中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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光岳・聖岳縦走(11)

2007年09月16日 06時14分06秒 | 南アルプス・西日本

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           南アルプス:光岳・聖岳縦走(11)
            (アルパインツアーサービス)
                いよいよ下山
           2007年9月1日(土)~5日(水)
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           ※9月8日(土)の「鎌っこ倉ぶ例会」の様子,および9月9日(日)
              の「東海道五十三次宿場巡り」の様子は,この「光岳・聖岳」の
              連載が終わった後,掲載します。



第5日目:9月5日(水)
 晴

<便ヶ島へ>

■聖平小屋を出発

 今日の天気予報は曇り後雨であった。
 どうやら,夜中に雨が降っていたようだが,早朝から快晴である。
 4時30分に起床。5時00分に朝食。

                 <聖平小屋の朝食>

 5時41分に聖平小屋を出発する。相変わらず,私は列の最後部についてノンビリと歩くことがする。木道を通り抜けて,5時43分に聖平の尾根に到着する。その後,昨日,聖岳を往復した登山道を辿る。そして,6時08分に,薊畑分岐(2,410m)に到着する。ここで,小休止して,給水と衣服調整をする。

            <薊畑分岐からの眺望:上河内岳方面が良く見える>

■針葉樹林帯を下る
 6時13分に薊畑分岐を出発する。ここから便ヶ島(980m)まで一気に標高差1,500メートルを下る予定である。
 あらかじめ作ったプロフィールマップを見ると,随分と急傾斜が連続するように予見される。前々から,今回の山行で,最終日の5日目の今日が,一番厳しい日だと思っていた。所が実際に下山を開始してみると,登山道は予想以上に細かいジグザグになっていて,容易に下山できそうなので多少安心する。
 薊畑分岐を出発すると,間もなく針葉樹林帯の中に入る。苔が生えた樹木が静かに連なっている。地形図を見ると,暫くの間は針葉樹林帯の中を下るようである。そして山麓に近付くと広葉樹林帯に入るようである。その辺りから,登山道はさらに急傾斜になるように予見される。また,ヤセ尾根も連続するように思える。
 私は,やや緊張した状態で下り続ける。途中からストックに頼りすぎる高年齢のお一人がどうしても遅れがちになる。後からこの方の歩き方を見ていると,ハラハラさせられ放しである。私は曲がり角でさりげなく彼を追い抜き前に出る。
 6時25分,標高2,345メートル地点で休憩を取る。辺りは稜線上の下り斜面の真っ直中である。そして,6時35分に再び下山を開始する。

■広葉樹林帯に変わる
 登山道の周囲は,途中から次第に広葉樹林帯に変わる。植生が変わった付近から予想通りに,嶮しい下り坂に変わる。そして両側が鋭く切り落ちる危険なヤセ尾根を通過する。たちまちの内に,ストック頼りの方は,姿が見えなくなるほど,一向から遅れてしまう。彼の後にMガイドが付いてるので安心だが,一寸だけ歩行技術を習えば,この程度の露岩帯ならば容易に通過できるようになるのに,残念だなと思う・・・が,彼にそのことを伝える勇気は私にはない。
 7時31分,標高1,970メートル地点で,再度,13分ほど休憩を取る。私は地形図とプロフィールマップを見比べながら,後,2ピッチ程で西沢渡まで下山できるなと予想する。7時41分に歩き出す。まだ暫くの間,ヤセ尾根が続く。そして急傾斜のガレたジグザグ道が連続する。最前列を歩いている最高年齢者と思われる方の歩き方が少しおかしくなる。どうやら,長い下り坂で足の筋肉が疲労しているようである。先頭を行くTガイドが頻りにこの方の歩き具合を心配げに見ている。
 私達は狭い岩稜の上を通過し,岩稜の左右を渡り歩くことを繰り返しながら,次第に高度を下げていく。そして,まだ歩き始めて30分少々しか経っていないが,8時23分,岩稜の間に僅かに広がる空き地で,お互いに身を寄せ合うようにして休憩を取る。涼しい風が,空き地を吹き抜けていく。汗ばんだ肌に心地がよい風である。

■造材小屋
 8時37分に再び歩き出す。ヤセ尾根はなくなったものの,相変わらずますます急な勾配の下り坂を下り続ける。一同,疲労し始めたのか,歩行速度が少しずつ遅くなっているように感じる。そして,9時23分,標高1,350メートル地点の小さな岩の前の狭い空き地で,また休憩を取る。かなり疲労している方々も居られるようである。
 9時32分,また歩き出す。相変わらず急な下り坂である。

                       <造林小屋>

 そして,9時47分頃,進行方向右下手の木の間から小屋らしいものが見え始める。9時48分,小屋を後から回り込んで,玄関前(1,210m)に到着する。人気はないが,どうやら地図に載っている造材小屋らしい。

■渡し籠で川を渡る
 小屋の前をそのまま通過して,深い森林の中を下り続ける。そして,9時55分に飛びだすように,西沢の川端(1,760m)に出る。西沢渡である。それ程広くはないが,大きな石が累々と重なっている河原を縫うように川の水が流下している。無理をすれば石伝いに渡れないこともない程度の川である。

               <渡し籠:乗っているのはTガイド>


                   <渡し籠を待つ仲間>

 川の両側にワイヤーロープが張られている。そのロープに,金属製の籠が1台ぶら下がっている。この籠にロープが結ばれている。ロープを引っ張って籠を左右に動かす仕組みになっている。籠は川面から1メートルほどの高さのところを移動するようになっている。
 私達は,1人ずつ籠に乗って,皆にロープを引っ張って貰いながら,川を渡る。
 最初にTガイドが対岸に渡る。その後,年齢順に渡れというので,まず私より1才年上の方が渡る。次いで私。
 対岸に渡った私は,応分に,ロープを引っ張って,後続の方々が渡るのを手助けする。その間,疲労困憊の様子の長老は,近くの石に腰掛けて,力無く私達の仕草を見ている。
 「本当に,ご苦労様でした・・・」
と,私は心の中で,労いの挨拶をする。気弱だから声に出せないのが歯がゆい。
 
私は,これまで,こんな籠に乗って川を渡るのは初めての経験なので,とても嬉しく感じる。
 全員が川を渡り終えるのに,20分以上の時間が掛かる。

■便ヶ島に到着
 全員が無事川を渡り終えて,10時19分に西沢渡を出発する。ここから長い林道歩きが始まる。砕石をばらまいた道は,結構,歩きにくいが,難所を越えた後の林道歩きなので,皆の顔も明るい。私も念願の聖岳,光岳の登頂に成功したので,弾む心で開放感に浸りながら林道歩きを楽しむ。林道は川の右岸のやや高いところに作られている。殆ど水平に近い道が延々と続く。
 長い時間,林道を歩いた末,10時49分に便ヶ島(1,060m)に到着する。
 「やれやれ・・・これで歩くのもお仕舞いだな・・・」
と思うと言いしれぬ安堵感を感じる。もう乗り物を乗り継いで家まで帰ることができる。

                     <便ヶ島>

 便ヶ島には広い駐車場と立派な洗面所が付いている。何人かの方々は洗面所で,身体の汗を流している。トイレや洗面を済ませて,一同が何となく落ち着いたところで,Tガイドの先導で,クールダウンのストレッチを行う。
                         (つづく)



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