<花立山荘から下界を見下ろす>
今年最高の蒸し暑さに負けて花立山荘で下山した丹沢;塔ノ岳(2019年22回目)
(上り単独,下り常連と一緒)
2019年7月20日(土) 曇:蒸し暑い一日
<ルート地図>
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▇朝から蒸し暑い
週間天気予報を見ていると,今週は今日しか塔ノ岳に登る適当な日がない.今日一日は曇りがちながらどうやら雨の心配はなさそうである.
”ならば塔ノ岳だ!”
私は即座に塔ノ岳行きを決める.前回塔ノ岳に出掛けたときは,
”もう塔ノ岳には登れない”
と独りでわめいていたくせに・・・
4時過ぎに自宅を出発する.まだ夜明け前だというのに猛烈な湿気と熱気でたちまちの内に汗ばんでくる.
”この調子では,今日は最悪のコンディションになりそうだな・・・”
大船駅へ向かう道すがら,私は幾度となく,やめて自宅へ戻ろうかと思ったが,結局,大船駅に到着してしまう.今日は夏至から約1ヶ月.心なしか日ノ出が幾分遅くなったような気がする.
何時ものように小田原で小田急電車に乗り換える.途中,車窓から富士山と矢倉岳を眺めるのを楽しみにしているが.今日はさすがに富士山は雲の中,矢倉岳の山裾から雲が沸き立っているのが見える.
▇バス停大倉から歩き出す
小田急線渋沢駅から大倉行路線バスに乗車する.乗り合わせた常連は韋駄天のKMさん,IWIさん,それにYSさん,AIさん,MTさん,KIさん,IIZさん他.
路線バスは7時02分にバス停大倉に到着する.
7時06分,常連さん達と前後して,大倉から歩き出す.今日は今年になって最高の蒸し暑さなので何よりも熱中症に罹るのが気がかりである.それに足許が随分と濡れているので,これから先,登山道の供給はあまり良きなさそうである.私は,今日の山頂は堀山の家にしようかなと弱気である.
私は路傍のアジサイを眺めながら,力なく登り始める.
”ああ~,体が重いなあ・・・”
情けないことに,歩き出した途端に,”今日は駄目ダ!”で意気消沈.
”今日は堀山の家辺りまで登って終わりにしようかな・・・”<路傍のアジサイ>
▇日の”当たらない”坂道
7時18分,克董窯の前を通過して,濡れた石ころが敷き詰められた道に入る.まるで山ヒルの住み家のようなところである.道に引かれた礫の表面が雨に濡れてヌルヌルになっている.実に滑りやすい.こんなところで転倒して痛い思いをするのは真っ平なので,実にユックリと慎重に歩き続ける.
ムッとする湿った熱気が私の体全体を囲み込んでいる.蒸し暑さで体全体が火照って膨らんだような気分である.どんなにユックリ歩いても汗が噴き出るので参ったな!
登山道に敷き詰められたヌルヌル石がと滑りやすい.それに沢山の山ヒルが潜んでいそうで何とも不気味である.
7時24分,丹沢ベースを通過して,日の当たる坂道に差し掛かる・・・が,今日は”日の当たらない”坂道である.天気が良ければ,ここで真横から射し込む日光と山麓から吹き上げてくる涼しい風でホッとできるところだが,今日は全くダメ.蒸し暑いままである.ただ,どこからかウグイスの啼き声が聞こえてくるだけちょっとした救いになっている.
<日の”当たらない”坂道>
▇雑事場ノ平
7時55分,ようやく観音茶屋を通過する.
観音茶屋から先のジグザグの急坂をノソノソと登る.その間に,何人かの登山者に追い抜かれる.それにしても,今日はやけに気勢が上がらないなと思いながら,7時55分,雑事場ノ平を通過する.ここまで登ると,何時もなら尾根を越えて流れる風が汗を吹き飛ばしてくれるはずだが,今日は全く風がない.実に残念.
<雑事場ノ平>
▇見晴茶屋からの眺望
7時57分,見晴茶屋に到着する.まずは茶屋前からの展望をデジカメに収める.向かい側の稜線の向こうに湿気に煙る秦野の市街地と海か空か分からない空間が広がっている.
つい先日まで景色を遮るように生えていた草が刈り取られたのか,スッキリとした鳥瞰が楽しめるようになっている.
<見晴茶屋からの見晴>
▇見晴階段
見晴階段に差し掛かる.
例によって階段の下から階段を見上げた写真を撮るが,土曜日にしては珍しいほど登山客の姿が疎らである.
”あ~ぁ・・・! この階段を登るんか・・・”
と思わずため息が出る.
<見晴階段>
▇一本松
見晴階段をやっと上り終えて,モミジ坂に差し掛かる.暫くの間,単調で長い登り坂が連続する.ここはシンドイがまあ我慢して登り続けるしかない.
8時06分,後に人の気配を感じる.振り返ると,私達が乗ったバスより1本遅いバスで来られたMGさんである.
「やあ,おはようございます」
とMGさんが私に挨拶.
「蒸し暑いですね・・・」
「今年一番の蒸し暑さですね・・・」
「私,今日は塔ノ岳山頂までは登れないので,途中で下山します・・・「少し先にAIさんが居られますよ・・・」
ということで,NGさんは私を軽々と追い越していく.
8時20分,ようやく一本松を通過する.
<一本松>
▇駒止茶屋
駒止階段をやっと登って,8時43分,漸く駒止茶屋を通過する.ここまでは大変な蒸し暑さとの戦いだったが,駒止茶屋から先の堀山の水平道(今後,当ブログでは美女平と呼ぶ.理由は前回のブログ記事「丹沢の山旅」参照).
駒止茶屋を通過すると何となくホッとした気分になる.これから暫くの間は起伏の緩やかな尾根道が連続するからである.
<駒止茶屋>
▇心地よい美女平
駒止茶屋から先は,ほぼ水平な尾根道(美女平)が連続する.どうせ今日は山頂まで登るつもりがないので気楽な旅である.
気がつくと,つい先ほどまで蒸し暑くて参っていたが,ここは風通しも良く,流れるような汗も,気がつくと何時の間にか引っ込んでいる.とても良い気分.周囲の木々の緑を楽しみながら,敗残兵のような足取りで歩き続ける.
<堀山の尾根道;美女平>
▇堀山の道標
8時27分,下山してくるKSさんとすれ違う.
「今日は山頂まで行ってきましたよ・・・」
と意気揚々風に私と握手.お互いに健闘を約してお別れする.KSさんが元気なのが何よりも嬉しい.
8時56分,堀山の道標前を通過する.ここから小草平までは10分の道のりである.
私は周囲の緑に慰められながら,ここから先,暫く続く坂道をユックリと下る.
<堀山の道標>
▇小草平
一寸した坂道を登り返して,9時06分,ようやく本日の終点,小草平に到着する.大倉から歩き出して2時間も経過している.堀山の家の温度計は21.5℃を指している.
”こりゃ~・・・駄目ダな!”
念のため,富士山を眺めるが,案の定,雲の中.ただ,今日の雲は割合高いところにできているらしく,近場の山ははっきり見えている.
私は堀山の家で一服してから下山するつもりだったが,残念ながらまだ堀山の家は開店前である.
どうしようかなと思いながら立ち休憩を取っている間に,気温の割りには何となく涼しい感じがしてくる.勿論,ここの気温も絶対値としてはかなり高いが,山麓の大倉辺りと比較すると相対的に涼しく感じるのだろう.
”・・・ん,じゃあ~,もう少し登って萱場平を今日の終点にしようかな・・・”
・・・ということで,1~2分の立ち休憩の後,また登り始める.
<小草平に到着>
▇萱場平
どうせ萱場平で下山するのなら,時間はたっぷりある.私は谷間から聞こえてくる鳥の声を楽しみながら,ユックリのんびりと登り続ける.登りながら某団体から依頼を受けている講演の内容のことを考えたり,今度の展覧会に出展する絵のことなどを,バックグラウンドジョブにしながら,登り続ける.すると,あっけないなと思えるほど早く萱場平に到着する.実際にはかなり時間が掛かっているのに・・・
”では,ここで昼食にしよう・・・”
ということでベンチに座って,ニギリメシを一つ頬張る.
<萱場平>
▇花立階段下
食事をしている内に,まだほとんど疲労感がなく,また,案外涼しいことに気がつく.
”ならば,今日の終点は花立山荘か花立山にしよう・・・!”
ということで,当初の予定を越えて登り始める.
どれのどの時間を掛けたかは正確には記録していないが,なんとなく花立階段下に到着する.
ここは富士山のビューポイントである.ただ今日は残念ながら富士山の山麓しか見えていない.そ山麓でも見えただけマシだと思って,数枚の写真を撮る.そして,やおら花立階段を登り始める.
<花立階段下から富士山を望む>
▇花立山荘
10分ほど掛けて花立階段を登り切り,10時06分に花立山荘に到着する.大倉を歩き出してから丁度3時間経過している.元気な頃ならそろそろ金冷シに到着している時間である.
私は折角ここまで登ったのだから,花立山まで登ってから下山しようかと思っていた.
ところが,意外なことに,私よりとっくの昔に登っていると思っていたAIさんと,YSさんが山荘前のベンチに座っている.
”あれ,どうしたんですか・・・?”
とお二人に伺う.
「暑いので,ここで終わりにしました・・・」
とのこと.
ちなみに花立山荘の気温は21℃.小草平と余り変わず高温である.
お二人に会った途端に,花立山まで登ろうという気持ちは消滅した.私の今日の山頂は,ここ花立山荘までとする.
<花立山荘から富士山を望む>
▇富士山の写真を撮って下山開始
10時27分頃,お二人が,
「私達,下山が遅いので先に降ります・・・」
ということで,下山を開始する.
私も決して速くは下山できないが,まだ花立山荘からの富士山の写真を撮っていないので,急いで数枚の写真を撮る.そして,10時29分,花立山荘から下山開始.
階段を十数段降りたところで,塔ノ岳山頂まで登ったMGさんが私に追いつく.
「直ぐ先に,AIさんとYSさんが居ますよ・・・」
それぞれがそれぞれの速さで下山し続ける.花立階段を半分ほど下ったところで,登ってくる山旅スクール同期のTBさんとバッタリ.TBさんは山頂まで登られるつもりだったようだが,私達と出会ったために一緒に下山することになる.
花立階段がが終わったところで5人が一緒になる.しばらく一緒に下山するが,途中でYSさんから,先に行ってくれとのことなので,それぞれが思い思いの速度で下山し続ける.
私は,堀山の家近くの階段道まではMGさんの直ぐ後に続いて下山していたがガレ場にはいってから追いつけなくなる.ここから暫くの間は独り旅.
▇駒止茶屋から下は焦熱地獄
10時56分,小草平を通過する.その先,堀山の登り返しで,私の歩行速度は極端に遅くなる.
堀山の道標(つまり美女平)を通過する頃は,後ろの方からTBさんとAIさんの話し声が聞こえてくるほど,お二人との距離が縮まる.お二人を待っていようかとも思ったが,立ち止まるのも面倒なので,そのまま惰性で歩き続ける.
11時13分,駒止茶屋を通過する.そして,駒止階段を降り始めた途端に,ムツとする空気が淀んでいるのに気がつく.やたらにむし暑い.階段の途中で若者10数名が立ち止まっている.どうやら蒸し暑さに大弱りのようである.
「・・・この階段を登り切ると,ちょっと涼しくなりますよ,もうひと頑張り・・・」
と声を掛ける.
さらに下山の独り旅が続く.
▇観音茶屋で氷水
11時51分,観音茶屋に到着する.
このまま急げば12時10分のバスに間に合うかも・・・でも氷水も食べたいなと迷う.
ふと茶屋の中を覗くと,私より先に下山したMGさんが氷水を食べている.途端に私もヘナヘナと観音茶屋に立ち寄って,釣られるようにして,氷水を所望する.
私が氷水を食べ始める頃,AIさんとTBさんが観音茶屋に到着する.少し間を置いてYSさんもご到着.期せずして先週の土曜日と同じように何人もの常連さんが一緒になり,賑やかな一時を過ごす.
”やっぱり,観音茶屋に立ち寄って良かったナ”
私にとって,常連の皆さんの元気な姿に接するのが,健康保持のための一番の妙薬である.
<観音茶屋の氷水>
▇独り先に下山
12時20分,観音茶屋を出発する.
皆さんは大倉発13時10分のバスに乗車される予定.私は家の事情から少しでも早く帰宅したかったので,急いで下山し続ける.勿論危険を冒してまで無理な歩き方はしない.そして,12時34分,無事,バス停大倉に到着する.どうやら,観音茶屋から急げば,15分でバス停大倉まで辿り着けることを改めて確認する.
渋沢から小田原経由で東海道本線に乗り換える.ほとんど待ち時間もなく小田原発の上り電車に乗車する.4人掛け1ボックスを一人で占領したまま大船までゆったり旅を続ける.
気がつくと,今回は疲労感が全くない.やっぱり蒸し暑いときは自重して登るに限ると実感した次第である.たとえ塔ノ岳山頂まで行かなかったにせよ,標高差1,000メートル以上を登り下りした満足感はそれなりにある.塔ノ岳山頂まで行かなかったのが,ちょっと残念だけど・・・
”年は取っても,それなりに登山をすることができるかも・・・”
というのが今回の実感である.
<ラップタイム>
7:06 大倉歩き出し
7:35 観音茶屋
8:57 見晴茶屋
8:43 駒止茶屋
9:06 堀山の家(9:13まで休憩)
10:06 花立山荘
10:29 〃 発
10:56 堀山の家
11:13 駒止茶屋
11:37 見晴茶屋
11:51 観音茶屋(12:20まで雑談)
12:34 大倉着
[山行記録]
▇水平歩行距離 5.4km
▇累積登攀下降高度 1,058m
▇上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7:06
花立山荘着 11:06
(所要時間) 3時間00分(3.00h)
水平歩行速度 5.4km÷3.00h=1.8km/h
登攀速度 1,058 m÷3.00h=353m/h
▇下り所要時間(休憩時間込み)
花立山荘発 10:29
大倉着 12:34
(所要時間) 2時間05分(2.08h)
水平歩行速度 5.4km÷2.08h=2.60km/h
下降速度 1,058m÷2.08h=509m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
https://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/e1975bf372852d7d9442b8adda469b09
「丹沢の山旅」の次回の記事
https://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/baa805e7cc9cd3d1af81d53b8466a50d
お断り;
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