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中央アルプス:木曽駒ヶ岳・宝剣岳・空木岳縦走(5)
(アルパインツアー)
2007年9月28日(金)~30日(日)
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第2日目 2007年9月2日9(土) 雨
<檜尾山を目指して>
■宝剣山荘を出発
床がやや固いものの,宝剣山荘の寝具が良かったので,昨夜は,寝付きが良かったが,早くに就寝したためか,夜中11時頃に,一旦,目が覚めてしまう。外から激しい雨音が聞こえてくる。せめて,明日,朝までに雨だけは止んで欲しいと思いながら,眠ったり目覚めたりの焦れったい時間を過ごす。自覚的には殆ど眠れないまま朝を迎えたような気がするが,いろいろな夢を見ていたようなので,やっぱり眠っていたのだろう。 少々眠くなり始めた5時00分に起床する。私達が寝ている密閉された部屋は,湿めっぽく,ムシムシしている。息苦しいので,とりあえずは,小屋の玄関から外へ出てみる。昨日よりは弱いが,冷たい風が吹いている。降りしきる雨で,外は冷たくて,見通しが悪い。さらに雨は一向に止む気配がない。
6時から朝食。例により,配膳窓口でご飯と吸い物を貰って,適当な席に座って食べる。学校給食のようなお皿に,チマチマと数種類のネーベンが並んでいる。昨日の夕食で,ご飯のお代わりをしたためか,今朝はあまり食欲がない。
<宝剣山荘の朝食> <尖峰を見ながら「せんじょうじき」駅へ下山>
外は相変わらず雨である。Kガイドが,雨の中,宝剣岳の状態を偵察に出掛ける。暫くして戻ったKさんから,雨の中,宝剣岳を通過するのは,岩場が濡れていて危険だと聞かされる。その結果,私達は宝剣岳を縦走するのを取りやめ,一旦,駒ヶ岳ロープウェーの「せんじょうじき」駅まで下り,そこから再び極楽平へ登り返すことになる。
■「せんじょうじき」駅へ
一向に止みそうもない雨に観念した私達は,雨具を装着して,6時56分に宝剣山荘を出発して,「せんじょうじき」駅を目指す。また,例によって,私はグズグズとしていて,行列の一番後に付いて歩く。
平易な登山道とはいえ,足元が滑りやすいので,注意しながら,急な坂道を下りはじめる。今日は土曜日とあって,この悪天候の中を,木曽駒ヶ岳目指す登山者と,何人もすれちがう。
<雨の「せんじょうじき」駅前> <雨の中の極楽平>
雨の中,7時37分に,私達はロープウェーの「せんじょうじき」駅に到着する。まだ早朝なのに,沢山の観光客が登ってきている。私は心の中で,
「雨の中,ご苦労さんですね・・・」
と呆れながらエールを送る。
私達は,ロープウェーの駅舎内で,暫くの間,休憩を取る。その間に,昨日,登りで苦労していた女性が,
「私,体力はあるんですが,これ以上登る気力が出ません・・・もう,ここから帰ります・・」
と言い出す。この女性の離脱宣言が切っ掛けとなって,何人かのメンバーが,自分もここから帰ると言い出す。Kガイドが,
「皆さん・・一寸待っていてください・・・」
と言って,何処かへ消える。そして,暫くして,また私達の所へ戻ってくる。
「・・今,最新の天気予報を確認しましたが,今日も,明日も同じような天気が続くようです。明日天気が良くなる可能性は殆どありません・・・ここで登山を中止される方は居られますか? ただ台風で登山を中止する訳ではありませんので,1人でも登山を続行する方が居られましたら,予定通りに登山を続けます・・・」
■極楽平へ登り返す
結局,7人の方々が,ここで登山を中止して,ここから真っ直ぐ帰宅することになる。私も,このまま登山を続けるか,それとももう止めて,ここから帰宅するか,随分迷ったが,結局は優柔不安のため,決断できないまま,止めると言いそびれて,ズルズルと登山を続ける方に回る。結局,私を含めて5人が登山を続行することになる。
残留組5人と2人のガイドは,8時10分に,再び「せんじょうじき」駅を出発する。今度は,駅前の神社の鳥居から,昨日とは反対側に左折して,極楽平を目指し,坂道を登りはじめる。こちらの登山道は,乗越浄土側の登山道に比較すると,観光客の姿が大分少ないようである。
相変わらず降り続く雨の中を,ユックリと登り続けて,8時44分に極楽平の尾根道に到着する。尾根に出た途端に,強い西風が吹いている。私達は,ここで5分ほど休憩を取る。尾根道の先,つまり南側には,霧の中に「こんもり」とした山が,うっすらと見えている。地形図によれば,この小さな山が島田娘(2,858m)である。霧の中に,山頂付近がうっすらと見えている。
<島田娘遠望> <濁沢大峰>
■濁沢大峰を通過
8時50分に極楽平から歩き出す。直ぐにやや急な登り坂になる。そして,9時08分に島田娘の山頂(2,858m)を通過し,今度はやや急傾斜の下り坂になる。やがて,下り坂の傾斜がやや緩くなる。そして,標高2,790メートル地点で,休憩を取る。
休憩を取っている間も,絶え間なく雨が降り続いている。昨日の風ほど強くはないが,西から冷たい風が絶え間なく吹いている。雨具のフードに雨粒が「ピシピシ・・」と音を立てて当たり続ける。内心,
「やっぱり,さきほど山行を中止して帰ったのが正解だったかな」
と弱気になる。
9時57分に再び歩き出す。時間を記録するために,雨具のポケットから,「サッ」と手帳を取りだし,急いで時刻を記入して,「サッ」とポケットに手帳を戻す・・・が,すでに手帳は濡れてベタベタになり始める。防水を意識して手帳にはビニールのカバーを被せてあるが,あまり役に立っていないようである。
小さなアップダウンのある尾根道を進む。もし晴れていれば,尾根の両側には素晴らしい展望が開けているに違いない。そんな風景を想像しながら,惨めな気持で歩き続ける。時々嶮しい岩稜が現れる。岩稜歩行に馴れていない先頭の女性がちきどき立ち往生する。また,ちょっとした岩場で,すぐに膝をついてしまう女性もいる。岩にしがみついて,見るからに危なっかしい。山旅スクールの受講者に比較すると,岩稜歩行技術に歴然とした差があるのに驚く。
10時13分,濁沢大峰(2,710m)を通過する。この辺りは大きな岩塊が累々と重なっている。山頂には小さな木の棒が突き刺してあるが,この棒に書かれている文字は全く見えなくなっている。
■檜尾山で昼食
濁沢大峰を通過すると,かなり長い下り坂となる。特段に危険な箇所もない。私達は雨合羽に叩き付けられる雨の音を聞きながら,惨めな気持で,ただ黙々と下り続ける。やがて,登山道の両側に榛松やシャクナゲが生えているところを通過する。これらの木々をかき分けるようにして先へ進む。そして,10時57分に,標高2,536メートルの鞍部に到着する。ここはかなり広い平地になっている。広場から,霧を通して,これから登る檜尾山の山肌が見えている。霧に煙る背の低い広葉樹林がシルエットになっている。
<鞍部で休憩> <檜尾山遠望>
11時07分に鞍部を出発する。鞍部から檜尾山山頂(2,727m)までは,標高差200メートル余りの登り坂になる。長いジグザグの登り道が続く。雨は相変わらず降り続いている。檜尾山の山頂は厚い雲に覆われていて全く見えない。西側のカールを見下ろすと,すでに綺麗に紅葉し始めた斜面が見えている。
<もう山麓は秋の色>
11時40分に,私達は檜尾山山頂に到着する。山頂は広々とした空き地になっている。山頂を示す標識の前で,登頂証明の写真を撮る。ここで昼食。昼食は宝剣山荘特製の日の丸弁当である。私達は風を避けるために,山頂東側の灌木の陰に座り込んでいる。
<檜尾山山頂> <宝剣山荘特製弁当>
私達と前後して,ほぼ同じルートを辿っているアルプスエンタプライズのチームも,私達と同じように,山頂で昼食を摂っている。
檜尾山は,宝剣山荘から木曽殿山荘までの今日の行程の丁度真ん中に位置している。まだまだ先は長い。
(つづく)
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