中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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歩いて巡る甲州道中四十四次(第6回);第2日目(4);笹子峠

2013年10月28日 05時12分10秒 | 甲州道中四十五宿

                            <笹子峠で集合写真>

   歩いて巡る甲州道中四十四次(第6回);第2日目(4);笹子峠
            (五十三次洛遊会)
       2013年9月28日(土)~30日(月)

第2日目;2013年9月29日(日) (つづき)晴

<ルート地図>


※再掲

<笹子峠の山道に入る>

■県道を歩く
 杉林の中の心細い道を登って,県道に突き上げた所で,休憩を取った後,12時44分,県道に沿って歩き始める.
 県道の道幅はそれほど広くはないが,舗装道路である.道路の両側には,木々の緑が咽せるほどに繁茂している.ここは立派な道だが,自動車の往来は殆どない.

<県道を歩く>

草道へ入る
 12時46分,「矢立の杉」と青い字で書いてある案内板が立っているところで左折して草道に入る.路面の状態は良く,上り勾配もそれほどきつくはないが.この先,どうなっているのか良く分からない道なので,少々心細くなる.
 
<案内板が立っている所から草道へ>                <草道を一列になって登る>

2本の木道
 歩き易い山道が続く.総じて緩やかな上り勾配である.
 12時57分,小さな沢に架かる木橋を渡る.この木橋,少々長いので,安全を期して,木橋は一人ずつ渡るように,同行者に注意する.
 暫く山道を進むと,また小さな沢を渡る木橋に差し掛かる.ここも一人ずつ渡るように注意する.

<木橋を渡る>

■三軒茶屋跡
 木橋を渡ると,辺りの雰囲気がますます人里離れた不気味な深山のような感じになる.
 12時50分,三軒茶屋跡に到着する.ここは一寸した広場になっている.
 下の写真には写っていないが,「明治天皇御野立跡」の碑が立っている.
 「この広場で昼食はいかが…?」
とどなたかが提案するが,
 「もうすぐ矢立の杉だから,もうちょっと我慢しましょう…」
とリーダーが言う.
 三軒茶屋跡は,ちょっと立ち止まっただけで,先へ進む.

<三軒茶屋跡>

<矢立の杉>

■矢立の杉に到着
 三軒茶屋から上り勾配が少し急になる.足の弱い方々の息遣いが少し荒くなり始める.私は,
 「もっと,ゆっくり,…もっと,ゆっくり,…」
を繰り返す.
 山道に馴れていない人は,どうしても,“はあ,はあ,”と息遣いが荒くなるまで頑張ってしまう.揚げ句の果てに自滅する.かつて,自分もそうだったから,その辺りのことは良く分かっている.自分より速く歩く人に迷惑を掛けたくないと思うから,ついついオーバーペースになってしまいがちである.
 13時05分,ようやく矢立の杉に到着する.矢立の杉は.周囲の杉に比較すると,ひときわ大きな杉である.杉の木の近くに立っている案内板によると,この杉は県天然記念物に指定されている,胴回り14.8メートル,樹高25メートルもある.
 また,同案内文によると,中世の頃,出陣する武者が,この杉に矢を射立て吉凶を占い武運長久を祈ったという.
 矢立の杉から,急坂をほんの少し登った所に神社がある.神社の正式な名称は分からないが,ここでは仮に矢立の杉神社と呼ぶことにしよう.この神社周辺は多少俗っぽい雰囲気を感じるので,ちょっと落ち着かないが,とにかくここで遅めの昼食を取ることにする.
 
<矢立の杉>                      <矢立の杉神社>

テラスで昼食
 神社の前に物干し場のような休憩所が作られている.数年前に,ここを訪れたときには,この休憩所はなかったような気がするが,どうだったんだろう?
 もう9月も下旬になっているのに,まだヤブ蚊が飛んでいる.蚊に刺されるのはイヤなので,なるべく蚊が良そうもない所を探して腰を下ろす.

<矢立の杉のテラスで昼食>

<険しい山道>

■道に迷う
 昼食を終えて,13時31分,矢立の杉から歩き出す.
 このとき大失態.これまで登ってきた道の続きを何気なく歩き始める.歩き出してほんの数分で,県道に飛び出る.
 “あれっ…! 変だな”
と一瞬思う.県道に出た所に大きな矢立の杉の案内板が立っている.
 “…と,いうことはこれでいいのかな? でも,どうもおかしい?”
 立ち止まって地図で確かめると,県道をこのまま先へ歩いても,多少大回りをしても,笹子峠に通じている.でも,資料1に書かれている中山道とは違う道である.
 前回,某旅行社の中山道の旅に参加した方は,この道でいいということで,迷わず先へ進む.でも,どうも違うなと私は躊躇する.そうこうしている内に列がばらける.
 私がナビゲーションをお願いしている方が,コンパスを取り出して,この道は方向が違うと指摘する.県道は急坂にならないように大きく迂回しているので,この辺りではほぼ180度方向が違ってしまうのは,私も地図を見て承知している.
 “よしっ! 資料1に書いてあるルートに従おう”
と決心する.
 私は,かなり先を歩いている方々を大声で呼び止めて,矢立の杉まで戻ることにする.この騒ぎで10分ほど時間をロスする.
 「…歩き出した所に笹子峠って書いた案内板があったんで,あっちが本当の道だと思っていましたよ…」
と同行者の一人が言う.
 “そんなら,なんで,それを早く言わないんだよ…”
私はかなり「ムッ」とする.後追いであのときどうこうだったと言われるのが一番腹が立つ.
 「そんならそうと早く言って下さいよ…」
とついつい言葉を荒立ててしまう.

<間違って県道に飛び出る>

■見落とした案内板
 もう一度,矢立の杉まで戻る.
 なるほど,神社の直ぐ脇に,一寸古びた案内板が立っている.風化して.少し字が掠れているが,案内板には確かに笹子峠と書いてある.
 13時43分,改めて矢立の杉から歩き出す.道に迷ったためのロスタイムは12分である.

<見落とした案内板>

■荒れた山道
 歩き出すと,いきなり急な登り坂になる.しかも多少ヤブのある完全な山道である.急坂を少し登ると,今度は急な下り坂になり,小さな谷の小川を徒渉し,対岸のヤセ尾根に取り付く.かなり急な登り坂が連続する.
 山道に馴れない方々の息遣いが乱れている.ここでも,しつこいほど,
 「もっとゆっくり,もっとゆっくり…立ち止まって深呼吸」
と呼びかける.後続の足の強い人達は多分焦れったい思いをしていると思うが,一人の落伍者もなく安全に全コースを一緒に歩きたいというのが私の願いである.
 暫くの間,木の根っこに捉まりながら登るような険しい山道が続く.


<谷を越えて険しい山道に差し掛かる>

急坂を下って県道に合流
 急坂を登り切って小さなピークを越える.
 今度は,短いけれども急な下り坂になる.
 「…みなさん,お互いの間隔を空けて,慎重に下って下さい…」
と呼びかける.
 14時06分,下り坂から飛び出すように県道に合流する.

<急な下り坂>

舗装道路をノンビリと
 一人の落伍者もなく,無事,急な下り坂から県道の歩道道路に出ると,気分的にもぐっと楽になる.舗装道路は実に歩きやすいなと実感する.
 先ほど引き返した道をそのまま歩いていれば,結局は,今歩いている所に到着していた筈である.もう今頃はもっと先を歩いているかもしれない.でも,まあ,私たちは,昔の人と同じ山道を歩いたんだから,良い経験をしたなと思わなければ…

<舗装道路をノンビリと>

笹子トンネル
 14時20分,笹子トンネルに到着する.
 先日の台風の影響で,自動車は笹子トンネル通行禁止である.昔の甲州街道はトンネルに向かって右側の山道を登っていく.
 ここで,元気な人は右側に見えている山道を笹子峠まで登って,トンネルの反対側の出口付近に下山する.もう山登りはイヤという人は,このトンネルを潜って,反対側の出口で,峠越えの人達を待っていることにする.
 結局,男性3人が,トンネル経由で,笹子峠の反対側へ向かうことに決まる.

<笹子トンネル>

■笹子峠
 トンネル組の3人を除く10名の方と一緒に.私が先頭に立って,笹子峠に向けて歩き出す.
 ここから笹子峠までは一本道.しかも,距離は僅かである.もう迷う心配もない.
 私もたまには自分の経済速度で歩いてみたい.そこで,同行の皆さんの了承を得て,途中から自分が歩きたい速度で登り始める.いくら私がオイボレでも,平素山歩きをしていない人に比較したら,多少なりとも速い速度で登ることができる.たちまちの内に皆さんとの距離が開く.
 14時27分,笹子峠のコルに到着する.峠には立派な標識が立っている.そういえば山学校の山行で雁ヶ腹摺山へ登ったなと思い出す.あのとき,ここへ下山したのだろうか,そこの所は思い出せない.

<笹子峠の案内杭>

笹子峠で記念写真
 私が笹子峠に到着してから,5分ほどの間に10人全員が揃う.全員が揃った所で,笹子峠登頂を記念して,集合写真を撮る.
 これで,今日の行程の中で最大の難所である笹子峠は何とかクリアすることができた.一安心である.



<笹子峠で記念写真>

[参考文献]
資料1;完全踏査街道マップシリーズ「ちゃんと歩ける甲州道中四拾四次」五街道ウォーク事務局
資料2;今井金吾,1998,『今昔三道中独案内 日光・奥州・甲州』日本交通公社
                                         (つづく)

「甲州道中」の前回の記事
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