<営業部長は別棟でのんびり昼寝>
新春の丹沢:猫が居眠りする塔ノ岳
(登頂第1回)
(トドさんチーム)
2008年1月7日(月)
一昨日(1月5日),湘南カラビナ隊の大山初詣を行った。参加者はちょっと少な目の7名だった。そのとき,メンバーの一部から,近々,是非,塔ノ岳に登りたいという提案があった。ところが,皆さん暇なようで結構忙しいらしくて,なかなか日程が決まらない。私は,すでにサンデー毎日の身の上なので,登頂は何時でも構わないが,希望者全員の都合の良い日を,ここ数日の間に絞り込むのは不可能である。そこで,取りあえずは,今日1月7日(月)と,9日(水)の2回に分けて,塔ノ岳へ登ることにした。そして,私,flower-hillは,両方にご一緒することに決めた。
まずは,今日,1月7日(月)。希望者はドッジさん。もう少し参加者を増やしたいと言うことで,ドッジさんがトドさんをメールと電話で参加するように口説いた。その結果,ドッジさん,トドさん,それに私の3名で,1月7日に塔ノ岳へ登ることになった。
ところが,・・・である。
1月7日に登りたいと強く主張していたドッジさんが,朝になって「風邪を引いて参加できない」とドダキャン。病気なら仕方がないが,私は,内心で「またか!」とやるせない気分になる。それでも,もう家を出てしまったので,今更,中止する訳にも行かず,図らずもトドさまと2人で,塔ノ岳新年初登頂をすることになった。
<地形図>
<プロフィールマップ>
※プリントすると綺麗に見えます
■バス停大倉を出発する
何時ものように,大船発6時04分発東海道本線静岡行で小田原へ。そこから小田急線で渋沢へ出る。ドッジさんがドタキャンしたので,図らずもトドさんと二人旅になる。
結果的に,今回はトドさんと二人旅になったが,私達の登山学校の仲間内では,トドさんと一緒に歩きたいと言う人が沢山居る。そう思われるだけでも,トドさんは幸福な方だなとつくづく思う。
大倉発7時16分大倉行のバスに乗車する。何時もに比較すると,登山客は随分と少ないようである。冷え切ったバスの車内にパラパラとしか乗客が居ない。
7時28分にバス停大倉に到着する。何時花立山荘を通過する頃すれ違う三角髭の紳士が同じバスに乗っていた。お互いに,
「今日は暫くぶりですね」
と挨拶し会う。
「私,この頃,他の所へ行っていて,大倉尾根は余り登っていないんです。でも,まあ,1週間に一度程度は大倉尾根に来ていますが・・・」
「1週間に1度登っているんですか・・・随分登られて居るんですね。私も大倉尾根を年間50回登ろうと思っていたんですが,結局45回しか登れませんでした・・・今日は山仲間と一緒に登りますので,後からユックリ登ります」
髭の紳士は,私達より一足早く登り始める。
今日の天気予報は,日中は晴,午後から曇りになり,夜は所によって雨となっている。下山するまで何とか天気が持ちこたえることを願いながら,何時ものように,7時40分に大倉バス停を歩き出す。
■雑事場ノ平で休憩
今日は徹底的にトドさんのペースで登ろうと心に決める。そのために,トドさんの前を歩くことは絶対にせずに,終始,後に付いて歩くように心掛ける。
7時48分に登山口を通過する。すでに,歩き出してから8分も経過している。私一人で登っているときは,登山口までの所要時間は5分程度である。私は,頭の中でザッと計算して,今日の山頂までの所要時間は多分4時間前後になるだろうと予想する。
杉林に入る。路面は乾いている。このまま雨が降らなければ,帰りも滑らずに歩けそうなのでホツとする。
8時10分に観音茶屋に到着する。ここで,給水のために2分ほど経ち休憩を取り,直ぐに歩き続ける。さらに,8時31分,雑事場ノ平で,給水休憩を取る。
■堀山の家
8時36分,見晴茶屋を通過する。ここから,このコースで最初の急坂になる。以前,トドさんチームで登ったときに比較すると,かなり良いペースで登り続ける。私は「今日は案外良いペースで登れそうだ。ヒョッとすると山頂まで4時間を切る時間で登れるかもしれない」と思い始める。
8時54分に一本松を通過する。いつの間にか上空に薄い雲が立ち込めている。如何にも冬らしい曇り空になり始める。そして,駒止茶屋手前のなだらかな尾根路に辿り着く。薄雲の中に雪で真っ白になった富士山が見えている。
前方,右手には,これから登る山頂に花立山荘が建っているのが良く見えている。この辺りまで登ると,足元には霜柱が残るようになる。
9時32分に堀山を通過し,9時42分に堀山の家に到着する。小屋の前のベンチで暫く休憩を取る。ベンチから,大きな杉の木の間に富士山が良く見えている。
<堀山付近から富士山を眺める> <堀山の家から富士山を眺める>
■ようやく花立山荘へ
いよいよ急な階段が連続する難所に差し掛かる。途中で何人かの登山客に追い抜かれるが,それでもかなり良いピッチで登り続ける。そして,10時13分に萱場平を通過する。何時ものことながら,霜が溶けて,萱場平一帯は泥濘になっている。 登山道近くの木の枝で2羽のコゲラが忙しげに枝から枝へと飛び回っている。
ゆっくりとしたペースで花立山荘手前の長い階段を登り続ける。標高が上がるに連れて,だんだんと寒くなってくる。なかなか快調なペースで登り続けるが,何時もの一人旅の時に比較すれば,かなりユックリのペースで登っているので,殆ど汗をかかないだけでなく,随分と寒くなる。花立山荘のちょっと手前で中年の女性に追い抜かれる。この女性,哀れむような視線を私達に向けて,
「この辺りが,一番大変なところですね」
と挨拶する。
10時47分,私達も花立山荘に到着する。ここで暫く休憩を取る。私は寒さに耐え切れずに,ウインドウブレーカー代わりに雨具上着を着用する。いつの間にか雲が厚くなり,先ほどまで見えていた富士山は,雲に覆われて,殆ど見えなくなっている。
■塔ノ岳山頂
10時52分に花立山荘を出発する。私は,
「この調子だと,11時30分過ぎには山頂に到着しますよ・・・4時間は切れるかもしれませんよ」
と言って,ドドさんを励ます。
「これから,まだ,まだ・・・どうなるか分かりませんよ」
とトドさんは懐疑的。私達前後には全く登山者が居ない。珍しく閑散としている。私達も案外良いペースで登り続ける。山荘から暫くの間,緩やかな上り勾配の道を登ると,露岩帯に出る。今日は上空に厚い雲が漂い始めているので,いつもは良く見える南アルプスの山々も,残念ながら雲の中である。
11時11分,金冷しを通過する。少し平らなところを過ぎると,勾配はそれ程きつくはないが,長い階段道を登り続ける。いつもながら厭になるところである。その先に少し下り傾斜の木道が続く。さらに泥濘の窪地を抜け,もう一度,階段を登って,平地になる。この平地を抜けると,いよいよ最後の登り階段になる。気温が一段と下がって,ますます寒くなる。
階段を登り詰めると,進行方向が左に直角に曲がって,木の板を組み合わせた長い階段が2本続く。ここで花立山荘付近で追い越された女性が下山してくる。
「山頂は寒くてジッとして居れません。すぐ降りてきました・・お気を付けて」
とニッコリ挨拶する。
坂を登り終えて,11時30分,無事,塔ノ岳山頂に到着する。私は,針が丁度11時30分を指している時計をトドさんに見せて,
「ほら,丁度11時30分に山頂に着きましたよ・・・随分と早かったですね」
と祝福する。
大倉から山頂までの所要時間は,3時間50分。前回のトドさんチームの記録が4時間15分だったので,実に25分も短縮したことになる。これは威張っても良い記録ではないかと私も思う。
寒いせいか,山頂には誰も居ない。
どこからともなく,若い男性が1人現れる。そしてカメラのシャッターを切ってくれと言う。私は,塔ノ岳山頂の標識の前で,写真を撮ってあげる。この青年,表尾根経由で初めて塔ノ岳に登ったとのことである。
■尊仏山荘で一休み
尊仏山荘に入る。早速今日の山頂の気温を見る。何時もより1時間30ほど遅いが,11時30分現在の外気温は丁度0.0℃である。
今日の小屋番はHさんである。まずは新年の挨拶をする。
「何人かの方から,flower-hillさんは,もう,登ってこられましたかと聞かれましたよ」
と言われてしまう。12月30日に,塔ノ岳へ登ったばかりなのに・・
引き続き,Hさんから,
「flower-hillさんのブログ,評判になっていますよ・・」
と言われる。こそばゆい気分になる。でも,私の駄文を読んでくださる方が居られるとは・・・理屈抜きに嬉しい。
少々早めの昼食を摂る。トドさんから沢山のお裾分けを頂戴する。
トドさんが,尊仏山荘備え付けの雑記帳をペラペラとめくった後,数行のコメントを書き込む。そしてあだ名の「トド」を,そのままサインする。小屋番のHさんに,
「この方が,ブログに登場するトドさんですよ」
と紹介する。
そういえば,営業部長の姿が見えない。ベトナム風に言えば今年は猫年である。人目だけでも営業部長のミー君に会っておきたい。
「今日は猫ちゃん,お出かけですか?」
とHさんに聞く。
「(小屋番の)Oさんが居ないと,こっちへは出てきませんよ・・隣の小屋で昼寝していますよ・・」
なるほど,窓越しに隣の小屋を見ると,二階の窓際で日光を浴びながら気持ちよさそうに香箱を作っている。ときどき寝返りを打って,眠そうな目でボンヤリと辺りを見回している。そして,また香箱を作り直している。
<尊仏山荘のコーヒー>
■いよいよ下山,火事?
12時36分に尊仏山荘を出発する。
山荘の外に出て直ぐに,隣の建物で昼寝をしてる営業部長の写真を撮る。
「怪我をしないように,ユックリ下りましょう・・」
と私はトドさんにも念を押す。霜が溶け始めた登山道はだんだんと泥濘になってくる。ときどき上りの登山客と擦れ違いながら,ユックリと下り続ける。
13時05分に花立山荘を通過する。雲がますます厚くなってくる。今にも雨が降り出しそうな雲行きである。山荘前のベンチに,たった2人だけ寒そうに休憩を取っている。何時もなら良く見える富士山も完全に雲の中である。
花立山荘から,長い階段を下り始める。薄い靄に包まれているが,眼下の秦野市内が良く見えている。市内の一角から黒い煙が空高くまで昇って居るのが見える。どうやら火事のようである。耳を澄ますと消防車のサイレンも聞こえてくる。
<火事?>
※下山後,この煙は秦野リサイクルセンターの火災だと分かった。
そういえば,下山途中,ずっとビニールを燃すような悪臭が漂っていた。
■雨が降り出す
13時27分に萱場平を通過する。この辺りから時々「ポツン,ポツン」と雨粒が当たり出す。天気予報よりも随分早く雨になりそうである。そうはいっても,特段,急ぐ訳でもなく,安全に気を付けながら,まあまあのペースで下り続ける。
14時07分に駒止茶屋を通過し,14時36分に見晴茶屋に到着する。茶屋の店先で,給水のために立ち休憩を取った後,歩き続ける。雨足がだんだんと強くなり始めるが,幸いなことに深い木立の間を下るので,雨でそれ程濡れることもない。ただ,足元がだんだんと滑りやすくなるのには閉口する。
15時16分,予定通りにバス停「大倉」に下山する。
下りの所要時間は,2時間40分。まあ,まあ,の早さである。
その後,小田急線,東海道本線を乗り継いで,17時30分頃,帰宅する。
[ラップタイム]
7:40 大倉歩き出し(290m)
7:48 登山口(325m)
7:53 克童窯(350m)
8:00 丹沢ベース(390m)
8:10 観音茶屋(465m)(8:13まで休憩)
8:18 高原の家分岐(500m)
8:31 雑事場ノ平(595m)(8:33まで休憩)
8:36 見晴茶屋(605m)
8:54 一本松(745m)
9:20 駒止茶屋(855m)
9:32 堀山(910m)
9:42 堀山の家(925m)(9:48まで休憩)
10:10 戸沢分岐(1075m)
10:13 萱場平(1090m)
10:47 花立山荘(1260m)(10:52まで休憩)
11:11 金冷し(1330m)
11:30 塔ノ岳山頂 着(1465m)(0.0℃)
==============================
12:36 塔ノ岳山頂発
12:52 金冷し(1350m)
13:05 花立山荘(1285m)
13:27 萱場平(1115m)
13:29 戸沢分岐(1090m)
13:45 堀山の家(950m)
13:57 堀山(920m)
14:07 駒止茶屋(880m)
14:21 一本松(780m)
14:36 見晴茶屋(625m)(14:37まで休憩)
14:40 雑事場ノ平(610m)
14:50 高原の家分岐(535m)
14:54 観音茶屋(500m)
15:01 丹沢ベース(440m)
15:06 克董窯(395m)
15:09 登山口(360m)
15:16 大倉 着(310m)
[山行記録]
■登攀・下降高度
塔ノ岳山頂 1491(m)
大倉 290
(高度差 1201m)
■登攀所要時間(休憩時間を含む)
大倉発 7:40
塔ノ岳山頂着 11:30
(所要時間3時間50分(3.83h)
■登攀速度
1201(m)/3.83(h)=313.5(m/h)
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 12:30
大倉着 15:16
(所要時間 2時間40分(2.67h))
■下降速度
1201(m)/2.67(h)=449.8(m/h)
(おわり)
新春の丹沢:猫が居眠りする塔ノ岳
(登頂第1回)
(トドさんチーム)
2008年1月7日(月)
一昨日(1月5日),湘南カラビナ隊の大山初詣を行った。参加者はちょっと少な目の7名だった。そのとき,メンバーの一部から,近々,是非,塔ノ岳に登りたいという提案があった。ところが,皆さん暇なようで結構忙しいらしくて,なかなか日程が決まらない。私は,すでにサンデー毎日の身の上なので,登頂は何時でも構わないが,希望者全員の都合の良い日を,ここ数日の間に絞り込むのは不可能である。そこで,取りあえずは,今日1月7日(月)と,9日(水)の2回に分けて,塔ノ岳へ登ることにした。そして,私,flower-hillは,両方にご一緒することに決めた。
まずは,今日,1月7日(月)。希望者はドッジさん。もう少し参加者を増やしたいと言うことで,ドッジさんがトドさんをメールと電話で参加するように口説いた。その結果,ドッジさん,トドさん,それに私の3名で,1月7日に塔ノ岳へ登ることになった。
ところが,・・・である。
1月7日に登りたいと強く主張していたドッジさんが,朝になって「風邪を引いて参加できない」とドダキャン。病気なら仕方がないが,私は,内心で「またか!」とやるせない気分になる。それでも,もう家を出てしまったので,今更,中止する訳にも行かず,図らずもトドさまと2人で,塔ノ岳新年初登頂をすることになった。
<地形図>
<プロフィールマップ>
※プリントすると綺麗に見えます
■バス停大倉を出発する
何時ものように,大船発6時04分発東海道本線静岡行で小田原へ。そこから小田急線で渋沢へ出る。ドッジさんがドタキャンしたので,図らずもトドさんと二人旅になる。
結果的に,今回はトドさんと二人旅になったが,私達の登山学校の仲間内では,トドさんと一緒に歩きたいと言う人が沢山居る。そう思われるだけでも,トドさんは幸福な方だなとつくづく思う。
大倉発7時16分大倉行のバスに乗車する。何時もに比較すると,登山客は随分と少ないようである。冷え切ったバスの車内にパラパラとしか乗客が居ない。
7時28分にバス停大倉に到着する。何時花立山荘を通過する頃すれ違う三角髭の紳士が同じバスに乗っていた。お互いに,
「今日は暫くぶりですね」
と挨拶し会う。
「私,この頃,他の所へ行っていて,大倉尾根は余り登っていないんです。でも,まあ,1週間に一度程度は大倉尾根に来ていますが・・・」
「1週間に1度登っているんですか・・・随分登られて居るんですね。私も大倉尾根を年間50回登ろうと思っていたんですが,結局45回しか登れませんでした・・・今日は山仲間と一緒に登りますので,後からユックリ登ります」
髭の紳士は,私達より一足早く登り始める。
今日の天気予報は,日中は晴,午後から曇りになり,夜は所によって雨となっている。下山するまで何とか天気が持ちこたえることを願いながら,何時ものように,7時40分に大倉バス停を歩き出す。
■雑事場ノ平で休憩
今日は徹底的にトドさんのペースで登ろうと心に決める。そのために,トドさんの前を歩くことは絶対にせずに,終始,後に付いて歩くように心掛ける。
7時48分に登山口を通過する。すでに,歩き出してから8分も経過している。私一人で登っているときは,登山口までの所要時間は5分程度である。私は,頭の中でザッと計算して,今日の山頂までの所要時間は多分4時間前後になるだろうと予想する。
杉林に入る。路面は乾いている。このまま雨が降らなければ,帰りも滑らずに歩けそうなのでホツとする。
8時10分に観音茶屋に到着する。ここで,給水のために2分ほど経ち休憩を取り,直ぐに歩き続ける。さらに,8時31分,雑事場ノ平で,給水休憩を取る。
■堀山の家
8時36分,見晴茶屋を通過する。ここから,このコースで最初の急坂になる。以前,トドさんチームで登ったときに比較すると,かなり良いペースで登り続ける。私は「今日は案外良いペースで登れそうだ。ヒョッとすると山頂まで4時間を切る時間で登れるかもしれない」と思い始める。
8時54分に一本松を通過する。いつの間にか上空に薄い雲が立ち込めている。如何にも冬らしい曇り空になり始める。そして,駒止茶屋手前のなだらかな尾根路に辿り着く。薄雲の中に雪で真っ白になった富士山が見えている。
前方,右手には,これから登る山頂に花立山荘が建っているのが良く見えている。この辺りまで登ると,足元には霜柱が残るようになる。
9時32分に堀山を通過し,9時42分に堀山の家に到着する。小屋の前のベンチで暫く休憩を取る。ベンチから,大きな杉の木の間に富士山が良く見えている。
<堀山付近から富士山を眺める> <堀山の家から富士山を眺める>
■ようやく花立山荘へ
いよいよ急な階段が連続する難所に差し掛かる。途中で何人かの登山客に追い抜かれるが,それでもかなり良いピッチで登り続ける。そして,10時13分に萱場平を通過する。何時ものことながら,霜が溶けて,萱場平一帯は泥濘になっている。 登山道近くの木の枝で2羽のコゲラが忙しげに枝から枝へと飛び回っている。
ゆっくりとしたペースで花立山荘手前の長い階段を登り続ける。標高が上がるに連れて,だんだんと寒くなってくる。なかなか快調なペースで登り続けるが,何時もの一人旅の時に比較すれば,かなりユックリのペースで登っているので,殆ど汗をかかないだけでなく,随分と寒くなる。花立山荘のちょっと手前で中年の女性に追い抜かれる。この女性,哀れむような視線を私達に向けて,
「この辺りが,一番大変なところですね」
と挨拶する。
10時47分,私達も花立山荘に到着する。ここで暫く休憩を取る。私は寒さに耐え切れずに,ウインドウブレーカー代わりに雨具上着を着用する。いつの間にか雲が厚くなり,先ほどまで見えていた富士山は,雲に覆われて,殆ど見えなくなっている。
■塔ノ岳山頂
10時52分に花立山荘を出発する。私は,
「この調子だと,11時30分過ぎには山頂に到着しますよ・・・4時間は切れるかもしれませんよ」
と言って,ドドさんを励ます。
「これから,まだ,まだ・・・どうなるか分かりませんよ」
とトドさんは懐疑的。私達前後には全く登山者が居ない。珍しく閑散としている。私達も案外良いペースで登り続ける。山荘から暫くの間,緩やかな上り勾配の道を登ると,露岩帯に出る。今日は上空に厚い雲が漂い始めているので,いつもは良く見える南アルプスの山々も,残念ながら雲の中である。
11時11分,金冷しを通過する。少し平らなところを過ぎると,勾配はそれ程きつくはないが,長い階段道を登り続ける。いつもながら厭になるところである。その先に少し下り傾斜の木道が続く。さらに泥濘の窪地を抜け,もう一度,階段を登って,平地になる。この平地を抜けると,いよいよ最後の登り階段になる。気温が一段と下がって,ますます寒くなる。
階段を登り詰めると,進行方向が左に直角に曲がって,木の板を組み合わせた長い階段が2本続く。ここで花立山荘付近で追い越された女性が下山してくる。
「山頂は寒くてジッとして居れません。すぐ降りてきました・・お気を付けて」
とニッコリ挨拶する。
坂を登り終えて,11時30分,無事,塔ノ岳山頂に到着する。私は,針が丁度11時30分を指している時計をトドさんに見せて,
「ほら,丁度11時30分に山頂に着きましたよ・・・随分と早かったですね」
と祝福する。
大倉から山頂までの所要時間は,3時間50分。前回のトドさんチームの記録が4時間15分だったので,実に25分も短縮したことになる。これは威張っても良い記録ではないかと私も思う。
寒いせいか,山頂には誰も居ない。
どこからともなく,若い男性が1人現れる。そしてカメラのシャッターを切ってくれと言う。私は,塔ノ岳山頂の標識の前で,写真を撮ってあげる。この青年,表尾根経由で初めて塔ノ岳に登ったとのことである。
■尊仏山荘で一休み
尊仏山荘に入る。早速今日の山頂の気温を見る。何時もより1時間30ほど遅いが,11時30分現在の外気温は丁度0.0℃である。
今日の小屋番はHさんである。まずは新年の挨拶をする。
「何人かの方から,flower-hillさんは,もう,登ってこられましたかと聞かれましたよ」
と言われてしまう。12月30日に,塔ノ岳へ登ったばかりなのに・・
引き続き,Hさんから,
「flower-hillさんのブログ,評判になっていますよ・・」
と言われる。こそばゆい気分になる。でも,私の駄文を読んでくださる方が居られるとは・・・理屈抜きに嬉しい。
少々早めの昼食を摂る。トドさんから沢山のお裾分けを頂戴する。
トドさんが,尊仏山荘備え付けの雑記帳をペラペラとめくった後,数行のコメントを書き込む。そしてあだ名の「トド」を,そのままサインする。小屋番のHさんに,
「この方が,ブログに登場するトドさんですよ」
と紹介する。
そういえば,営業部長の姿が見えない。ベトナム風に言えば今年は猫年である。人目だけでも営業部長のミー君に会っておきたい。
「今日は猫ちゃん,お出かけですか?」
とHさんに聞く。
「(小屋番の)Oさんが居ないと,こっちへは出てきませんよ・・隣の小屋で昼寝していますよ・・」
なるほど,窓越しに隣の小屋を見ると,二階の窓際で日光を浴びながら気持ちよさそうに香箱を作っている。ときどき寝返りを打って,眠そうな目でボンヤリと辺りを見回している。そして,また香箱を作り直している。
<尊仏山荘のコーヒー>
■いよいよ下山,火事?
12時36分に尊仏山荘を出発する。
山荘の外に出て直ぐに,隣の建物で昼寝をしてる営業部長の写真を撮る。
「怪我をしないように,ユックリ下りましょう・・」
と私はトドさんにも念を押す。霜が溶け始めた登山道はだんだんと泥濘になってくる。ときどき上りの登山客と擦れ違いながら,ユックリと下り続ける。
13時05分に花立山荘を通過する。雲がますます厚くなってくる。今にも雨が降り出しそうな雲行きである。山荘前のベンチに,たった2人だけ寒そうに休憩を取っている。何時もなら良く見える富士山も完全に雲の中である。
花立山荘から,長い階段を下り始める。薄い靄に包まれているが,眼下の秦野市内が良く見えている。市内の一角から黒い煙が空高くまで昇って居るのが見える。どうやら火事のようである。耳を澄ますと消防車のサイレンも聞こえてくる。
<火事?>
※下山後,この煙は秦野リサイクルセンターの火災だと分かった。
そういえば,下山途中,ずっとビニールを燃すような悪臭が漂っていた。
■雨が降り出す
13時27分に萱場平を通過する。この辺りから時々「ポツン,ポツン」と雨粒が当たり出す。天気予報よりも随分早く雨になりそうである。そうはいっても,特段,急ぐ訳でもなく,安全に気を付けながら,まあまあのペースで下り続ける。
14時07分に駒止茶屋を通過し,14時36分に見晴茶屋に到着する。茶屋の店先で,給水のために立ち休憩を取った後,歩き続ける。雨足がだんだんと強くなり始めるが,幸いなことに深い木立の間を下るので,雨でそれ程濡れることもない。ただ,足元がだんだんと滑りやすくなるのには閉口する。
15時16分,予定通りにバス停「大倉」に下山する。
下りの所要時間は,2時間40分。まあ,まあ,の早さである。
その後,小田急線,東海道本線を乗り継いで,17時30分頃,帰宅する。
[ラップタイム]
7:40 大倉歩き出し(290m)
7:48 登山口(325m)
7:53 克童窯(350m)
8:00 丹沢ベース(390m)
8:10 観音茶屋(465m)(8:13まで休憩)
8:18 高原の家分岐(500m)
8:31 雑事場ノ平(595m)(8:33まで休憩)
8:36 見晴茶屋(605m)
8:54 一本松(745m)
9:20 駒止茶屋(855m)
9:32 堀山(910m)
9:42 堀山の家(925m)(9:48まで休憩)
10:10 戸沢分岐(1075m)
10:13 萱場平(1090m)
10:47 花立山荘(1260m)(10:52まで休憩)
11:11 金冷し(1330m)
11:30 塔ノ岳山頂 着(1465m)(0.0℃)
==============================
12:36 塔ノ岳山頂発
12:52 金冷し(1350m)
13:05 花立山荘(1285m)
13:27 萱場平(1115m)
13:29 戸沢分岐(1090m)
13:45 堀山の家(950m)
13:57 堀山(920m)
14:07 駒止茶屋(880m)
14:21 一本松(780m)
14:36 見晴茶屋(625m)(14:37まで休憩)
14:40 雑事場ノ平(610m)
14:50 高原の家分岐(535m)
14:54 観音茶屋(500m)
15:01 丹沢ベース(440m)
15:06 克董窯(395m)
15:09 登山口(360m)
15:16 大倉 着(310m)
[山行記録]
■登攀・下降高度
塔ノ岳山頂 1491(m)
大倉 290
(高度差 1201m)
■登攀所要時間(休憩時間を含む)
大倉発 7:40
塔ノ岳山頂着 11:30
(所要時間3時間50分(3.83h)
■登攀速度
1201(m)/3.83(h)=313.5(m/h)
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 12:30
大倉着 15:16
(所要時間 2時間40分(2.67h))
■下降速度
1201(m)/2.67(h)=449.8(m/h)
(おわり)
このHP、拝見させていただいています。
特に、営業部長のミー君の写真の話しを楽しみにしています。
ウチのダンナさま、むかし・・(20年以上前ですが)、
搭ノ岳の尊仏山荘でボッカのアルバイトの経験(高校生)、
もあり、
根っからの 山好きです。今は、そういう主人出逢い、
山の未経験だった私も一緒に山歩きの楽しんでいます。
いつか、尊仏山荘で お会いすることもあるかもしれませんネ♪
そのときを 楽しみにしています。また 覗きこさせてください☆
当ブログをお尋ね頂き有り難うございます。
昨日(1月9日),山仲間と一緒に尊仏山荘を訪問しました。山荘の花立さんにお伺いしたところ,
「確かに20年ぐらい前には,沢山の高校生にボッカを依頼していたことがある・・・」
と懐かしがっておりました。
何時の日にか,尊仏山荘でお会いすることがあるかもしれませんが,よろしくお願い致します。