中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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シロヤシオが見頃な丹沢:塔ノ岳・丹沢山(今年26回目)(2)

2009年05月20日 09時42分59秒 | 丹沢の山旅

                   <シロヤシオが咲いた>

     シロヤシオが見頃な丹沢:塔ノ岳・丹沢山(今年26回目)(2)
                (単独山行)
           2009年5月18日(月)(2)


(つづき)



■尊仏山荘を出発
 尊仏山荘の小屋番Oさんから,シロヤシオが咲いていると聞いたので,ちょっとだけ丹沢山への登山道を下って,シロヤシオを見に行こうかと思う.
 9時45分,塔ノ岳山頂の尊仏山荘を出発する.直ぐに急な木造の下り階段の道になる.段の間の土が流れていて,大分荒れている.所によっては,大股に足を上げないと通過できない所もある.
 尾根伝いの下り坂を,ほんの数分進むと,進行方向左手,つまり,西側斜面に,数本のシロヤシオが生えている.ここのシロヤシオは,ほぼ三分咲き.1年ぶりに再開する清楚な白い花に感動する.私は,数分の間,ここに止まって,シロヤシオの写真を何枚も撮る.
 さらに坂を下る.やがて,尾根の下り勾配が少し緩くなる.稜線沿いに沢山の三分咲きのシロヤシオが群生している.雪を抱いた富士山を遠景にして,手前にシロヤシオを入れた写真を沢山撮る.


■満開のシロヤシオ
 当初は,この辺りのシロヤシオを見たら,尊仏山荘に戻るつもりだった.しかし,綺麗なシロヤシオを見ている内に,折角だから丹沢山まで足を延ばそうと急に思い立つ.
 そのまま,ブナやカエデの樹林帯が続く下り坂を歩き続ける.登山道はますます荒れ気味になる.やがて,崩落が激しい鞍部に到着する.登山道は大きく左へ鋭角に落ち込むように曲がる.そして,半ば崩落している木道の縁をオッカナビックリ渡る.
 この崩落地に生えている一際大きなシロヤシオは,今,正に満開,見頃である.勿論,ここでも写真を撮りまくる.


■優美な富士山
 鞍部を越えると,やや急な登り坂になる.坂道を越えると,起伏が穏やかなササの中の道に変わる.如何にも丹沢らしいのどかな尾根道となる.進行方向左手,つまり西側には,相変わらず富士山が良く見えている.


■ブナとササの散策路
 一方,東側の谷間から雲が沸き上がって,視界を遮っている.この雲が絶えず東から西へ流れている.私が,今,歩いている稜線を越えると,雲の尖端がスッと消えていく.背後の雲間から太陽がときどき顔を出す.辺りがサッと明るくなったかと思うと,また辺りを雲が覆って,涼しくなる.
 私は,穏やかな辺りの雰囲気に酔ったような気分になってくる.
 10時03分,日高(ひったか:標高1461m)を通過する.この辺りは穏やかで小高い丘になっている.木々の間から素晴らしい富士山が望める.ブナとササが美しい丘陵がうねうねと続いている.ササの間に埋もれるように続く登山道を,実にノンビリした気分で歩き続ける.


■竜ヶ馬場
 丘を越えて,なだらかな下り坂になる.やがて,視界が広々と広がる鞍部が見え始める.初めて反対側から登ってくる登山者とすれ違う.初老の男性である.
 「これから,奥に入るんですか・・?」
と私に聞く.
 「いえ,塔ノ岳まで登ってきたんですが,ちょっと丹沢山まで足を延ばそうと思って・・・ピストンの積もりです・・」
 「えェ~っ・・! そうですか.大変ですね」
と意外なことにビックリしている.伺うと,昨日,大倉から登って丹沢山の「みやま山荘」に一泊して,今日大倉へ戻るとのことである.
 小さなコルを越えて,10時22分,竜ヶ馬場(標高1504m)に到着する.ここはベンチのある広場になっている.とても見晴の良い所である.振り返ると,今,下ってきた塔ノ岳からの尾根が壁のように連なっている.何処の街か分からないが東の遙か下に街並みが見えている.大山.三ノ塔,新大日,塔ノ岳の表尾根の山々が連なって見えている.実に壮大な風景である.
 前方を見ると,これから登る山の斜面に延々と階段が付いているのが見える.目指す丹沢山は,目の前にある山からさらに奥になる.まだまだ先は長い.


■丹沢山山頂
 竜ヶ馬場を通過して,ササの原っぱを越える.木製の長い階段を登り続ける.かなり長い登り坂である.
 ブナ林の中に造られた長い木道を渡る.いつの間にか,私は雲の中に入ってしまったようである.辺り一面に霧が立ち込めている.遠くにあるブナの木は霧でボンヤリとしか見えなくなっている.知らない何処かの森に迷い込んでしまったような気分になる. 霧の中,再び短い坂道を下ってから,また登り坂の階段になる.この階段を登りきって,10時42分に丹沢山山頂(標高1567m)に到着する.
 山頂は広場になっている.東側には何時ぞや泊まったことのある「みやま山荘」が建っている.人気がなくて閑散としている.広場の一角にはバイケイソウが群生している.広場を何となく一回りした後,私はベンチに座り込んで,早めの昼食を摂る.
 上空に雲が掛かっていて陽ざしはないが,返って涼しいのが有り難い.小鳥の囀りもなく,物音一つ聞こえてこない.

<丹沢山山頂>


<バイケイソウが美しい丹沢山山頂>

■往路を引き返す
 私は時間さえ許せば,この静寂な雰囲気に,何時までも浸っていたいと思う.でも,そうも行かないので,10時53分に丹沢山山頂を出発して,往路を引き返すことにする.
 登るときは長いなと感じた山頂直下の坂道も下りでは呆気なく終わる.再び登り返して,11時10分に竜ヶ馬場に到着する.ここからの眺めが素晴らしいので,暫くの間,足を止めて,周囲の風景を楽しむ.
 ブナとササの尾根道は実に心地がよい.多少の上り下りは全く気にならないが,前方に聳える塔ノ岳を見ると,あんなに高い所まで登るのかと,少々,ウンザリした気分になる.
 やがて目の前に小さなコルが見え出す.今更,坂道は登りたくないなと思うが,近付いて見るとそれほどの坂でもなく,トラバース気味のなだらかな道が続いている.また少し下り,再び登り返して,11時29分に日高を通過する.途中,塔ノ岳が登ってくる登山客と,ときどきすれ違う.
 目の前に,三角形に尖った塔ノ岳が見えている.あんな所まで引き返すのかと思うとイヤになってくる.
 11時32分,大きなシロヤシオの木が満開の鞍部に到着する.崩落しかけた木道の脇を通過して,塔ノ岳に直登する尾根道に差し掛かる.大きくえぐれた木製の階段を登り続ける.途中,三分咲きのシロヤシオが群生している所を通過する.
 この辺りまで来ると,塔ノ岳からシロヤシオを見物するために下ってきた何人かの登山客とすれ違う.
 「この先に,まだシロヤシオ,ありますか・・?」
と中年女性の質問を受ける.崩落地まで行けば満開のシロヤシオがあると答える.

<竜ヶ馬場から塔ノ岳を望む>

■再び尊仏山荘へ
 11時48分,再び尊仏山荘に戻る.そして,オーナーのHさん,営業部長の僕(しもべ)のOさんに,撮ったばかりのシロヤシオの写真をお見せする.丁度そのとき,損部山荘に到着した中年男性も覗き込む.私の写真が切っ掛けになって,新緑が綺麗だという話になる.男性が鍋割山稜の新緑が綺麗だという.私も同感.
 ところが,雑談をしている内に,この男性の話は,大分前のことで,ここ1年以上,鍋割には全く行っていないことが分かる.途端に,私は失望する.だって,ご常連かと思っていたのに・・・
 話題が転じて,先週の山旅スクールのことになる.私は,改めて山荘の日記帳をめくってみる.
 なるほど,私がメモをした後に,山旅スクール関係の方々のメモが書かれている.中には「フラワーヒルさんに会いたかった・・」なんていうのもあって赤面する.
 「こんな老いぼれに会ったって,何も良いことなどないのに・・・」
と思うが,でも,そう言っていただくだけで嬉しい.ペラペラとページをめくると,わが山旅スクールで有名な「トドさん」の一筆が目に入る.前回登頂のときに比較して,所要時間が短くなったと喜んでいる.
 「あの方は,登山の途中で,ゴジャゴジャと泣き言を言うが,結局は,山頂まで行ってしまうから凄いよ・・・」
と私は心の中で思っている.



■塔ノ岳を出発
 11時50分現在の塔ノ岳山頂の気温は+22.2℃もある.「随分暑いな・・・」と気が抜けてくる.どうせ,今から急いで下山しても,16時からの水戸黄門には間に合わない(これ冗談!).バスが混雑しないかと気がかりだが,まあ,なるようになれで,ユックリ下山しようと思う.
 11時56分に尊仏山荘を出発する.山頂で休んでいる登山客の中に知った顔は居ないかなと注意しながら下山口を通過する.残念ながら,今日は山旅スクール関係の方々とは縁がなさそうである.
 12時21分に花立山荘を通過する.登るときには綺麗に見えていた富士山も,今は雲の中である.
 長い階段を下る.途中で,尊仏山荘の小屋番,W林さんが真っ赤な顔をして登ってくる.擦れ違いざまに,ほんの少しの間,立ち話をする.

■シカと奇妙な花
 帰りのバスは,どれでも良いやと腹をくくると,気分が随分と楽になる.
 13時09分,駒止茶屋を通過する.なだらかな尾根道から一本松に差し掛かる頃,2頭のシカに至近距離で出会う.こんな山麓までシカが降りてきているとは予想していなかった私は,少々ビックリする.それにしても,シカは可愛い.逃げもせずに,耳をツンと立てて,つぶらな瞳で,ジッと私を見詰めている.
 山林の食害や,ヤマヒルばらまきの元凶として,シカは害獣扱いされているが,この可愛い姿を見ていると何とか,共存できないものかと思う気持ちが強くなる.
 のんびり,のんびり下って,14時09分,バス停大倉に到着する.あんなにユックリ下山したのに,所要時間は2時間13分.急いでも急がなくても,所要時間の差は,せいぜい10分か15分程度しかない.急いで降りるのが馬鹿馬鹿しくなる.
 バス停には,近くの森をハイキングした私と同世代の方々が10名ほどバス待ちをしている.その人達が賑やかなこと.まあ,元気なのは良いことだが・・・

[ラップタイム]

 7:05  大倉歩き出し
 7:24  観音茶屋
 7:39  見晴茶屋
 8:04  駒止茶屋
 8:20  堀山ノ家
 8:57  花立山荘
 9:10  金冷シ
 9:24  塔ノ岳山頂 着
=======================================
 9:45  塔ノ岳山頂 発(+15.2℃)
10:03  日高
10:22  竜ヶ馬場
10:42  丹沢山山頂 着
======================================
10:53  丹沢山山頂 発
11:10  竜
ヶ馬場
11:29  日高
11:48  塔ノ岳山頂 着
=======================================
11:56  塔ノ岳山頂 発(+22.2℃)
12:09  金冷シ
12:21  花立山荘
12:53  堀山ノ家
13:35  見晴山荘
13:48  観音茶屋
14:09  大倉 着  



[山行記録]

<大倉~塔ノ岳間>

■水平歩行距離
        7.0km

■累積登攀下降高度      1201m

■登攀速度
  大倉  発        7:05
    塔ノ岳 着         9:24
 (所要時間)  2時間19分(2.32h)
 登攀速度    1201m/2.32h=517.2m/h

■下山速度
  塔ノ岳 発        11:56
  大倉  着        14:09
 (所要時間)  2時間13分(2.22h)
 下山速度    1201m/2.22h=541.0/h

<塔ノ岳~丹沢山間>

■水平歩行距離 
        2.5km

■累積登攀下降高度       230m

■登攀所要時間
  塔ノ岳 発         9;45
  丹沢山 着        10:42
 (所要時間)      57分(0.95h)
 登攀速度     230m/0.95h=231.6m/h

■下山所要時間
  丹沢山 発        10:53
  塔ノ岳 着        11:48
 (所要時間)     55分(0.92h)
 下山速度     230m/0.92h=250m/h
                           (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/aa762a70165137370ac3eac996e98f93
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/accd39f43ae04eefa01cc8d4e0d1511e



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