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南アルプス:光岳・聖岳縦走(10)
(アルパインツアーサービス)
聖岳登頂
2007年9月1日(土)~5日(水)
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左の『CATEGORY』欄から,
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※9月8日(土)の「鎌っこ倉ぶ例会」の様子,
および9月9日(日)の「東海道五十三次宿場巡り」の様子は,
この「光岳・聖岳」の連載が終わった後,掲載します。
第3日目:9月4日(火)(つづき) 快晴
<聖岳往復>
■聖岳を目指して出発
10時06分に,聖平小屋に到着した後,シュラフ,マット,着替えなど当面不要な荷物を置いて,いよいよ10時43分に,聖岳山頂を目指して出発する。私は相変わらず一番後の方から気儘に歩く。
先ほど通った木道を戻って,10時45分に聖平の分岐へ戻る。途端に稜線西側の見晴らしが利くようになる。私達は先ほど南岳から下ってきた道とは反対に,右折して聖岳への登山道に入る。
<お花畑を行く>
■下山道との分岐点
やや急な登山道になる。暫く登り続ける。そして,灌木の間にいろいろな花が咲いている場所を通過する。斜面を大きく蛇行しながら高度を稼ぐ。そして,11時06分,小聖岳から繋がっている尾根の稜線に出る。目の前には丸くせり出した稜線が特徴的な地形を示している。この辺りは地図読みの練習に好都合な場所だなと思う。私は,末尾に付いている若いMガイドに,
「明日下る道との薊畑分岐は,間違いなく彼処の丸くなった稜線の手前ですよ・・」
と話しかける。
「ああ,,そうかも知れませんね・・」
とMガイドは自信なさそうに答える。
Mガイドは東京の某大学のワンゲル部出身の新鋭である。道すがらお話を伺うと,まだ登山の基本技術を満遍なく習得しているわけでもなさそうである。私はかなり多くのガイドの教えを受けたが,教える内容が,ガイドによって,かなり異なることや,複数のガイドから教わった内容などを披露する。
予想通りに,11時34分に,明日下る薊畑分岐(2,475m)に到着する。分岐点の側に,金網で囲まれたアザミの保護区が広がっている。ここは,峠になっているので,とても見晴らしが良い。
今日は余計な荷物を聖平小屋に預けて,ここまで登ってきたが,明日は全ての荷物を持って,わざわざここまで登ってこなければならないかと思うと,今からウンザリしてくる。
■どうも気になる歩き方の作法
11時42分に分岐点を出発する。登山道は急な勾配の露岩帯になる。ガレた斜面をジグザグ道が続く。歩行速度はかなり遅い。今回のツアーに参加している方々は,総じて足の力は強いようである。しかし,素人の私が批評するのは不適切,かつ,おこがましいことは重々承知しているが,登山技術という視点から見ると,いろいろと気になる点がある。他人のことだが,その気になる点がどうしても気になって仕方がない。
別に特定の方を批評するつもりは,さらさら無いが,以下の諸点が気になって仕方がない(万一,このブログを読まれてご不快の念を抱かれた方が居られたらご容赦下さい)。
第1に,ストックに頼りすぎることである。
参加者の内で,歩行中にストックを使わなかったのは,私を含めて2名だけ。その他の方々は全員ストックを使用していた。確かにストックは適切に使えば極めて有効なことは確かである。しかし,大多数の方々は,ストックに頼りすぎるために,自分の足でバランスを取りながら歩くことが不得手になっている。これは大変危険なことだと思う。それのジグザグ道で,ストックで石を弾いて下に落としても平気でいる人がいるのに驚く。谷川にストックを付くのは遠慮して貰いたいと言いたくなる。さらにもう1点。平気でストックを後に振り回す。
第2に,かなり大きなポーチを腹の前に付けていることである。
ポーチを腹の前に付けるのが頂けない理由は二つある。第1に疲労しやすくなることである。第2に急峻な岩場を通過するときに,足元が見えにくくなって,危険だからである。従って,山行の際には,ポーチをリュックの中に仕舞い込むのが無難である。
第3に,ペットボトルなどをリュックの脇のポケットに無造作に押し込んでいることである。私が所属する登山学校では,ペットボトルをリュックの外側のポケットに入れるのは御法度になっている。理由はただ一つ。万一,急坂を歩行中にペットボトルが落下すると,下を歩く登山者に危害が及ぶからである。実際にペットボトルが落下して,下を歩いていた人が怪我をして,訴訟になった例があるという。
第4に基本ルールが守られていないことである。例えば,すれ違うときは必ず山側に寄って待機するのが原則なのに,平気で谷側で待機したり,休憩を取るときに無造作にリュックを谷側に置くなどである。
第5に極めて疲れやすい歩き方をしている人が多いことである。ストックに過度に体重を預けて,極端に前屈した姿勢で,上半身を大きく揺らしながら,大股に歩く人がいる。これでは疲れやすいし,滑りやすくて危険である。もう少し上半身を真っ直ぐ起こし,身体から力を抜いて,小股でユックリ歩けば楽に登れるのに・・・
<草臥れて危険な歩き方:小聖岳手前にて>
※右下の方の歩き方は問題である(顔を白く隠しました)。大股で上体を過度に前屈させ,
力任せに登っている。上体も大きく揺れている。フラットフッティングせずにつま先で
歩いている。極めて滑りやすく危険,かつ大変疲労する歩き方である。ちょっと工夫し
て歩けば,随分と省エネで歩けるのだが・・・素人の私には注意してあげる勇気がない。
平素,下手ながらも,これらの原則を守っている方々と一緒に山行をしていると,これらの原則を無視して登る方々に出会うと気になって仕方がない・・・が,私も所詮は山の素人である。とても,とても,気が付いたことを助言する勇気はない。
■小聖岳に到着
まあ,あれこれと気になることを,ぐっと胸に納めて登り続ける。ただ,ストックを持っている人の後を歩くときは,十分に距離を置いて歩くように気を遣っている。また,勾配のきついところで,後の人が極端に近付いたときは,やんわりと間を広げるようにお願いしながら登り続ける。
やや急な登り坂を通過して,12時09分に,小聖岳山頂(2,662m)に到着する。
<小聖岳山頂>
ここで小休止。振り返ると先ほど越えた南岳,上河内岳,茶臼岳が聳えているのが見える。
<振り返ると上河内岳が見える>
■聖岳山頂
12時16分に小聖岳を出発する。暫くの間,下り坂になる。標高差で約20メートルばかり下ってから,再び登り坂になる。見晴らしの良い露岩帯の先には聖岳の山頂が見えている。
12時59分,標高2,850メートル地点で休憩を取る。辺りは急傾斜の露岩帯である。時々微風が吹き抜ける。涼しいが寒くはない。大分疲労した様子の人も何人かいる。
13時06分に歩き出す。喘ぐように急坂を登って,遂に,13時31分に聖岳山頂(前聖岳:3,013m)に到着する。
<聖岳山頂>
<奥聖岳:左のピーク>
やっと,念願の聖岳山頂に立つことができた。東側には,伸びやかで,平らな尾根が続いている。その先に奥聖岳(2,978m)が見えている。そして,その先の,北側奥から東に向かって,赤石岳,荒川岳,千枚岳の山々が連なっている。
<振り返ると登山道が見える>
<眼下に聖平の木道が小さく見える>
遙か東から南に目を転じると,先月登った蝙蝠岳山稜,さらにその南に,2年ほど前に登った笊ヶ岳が一段と高く聳えている。南には昨年登った大無間山・小無間山山稜が連なっている。素晴らしい眺望である。
■聖岳から下山
14時03分に聖岳山頂を出発して下山を開始する。往路を辿って,14時53分に小聖岳に到着する。ここで小休止して,15時02分に小聖岳を出発する。眼下には聖平が見えている。聖平の真ん中を木道が真っ直ぐに伸びているのが手に取るように見下ろせる。
15時35分に薊畑分岐を通過する。急な下りになると,ストックに頼りすぎの年輩の方が,どうしても遅れがちになる。
15時51分に聖平小屋に到着する。
<聖平小屋にて>
■空いている小屋
小屋に入って落ち着く。私達の他に宿泊客はほとんど居ないようである。随分とユックリした場所を確保することができるのは有り難い。
いざ落ち着いてみると,体中が汗くさくなっているのに気が付く。私は水場に行って,手拭いを水で濡らして,体中をくまなく拭き清める。序でに下着を水洗いする。明日の朝までに乾くかどうか分からないが・・・
■夕食そして就寝
16時30分から夕食である。
<聖平の夕食>
夕食後,寝るにはまだまだ早すぎる・・・が,聖岳往復で疲労した人達は,早々とシュラフに入り込んでしまう。何となく手持ちぶさただが,これといってやることもない。私もゴザの上に寝ころび,シュラフを上掛けにして,小屋備え付けの本を読みながら時間を過ごす。そして,19時30分頃,就寝。
こうして,第4日目が終わる。
(つづく)
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および9月9日(日)の「東海道五十三次宿場巡り」の様子は,
この「光岳・聖岳」の連載が終わった後,掲載します。
第3日目:9月4日(火)(つづき) 快晴
<聖岳往復>
■聖岳を目指して出発
10時06分に,聖平小屋に到着した後,シュラフ,マット,着替えなど当面不要な荷物を置いて,いよいよ10時43分に,聖岳山頂を目指して出発する。私は相変わらず一番後の方から気儘に歩く。
先ほど通った木道を戻って,10時45分に聖平の分岐へ戻る。途端に稜線西側の見晴らしが利くようになる。私達は先ほど南岳から下ってきた道とは反対に,右折して聖岳への登山道に入る。
<お花畑を行く>
■下山道との分岐点
やや急な登山道になる。暫く登り続ける。そして,灌木の間にいろいろな花が咲いている場所を通過する。斜面を大きく蛇行しながら高度を稼ぐ。そして,11時06分,小聖岳から繋がっている尾根の稜線に出る。目の前には丸くせり出した稜線が特徴的な地形を示している。この辺りは地図読みの練習に好都合な場所だなと思う。私は,末尾に付いている若いMガイドに,
「明日下る道との薊畑分岐は,間違いなく彼処の丸くなった稜線の手前ですよ・・」
と話しかける。
「ああ,,そうかも知れませんね・・」
とMガイドは自信なさそうに答える。
Mガイドは東京の某大学のワンゲル部出身の新鋭である。道すがらお話を伺うと,まだ登山の基本技術を満遍なく習得しているわけでもなさそうである。私はかなり多くのガイドの教えを受けたが,教える内容が,ガイドによって,かなり異なることや,複数のガイドから教わった内容などを披露する。
予想通りに,11時34分に,明日下る薊畑分岐(2,475m)に到着する。分岐点の側に,金網で囲まれたアザミの保護区が広がっている。ここは,峠になっているので,とても見晴らしが良い。
今日は余計な荷物を聖平小屋に預けて,ここまで登ってきたが,明日は全ての荷物を持って,わざわざここまで登ってこなければならないかと思うと,今からウンザリしてくる。
■どうも気になる歩き方の作法
11時42分に分岐点を出発する。登山道は急な勾配の露岩帯になる。ガレた斜面をジグザグ道が続く。歩行速度はかなり遅い。今回のツアーに参加している方々は,総じて足の力は強いようである。しかし,素人の私が批評するのは不適切,かつ,おこがましいことは重々承知しているが,登山技術という視点から見ると,いろいろと気になる点がある。他人のことだが,その気になる点がどうしても気になって仕方がない。
別に特定の方を批評するつもりは,さらさら無いが,以下の諸点が気になって仕方がない(万一,このブログを読まれてご不快の念を抱かれた方が居られたらご容赦下さい)。
第1に,ストックに頼りすぎることである。
参加者の内で,歩行中にストックを使わなかったのは,私を含めて2名だけ。その他の方々は全員ストックを使用していた。確かにストックは適切に使えば極めて有効なことは確かである。しかし,大多数の方々は,ストックに頼りすぎるために,自分の足でバランスを取りながら歩くことが不得手になっている。これは大変危険なことだと思う。それのジグザグ道で,ストックで石を弾いて下に落としても平気でいる人がいるのに驚く。谷川にストックを付くのは遠慮して貰いたいと言いたくなる。さらにもう1点。平気でストックを後に振り回す。
第2に,かなり大きなポーチを腹の前に付けていることである。
ポーチを腹の前に付けるのが頂けない理由は二つある。第1に疲労しやすくなることである。第2に急峻な岩場を通過するときに,足元が見えにくくなって,危険だからである。従って,山行の際には,ポーチをリュックの中に仕舞い込むのが無難である。
第3に,ペットボトルなどをリュックの脇のポケットに無造作に押し込んでいることである。私が所属する登山学校では,ペットボトルをリュックの外側のポケットに入れるのは御法度になっている。理由はただ一つ。万一,急坂を歩行中にペットボトルが落下すると,下を歩く登山者に危害が及ぶからである。実際にペットボトルが落下して,下を歩いていた人が怪我をして,訴訟になった例があるという。
第4に基本ルールが守られていないことである。例えば,すれ違うときは必ず山側に寄って待機するのが原則なのに,平気で谷側で待機したり,休憩を取るときに無造作にリュックを谷側に置くなどである。
第5に極めて疲れやすい歩き方をしている人が多いことである。ストックに過度に体重を預けて,極端に前屈した姿勢で,上半身を大きく揺らしながら,大股に歩く人がいる。これでは疲れやすいし,滑りやすくて危険である。もう少し上半身を真っ直ぐ起こし,身体から力を抜いて,小股でユックリ歩けば楽に登れるのに・・・
<草臥れて危険な歩き方:小聖岳手前にて>
※右下の方の歩き方は問題である(顔を白く隠しました)。大股で上体を過度に前屈させ,
力任せに登っている。上体も大きく揺れている。フラットフッティングせずにつま先で
歩いている。極めて滑りやすく危険,かつ大変疲労する歩き方である。ちょっと工夫し
て歩けば,随分と省エネで歩けるのだが・・・素人の私には注意してあげる勇気がない。
平素,下手ながらも,これらの原則を守っている方々と一緒に山行をしていると,これらの原則を無視して登る方々に出会うと気になって仕方がない・・・が,私も所詮は山の素人である。とても,とても,気が付いたことを助言する勇気はない。
■小聖岳に到着
まあ,あれこれと気になることを,ぐっと胸に納めて登り続ける。ただ,ストックを持っている人の後を歩くときは,十分に距離を置いて歩くように気を遣っている。また,勾配のきついところで,後の人が極端に近付いたときは,やんわりと間を広げるようにお願いしながら登り続ける。
やや急な登り坂を通過して,12時09分に,小聖岳山頂(2,662m)に到着する。
<小聖岳山頂>
ここで小休止。振り返ると先ほど越えた南岳,上河内岳,茶臼岳が聳えているのが見える。
<振り返ると上河内岳が見える>
■聖岳山頂
12時16分に小聖岳を出発する。暫くの間,下り坂になる。標高差で約20メートルばかり下ってから,再び登り坂になる。見晴らしの良い露岩帯の先には聖岳の山頂が見えている。
12時59分,標高2,850メートル地点で休憩を取る。辺りは急傾斜の露岩帯である。時々微風が吹き抜ける。涼しいが寒くはない。大分疲労した様子の人も何人かいる。
13時06分に歩き出す。喘ぐように急坂を登って,遂に,13時31分に聖岳山頂(前聖岳:3,013m)に到着する。
<聖岳山頂>
<奥聖岳:左のピーク>
やっと,念願の聖岳山頂に立つことができた。東側には,伸びやかで,平らな尾根が続いている。その先に奥聖岳(2,978m)が見えている。そして,その先の,北側奥から東に向かって,赤石岳,荒川岳,千枚岳の山々が連なっている。
<振り返ると登山道が見える>
<眼下に聖平の木道が小さく見える>
遙か東から南に目を転じると,先月登った蝙蝠岳山稜,さらにその南に,2年ほど前に登った笊ヶ岳が一段と高く聳えている。南には昨年登った大無間山・小無間山山稜が連なっている。素晴らしい眺望である。
■聖岳から下山
14時03分に聖岳山頂を出発して下山を開始する。往路を辿って,14時53分に小聖岳に到着する。ここで小休止して,15時02分に小聖岳を出発する。眼下には聖平が見えている。聖平の真ん中を木道が真っ直ぐに伸びているのが手に取るように見下ろせる。
15時35分に薊畑分岐を通過する。急な下りになると,ストックに頼りすぎの年輩の方が,どうしても遅れがちになる。
15時51分に聖平小屋に到着する。
<聖平小屋にて>
■空いている小屋
小屋に入って落ち着く。私達の他に宿泊客はほとんど居ないようである。随分とユックリした場所を確保することができるのは有り難い。
いざ落ち着いてみると,体中が汗くさくなっているのに気が付く。私は水場に行って,手拭いを水で濡らして,体中をくまなく拭き清める。序でに下着を水洗いする。明日の朝までに乾くかどうか分からないが・・・
■夕食そして就寝
16時30分から夕食である。
<聖平の夕食>
夕食後,寝るにはまだまだ早すぎる・・・が,聖岳往復で疲労した人達は,早々とシュラフに入り込んでしまう。何となく手持ちぶさただが,これといってやることもない。私もゴザの上に寝ころび,シュラフを上掛けにして,小屋備え付けの本を読みながら時間を過ごす。そして,19時30分頃,就寝。
こうして,第4日目が終わる。
(つづく)