中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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北穂高岳・涸沢岳・奥穂高岳縦走(3)

2007年08月28日 04時32分40秒 | 北アルプス
            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
            北アルプス:北穂高岳・涸沢岳・南穂高岳縦走(3)
                            北穂高岳へ
                     (山旅スクール挑戦コース)
              2007年8月19日(日)~22日(水)
            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


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第2日目 8月20日(月)
 曇一時晴

<北穂高岳を目指して>

■真っ暗な中を出発

 余りよく眠れないまま朝を迎える。
 今日の天気予報は余り良くない。午後からは雷雨も予想される。そのために今朝はできるだけ早く歩き出すことになっている。
 3時15分に起床する。昨夜,明神館が用意した朝食弁当をボソボソと食べる。パン3個,オレンジジュース,スクランブルエッグのパック,チョコレート,チーズが紙袋に入っている。別に不味いわけではないが,パンが何となくボソボソしているし,何といっても朝3時過ぎの朝食は早すぎる。やっとパンを1個食べただけで朝食を終える。残りは行動食として持ち歩くことにする。
    
                     <横尾山荘の朝食弁当>

 建物の外へ出る。まだ真っ暗である。闇の中でウオーミングアップ。夏とはいえ,ここは標高1,630メートルの高原である。外気は防寒着が必要なほど薄ら寒い。
 4時11分,ヘッドランプの明かりを頼りに歩き出す。明神館から暫くの間は,整備が行き届いた登山道が続く。ガチャ眼の私には,ヘッドランプの光だけでは暗くて足元が何とも心許ない。

■本谷橋へ
 4時41分,標高1,735メートル地点で衣服調整のために6分ほど休憩を取る。辺りはいつの間にかかなり明るくなっている。登山道は次第に本来の山道らしくなり,路面には小石や砂利がごろごろと転がり,勾配もだんだんと強まってくる。進行方向左手には広い河原が続いている。その先には垂直に切り立った屏風岩が聳えている。湘南カラビナ隊のメンバーである仙人は,この屏風岩を登ったという。実際に間近でこの岩を眺めると,仙人は凄いなとつくづく思う。
 5時31分,本谷橋(標高1855m)を渡る。長い吊り橋である。渡っていると,橋が大分揺れはじめる。中には不心得者がいて,わざと揺らせている気配がする。橋のたもとで8分ほど休憩を取る。
   
                      <本谷橋を渡る>

■涸沢小屋で休憩
 本谷橋を5時39分に出発した私達は,やがて涸沢カールの中を,東の方向に登り続ける。南の方向に屏風の頭(2565m)が聳えているのが見える。空は良く晴れている。ギザギザと続く山稜が青空の中でクッキリと見えている。
 6時33分,2085メートル地点で,10分ほど休憩を取る。この辺りから,私達は涸沢カールの中に入っている。所々に雪渓が残る前穂高岳,奥穂高岳,涸沢岳が屏風のようにカールを取り囲んでいる。
 
        <涸沢小屋が見え出す>                <穂高連峰遠景>

 7時38分,私達は涸沢カールの真っ直中に立っている涸沢小屋(2350m)に到着する。私達は,小屋前のテラスに座って,25分ほど休憩を取る。テラスからの眺望は素晴らしい。向かって右上,ザイテングラードの南側には,テラスの下まで達する大きな雪渓が残っている。雪渓の谷間の向こう側に,帰路に宿泊する予定の涸沢ヒュッテが見えている。
 テラスの座って休んでいると,目の前を沢山の登山客が往来する。

■ザイテングラード見下ろしながら登る
 8時05分,涸澤小屋を出発する。登山道を一寸戻って,いよいよ北穂高岳登山道に入る。直ぐに急な尾根道になる。岩稜が累々と積み重なっている。段々と高度が高くなり,眼下にザイテングラードと大雪渓が見えている。
 あのザイテングラードは,明日下る予定である。私は,ザイテングラードには特別な思い出がある。今から7~8年前,私は勤務先の同僚らに連れられて,生まれて初めて北アルプスを訪れた。それまで,北アルプスへ行くなど,見果てぬ遠い夢のことだと思っていた。初めてのザイテングラードには面食らった。岩稜が初めての私には,ザイテングラードはまるで垂直に無限に立ちはだかる岩壁のように思えた・・・今,歩くと平凡な岩場だが・・

■吊り尾根を眺めながら登る
 8時51分,標高2,575メートル付近で,8分ほど休憩を取る。目の前には前穂高岳から奥穂高岳の間の稜線,吊り尾根が手に取るような近さで見えている。その吊り尾根の麓には大きな雪渓が涸沢に向かって流下しているのが見える。素晴らしい景色である。

                 <迫力のある吊り尾根>

 8時59分に再び歩き出す。この辺りから登山道は一段と急峻になる。ハシゴを登る。岩稜に続く急なジグザク道を登り続けて,9時42分,標高2,760メートル地点で,また7分ほど休憩を取る。標高が2,500メートルを越える高所では,私達にとって,1時間に200メートルほど登るのが,どうやら最適登攀速度のようである。

                <もう少しで北穂高岳山頂だ>

 ここから先は一段と岩稜が荒々しくなる。急な岩場を喘ぐように登り続ける。そして,標高2,900メートル地点で,小休止して給水をする。11時16分,涸沢岳からの登山道と合流する。そして,一旦,坂を下って,再び登り返して,11時31分に,無事,北穂高岳北峰山頂(3,060m)に到着する。

■北穂高岳山頂を目指して
 北穂高岳山頂は一面に礫でおおわれた一寸した広場になっている。寝ころんでみると陽光が程良く照っていて,とても気持がよい。暫くの間,寝ころんだまま,ついウトウトする。寝ころびながら,数年前に仙人やジャイアン達と白馬岳に登ったときのことを思い出す。あのときも白馬岳山頂にゴザを敷いて,半時ほど昼寝をしたっけ・・・突然,
 「flower-hillさん,大丈夫ですか・・・?」
とリーダーの西方ガイドから声を掛けられる。私が,具合が悪くなって,横になっていると勘違いしたらしい。この心遣いが嬉しい。ところが,すかさず,側にいた添乗員のヤマンバさんが,
 「そんなことないよ・・・気持ちが良いんで寝てるだけでしょ・・・」
と憎まれ口を叩く。まったくその通りだが,少しは心配してよ・・・高齢者なんだから・・・と心の中で,ちょっとばかり反発する。

                 <北穂高岳山頂で記念写真>

 山頂で集合写真を撮影する。一同,ギャアギャアとうるさい。少し緊張感を持ったら・・と諭したくなるが,おばさん達が怖いので黙っている。男は,ただ,ただ,小さくなっているだけである。情けないけど仕方がない。トホホ・・・
 そうこうしている内に,山頂に霧が掛かり始める。太陽が雲に隠れた途端に寒くなり出す。私達は,明日の山行に備えて,ショートロープ歩行の練習を,ほんの少し実施して,12時頃,山頂直下の北穂高岳山荘にチェックインする。

■北穂高岳山荘
 北穂高岳山荘,山頂から石段を数十段ほど下った山頂直下の狭いところに建っている。今日も沢山の登山客で賑わっている。それでも私達が通された区割りは十分に広くて,1枚の布団を1人で占有できるだけのスペースはある。
 まずは昼食のラーメンを注文する。高いところで食べるラーメンは最高である。玄関前のテラスに座り込んで,辺りの景色を眺める。眼下に,昨年,キレット越えをして,北穂高岳までたどり着いた稜線が,山稜を縫うようにうねうねと続いているのが見える。絶景を見ながら,昨年のことを思い出す。
 
                                 <山荘のテラスから前穂高岳を望む>      

 空が次第に雲で覆われ始める。昨年も,この北穂高岳山荘に到着した途端に,強い雨に見舞われたことを思い出す。あのときは涸沢ヒュッテまで降りる予定を取りやめて,北穂高岳山荘で1泊した。
 17時から夕食。メインディッシュは豚肉のショウガ焼きである。食器が全て本物の陶器である。それに山荘のマークが入っている。素晴らしい。
 
          <北穂高岳山荘の夕食>                <岩雲雀が可愛い姿を表す>

 夕食後,テラスで夕暮れを眺める。
 どこからともなく岩雲雀が1羽,可愛い姿を表す。チョコチョコと動き回るので,なかなかカメラに収まらないが,ようやく1枚だけ写真を撮すことができた。

               <槍ヶ岳が手に取るように近くに見える>

 日没の頃になると辺りに濃い霧が立ち込め始める。日没の風景を楽しむことができないので,そのまま部屋に引き揚げる。
 19時頃,就寝。
 こうして,第2日目が終わった。
                                                 (つづく)


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