
<瑞泉寺の石段>
春の鎌倉:瑞泉寺・華頂宮邸・衣張山を巡る
(鎌っこ倉ぶ第86回例会)
2009年5月16日(土)
****************************
今回は,瑞泉寺,華頂宮邸,浅間山,衣張山,釈迦堂切通を巡る.経ハイキングコースである.参加者は10数名.お馴染みの面々である.
10時15分,鎌倉駅前から歩き出す.小町通を進み,近代博物館脇から鶴ヶ岡八幡境内を横切って,裏道を辿り瑞泉寺へ向かう.
瑞泉寺を参拝,庭園を見学する.境内に咲いている花をジャイアン氏に解説して貰うが,聞いている側から忘れる.
その後,天園ハイキングコースをほんの少し登って,直ぐに下山する.報国寺脇から宅間ヶ谷を登り,華頂宮邸を見学.坂道を登ってハイランド緑地で昼食.
午後は,浅間山,衣張山を経由して平成巡礼道を下る.釈迦堂切通を潜って大町へ出る.祇園山隧道を潜り,東勝寺橋を見学.小町大路を下り,妙隆寺境内を横切って,路地を南下.宇津宮幕府跡から若宮大路を横断,小町通「モア」で解散.
***************************
<散策地図>
<プロフィールマップ>
水平歩行距離 9.8km
累積登攀下降高度 308m
<鎌倉駅から歩き出す>
■道路工事で大遅刻
鎌倉中央公園入口発9時30分発の鎌倉駅西口行一番バスに乗る.ところが,途中,大規模な道路工事が行われていて,片側交互通行になっているところがあって,バスは大幅に遅延する.その結果,集合時間の10時に10分ほど遅延する.途中から,携帯電話で,遅刻することを出席者のどなたかに連絡しようとするが,なかなか通じない.
万事休す.もう,一行は出掛けてしまっただろう,後から追いかけようと腹をくくる.集合場所にたどり着くと,ミーティングが終わっていた.
■小町通から瑞泉寺へ
小町通を北進する.心なしか,今日の小町通は,幾分空いているようである.
近代美術館脇から鶴岡八幡宮に入る.そのまま流鏑馬が行われる道を通って東口から外に出る.横浜国立大学,清泉小学校,荏柄天神参道を横切って,大塔宮脇を通過する.そして,11時丁度に瑞泉寺に到着する.鎌倉駅から瑞泉寺まで,実に1時間も掛けて低速で歩いたことになる.
<近代美術館前>
<瑞泉寺にて>
■瑞泉寺庭園
瑞泉寺境内を散策する.ここは臨済宗円覚寺派の寺.山号は錦屏山.関東十刹第一位の格式を持つ寺である.創建1327年,開山は夢想礎石.足利基氏ほか代々鎌倉公方の菩提寺である.
本堂裏手の庭園を見学する.ここは国の名勝に指定された庭園である.庭園を眺めながら,ノンビリとした時間を過ごす.
■沢山の草花
本堂前の庭を散策する.綺麗な花が咲いている.花のことが全く分からない私は,同行のジャイアン氏から,花の説明を受けながら,写真を撮る・・・が,すぐにどの写真が何の花か分からなくなる.困ったものである.
説明を受けながらメモしたノートには,「アマチャ」「クロバナツユクサ」「ムラサキツユクサ」「オイランソウ」「タチナミソウ」などの花の名前が,殴り書きで並んでいる.
■可愛いネコ
庭の片隅の休憩所で休んでいると,小柄な三毛猫が寄ってくる.少々貧相な風体だが,飼い猫らしくて,人馴れがしている.首輪に名札が付いている.名札には,「奈○た○」と書いてある(※飼い主の名前の可能性があるので,匿名にする).
■タヌキ塚
ジャイアンさんが,
「タヌキ塚を見ましょう・・・」
と私を誘う.
休憩所の直ぐ近くの小さな塚が「タヌキ塚」だという.塚の上には多宝塔や塚石街靴か並んでいる.
<報国寺・華頂宮邸を経由してハイランド緑地へ>
■瑞泉寺裏山
11時25分,瑞泉寺を出発する.三門近くにある登山口から天園ハイキングコースに入る.ジグザグの階段を登るとすぐに急坂になる.山道に馴れていない方々の歩行速度が鈍る.その間にジャイアンさん他数名がかなり先へ行ってしまう.
数分で急坂が終わって瑞泉寺裏山の尾根に出る.今回は,ここからすぐに浄明寺4丁目沿いの尾根を下って理智光寺谷に出る.先ほど登った登山口と目と鼻の先の所に降りる.どうして,このようなコースを計画したのか,私には分からないが,ほんの一寸,山道を体験したことになるだろう.
華の橋付近で金沢街道に出る.
■華頂宮邸
華の橋を渡って宅間ヶ谷を南へ進む.途中,報国寺の脇を通過する.報国寺を過ぎると観光客が随分と少なくなる.
12時23分,華頂宮邸に到着する.
この邸宅の持ち主であった華頂博信(かちょうひろのぶ)は1905年生まれの華族,軍人.伏見宮家の分家である.この邸宅は1929年に建築されたが,1996年鎌倉市が取得したものである.国の登録有形文化財である.
<衣張山へ>
■ハイランド緑地で昼食
12時28分,華頂宮邸を出発する.緩やかな登り坂の宅間ヶ谷を進む.進行方向右手の断崖沿いに小さな川が流れている.崖には沢山のイワタバコが自生している
. 谷を登るにつれて,上りの勾配がやや急になる.やがて,舗装道路が途絶え,林の中の山道になる.途端に足許が悪くなる.
坂道を上り終えて,12時42分に鎌倉逗子ハイランドの住宅地に到着する.
そのまま住宅地沿いの緑地の中を歩いて,12時47分にハイランド緑地の広い芝生に到着する.ここで昼食を摂る.
昼食後,例によって,幹事からストレッチ体操の音頭を取れというご下命がある.私は,登山学校で習ったストレッチを披露する.
<浅間山・衣張山>
■浅間山山頂
13時52分にハイランと緑地を出発する.
緑地の端から,浅間山に向けて階段道を登る.急坂を数分登ると稜線に出る.すぐに見晴の良い場所に到着する.春には一面の山桜が見下ろせる所である.ここで,風景を楽しみながら一息入れる.
暫くの間,尾根道を辿って,14時09分に浅間山(標高約120m)に到着する.春霞のためか遠目は利かないが,眼下には先ほど中傷を食べていたハイランド緑地の端からかまくら幼稚園が見えている.その先にパノラマ台,長勝寺裏山,材木座海岸が見えている.
ここで景色を見ながら5分ほど休憩をとる.
■衣張山
浅間山から歩き出す.小さな鞍部を越えて,14時18分に衣張山山頂(標高120m)に到着する.ここからの眺望は,さらに素晴らしい.北西の方向に大船観音,南西には由比ヶ浜が見下ろせる.まるで,自分が鳥になって,下界を見下ろしているような感じである.
この山には源頼朝に関わる伝説が残っている.
「ジリジリと夏の日差し照りつけるある日,頼朝はこの山を白絹で覆わせて雪山に見立て,屋敷から眺めながら歌を詠み,主演を開いて夏の涼をとった」という(鎌倉商工会議所,2008,p.153).
■石切場
14時25分,衣張山山頂を出発する,山頂から急な階段を下る.すると,鎌倉霊園方面の眺望が開ける.ほんの数分で,山頂直下にある石栗場跡に到着する.お師匠さんとジャイアンさんが持参した懐中電灯の光を頼りに,石切場跡に入ってみる.
石切場の穴は,それほどの奥行きはないが,それでも,鬼気迫る雰囲気がある.ここで,余り長い時間,過ごしたくないなという気分になる.
天井近くの壁面を見ると,採掘を中止する直前の様子がそのまま残っている.
この石切場がいつ頃まで採掘が続けられていたかは,私には分からない.また,私が知る範囲の文献には,この石切場に関連する記述は見当たらない.俗に,関東大震災辺りまでは発掘されていたとも言われるが,証拠となる根拠があるかどうか分からない.
■田楽辻子
数分間,石切場を見学した後,平成の巡礼道といわれる山道を下って,14時51分,田楽辻子に到着する.田楽辻子は宅間ヶ谷と犬懸ヶ谷を結ぶ小径のことである.田楽は平安時代からあった民間芸能のことである(鎌倉商工会議所,2008,p.58).この辺りには田楽師の家があったことから田楽辻子という名前が付いたといわれる.
<釈迦堂ヶ谷から東勝寺橋へ>
■釈迦堂口切通
浄明寺1丁目で左折,釈迦堂ヶ谷を南へ向けて遡る.やがて,釈迦堂口切通(あるいはトンネル)に到着する.ここは映画のロケなどにも良く利用される所である.私達は圧倒されるような岩を見上げながら,トンネルを潜って,大町側に出る.
釈迦堂の名前は,三代執権北条泰時が,亡父義時追善供養のため,この谷戸に釈迦堂を建てたことに由来するといわれる(鎌倉市教育研究所,2000,p.303).
この切通は,いつ頃造られたものか分からない.案外,新しいのではないかという説もある.真偽のほどは分からない.
■祇園山隧道
釈迦堂口から大町に出る.辺りの雰囲気が一変する.大町の住宅地を南へ下る.狭い道路をときどき自動車が通る.歩いていると結構鬱陶しい.
大町3丁目の三叉路を右折して電通鎌倉研修所の方へ向かう.途中でさらに左折する.住宅地の中の坂道を登る.やがて,祇園山ハイキングコースのある尾根の下を潜る祇園山隧道に到着する.車1台が通れるだけの道幅のトンネルである.
■東勝寺橋と青砥藤綱
このトンネルを潜って小町3丁目に出る.ダラダラと坂道を下って,東勝寺跡近くの東勝寺橋を渡る.この端は,1924年に建造されたアーチ橋.当時の姿を残すこの橋は貴重だという.
ここで5分ほど休憩を取る.
この橋には「青砥藤綱銭拾い伝説」というのがある.例の10文の銭を落として,50文出して,この銭を拾ったという伝説である.しかし,藤綱という人物そのものが実在したかどうか疑わしいという(鎌倉商工会議所,2008,pp.153-154).
■小町通「モア」で解散
小町大路を南へ下る.妙隆寺の境内を抜け,宇津宮幕府跡を通過する.ここから若宮大路を横断して,小町通に到着する.
16時20分,鎌倉駅近くの喫茶店「モア」で解散する.希望者だけで懇親会を開催する.
[ラップタイム]
10:15 鎌倉駅前歩き出し
11:00 瑞泉寺(11:25まで見学)
12:33 華頂宮邸(12:23まで休憩)
12:47 ハイランド緑地(13:52まで昼食)
14:09 浅間山
14:18 衣張山(14:28まで休憩)
14:51 田楽辻子
14:55 妙隆寺
16:20 小町通「モア」(解散)
[散策記録]
■水平歩行距離 9.8km
■累積登攀下降高度 307m
■所要時間(休憩時間を含む)
鎌倉駅 発 10:15
小町通「モア」着 16:20
(所要時間) 6時間05分(6.08h)
歩行速度 9.8km/6.08h=1.61km/h
[参考文献]
鎌倉商工会議所(編),2008『鎌倉観光文化検定公式テキストブック』かまくら春秋社
鎌倉市教育研究所(編),2000『かまくら子ども風土記(上)』鎌倉市教育委員会
(おわり)
「鎌っこ倉ぶ」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b03a9ed59b4db0af1bf5045c50309d6e
「鎌倉あれこれ」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/7a8ddf34d9f3df358e83e025ffb73985
「鎌倉あれこれ」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/39e35dfab69427b38b7d6a78574eed4e