中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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丹沢の秘境:ヤセ尾根が連続する鍋嵐・物見峠縦走

2013年04月20日 22時50分42秒 | 丹沢の山旅

                                 <鍋嵐山頂付近にて>

      丹沢の秘境:ヤセ尾根が連続する鍋嵐・物見峠縦走
          (塔ノ岳常連有志に同行)
       2013年4月20日(土) 曇後雨


<ルート地図>

■当初計画ルート


■実際のルート



<集合場所の本厚木へ>

■真っ暗な夜道を大船駅へ
 数週間前から大倉尾根のご常連から鍋嵐へ行かないかとのお誘いを受けていたが,いよいよ今日が鍋嵐行きの当日である.今日の天気予報は晴ではないが,雨の振り出しは夕方になるらしい.ならばマア,マアの登山日和ということになる.
 今日の行き先はヤセ尾根が連続する鍋嵐である.万一,途中でトラブルがあっても時間的な余裕があるように,なるべく早く登山を開始したい.そんな私の想いが通じたのか,本日の取り纏め役であるK村さんから,
 “本厚木発6時55分のバスにのりたいので,6時30分本厚木駅集合にしませんか”
との連絡を受けている.
 私は,過去,鍋嵐に登ったときの記録や写真,地図など準備万端を前日の内に終えている.今回は,一応,数
メートルの短いザイル,カラビナ2~3枚,ツエルドもリュックにいれる.それに今回のルートには山小屋がないので,飲料水の量は少々多め持つことにする.その結果,リュックの重さは8キログラムを越えている.これもまあ致し方ないなと諦める.
 ここ数日,低気圧が日本の東海上を通過している影響で,一昨日までのポカポカ陽気とは打って変わって昨日辺りから真冬を思わせる寒さがぶり返している.そんな訳で今朝も早朝から起き出すのは少々辛いものがあるが,そうは言っても,今はもう4月も半ばである.いくら寒いと言っても多寡が知れている.
 私は,何時も通り,3時半頃目が覚める.
 “よしっ! 行くぞお~っ!”
ということで,私は4時10分頃自宅を出発,未だ明けやらぬ真っ暗な夜道を大船駅へ向かう.
私の家は大船駅から2~3キロメートル離れた丸山という山の尾根沿いにある.私の家の標高は67メートル.余談だが,まあ,津波の心配はないところにある.

■本厚木からバス停三叉路へ
 真っ暗な内に山を下って大船まで出るのは,いささか怖いが,途中,山崎の住宅地に入ると新聞配達の方々を見掛けて,気分的にもホッとする.
 早朝にもかかわらず,大船駅前は,もう沢山の人達で賑わっている.コンビニで本日の昼食,それに非常食若干を購入して,大船5時10分発熱海行下り電車に乗車する.茅ヶ崎で相模宣伝車に乗り換える.さらに厚木で小田急電車に乗り換えて,5時56分,本厚木に到着する.
 本厚木6時55分発のバスに乗車するには,随分と早すぎるが,そうかといって,大船で次の5時44分発電車に乗ったのでは,集合時間の6時30分に間に合わない.まあ,そんなわけで,早すぎるご到着もやむを得ないなと納得する.
 “では,コーヒーでも賞味しようかな”
と思って,駅前をウロウロするが,土地不案内のこともあって,開店している店で目に着くのは牛丼屋,ソバ屋ばかりでコーヒーショップは見当たらない.仕方なく,コンビニを2軒ばかりハシゴして時間を過ごす.
 やがて集合時間になる.集合場所に行って,漸く今日の参加者の顔ぶれが分かる.参加者はK村さん,三角髭のTさん,K井さん,T田さん,M崎さん,それに私の6人である.M崎さんとは一緒に登山したことはないので実力の程は良く分からないが,他の方々は実力の持ち主,塔ノ岳常連を代表するような方々ばかりである.鈍足の私にはかなりのプレッシャーである.
 予定のバスに乗車する.バスは座席が軽く埋まるほどの混雑.乗客の大半が登山者である.大半の登山者は途中で下車したので,多分,経ヶ岳か仏果山に登られる方々のようである.
私たちが乗車したバスは,7時49分,バス停三叉路に到着する.ここで下車したのは私たち6人だけ.

<バス停三叉路から登山口へ>

■宮ヶ瀬湖畔に沿って
 7時50分,バス停三叉路から歩き出す.ここから1時間30分ほど宮ヶ瀬湖畔をノンビリと歩く.ほとんど自動車が通らない舗装道路が延々と続く.湖畔の新緑が何とも美しい.
 8時05分,吹風トンネルに到着する.隧道入口は桜,新緑,紅葉の新芽が私たちを和ませてくれる.気分最高.

<吹風トンネル>

■二つのキャンプ場を通過
 湖畔沿いの道を南へ向けて歩き続ける.
 トンネルを抜けてから数分歩いて,宮ヶ瀬霊園に到着する.今日のメンバーのお一人が,この霊園に墓地があるというので,ひとしきりこの話題で盛り上がる.この霊園をちょっと拝見したかったが,そのまま通過する.
 私は,時々,地図とコンパスを使って,自分たちが今歩いている場所を確認する.やがて道路が大きく右にカーブして進行方向が真西になる.
 8時38分,長者屋敷キャンプ場の前を通過する.さらに先へ進むと,今度は道路が大きく左にカーブして進路が南南西に変わる.さらに暫く歩いて,8時50分,国際一の瀬キャンプ場を通過する.金網越しに一寸目には廃墟のように見える建物が建っているのが見える.
 
<長者屋敷キャンプ場><国際一の瀬キャンプ場>

■唐澤川出会と唐澤公園橋
 8時55分,唐澤川出会いのY字型三叉路に到着する.右側の舗装道路をそのまま進めば塩水橋を経由して丹沢山への登山口に行ける.私は,フト,心の中で,
 “今日は,ヤセ尾根が怖い鍋嵐より丹沢山の方が良いな”
と余計なことを考える.
 私たちは,三叉路を左折して,唐澤キャンプ場に入る.そして,唐澤橋を渡る.

<唐澤公園橋>

■唐澤川を徒渉する
 このまま,この道を辿れば,黒岩を経由して札掛けに出られる.そのことが分かっているだけで,多少でも平常心を保つことができる.
 唐澤橋を過ぎて直ぐの所に朽ち果てた吊り橋がある.この橋は朽ち果てていて渡れないので,その少し上で徒渉する.居間から5年前に,ここを徒渉したときは,何の恐怖心もなかったが,5年の歳月は私を老化するのに十分な時間だったらしく,今回は足許がふらついて,なかなか渡れない,先に渡ったK村さんの助けを借りて,オッカナビックリ徒渉する.

<唐澤川を徒渉する>

<登山口から急登の連続>

朽ち落ちそうな吊り橋から急登が続く
 8時55分,朽ち果てた吊り橋の対岸の少し上流,唐澤川の右岸の取り着き場所が,今回の登山口である.ここからは,勿論,登山道はないし,踏み跡すら稀の秘境である.
 「では,登りやすいところから尾根を目指して登りましょう…」
ということで,この尾根の経験者ということで,不肖FHが先頭になって登山開始.向かって左側に廻り込んで,尾根沿いの急坂を登り始める.すぐに朽ち果てた橋が眼下に見えている.今回は,この橋の写真は撮らなかったので,5年と少し前の2007年秋に撮った写真を披露しよう.
 今はこの写真よりさらに朽ち果てていて,この写真に写っている木の板も大分無くなっている.
 折角の橋なので直して欲しいなと思うが,幹線道路に架かる立派な橋すら,改修に手が回らないこの国の事情では,こんな小さな橋など到底直せないだろうなと諦めている.

<朽ち果てた吊り橋;2007年に撮影したもの>

■ひたすら急登を続ける
 杉林の中の急登が連続する.いきなりの急登なので,身体がなかなか追い付かない.今日のメンバーの中では,多分,私が一番足が遅い.たまたま私がトップを歩いているので,ここは,まあ,私の経済速度で歩かせて貰う.足の速い人には多少迷惑かもしれないが…
 杉林の中の急登がずっと続く.時々は四つん這いになって這い上がる.
 ただ,杉林のような人工林には,どこかに必ず踏み跡があるはずである.ここでも斜面を良く見ていると,踏み跡らしいところが見つかることがある.そんなときにはなるべく踏み跡を辿るようにしているが,ときどき踏み跡を失う.そんなときは,動物的感覚をお持ちのK井さんが目ざとく踏み跡道のようなところを見付ける.いやはや大したものだ.
 9時45分,標高約500メートル付近で,8分ほど休憩を取る.

<杉林の中の急登>

<トリカブトとヤセ尾根>

■稜線の合流点
 休憩の後,再び歩き出す.登っても,登っても,まだ先に急登が連続する.途中で登り続けるのがイヤになるほど延々と急な坂道が続く.私は時々平易なところを間違えて変な所に入り込むので,その度に後ろから続いてくる人に追い抜かれる.
 “オレは勘が悪いな”
と思いながら登り続ける.
 でも,そんな私でも,数分に一度は地図,コンパス,高度計の数値を確かめて,私たちが,今,どの辺りを歩いているか,進んでいる方向は正しいか,ずっとチェックし続ける.
 10時26分,進行方向左手(北側)にある大きな尾根に合流する.辺り一面にトリカブトが群生している.トリカブトの花が何時頃咲くのか,花オンチの私には正確には分からないが,トリカブトの花が見頃なときにここを訪れたらさぞかし壮観だろうな想像する.
 合流点で,暫くの間,立ち休憩を取る.私は心の中で,
 ”やれ,やれ,やっと合流点まで来たな”
と迷わずにここまで来たことに多少安堵する.
 ここで,地図とコンパスを使って,現在地を確認し,高度計で標高をチェックする.そして,目指す鍋嵐がどちらの方向に位置しているかを再確認する.

<尾根の合流点付近のトリカブトの群生地>

■目に鮮やかな青葉
 合流点から,東南に延びる尾根道を進む.
 目の前に小さなコルが見えている.進行方向左手には,ときどき若葉の間から宮の瀬湖方面の景色が望める.実に美しい風景である.

<瑞々しい青葉>

緊張するヤセ尾根の連続
 風景を楽しんでいるのも束の間で,直ぐにヤセ尾根になる.尾根の左右が切り立っていて高度感がある.その上,尾根は狭く,立っているだけでも恐怖感で足が震えそうである.こんなヤセ尾根がずっと連続する.
 5年前にここを訪れたときより,恐怖感,緊張感が強いようである.到底写真など撮っている余裕がないので,ヤセ尾根の区間の写真はない.
 私は,地面に這いつくばうような気分で,急登,急降下のヤセ尾根をオッカナビックリ歩き続ける.心の中で,
 “このヤセ尾根,何時まで続くんだ…!”
と叫びながらヤケになって歩き続ける.

<鍋嵐山頂>

■ヒョコンと鍋嵐山頂に到着
 漸く二つのコルを越えて,ヤセ尾根を這い上がり,11時10分,ヒョコンと飛び出るように鍋嵐山頂に到着する.
 山頂はとても狭く,われわれ6人が立っているのがやっと程度の広さしかない.山頂に映えている木に「ナベワラシ817m」書いた板切れがくくりつけられている.
 参考までに5年前に撮影した「ナベワラシ」の写真を披露しよう.

<5年前に撮影した「ナベワラシ」の標識>

山頂で登頂記念写真
 折角なので,山頂をバックに登頂記念写真を撮る.この写真,K村さんにシャッターを押して頂いたので,K村さんは写っていない.
 写真を撮る段になって,
 “シマッタ! 登頂記念の横断幕を作ってくれば良かった”
と思ったが後の祭りである.
 この写真のバックに「ナベワラシ」の案内板が木の枝にくくりつけてあるのが見える.5年前の写真と見較べると,どうやら同じ案内板のようだが,くくりつけに使った紐が新しくなっている.また,5年前に着いていた赤い目印は無くなっている.

<山頂で記念写真>

■尾根を間違えて引き返す
 記念写真を撮り終えて,11時15分,鍋嵐山頂を出発する.
 つい先日,鍋嵐を訪れた方が先頭に立って急な下り坂を下り始める.私は直感的に尾根の方向が90度ほど西へずれているなと思いながらも,つい先日登った方が,
 「確かこの尾根を通ったことがあります,こちらの尾根で大丈夫…」
とのことだったので,どうもおかしいなとは思いながらも,多分私の思い違いだろうと信じて,後に付いて急坂を下る.凄い急坂なので,往生しながらの下りである.
 やがて前方に小さなコルが見え出す.そのコルを巻くように足跡が付いている.植林した杉林の中の足跡なので,この足跡を辿れば,多分,どこかへは出られるだろうとは思う.しかし,磁石で方向を確かめると,どう考えても黒岩の方向に向かっているようである.
 “これは,鍋嵐山頂に戻った方が良さそうだ”
 近くに居られる皆様に相談して,一旦,鍋嵐山頂へ戻ることにする.すでに大分先まで踏み跡道を下っているお2人にも,
 「お~ぃ…っ! 山頂まで戻りますよ…」
声を掛ける.
 私は内心で,
 “よくまあ,道を確かめもせずドンドン先へ行けるな…”
と勇気というか蛮勇に,正直なところ大変驚かされる.
 「多分,15分ぐらいで,山頂まで戻れますよ…」

■再び鍋嵐山頂へ
 11時49分,再び鍋嵐山頂に戻る.
 私は同行者の皆さんが見える所で地形図を広げる.そして,コンパスを地形図の上に置いて,地形図を“正置”する.そして,私たちが向かう予定の辺室山が,ここから東の位置にあることを全員で確認する.
 “やっぱり,先ほどの尾根は間違っていた.”
 ここで,私は,どんなに偉い方の話であっても,“必ず自分で確かめなさい”と山岳ガイドから口酸っぱく,何度も注意されていたことを思い出す.今回の回り道も登山の基本を軽視した結果である.大いに反省すべきだなと自戒の念を込めて,自分に言い聞かせる.
 11時53分,再び鍋嵐山頂から,辺室山を目指して歩き出す.
 尾根を間違えたことによるロスタイムは38分.軽微なロスタイムで済んだのが幸いである.それに往路を引き返すことは,良くあること.気にすることはない.
 “誤りを正すのに憚ることなかれ”
である.
 ”迷ったら,迷い始めの位置まで戻れ”
これが山での鉄則である.
 私は内心で,今回の処置は“良かった,大変良かった”と思っている.
 こういう経験を沢山積んでこそ,安全登山が実現できるんだと思う.

<辺室山分岐から物見峠へ>

■ヤセ尾根の途中で昼食
 正しいルートも,鍋嵐山頂直下は,とても急な下り坂が続く.そしてその先も延々とヤセ尾根の上り下りが続く.正直なところ,一寸でも気が休まるところがない.
 もう,12時を過ぎている.どこか少しでも広いところがあったら,そこで食事を摂ろうということになる.
 12時26分,標高約760メートル地点で,尾根が少し広くなっているところに到着する.ここで昼食を取ることにする.束の間の心休まる時間である.ただ,気温がさらに下がってきたらしく,やたらに寒い.
 私は大船駅前で購入したコンビニオニギリをほおばる.
 思い掛けすにも,U村さんが全員分のインスタントみそ汁と,大量のお湯をリュックに入れてきている.遠慮なしにみそ汁を馳走になる.感謝! 感謝!である.
 “それにしても,こんなに重いものを持ちながら,あんな急登を良く登れるな”
とU村さんのパワーに感心するやら,敬服するやら,驚くやらである.
 食事をしていると,雲行きがだんだんと怪しくなる.ついにはポツン,ポツンと雨粒があたるようになる.天気予報では夕方から雨ということだったが,予報が外れて,大分早く雨になりそうである.
 こうなったら本降りになる前に,なるべく早く下山すべきである.私はかねてから考えていた煤ヶ谷に下るエスケープルートを下りること提案する.
 丹沢のことを熟知されておられる三角髭のTさんの同意を得て,煤ヶ谷に下山することに決める.

■辺室山物見峠分岐
 足腰が余り冷えない内に歩き出したいので,そそくさと昼食を終えて,12時46分に歩き出す.
 この先もヤセ尾根,ザレた急坂など悪路が連続する.途中の写真など撮る気がしないまま,ひたすら歩き続ける.
 10数分歩いたところで,トラバース道に入る.結構荒れて少々危険を感じる.下りのトラバース道がいつまでもくねくねと続く.
 12時56分,辺室山物見峠の分岐に到着する.
 
 これまでのコースには案内板や階段などの人工物は一切なかったので,分岐点の案内板を見て,
 “やっと普通の登山道に入ったか”
と感激する.
 ここから先は,階段道もあるし,大規模に路肩を整備したところもあるので,いかにも登山道路らしい雰囲気である.こうなると気分的にも随分と楽になる.
 気がつくと,雨は何時の間にか止んでいる.

<辺室山物見峠分岐>

■物見峠
 やっと普通の登山道を歩くことが出来る.これまで踏み跡を辿ってきたのと比較すると随分と歩き易い.
 13時02分,物見峠に到着する.
 ここから南へ向かえば,1時間30分ほどで三峰山まで行くことができる.
 “ちょっと三峰山まで足を延ばしてみたいな”
と衝動的に内心では思うが,今からでは,仮に雨が降らなくても,時間的には投擲無理だ.それに霧雨が降っている.
 “下手な考え休むに似たり!”
 物見峠からは,素晴らしい新緑の景色が連続する.
 「ちょっと写真を撮らせて下さい…」
で一寸見晴らしの良いところで立ち止まる.

<物見峠>

<煤ヶ谷に下る>

■長いトラバース道で足が滑る
 物見峠からは,長い長いトラバース道が続く.全体としては良く整備された道が続く.勢い歩行速度が早まってしまう.
 私のすぐ後ろに居られる三角髭のTさんと雑談.
 「煤ヶ谷14時04分のバスに間に合いそうですね…ちょっと歩行速度を上げましょうか」
 振り返ると,ヒアルロン酸だかコンドロイチンだか分からないが,一行が広告に出てきそうな姿で歩いておられる.
 谷の右岸沿いのトラバース道から見ると,谷はかなり深い.私たちはまだまだ標高が高い所を歩いている.この先が思いやられる.
 ときどき,ザレた道になる.
 いくつかのザレ道を通過する際に,不覚にも私がちょっとバランスを崩して足を滑らせて50センチメートルほど下へずり落ちる.たったの50センチほどだが,足許が不安定なので,なかなか一人では元に戻れない.見かねた三角髭のTさんとK村さんが,私を助けてくれる.そして漸く元の位置に戻る.さらに,三角髭のTさんに肩にしがみついて,ザレ道を通過する.感謝! 感謝! だらしがなくて,誠に面目ない次第である.足を滑らせた原因は,山裾にたどりついたので,ついつい気がゆるんでしまったことにある(ということにしておこう).
 “歩行速度を上げるどころの話ではない…もっと注意して歩かなければ”
 私は内心で,自分に対して,ブツブツと文句を言う.

<長いトラバース道>

シカ柵を越えて煤ヶ谷へ
 やがて,さしものトラバース道も,ようやく終る.そして川を渡りって,シカ柵を越えると,長閑で歩き易い道路になる.
 時計を見る.今,13時55分.バスの時間までまだ9分もある.楽勝だ.
 “しめた~っ! 十分,バスに間に合うぞ…”
 なにしろ,この辺りのバスは1時間に1本しか動いていないので,間に合えばラッキーである.

<シカ柵を越える>

バス停煤ヶ谷に到着
 シカ柵を越えると,すぐに集落が見え出す.川岸のオッカナビックリ歩いて,お寺の脇を通過して,13時57分に登山口に到着する.
 「あれっ! そういえば,今日は入山届
を出さなかったな…」
と反省.もっとも今日のコースには届を出す所がなかった(これは言い訳,本当は最寄りの警察など然るべき所に出さなければ…).
 登山口の直ぐ近くにバス停煤ヶ谷がある.
 
<煤ヶ谷登山口>                                <バス停煤ヶ谷>

<無事帰宅>

■大混雑のバス
 バスの時間まで数分ある.グッドタイミングで下山できて良かった.
 「どうせバスは空いているでしょうね…」
と脳天気なことを言いながらバスを待つ.
 定刻より1分遅れでバスが到着する.案に相違して,バスは混雑している.見回すと殆どが登山客である.
 “アリャリャ~・・・当てが外れた”
 またもや立ち席.私は,くねくね道でバスにブン回されない限り,1時間やそこらの立ち席で一向に構わないし,苦にならない.立ち通しでも全く平気である.
 「バスが空いていると行ったのは,何処の何方でしょうね」
と冷やかされる.いやはや面目ない.
 途中のバス停で,三々五々と乗り込んでくる客があるので,バスはますます満席になる.
 好い加減バスに飽きた頃,14時48分にバスは本厚木駅に到着する.
 雨が本降りになっている.早く下山したので雨に降られなくて良かった.
 ここで解散.

■熱い風呂で疲労回復
 私は各駅停車の電車で,本厚木から厚木まで移動.ここで相模線に乗り換えて茅ヶ崎へ.相模線の電車は空いている.電車の中で茅ヶ崎まで座っている内に今日の疲労は取れて無くなる.
 茅ヶ崎から大船までの東海道本線の電車は混雑している.
 大船に到着したときは,雨脚が一層強くなり,気温がさらに下がって,寒くなっている.
 折良く,自宅近くを通るバスに間に合う.そして,16時過ぎに無事帰宅.
 早速,風呂を沸かしてザブン.ユックリ風呂に浸かって,冷えた身体を暖める.
 反省点も多々あるが,久々に緊張感のある山旅を堪能することができた.また機会があれば,同じメンバーで丹沢の山を楽しみたいなと思っている.
 それに,この場を借りて,鈍足の私の歩行速度に合わせて頂いたご同行の皆様に深甚なる謝意を表する次第である.多謝!!


<ラップタイム>

 7:50  歩き出し
 9:04  柳沢キャンプ場登山口
 9:45  標高500メートル地点(9:53まで休憩)
10:26  尾根合流点(10:30まで休憩)
10:55  コル頂上
11:10  鍋嵐山頂 着
11:15      〃  発
  ※誤った尾根に入る
11:30  引き返す
11:49  再び鍋嵐山頂
11:53  鍋嵐山頂発
12:26  標高760メートル地点(12:46まで昼食)
  ※雨降り出す
12:56  物見峠
13:12  三峰ルートと合流
13:53  登山口
13:57  バス停煤ヶ谷

[山行記録]

■水平歩行距離     13.2km

■累積登攀高度    1045m

■累積下降高度    1195m

■所要時間(休憩時間込み)
  バス停三叉路発   7:50
  バス停煤ヶ谷   13:57
   (所要時間)  6時間07分(6.12h)
  水平歩行速度      13.2km/6.12h=2.16km/h
                                     (おわり)

[加除修正]

2013/5/9 不適切な表現の箇所を削除.

「丹沢の山旅」の前回の記事
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