中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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やっぱり北アルプスはいいな:弓折岳・笠ヶ岳縦走(8)

2009年09月05日 09時35分54秒 | 北アルプス
                  <笠新道分岐付近から穂高連峰を望む>

     やっぱり北アルプスはいいな:弓折岳・笠ヶ岳縦走(8)
          (白馬館北アルプス総合案内所)
       2009年8月22日(土)~24日(月)

        第3日目 2009年8月24日(月)

<第3日目のプロフィールマップ>



                    ※プリントすると綺麗に見えます

<笠ヶ岳山荘の慌ただしい朝>

■まんじりともしなかった朝

 笠ヶ岳山荘の標高が高いためか,昨夜は目が冴えてほとんど眠れなかった.眠れなくても,横になって身体の疲れが取れれば,「まあ,いいや」と,のんきな気分で過ごそうと思うのだが,一方では少しは,眠らなければ,身体が持たないぞと不安になる.一晩中,そんな気分が交錯する.こんなときに限って,時間は遅々として進まず,もう朝からと思って,そっと腕時計を見ると,まだ,前日の深夜23時である.辛抱,辛抱で真っ暗な夜を過ごす.
 何しろ,1枚の布団に2人ずつ寝ているので,寝返りを自由にできない.すると,ますます寝返りができないことが気になって,下にしている半身が押しつぶされて痺れてくるような気分になる.そこで,そろり,そろりと寝返りを打って,反対側の半身を下にする.しかし,ものの5分も経たない内に,また,寝返りを打ちたくなる.
 こんな焦れったくて眠れない深夜,女性群の方から大きな鼾が聞こえてくる.入れ替わり立ち替わり,誰かがトイレに立つ.そのたびに,立て付けの悪い入口の扉が,ギーギーと音を立てる.
 午前4時,誰かがセットした目覚まし時計が,「ピポ,ピポ,・・」と,鳩の啼き声のような音を立てる.
 私は,混まない内にトイレを済ませてしまう.

               <早朝の抜戸岳:笠ヶ岳山荘から望む>

■山荘の朝は大混雑
 一同,直ぐに起床する.そして,1階に降りて,食堂の前に並ぶ.前から10人目ぐらいである.
 昨夜の内に,ガイドから,
 「とにかく早く並んで,最初の組で朝食を摂ってください・・・」
と,しつこく念を押されている.
 冷たい廊下に,長い間,並んで朝食を待たなければならない.何とも情けない気分になるが,これもやむを得ない.
 廊下の前は広い土間になっている.昨日,私たちは早く小屋に着いたので,自分たちの登山靴を下駄箱に入れることができたが,後から小屋に来た人たちは,下駄箱が満杯なので,土間に靴を置いている.その靴が見渡す限りの土間を埋め尽くしている.
 朝食を摂らずに出発するグループが,どやどやと,せわしげに外へ出ていく.沢山のツアー客が集まっているようである.小一時間ほどは,せわしなく出発する人,洗面所を使う人,長い列を作ってトイレを待つ人などで大混雑が続く.

■慌ただしい朝食
 5時丁度に山荘の係員が現れる.私たちに,
 「お待たせしました・・・・」
と挨拶して,食堂に誘導する.
 「端から順に,間を空けないで座ってください・・・」
と半ば強制的に,席を指定する.
 「どこかの収容所に収容されたら,こんな毎日が続くんだろうな・・」
と妙な連想をする.
 昨日の夕食で食べ過ぎたせいか,今朝は余り食欲がない.しかし,応分に食べておかないと,シャリバテになってしまう.ご飯は軽い1膳だけやっと食べる.食べ終わると,そそくさと席を立って,出発準備に掛かる.


<笠新道分岐点を目指して>

■笠ヶ岳山荘を出発

 朝食を済ませて,直ぐに部屋にもどり,リュックに弁当を入れる.歯磨きをしたかったが,洗面所が混雑している.仕方なくこちょこちょと歯を磨くだけですませる.そして,玄関前の広場に出る.
 この頃は,朝,明るくなるのが,大分遅くなっている.それでも,歩くには十分な明るさになっている.
 ガイドのKさんの音頭で,かるくストレッチを済ませる.そして,5時24分に笠ヶ岳山荘(標高2810m)を出発する.
 今朝,4時頃の笠ヶ岳山荘の気温は+4℃.標高が高いだけあって,かなり寒い.現在の気温は分からないが,一同,防寒具を羽織っている.
 今日は,弓折岳手前まで登りかえした後,急な下り坂が連続する笠新道を下る予定である.下り坂で転倒したら一大事である.私は平素ほとんど使ったことがないストックを,今日だけは使うことにする.

                    <笠ヶ岳山荘前に集合>

■ウンザリする長い登り返し
 山荘から緩やかな下り坂になる.前方には,これから登りかえす抜戸岳手前のコルが大きく見えている.登り返しの高度差は,せいぜい数十メートルしかないが,登り坂がヤケに長いように見える.
 山荘付近の登山道は実に良く整備されている.大きな石の平らな面をつなぎ合わせた登山道はとても歩きやすい.
 歩き出してからほんの数分で幕営場を通過する.数張のテントが張られている.
 その後,なだらかな起伏のある稜線を進んで,5時56分に抜戸岩(標高2710m)に到着する.ここで,5分ほど休憩を取る.

                        <抜戸岳手前の長い登りかえしが見える:ウンザリ>

■どっしりとした笠ヶ岳が見える 6時01分,抜戸岩を出発する.大きな鞍部の向こうに抜戸岳(標高2819m)がどっしりとした姿で見えている.あの山のほぼ山頂近くまで登らないと笠新道に入れないのかと思うと,少々ウンザリしてくる.
 それにしても,私たちは幸運である.今日は笠ヶ岳縦走3日目である.その間,ずっと好天気に恵まれている.今日も少々雲が沸いてはいるものの雨の心配は全くなく,天気は安定している.私たちは雄大な風景を満喫しながら稜線歩きを楽しんでいる.目の前には相変わらす穂高連峰がどっしりとした姿を見せている.
 振り返ると,笠ヶ岳の立派な山容が一望できる.あそこまで登ったんだなと思うと感無量である.

              <振り返ると笠ヶ岳が見える:名残惜しい>

■笠新道の分岐点に到着
 やがて,抜戸岳の上り坂に差し掛かる.まだ,山荘を歩き出してから間もないので,体力に余裕がある.至って元気である.私は,ほとんど平地を歩いているのと同じような感覚で,やや長い登り返しを歩き続ける.
 抜戸岳手前のコル(標高2754m)に差し掛かる.登山道は,このコルの東側斜面をトラバースするように取り付けられている.コルに直登すると思っていた私は,だいぶ得をしたような気分になる.
 6時43分,私たちは抜戸岳へ向かう稜線と,新穂高温泉に下る笠新道の分岐点に到着する.ここで,今日,2度目の休憩を取る.私たちは東南に下る斜面に腰を下ろして,目の前の風景を楽しむ.

                      <笠新道分岐点>

■恐ろしげな笠新道
 目の前には,これから下る笠新道が鋭く落ち込んでいるのが見下ろせる.支脈に朝日が当たって,濃緑の大きな陰を作っている.ギザギザと落ち込む余りの急傾斜を目の前にして,果たして無事に降りられるのかと,だんだんと心配になってくる.
 笠新道入口(標高1370m)まで,これから一気に標高差1500メートルの急坂下りになる.標高差自体は,丹沢の丹沢山から大倉までの標高差と大差ないので,体力的には全く心配していない.ただ,目の前の凄い稜線を見ると,随分と急な下り坂が予想される.果たして無事に下山できるか,やっぱり,心配になる.


                  <笠新道の下り口>


                            (つづく)
「北アルプスの山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/86aabfe3ceef9051daf145f2bcb082f8
「北アルプスの山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/d954ed5f898abcc3f2fbf670f838ef35 


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