.木の根や枝に掴まってバランスを取りながらザレ場を通過する.
途中で何回も引き返そうかと思ったが,最近,人が通った形跡が明確jなので,そのまま進む.
私は頭の片隅で,進退窮まったときにはどうしようかと考えはじめている.まだ日暮れには時間があるので,後30分ぐらいの間に,決断して元に戻れば何とかなるなと胸算用を繰り返す.
朽ちた木橋や,板が崩落してしまった鉄枠の橋などに出くわす.
「この橋は腐っているので,下の地面を歩いて下さい・・」
と後続の方にお願いする.
<朽ちた木橋を迂回する>
■地図にない林道
15時03分,崩れたトラバース道を通過する.踏み跡は確かにあるが,路面は谷に向かって大きく傾斜している.
山道に少し馴れていれば,真っ直ぐ立ったまま歩ける程度の難度だが,山道の経験が少ないと,どうしても身体を山側に寝せてしまう.そうなるとますます滑りやすくなる.しかし,色々言ってパニックになるより,先に渡った方に,手を引いて貰うようにして,全員無事に難所を通過する.内心で私もホッとする.
15時04分,今までの踏み跡道が嘘のような立派な舗装道路に飛び出す.落ち着いてから,改めて地形図で確かめると,私たちは薩埵山の西側斜面沿いに歩いてきたことに気がつく.
<最後の難所を通過する>
■薩埵峠への道に迷う
地図にない道路に出て,漸くホッとした私たちは,ここで立ち休憩を取る.
15時10分,休憩を終えた私たちは,現在地を確認したいと思うが,地形図と現状が合致していないので,どうもハッキリしない.
「この階段を下りましょう・・・」
ということになり,舗装道路から立派な階段を下る.階段から先は,暫くの間,舗装道路下を沿うように細い道がつづく.この道を100メートルほど進むと丘陵のような広い場所に到着する.
そこには電力会社が設置したと思われる階段が下の方に向かって続いている.
「地図で見ても,こちらの方のようだし,この道を降りましょう・・」
というリーダーの決断で竹林の中の険しい下り坂を進む,ところが鉄塔付近から先は,甚だしく荒れている.強行突破という考えを当然あるが,ここは安全重視で往路を引き返す.そして,今下った道から100メートルほど離れた次の下り坂を覗く.しかし,ここも甚だしく荒れているようである.
即座に下るのを諦める.
「一旦,もとの自動車道に戻りましょう・・・」
ということになる.私は,
「万一,下山場所が分からなくなったら,タクシーを呼びましょう・・・」
と提案する.
■地獄に仏の地元男性
15時44分,かなりの回り道になりそうだが,この舗装道路を辿って下山することに決める.
丁度そのとき,たまたま近所にお住まいの男性が通りかかる.リーダーがこの男性に薩埵峠への道を尋ねる.
男性は,私たちに同行してくれる.新しい道路に沿って由比方面に歩き続け,16時丁度に薩埵峠への下山口に到着する.ここで男性とお別れする.私は,地獄に仏とは,この方のことだと感謝する.
なるほど,ここは急勾配の下り坂だが,ちゃんとした道である.すごく歩き易い.
16時11分,薩埵峠に通じる農道に無事到着する.そこには「倒木が約300本あって危険なので進入禁止」という趣旨の注意書きがある.
浜石岳方面から下ってくると,こんな通行禁止などという注意書きは全くない.さらには,事前に,リーダーが観光案内所に問い合わせたときも,そんなこと一言も教えてくれなかったと憤慨する.私も事前にインターネットを使って,浜石岳・薩埵峠に関連する情報を調べたが,私の知る限りでは通行禁止の記事はなかった.
<登山口に通行禁止の注意書き>
■薩埵峠
登山口から薩埵峠までは1.2キロメートル.もちろん舗装道路である.ごく緩やかな下り坂を歩く.
16時19分に薩埵峠駐車場に到着する.例の有名な薩埵峠の写真を撮るには,ここからさらに10分ほど坂道を登らなければならない.もう日暮れも迫っているので,この駐車場からの風景を見るだけで諦める.
駐車場には沢山の車が駐車している.まだ,観光客が沢山居る証拠である.
駐車場の片隅にあるミカンの売店で,1袋100円也のハッサクとミカンを購入する.ハッサクの袋には3個,ミカンの袋には5~6個.結構安いし,ここのミカンは美味しい.
<薩埵峠付近からの眺望>
■由比へ
16時32分,薩埵峠を出発して由比へ向かう.
駿河湾にすとんと落ち込む断崖の途中に作られた道路である.進行方向左手は急斜面に作られたミカン畑が続く.所々にとんでもなく急勾配の索道が設置されている.右側の断崖の下には東名高速道路と国道1号線が走っている.その先には駿河湾が広々と広がっている.
緩やかな下り坂を進むと,やがて由比の集落に到着する.こころなしか昔の宿場町の面影が残っている.
集落の所々にミカンの無人スタンドがある.同じ100円の袋でも,先ほど薩埵峠で買った袋より2倍ほどのミカンが入っている.これを見てシマッタナと思う.
<宿場町の風情が残る由比の街>
■無事由比駅に到着
17時21分,無事由比駅に到着する.
辺りは薄暗くなり始めたが,日がある内に由比駅に到着である.
無事,登山が終えて,ホッとすると同時に,小腹が空いていることに気がつく.しかし,由比の駅には売店は無いし,駅近くにはコンビニもない.
私はアルコールを嗜まないので,アルコールなど無くても何ともないが,山登りを終えてからのビールを楽しみにしている方々は少々物足りないようである.
10分ほど待って,由比発17時32分の沼津行の電車に乗車する.三つドアー6両編成の列車である.電車も車内の様子も.どことなくJR東日本の電車とは異なる.すぐに目に付くのが丸いつり革である.最近.JR東日本の電車では,ついぞお目に掛かったことがない.こんな小さな違いでも,元列車マニアの私は興味津々である.
沼津で東京行電車に乗り換える.今度は15両編成で,グリーン車が着いている.熱海で乗務員もJR東日本に変わったのか,また,車内アナウンスの様子が変わる.
小田原を過ぎると,何時も塔ノ岳に行くときに利用している区間なので,気分的にも落ち着いてくる.
20時前に,無事帰宅.
「無事に済んだ・・良かった,良かった・・・」
今回は当初予想以上に,迷路,悪路,倒木に悩まされた.なぜ,こんなことになったのか.色々と反省点が多いが,稿を改めて問題点を整理したいなと思っている.
<JR由比駅に到着>
<ラップタイム>
10:49 歩き出し
10:58 浜石岳山頂(標高707m)( 11:01まで展望休憩)
11:40 展望台
12:18 立花池分岐
※途中から引き返す
12:39 再び立花池分岐
12:51 立花池分岐
13:00 立花池 (13:30まで昼食)
※倒木の連続
15:04 薩埵山山麓(15:10まで休憩)
※途中から引き返す
15:44 再び薩埵山山麓
16:00 薩埵峠下山口
16:11 農道に出る
16:19 薩埵峠( 16:32展望休憩)
17:21 由比駅 着
[山行記録]
■水平歩行距離 11.5km
■累積登攀高度 483m
■累積下降高度 1160m
■所要時間
浜石岳 発 10:49
由比 着 17:21
(所要時間) 6時間39分(6.65h)
水平歩行速度 11.5km/6.65h=1.73km/h
(おわり)
「伊豆・箱根・富士山の山旅」の前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/aad3d97bf60dde8720d231ff216b1e6a
「伊豆・箱根・富士山の山旅」の後の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/486d517e2cf5cff18ab685acde7688be
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