中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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歩きにくい残雪と足が痛いネコの丹沢:塔ノ岳(今年9回目)

2012年02月09日 04時35分32秒 | 丹沢の山旅

                                    <金冷シ付近の霧氷>

     歩きにくい残雪と足が痛いネコの丹沢:塔ノ岳(今年9回目)
              (単独山行)
           2012年2月8日(水)

■素晴らしい朝焼け
 終日ぐずついた天気の昨日(3月7日)は,久々に家に籠もって,水彩画の制作に没頭したが,たった1日で嫌になった.そして,昨夜の内から,今日こそ断固丹沢へ出掛けるぞと決心した.前日の内に行くと決心すれば,当日の朝はほとんど抵抗がなく山へ出掛ける気になるから不思議である.
 それにしても,昨日の暖かさは尋常ではなかった.日本海側では大雪が降っているというのに,湘南地方は雨で済んでいるのが申し訳ない.もっとも,同じ湘南地方とはいえ,小田原辺りではかなり大雨が降ったらしい.
 5時10分,いつもの時間に自宅を出発する.外は幾分寒いものの,まだ,昨日の暖かさが残っているようである.有料の天気予報サイトを見ると,塔ノ岳山頂の最低気温も,春のような暖かさの影響で,プラス2℃程度だったようである.そして,今朝も7時頃までは曇りだが,8時頃から夕方までは晴というご託宣である.
 電車が小田原に近付く.先週辺りからは,この辺りで日が射し始めるが,今日は曇り空のためかまだ辺りは薄暗い.山にはドンヨリとした雲が纏わり付いている.
 渋沢発大倉行1番バスには,韋駄天のTさん,三角髭のTさん,カメラマンのMさん,Y川さん,Y内さん,ホッシーさんなどご常連が乗客の3分の1ほどを占めている.
 バスは6時59分に大倉に到着する.
 上空は分厚い雨雲に覆われているが,東側の空は見事な朝焼けである.
 早速,カメラマンのMさんの脇に並んで,朝焼けの写真を撮る.

<大倉の朝焼け>

■やっぱり出だしはモタモタ
 慌ただしく出発前の準備をする.その間に,常連の皆さんは次々に出発していく.
 やっと身支度を調えて,歩き出そうとするが,スパッツを装着していないことに気がつく.折角背負ったリュックをまた下ろして,リュックの中からスパッツを引っ張り出して両足に装着する.それから漸く大倉を歩き出す.すでに7時13分を過ぎている.1番バスの登山客の中では一番最後の出発である.
 やがて登山道に入る.道路は,昨日の雨のためか,かなり塗れていて,滑りやすい.今朝ほど,小田原駅で2段飛びで階段を駆け上がったときに,何となく何時もより身体が重い幹事がしたので,今日は無理をしないように心がけようと思いながら,登り続ける.
 克董窯を過ぎる頃,大きな手袋をしているY川さんの後ろ姿が見え出す.
 沢山の木々に囲まれた克董窯の但住まいに,何とはなしに春の息吹が感じられる.
 やがて,Y川さんに追い付く.
 「今日は山頂までですか・・?」
とお尋ねする.何か用事があるので,今日は途中で引き返すとのことである.
 暫くの間,瓦版のことで雑談をする.何かお手伝いできることがあれば,是非,手伝わせて頂きたいなと思っている.

<春の息吹を感じる克董窯付近>

■見慣れた見晴階段の情景
 Y川さんとお別れして,先へ行かせて貰う.路面が濡れていて滑りやすい,気温はかなり高いようである.さらに湿度も高いので,前回までの塔ノ岳とは少し勝手が違う,
 7時48分,見晴茶屋を通過して,見晴階段を登り始める.前方にホッシーさんの後ろ姿が見える.その先には何人かの登山客が喘ぎながら登っている.何時も見慣れた情景である.

<見晴山荘から相模湾を望む>


<見晴階段>

■霧の中の木立
 8時22分,駒止茶屋を通過する.大倉を出発してから,1時間09分も掛かっている.
 「まあ,こんなものさ・・・どうせいつかは登れなくなるんだ.登れるだけ未だマシだよ・・」
と勝手にふてくされる.
 駒止茶屋を過ぎると,登山道周辺の残雪が目立ちはじめる.
 堀山の尾根を歩き始める.進行方向右手の谷には霧が立ちこめている.何時もならば,木立の間から表尾根の山々が見えるのだが,今日は霧の中に木立のシルエットが見えるだけである.でも,このシルエットが意外に美しい.
 「これは絵になるな・・・」
と思いながら写真を撮る.
 前方に,赤や黄色が目立つ方が頻りに写真を撮っている,カメラマンのMさんである.どうやら富士山と写真を撮っているらしい.Mさんが歩き出したすぐ後に,私も富士山が良く見える場所に到着する.山頂は薄暗い雲に覆われているが,真っ白な富士山が良く見えている.
 前回,Mさんにお会いしたときに,露出に注意して撮るようにコメントを頂いたので,それを思い出しながら,数枚の写真を撮る.

<霧の中のシルエット>


<堀山の尾根道>


<雲間の富士山>

■萱場平
 8時40分,堀山の家に到着する.ベンチで小休止されているMさんに,
 「ぼつぼつと先に行かせて貰います・・」
と挨拶して,坂道に差し掛かる.私の前後には誰も居られないので,リラックスした気分で,気の向くままに適当に登り続ける.山肌が塗れているので結構歩きにくい.
 ときどき辺りの風景を眺めながら,バックグラウンドで,色々なことをボンヤリと考える.山から帰宅したら,描きかけの絵の何処を直そうか,そうだ,12本入りの不透明水彩絵具を買おうか.絵の具の代金は,丁度,塔ノ岳往復1回分と同じぐらいかな・・・いや,もう一寸易いかもしれない.
 そういえば,丹沢ウッズさんは,丹沢1回当たり4000円かかると言っていたな.私の300円より一寸高いな・・・・でも,丹沢ウッズさんは,私が塔ノ岳を1往復する間に3回も上り下りする.
 待てよ・・・
 そうなると,1回の意味が,丹沢ウッズさんと私では違うではないか.
 塔ノ岳往復の距離は丁度14キロメートル.ということは私の場合は,3000円で14キロメートル歩くことになる.
 「え~と・・・そうなると,1キロメートル辺りの費用は,3000円割る14キロメートルだ・・・暗算ではこんなけいさんむりだな・・・まあ,ざっと1キロメートル当たり200円一寸か
・・! なるほど! 逆に1円で約5メートル? いや,どうも計算が違うかも知れない・・」
 暗算が苦手な私は,こんなことを考えていると頭が痛くなる.何だか良く分からないが,とにかく丹沢ウッズさんに比較すれば,単価は随分と高いものになっている.
 馬鹿なことを考えていると,たちまちの内に萱場平に到着する.
 慌てて定点観測の写真を撮る.何時の間にか家の前を歩いている段瀬が居る.写真の中に入ってしまうがやむを得ない.

<塗れた萱場平>

■花立山荘
 その後も,薄らボンヤリといろんなことを考えながら,エッチラ,ホッチラという感じ登り続ける.こんな登り方をしているときが,私にとって,一番,リラックスできる素晴らしい時間かもしれない.気がつくと,後7分坂の下まで来ている.
 後ろを振り返ると,谷間に雲が沸き立っている.素晴らしい風景である.またもや写真タイムである.
 後7分坂を半分ほど登ったところで,上から駆け下りてくるY沢さんとすれ違う.あれよあれよという魔に,遙か下の方まで駆け下りていく.
 9時23分,ようやく花立山荘に到着する.歩き出してからの所要時間は2時間10分.“しょうがないな~ぁ”
 花立山荘付近で気候が一変する.富士山は濃い霧の中に隠れてしまう.気温が急に下がって寒くなる.辺りには全く人影がなく静まり返っている.何もかも塗れている.前方を見ると,前回登ったときに比較すれば随分と少なくなったものの残雪が見えている.
 私は,ここで軽アイゼンを装着しようかと思っていたがもう少し,先までアイゼンなしで登ることにする.

<雲間から山肌が覗く>

■花立山
 暫く,ガレ場が続く.所々凍結した雪があるが,アイゼンなしで問題はない.この分だと,山頂付近まで,雪が溶けているかなと期待する.
 いつからか粉雪が舞い始めている.天気予報とは大違いである.
 霧が深くなり始める.
 もう少しで花立山に到着するところで,下山してくるN村さんとすれ違う.
 「・・・ここから先アイゼンが必要でしょうか・・」
と伺う.
 「私は安全のため,迷わずアイゼンを付けましたよ・・」
とのこと.
 私も安全第一.花立山山頂で,軽アイゼンを装着することにする.
 アイゼンを付け終えて歩き出そうとすると,下山してくるごK重さんにバッタリ.
 「やあ,やあ・・・暫く振り・・」
で握手する.
 「今日で,今年,4回目ですよ・・・お宅は?」
 「私は今日で9回目です・・」
 「えっ! 9回もですか・・元気で! また,お会いしましょう」
 私はお別れしてから,「今年4回」は,「今月4回」を私が聞き違えたのかなと思い始める.

<馬瀬付近の霧氷>

緊張する馬の背
 花立山を過ぎて馬の背に入ると,登山道の様相が一変する.大量の残雪が沢山の踏み跡を残したまま凍結している.極端に凸凹になった雪道になる.“歩きにくいったらありゃしない”.不規則に連続する足跡を辿りながら歩くしかない.この辺りは道幅も狭いので,結構緊張する.
 9時48分,金冷シを通過する.辺りの風景はさらに一変する.辺り一面が霧氷で覆われている.早速,沢山の写真を撮りまくる.
 この分だと,山頂付近はさぞかし樹氷が見事だろうなと期待する.
 沢山の残雪があり,階段道は相変わらず雪の中である.しかも,凍結していて極めて歩きにくい.
 金冷シから最初の長い階段を登り終える.緩やかな下り坂で,踏み跡から外れて,2~3度,雪を踏み抜いて「ズボッ」.これには参った.
 2番目に階段に差し掛かる頃,下ってくる三角髭のTさんとすれ違う.
 「山頂付近の霧氷は如何ですか」
と伺う.
 「いや,大したことなかったですよ・・・」
それは残念.
 すぐその後,韋駄天のTさんとすれ違う.
 「急に寒くなりましたね.山頂の気温はマイナス6℃でしたよ」
 山頂直下の急坂の階段道はすっかり雪の中.しかも路面が凍結している.この辺りだけは4本爪アイゼンでは少々心細い.

<金冷シの手前の尾根道>

■濃い霧の塔ノ岳山頂
 10時03分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間50分.いやはや,何も言うことはない.
 冷たい風が吹いているが,この間の烈風のときに比較すればずっとマシである.山頂の気温は尊仏山荘の温度計でマイナス2.5℃.
 濃い霧で全く視界はないが,それでも,儀式として写真を何枚か撮る.

<残雪に埋まった山頂直下の階段道>


<霧深い塔ノ岳山頂>

■尊仏山荘:足が痛いネコ
 玄関先で,アイゼンを脱着するのももどかしく,尊仏山荘に入る.数名の先客が居る.その中に,とっくに到着していたと思われるご常連も居られる.小屋番はネコに優しいW田さん. 
 今日は珍しくコーヒーを所望する.山頂でのコーヒーは実に美味しい.
 W田さんが居られるためか,ネコのミー君が,「にゃ~」と透明な声で鳴きながら,客室に出てくる.足が痛いのか,ちょっとびっこを引くような歩き方をしている.どなたかが,
 「(このネコ)随分と年を取ったね・・・」
と言っている.
 ちょっと元気がないミー君が心配である.
 コーヒーを賞味していると,カメラマンのMさんが山荘に入ってくる.途中で写真を撮っておられたのだろう.



<足がチョット痛いミー君>


<尊仏山荘のコーヒー>

■心地よい電車の車内
 10時44分,何時もより大分遅い時間になったが,下山を開始する.
 山頂付近はとにかく寒い.暫く下山したら暑くなるだろうなと思いながらも,ヤッケを着込んでから下山をはじめる.
 花立山荘までは,完全な真冬である.残雪一杯の急坂をアイゼンを装着して慎重に下山し続ける.
 花立山荘でアイゼンを脱着する.ここまで下ると,気温も大分暖かくなり,歩き易くなる.次々の登ってくる登山者とすれ違いながら,大倉発13時22分のバスの時間に合わせて,ユックリと下山し続ける.
 11時57分,堀山の家に到着する.玄関に「やっているよ」という看板が出ているが,人の気配がない.そのまま通過する.観音茶屋も開店しているようなしていないような・・良く分からない.
 13時13分,予定通りの時間に,大倉に到着する.
 大倉付近では,青空も顔を出す.辺りはすっかり早春である.僅か2時間程度の間に,厳冬の山と早春の山麓の景色を楽しんでる.だから山登りはやめられない.
 不思議なもので,登山を終えると,急に寒さを感じるようになる.帰りの小田急電車の中で,リュックからフリースを取り出して,ヤッケの下に着込む.東海道本線の電車は暖かくて気持ちがよい.居眠りをしている内に,すぐに大船に到着する.
 15時頃,無事帰宅する.これで身体もスッキリ.明日は水彩画に専念できそうである.

<山麓の大倉は青空も覗いて春の別世界>  

<ラップタイム>

 7:13  歩き出し
 7:35  観音茶屋
 7:48  見晴茶屋
 8:22  駒止茶屋
 8:40  堀山の家
 9:23  花立山荘
 9:48  金冷シ
10:03  塔ノ岳山頂着(-2.5℃)
10:44     〃   発
11:04  金冷シ
11:19  花立山荘(11:22までアイゼン脱着)
11:57  堀山の家
12:14  駒止茶屋
12:39  見晴茶屋
12:41  雑事場ノ平
12:51  観音茶屋
13:13  大倉 着

[山行記録]

■水平距離         7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉   発         7:13
  塔ノ岳  着        10:03
 (所要時間)        2時間50分(2.83h)
 水平歩行速度     7.0km/2.83h=2.471km/h
 登攀速度        1269m/2.83h=448.4m/h

■下降所要時間(雑談時間を含む)
  塔ノ岳  発       10:44
  大倉   着       13:13
 (所要時間)        2時間29分(2.48h)
 水平歩行速度     7.0km/2.48h=2.82km/h
 下降速度         1269m/2.48h=511.7m/h
                                            (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8fda9a8dc8415b585dda82509dc71531
「塔ノ岳」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/e724df4788bd5044a8e492fa9e524061
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9ea8a8d93a3dabb68793deeeb3233a57 



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