<山麓の見事な桜>
満開の豆桜とご常連と会った丹沢:塔ノ岳(今年20回目)
(単独山行)
2009年4月16日(木)
■混雑する1番バス
本当は,昨日(4月15日),塔ノ岳を往復するつもりだったが,明け方の天気が今ひとつだったので,1日延ばしの今日にした.何時ものように,5時10分に家を出る.東の空は,もう朝焼けで紅色に染まっている.気温が何度あるか分からないが,暑くも寒くもない.つい数週間前と比較すると,早朝の出発も,随分と楽になった.
「さて~と,渋沢まで,藤沢から小田急を利用するか,それとも小田原経由にするか」
随分と迷うが,結局は,交通費よりも,早く目的地に着くことを優先して,小田原経由で行くことにする.そして,小田原駅で,メチャメチャ急いで小田急に乗り換え,渋沢で何とか大倉行1番バスに間に合う.
予想に反して,今日の1番バスは沢山の登山客で混雑している.私がバスの座席に座り込んで,暫くすると,相模大野方面から到着した電車に乗っていた登山客が,ドッと乗り込んでくる.ご常連のTさん,Mさん,ネコのSさん.そしてカメラマンのMさん.Mさんは,私の隣の席に着席する.バスは殆ど空席がないほど,登山客で一杯になる.これまでは,せいぜい5~6人しか乗っていなかったというから,それに比べれば随分と登山客が増えている.
私の席の前に,ネコのSさんが座る.私が,Sさんに,愚痴を言う.
「暫く振りです・・・この頃,Sさんと日程が合わないですね.それで,営業部長のミーに会えないンですよ・・」
「そうですか・・・また,どこかに潜り込んで居るんでしょう.小屋番のOさんが居ないと,なかなか出てこないんです・・」
「今日は,Sがご一緒なので,営業部長に会えるかな・・」
バスの車窓から,山頂付近に雲が掛かっている三ノ塔尾根が見えている.今日も標高が高い所は雲の中かなと心配するが,無風なので,多分,地表の暖かい空気が山腹を上昇して雲になったのだろうと勝手に想像する.それならば,太陽が昇って山腹が暖められれば,この雲は晴れるだろうと楽観的な予想をする.
<満開の桜の向こうに三ノ塔尾根が見える>
■賑やかな小鳥たちの囀り
バスが大倉に到着する.ご常連のTさんが真っ先に大倉から歩き出す.つづいてMさんが出発する.私は,前回より5分ほど遅い7時06分に歩き出す.路面はやや濡れているが状態は上々である.しかし,歩き出して直ぐに,何となく身体全体が重いような気がする.今日の私の体調は,それほど良くないなと自覚する.
登山口を過ぎる.このところ進められてきた登山口近くの杉林の手入れも大分進んだようで,ピカピカした新しい鹿除けの金網が道路に沿って取り付けられた.そのためか,辺りはかなり明るく広くなった.
7時14分に,桜が綺麗な克董窯を通過する.気温が高いので,体調に気を使いながら坂道を登り続ける.私は,何人かの登山客を追い抜きながら,7時26分に観音茶屋を通過する.これまでのラップタイムは前回と全く同じである.7時39分に雑事場ノ平を通過する.鳥が繁殖期を迎えているためか,近くの木々の間から,小鳥たちの囀りが絶え間なく聞こえてくる.鳩の啼き声,「ポッポー,ポツポー,・・」に混じって,
「ツッピー,ツッピー,・・」
と可愛い啼き声が聞こえてくる.
所々で,豆桜(あるいは違う名前の桜かもしれない)の花が満開を迎えている.
■豆桜が満開
7時41分に見晴茶屋,55分に一本松を通過する.ここまでは,まあ,順調である.やがて,駒止茶屋前の急坂に差し掛かる.私は,汗をかかないように注意しながら,少し歩行ペースを落とす.それでも,坂の途中で,今にも止まってしまいそうに喘いでいる初老の男性登山客を追い抜く.そして,8時9分に漸く駒止茶屋を通過する.歩き始めてから,既に1時間03分も経過している.私は心の中で,
「ここまでで,(1時間を)3分も超過しているな,今日はもう好記録は期待できないな・・・」
と観念する.
堀山の尾根に差し掛かる.沢山の桜が満開である.登山道を囲むように,綺麗な桜が並んでいる.私は,ラップタイムを気にしていても仕方がないなと,気分を変え,ここで,気が済むまで桜の写真を撮りまくる.
やがて,富士山の眺望の良い所に差し掛かる.所が,今日は,山麓に春霞のような雲が立ち込めていて,肝心の富士山は,見えるような,見えないようなで曖昧である.
<桜が満開の登山道:堀山付近>
■凄い人に追い越される
8時26分に堀山ノ家を通過する.辺りには全く人気がない.
それにしても,今日は気温が高い.私は気温が高いことを予想して,大倉からダクロンQDのTシャツ1枚しか着ていないが,それでも暑い.少しピッチを上げて歩こうとすると,直ぐに汗が噴き出てくる.私は,気持の上では「随分と遅いな」と思いながらも,汗が流れ出ない程度の速度を頑固に守って登り続ける.
戸沢分岐から少し手前の階段で,後から来た長身の中年男性に,いとも簡単に追い越される.追い越し際に男性は,私に,
「やあ,今日は・・・」
とニッコ笑顔で挨拶する.お互いに名前は知らないが,顔だけは知っている.
「随分と,お速いですね・・・塔ノ岳まで2時間ぐらいですか?」
と質問する.
「そうですね~ぇ・・・丹沢山まで,ここから1時間半ぐらいで行こうと思っています・・」
いやはや,凄い!
8時45分,萱場平を通過する.
ツツドリが「ダダダダ・・・」と木の幹を叩く音が,山麓の方から聞こえてくる.
<今日の萱場平>
■汗をかかないように苦労する
萱場平を抜けて,再び急坂に差し掛かる.そのとき,坂の上から,ご常連のYさんが奥さんと一緒に下山してくる.
私は,テンポを落としたまま,坂道を登り続ける.辺りに人影はなく,全くのひとり旅になる.やがて,花立山荘手前の長い階段道に差し掛かる.背中を太陽が照りつけるので,かなり暑い.私は歩きながら,
「もう,すっかり夏バージョンだな・・」
と実感する.早足で過ぎ去っていく春が,私にはとても勿体なくて仕方がない.
9時07分,漸く花立山荘に到着する.今日は,堀山ノ家から花立山荘まで,実に41分も掛かっている.この区間の私の標準時間は36分である.いくら暑いとはいえ,標準時間より5分も余計に掛かっているとは,我ながら情けない.
■もうご常連が降りてくる
露岩帯を登って,9時16分に花立場のコルに到着する.富士山と南アルプスの眺望を期待していたが,今日はどちらも見えない.それでも,儀式として見えるはずの富士山と南アルプスの写真を撮る.
9時20分,金冷シを通過する.ここまで来れば,急いでも急がなくても,山頂までの所要時間は1分と違わないので,ますますラップタイムなどどうでも良いという気分になる.
金冷シを通過すると,暫くの間,ほぼ水平な尾根道が続く.ここをノソノソと歩いていると,前方から山頂を折り返して下ってきたご常連のTさんとすれ違う.
擦れ違いざまに,Tさんが,
「・・今日は二桁.ダメでした」
と私に言う.一瞬,二桁って何のことだろうと思ったが,直ぐに気温のことだと気が付く.
金冷シから最初の長い階段道を登って,山頂直下の階段に差し掛かる.登山道の直ぐ近くの茂みから,
「ツッピー,ツッピー,・・・」
と可愛い小鳥の囀りが聞こえてくる.声の方を見ると,とても小さな青緑の翼の鳥が,木の枝を忙しく渡りあるいている.私は直ぐにカメラを取り出し,小鳥を追いかけてシャッターを押す.でも,何回,試みても,小鳥が飛んでしまった後の小枝しか写っていない.
道草をしたのが影響してか,9時35分,少々遅,く塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間29分である.かろうじて2時間20分台である.
丁度この時,ご常連のMさんが山頂から下り始めている.私は,Mさんに,
「・・・随分お速いですね・・・」
と挨拶する.
「いや~ぁ・・・,それ程でも・・」
とMさんは謙遜する.
山頂は無風で,気持がよい.ただ,辺りには雲が湧いていて,相変わらず,富士山や南アルプスは見えない.ただ,反対側の大山は威風堂々の姿を見せている.
<塔ノ岳山頂から富士山方面を眺める>
■尊仏山荘
山頂で型通りの写真を撮ってから,尊仏山荘に入る.今日の小屋番はWさんである.9時半頃の山頂の気温は+11.5℃.かなり高い.客は誰も居ない,ネコも姿を見せない. 先客のチャンピョンが,コーヒーを飲んでいる.私が山荘に入ると,入れ替わるように,大きな荷物を持って,丹沢山「みやま山荘」へ向けて出発する.チャンピョンは,大きな荷物を背負いながら,
「この荷物,重いんだよな・・・」
と愚痴を言う.私は,
「重さ,どのくらいあるんですか?」
と伺う.
「重さですか・・まあ,20キロぐらいしかないけど,図体がでかくて背負いにくいよ.それに一休みしちゃうと,余計に重く感じるよ・・」
それを聞いていたWさんが,
「休んで身体が冷えちゃうと,力が出ないんですよね・・・」
と相槌を打つ.
私は,300円也のお茶を所望する.Wさんととりとめもない雑談をしながら,随分と早い昼食を摂る.私が問われるままに,
「・・・今日は,カメラマンのMさん,ネコのSさんが同じバスでした.もうすぐ到着しますよ・・・」
と報告する.
Wさんが,窓越しに山頂の方を見る.
「あつ・・噂をしていると,Mさんが来られましたよ・・・」
やがて,Mさんが尊仏山荘に入ってくる.Mさんが,私に,
「・・・なんだ,まだここに居たんですか・・・」
という.そういえば,前回は9時40分に下山を開始していた.でも,11時52分のバスに乗るには,セカセカして気分が悪かったので,今日はユックリ下って,12時22分のバスに乗るつもりである.
<塔ノ岳山頂から大山を望む>
■次々にご常連とすれ違う
バスの時間を睨みながら,10時02分に尊仏山荘を出発する.ネコには会えないままである.
山頂を少し下った所で,2番バスでこられたご常連のNさんとすれ違う.
「よう・・今日は.今日(の所要時間)は2時間30分位かな・・・」
とNさんが言う.相変わらずお元気である.
さらに,山頂直下の急な階段を下り続ける.すると,今度は私と同じバスに乗っていたネコのSさんが,何だか決まり悪そうな仕草をしながら,私とすれ違う.
「・・・ネコに会えましたか?」
と私に聞く.
「いえ,残念ながら・・・・Sさんを待っていたんですが,12時22分のバスに乗りたいので,お先に失礼します・・」
さらに,金冷シ近くまで下る.すると,今度は,何時も2番バスに乗っているローギャー氏とすれ違う.私の顔を見て,
「おや,今日は・・・」
とビックリしたような挨拶をする.
今日は,正に,ご常連のオンパレードである.
■山のベテランと勘違いされる
金冷シ手前の長い坂階段を下る.ここで,同じバスに乗っていた年輩の女性とすれ違う.真っ赤なルージュが良く似合う方である.
「あら,もう下山ですか・・・ところで貴方は,山の先生ですって・・・?」
と私に聞く.どこからそんな情報を仕入れたのだろうかと訝りながら,
「いえいえ,飛んでもない・・・確かに先生をしていたこともありますが,山の先生ではありませんよ.ただ,山の学校に3年間通いましたよ・・」
と立ち話をしながら,登山学校の話を続ける.
丁度そのとき,山旅スクール6期のNさんが,下から登ってくる.Nさんは,私が立ち話をしているので,会釈をしたまま通り過ぎようとする.私は,
「あの方が,登山学校の同窓生ですよ・・・」
とNさんを紹介する.その後,このお二人がどうなったは知らない.
<花に囲まれた克董窯>
■ユックリしすぎて慌てる
11時08分,堀山ノ家を通過する.この辺りから駒止茶屋辺りまでの桜が見頃である.綺麗な花を眺めながら,ユックリと下る.相変わらずツツドリが木の幹を突っつく音が聞こえてくる.のどかな春の雰囲気を堪能しながら,暫くの間,バスの時間のことを忘れてしまう.
途中で時計を見る.
「これはいかん・・・少し急がないと,12時22分のバスに間に合わないぞ・・・」
ここから,私は少し急ぎ足で下り始める.
11時52分,見晴茶屋を通過する.ますます時間が押している.そこで,随分と急いで,12時19分に,やっとバス停大倉に到着する.
[ラップタイム]
7:06 大倉歩き出し
7:26 観音茶屋
7:41 見晴茶屋
8:09 駒止茶屋
8:26 堀山ノ家
9:07 花立山荘
9:20 金冷シ
9:35 塔ノ岳山頂着
====================================
10:02 塔ノ岳山頂発
10:18 金冷シ
10:31 花立山荘
11:08 堀山ノ家
11:26 駒止茶屋
11:52 見晴茶屋
12:04 観音茶屋
12:19 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1201m
■登攀所要時間
大倉発 7:06
塔ノ岳山頂着 9:36
(所要時間) 2時間29分(2.48h)
登攀速度 1202m/2.48h=484.4m/h
水平速度 7.0km/2.48h=2.82km/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:02
大倉着 12:19
(所要時間) 2時間17分(2.28h)
下降速度 1201m/2.28h=526.8m/h
水平速度 7.0km/2.28h=3.07km/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/671a1e0ffabdfc9c4fa0db0b2b38f9e4
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/e38ab440f8ba75b57a37121c8ae57b00
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