＜山麓の白い花＞
セピア色の画集（６）北アルプスをボールペンで（１）
追憶の情景
２００９年３月１４日（土）
低気圧が本州を通過した．午前中は強い風雨が吹き荒れた．そして，ＪＲ東京発のブルートレインのラストラン．
私は，いくら天気が悪くても，終日，家に籠もっているのが，堪らなく気分が良くない．とはいえ，そのお陰で，ブログに掲載しなければと焦らなければならない山行記事も一段落である．午前中は，仕方なく，雨の音を聞きながら，パソコンに向かって，ノンビリした時間を過ごす．
不意に，体内のどこからともなく，
「美味しいコーヒーが飲みたい・・」
という無理な要求が出始める．
自宅のコーヒーミルで，ペルーで買い求めたコーヒー豆を挽いて，ドリップコーヒーを入れてみる．でも，どうも美味しくない．
そうこうしている内に，午後になる．いつの間にか，上空に怪しい雲が忙しく動いているものの，雨は止んでいる．せっかちな私が，ものぐさの私を急き立てる．
「鎌倉駅前まで，コーヒー，飲みに出掛けましょうや・・・」
「ええ～っ・・・コーヒー，飲むだけのために，鎌倉駅まで出掛けるの・・？」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局，私は，午後から，鎌倉駅まで出掛けることにした．その序でに，どこかのコンビニで，来週，3月18日に開催予定の五十三次洛遊会の資料をコピーしようと思う．
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ぶらぶらと歩いて，鎌倉駅西口に到着する．
つい先ほどまで雨が降っていたのに，鎌倉駅周辺は，沢山の観光客で賑わっている．リュックを背負った中高年のオバサン達が，背中を丸めながら，源氏山方面に向けて歩いている．揃いのヤッケを着た団体客もいる．観光客の皆さんの元気な姿を見ていると，私も浮き浮きとしてくる．もうコーヒーなどどうでも良くなってくる．
「・・・そうだ！ 今の内に，ブログに『セピア色の画集』の続きを掲載しておこう・・・」
と思い立つ．
思い立ったら，それはもうコーヒー所ではない．私は，もうすぐ鎌倉市役所前を発車する鎌倉中央公園行のバスに飛び乗る．そそくさと家に帰り着いた私は，早速，パソコンの前に座る．私は，
「はて！・・・私は，一体，何をしに鎌倉駅まで出掛けたんだろう・・・？」
と自分自身の行動を訝る．
「バカだな・・・俺は！」
所で『セピア色の画集』を再会するにしても，一体，どこから始めようか？ 私は，大いに迷う．でも，体系立てて考えるのも面倒である．そこで，たまたま机の近くに放置してある2冊ノートを，ペラペラと開き，そこにあるペン画を数枚取り上げることにしたい．
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
北アルプス表銀座をボールペンで
燕岳
2002年9月9日．この頃，私の登山技術は幼稚で，脚力も貧弱であった．私は鎌倉浄明寺に住む山友達の仙人とともに，生まれて初めて表銀座を縦走した．初めて見る北アルプスの偉容に圧倒されっぱなしの毎日であった．
私は，閑さえあれば，ノートを開いて，ボールペンを使ってスケッチを繰り返した．懐かしいこのノートには数十枚のスケッチ画が残っている．その中から取りあえずは数枚，疲労することにしよう．
まずはピラミダルな燕岳．花崗岩特有の白い岩肌の中に沢山のキノコのような岩が並んでいる．何とも印象的な風景だった．
＜燕岳全景＞
朝焼けの槍ヶ岳
2002年9月10日．ヒュッテ槍ヶ岳で朝を迎える．朝焼けの槍ヶ岳が聳えている．ノートを開いて，ボールペンでスケッチする．残念ながら，ノートの折り目が画面を二分している．
白黒の画だが，岩肌の白い所が紅色に輝いている．でも光が射し込まない山麓は，まだ薄暗い．このコントラストが実に素晴らしい．
もう６年も前の情景だが，今でも，この紅色の槍ヶ岳を良く覚えている．近々，このボールペン画を拡大して，水彩画にしたいなと思っている．
＜朝焼けの槍ヶ岳＞
（つづく）
「セピア色の画集」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/86157462756831e1ed7c763d134052a9
「セピア色の画集」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/15c394d3fe1cb9692a0f5af553b12d8f
