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中央アルプス:木曽駒ヶ岳・宝剣岳・空木岳縦走(6)
(アルパインツアー)
2007年9月28日(金)~30日(日)
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第2日目 2007年9月2日9(土)(その2) 雨
<熊沢岳へ>
■大きな石がゴロゴロと転がる尾根を進む
雨の中,昼食を終えた私達は,12時09分に,檜尾山を出発する。なだらかな山頂を過ぎると,再びやや急な下り坂になる。暫く進むと,尾根道は再び緩い上り勾配になる。次第にゴツゴツとした岩石が累々と重なる歩きにくいルートに変わる。相変わらず周辺の眺望は全くない。ただ,ただ,雨の中,リーダーの背中を追って歩き続ける。
ここは尾根の一本道なので,背中を追うだけで良いかも知れないが,複雑な地形の場所ならば,たとえ雨の中でも,地形図を良く見ながら進まなければならない。平素から,私は何時も地図で自分の位置を確かめながら歩くようにしているが,今日ばかりは,雨のために,地図を取りだして見る気がしない。
どこまで進んでも,大きな石がゴロゴロと転がっている。細かい上り下りが連続する。時々,小さな岩場も現れる。岩場では登山技術の有無がたちまちの内に露呈する。特にどうということもない岩場で手こずっている人を見ていると,見ている側の私が,かえってハラハラしてしまう。矢張り技術レベルが揃っている山旅スクールの仲間と歩いている方が,気分的に楽なことを実感する。
<巨石累々の登山道> <双耳峰の脇を進む>
12時58分,標高約2,960メートルの尾根で,10分ほど休憩を取る。霧の中,前方に尾根が続いているのが数10メートル先まで見えている。もし晴れていれば,この辺りからの眺望は素晴らしいだろうと容易に想像できる。
■熊沢岳に到着
再び歩き出す。進行方向左手,つまり東側に,晴れていれば,池ノ下カールが見えるはずである。小さいがゴツゴツとした岩稜のピークが前方に立ちはだかる。多分トラバースするのだろうと思っていると,岩場の直登になる。十分な手掛かり足がかりがあるので,岩登りが下手な私でも,容易に登攀できる程度の岩場である。それでも,この岩場で手こずる人がいる。ほんのちょっとだけ,岩場の練習をすれば,何ということもないところなのに・・・
いくつかの尾根の脇をトラバースしながら南へ進む。巨石と礫岩が累々と重なる歩きづらい道が続く。小さな双耳尖峰の脇を通り過ぎる。そして,13時53分に熊沢岳山頂(2,778m)に到着する。山頂の大きな石に白い文字で,何か書いてあるが,半分剥げていて読みとれない。また文字が消えた道標が建っている。山頂はかなり広い。この岩から20メートルほど離れたところに,もう一本,新しい道標が建っている。この道標の前で数枚の写真を撮る。
<熊澤岳山頂>
<東川岳を目指して>
■雲間の絶景が見える
14時02分に熊沢岳を出発する。暫くの間,緩やかな下り坂の尾根を下り続ける。その内に,心なしか,厚く垂れ込めていた雨雲が幾分薄くなってきたようである。一時,霙混じりになった雨も,いつの間にか霧雨に変わっている。辺りの眺望も幾分利くようになっている。
行く手前方には,山麓に真綿のような雲が幾重にも巻き付いた峰々が沢山見え出す。何という美しさだろう。私は列の一番後に居るのを幸いに,ここだとばかり,堰を切ったように周辺の写真を撮りまくる。そうこうしている内に,前の人との距離が多少開いてしまう。私の後にいるサブガイドのAさんが,
「flower-hillさんなら,多少,前と間が空いても構いませんよ・・・」
と嬉しいことを言ってくれる。Aさんとは,前回の光岳・聖岳縦走にもご一緒している。あのときも,私が最後まで元気だったことを評価してくれているのだろうと,勝手に合点する。
15時08分,標高約2,695メートル地点で,小休止。多少狭いところだが,ザックを下ろして暫くの間休憩を取り,15時12分に,再び歩き出す。実の所,冷たい風が吹いていて,結構寒いので,あまり長く休憩を取っていると,身体が冷えてしまう。
<雲間の空木岳>
<雲間に周囲の山が見え始める>
<御嶽山遠望>
■東川岳に到着
だらだらと長いなだらかな下りを進む。傾斜は緩いが大小さまざまな礫岩のガレ道である。結構歩きにくい。ときどき,榛松やシャクナゲをかき分けながら先へ進む。しばらくすると,前方に小高い岩峰が見え始める。私は,東川岳の一つ手前の小ピークではないかと期待する・・・が,近付いてみると,この小ピークは,まだまだ,先である。厭で辛い道を歩いていると,実際よりもずっと先の方まで歩いたという錯覚に陥ってしまう。特に,今日のような悪天候で,しかも地図読みもままならないときは,心ならずも楽観的になってしまうようである。
「東川岳はまだかいな・・・東川岳はまだかいな・・」
と頭の中で呪文のように繰り返しながら,先へ進む。
嬉しいことに,ずっと気分を落ち込ませていた雨はいつの間にか止んでいる。ただ,上空は,まだどんよりとした高い雲に覆われていて,日光を遮っている。山麓の谷間には層雲がビッシリと,へばり付いている。名前は分からないが,沢山の山々が,低く埋まった層雲の中から,黒々とした頭を突きだしている。黒い山麓を真綿のように白い雲が流れている。
<山肌は,もう秋>
前方やや左の雲間から,時折,明日登る予定の空木岳がドッシリとした姿を覗かせる。随分と大きな山である。明日朝一番であの山に登るのかと思うと,多少,ウンザリしてくる。
私達が今歩いている尾根は,樹林帯を越えている。広々とした尾根道である。もし晴れていれば,多分素晴らしい所であろう。私は,晴を想像しながら,なるべく気持を明るくするように努める。
16時10分,私達はようやく東川岳山頂(2,631m)に到着する。
(つづく)
中央アルプス:木曽駒ヶ岳・宝剣岳・空木岳縦走(6)
(アルパインツアー)
2007年9月28日(金)~30日(日)
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第2日目 2007年9月2日9(土)(その2) 雨
<熊沢岳へ>
■大きな石がゴロゴロと転がる尾根を進む
雨の中,昼食を終えた私達は,12時09分に,檜尾山を出発する。なだらかな山頂を過ぎると,再びやや急な下り坂になる。暫く進むと,尾根道は再び緩い上り勾配になる。次第にゴツゴツとした岩石が累々と重なる歩きにくいルートに変わる。相変わらず周辺の眺望は全くない。ただ,ただ,雨の中,リーダーの背中を追って歩き続ける。
ここは尾根の一本道なので,背中を追うだけで良いかも知れないが,複雑な地形の場所ならば,たとえ雨の中でも,地形図を良く見ながら進まなければならない。平素から,私は何時も地図で自分の位置を確かめながら歩くようにしているが,今日ばかりは,雨のために,地図を取りだして見る気がしない。
どこまで進んでも,大きな石がゴロゴロと転がっている。細かい上り下りが連続する。時々,小さな岩場も現れる。岩場では登山技術の有無がたちまちの内に露呈する。特にどうということもない岩場で手こずっている人を見ていると,見ている側の私が,かえってハラハラしてしまう。矢張り技術レベルが揃っている山旅スクールの仲間と歩いている方が,気分的に楽なことを実感する。
<巨石累々の登山道> <双耳峰の脇を進む>
12時58分,標高約2,960メートルの尾根で,10分ほど休憩を取る。霧の中,前方に尾根が続いているのが数10メートル先まで見えている。もし晴れていれば,この辺りからの眺望は素晴らしいだろうと容易に想像できる。
■熊沢岳に到着
再び歩き出す。進行方向左手,つまり東側に,晴れていれば,池ノ下カールが見えるはずである。小さいがゴツゴツとした岩稜のピークが前方に立ちはだかる。多分トラバースするのだろうと思っていると,岩場の直登になる。十分な手掛かり足がかりがあるので,岩登りが下手な私でも,容易に登攀できる程度の岩場である。それでも,この岩場で手こずる人がいる。ほんのちょっとだけ,岩場の練習をすれば,何ということもないところなのに・・・
いくつかの尾根の脇をトラバースしながら南へ進む。巨石と礫岩が累々と重なる歩きづらい道が続く。小さな双耳尖峰の脇を通り過ぎる。そして,13時53分に熊沢岳山頂(2,778m)に到着する。山頂の大きな石に白い文字で,何か書いてあるが,半分剥げていて読みとれない。また文字が消えた道標が建っている。山頂はかなり広い。この岩から20メートルほど離れたところに,もう一本,新しい道標が建っている。この道標の前で数枚の写真を撮る。
<熊澤岳山頂>
<東川岳を目指して>
■雲間の絶景が見える
14時02分に熊沢岳を出発する。暫くの間,緩やかな下り坂の尾根を下り続ける。その内に,心なしか,厚く垂れ込めていた雨雲が幾分薄くなってきたようである。一時,霙混じりになった雨も,いつの間にか霧雨に変わっている。辺りの眺望も幾分利くようになっている。
行く手前方には,山麓に真綿のような雲が幾重にも巻き付いた峰々が沢山見え出す。何という美しさだろう。私は列の一番後に居るのを幸いに,ここだとばかり,堰を切ったように周辺の写真を撮りまくる。そうこうしている内に,前の人との距離が多少開いてしまう。私の後にいるサブガイドのAさんが,
「flower-hillさんなら,多少,前と間が空いても構いませんよ・・・」
と嬉しいことを言ってくれる。Aさんとは,前回の光岳・聖岳縦走にもご一緒している。あのときも,私が最後まで元気だったことを評価してくれているのだろうと,勝手に合点する。
15時08分,標高約2,695メートル地点で,小休止。多少狭いところだが,ザックを下ろして暫くの間休憩を取り,15時12分に,再び歩き出す。実の所,冷たい風が吹いていて,結構寒いので,あまり長く休憩を取っていると,身体が冷えてしまう。
<雲間の空木岳>
<雲間に周囲の山が見え始める>
<御嶽山遠望>
■東川岳に到着
だらだらと長いなだらかな下りを進む。傾斜は緩いが大小さまざまな礫岩のガレ道である。結構歩きにくい。ときどき,榛松やシャクナゲをかき分けながら先へ進む。しばらくすると,前方に小高い岩峰が見え始める。私は,東川岳の一つ手前の小ピークではないかと期待する・・・が,近付いてみると,この小ピークは,まだまだ,先である。厭で辛い道を歩いていると,実際よりもずっと先の方まで歩いたという錯覚に陥ってしまう。特に,今日のような悪天候で,しかも地図読みもままならないときは,心ならずも楽観的になってしまうようである。
「東川岳はまだかいな・・・東川岳はまだかいな・・」
と頭の中で呪文のように繰り返しながら,先へ進む。
嬉しいことに,ずっと気分を落ち込ませていた雨はいつの間にか止んでいる。ただ,上空は,まだどんよりとした高い雲に覆われていて,日光を遮っている。山麓の谷間には層雲がビッシリと,へばり付いている。名前は分からないが,沢山の山々が,低く埋まった層雲の中から,黒々とした頭を突きだしている。黒い山麓を真綿のように白い雲が流れている。
<山肌は,もう秋>
前方やや左の雲間から,時折,明日登る予定の空木岳がドッシリとした姿を覗かせる。随分と大きな山である。明日朝一番であの山に登るのかと思うと,多少,ウンザリしてくる。
私達が今歩いている尾根は,樹林帯を越えている。広々とした尾根道である。もし晴れていれば,多分素晴らしい所であろう。私は,晴を想像しながら,なるべく気持を明るくするように努める。
16時10分,私達はようやく東川岳山頂(2,631m)に到着する。
(つづく)