中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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春一番の塔ノ岳

2008年02月24日 11時56分26秒 | 丹沢の山旅


                   <春一番の尊仏山荘>
              ※寒いので,登山客は山荘に入り込んでしまった。


             春一番の塔ノ岳
           (山旅スクール6期有志)
           2008年2月23日(土)

■暖かい朝

 朝からポカポカ陽気である。早朝5時10分に家を出る。南西の空には真ん丸な月が冴え渡っている。
 今日は山旅スクール6期のMさんから,
 「時間の都合がついたら一緒に参加してください」
と要望されていた塔ノ岳詣での日である。実は翌日の日曜日,ARENA主催の幕山に行く予定があるので,どうしようかと昨夜まで迷っていたが,折角の機会なので,2日間連チャンで山行することにした。
 休日の土曜日,小田急電鉄のダイヤが平日と違って,渋沢発7時15分大倉行バスにギリギリの時間に渋沢駅に到着することになっている。慌ててバスに飛び乗ると,今日,同行するMさん,Hさん,Yさんの3人が,既にバスに乗車していた。
 バスは,座席がほぼ埋まる程度に混雑している。周りを見回したが,顔見知りのご常連は,どうやら居ないようである。

■大倉バス停で登山届を出す
 休日になると,バス停大倉に係員が居て,登山届を出させている。係員が,
 「代表者お一人に書いてもらえば宜しいですよ」
と言うが,私は,
 「私は責任が持てませんので,各自,一人ひとり登山届を出してください」
と3人に言う。それを聞いていた係員が,
 「そういうチームは最高ですよ・・」
と分かったような,分からないようなことをいう。
 しかし,これは私の本音。
 ガイドでもない私がリーダーという重責はとても負えない。参加者一人ひとりが自立的に行動するのが原則。変に頼られたら,未熟者の私には,とても責任が持てない。

                  <見晴山荘で一休み>

■見晴山荘で休憩
 ストレッチをしたり,準備をしたりで,何時もより大分遅く,7時54分に歩き出す。この時期にしては,気温が大分高いので,体調はとても良い。湿度が大分低いためか,登山道の路面は乾いている。私達の前後には,沢山の登山客が居る。ときどき登山者に追い抜かれながらも,まあまあの速度で登り続ける。
 その内に,Hさんが遅れ気味になる。Hさんは,
 「・・・歯の治療で,薬を飲んでいるので,調子が悪い・・・」
と頻りに訴え出す。
 丹沢ベース,観音茶屋を通過する。登山道は陽春の頃のような暖かさである。降り注ぐ太陽も心地よい。ユックリと登り続けて,8時42分に見晴茶屋に到着する。これまでの所,残雪は全く見当たらない。
 見晴茶屋で5分ほど休憩を取り,水分補給や衣服調整を済ませる。その間,私は立ったままジッと待っている。

■ジャイアンさんに合う
 すると,いきなり後方から,男性が,
 「flower-hillさ~ぁ~ん・!」
と大きな声を挙げ,手を振りながら,私に近付いてくる。私は,いきなり呼び止められてビックリするが,鎌倉十王岩グループの山仲間,ジャイアンさんである。顔から汗が滴り落ちている。
 「flower-hillさんのブログを読んで,今日は長靴で登ってきましたよ・・・今,前を速く歩いている男性に追いつきたいと思って急いで登っています・・・」
 「そんなに汗ビッショリになっていたら,大変ですよ・・」
 ジャイアンさんは,私達を置いて先を急ぐ。
 ジャイアンさんとは,昨年,4月7日に,一緒に塔ノ岳に登ったことがある。あの時の記録は,山頂まで2時間45分,4ピッチで登頂している。あの時,10時25分現在の塔ノ岳の気温は+8.0℃だった。今日は,気温という面から見ると,あの日よりは好条件である。もし,ジャイアンが,1ピッチで山頂まで登れば,今日は2時間30分台で登れるに違いないだろう。私もジャイアンの後を追って,自分の速度で登りたいという衝動に駆られる。今日は多分,2時間20分台で登れるだろうなと思うが,3人の元令嬢を置いていく訳には行かない。

■泥濘の登山道
 見晴茶屋を過ぎてから,いきなり急な階段道になる。Hさんが遅れ始める。
 「どうぞ先に行って下さい・・・」
としきりに言い出す。とはいえ,ここまで一緒に登ってきたからには,
 「はいそうですか,では先に行きます」
では余りに無責任すぎる。遠慮するHさんに,どうぞ,ゆっくりでいいから,自分の速度でユックリと登ってくださいと言い続ける。この辺りの感覚が,同じ山旅スクールでも5期の皆さんとは,若干異なるところである。
 「あそこ見えている辺りが一本松ですよ・・・その先にベンチがあります。そこまで取りあえず,ユックリと登りましょう・・」
とHさんを励ます。
 9時05分に一本松上のベンチに到着する。ここで小休止。
 大分雪が溶けたとはいえ,一本松から先には,ところどころにアイスバーンが残っている。山麓では乾いていた登山道も,今日は暖かいため,何時もならば凍り付いているところが,今日はグシャグシャな泥濘になっている。

                  <今日の萱場平>
           ※雪が大分なくなり,泥んこになり始めている。

■Hさんがリタイア
 アイスバーンが残る坂道を慎重に登って,9時25分,駒止茶屋に到着する。私達の直ぐ後を歩いていた若い男性が,ステ~ン・・と転んでいる。駒止茶屋で数分休んでから再出発する。
 泥濘とアイスバーンが連続する堀山付近の尾根道を,ユックリと通過する。朝方は晴れていたのに,何時の間にか,雲が湧き出ていて,富士山が全く見えなくなっている。そういえば,ジャイアンさんは,最強の雨男だった。先ほど彼に会ったのが百年目。多分,今日は,急に天気が悪くなるだろう・・・と,思い出しながら苦笑する。
 アイスバーンが連続するトラバース道を登り切って,9時51分に堀山の家に到着する。ここは,そのまま通過して,いよいよ厳しい登り道になる。この辺りは南向きの斜面なので,残雪は全くない。ただ,ときどき岩陰に凍り付いた残雪がある。
 坂の途中で休憩を取りながら,ゆっくりと登り続ける。そして,10時18分,漸く萱場平に到着する。
 Hさんは,ここでリタイアするという。そこで,纏め役のMさんと携帯で,逐次,連絡を取り合うことを条件にして,Hさんには,ここから下山してもらうことにする。
 「やっぱり,一人ひとりに登山届を出して貰って良かった!!!」

■期せずして一人旅
 10時20分,Mさん,Yさんと私の3人は,萱場平を出発する。ここから先も残雪は殆どなく,随分と歩きやすい。岩稜地帯を抜けて,花立山荘直下の階段道になる。ユックリ,ユックリと登り続けて,10時46分に花立山荘に到着する。
 Mさん,Yさん共に,山頂まで行くのを諦めて,ここから下山するという。下山にも,大分,労力が要るので,ここで力を出し切ってしまうのも問題なので,2人にはここから下山してもらうことにする。途中で何かあった場合や,無事大倉に到着したときには携帯メールをもらうことにして,私一人,山頂に向かうことにする。
 4本爪アイゼンを装着して,すぐに花立山荘を出発する。今度は,何人かの登山者を追い抜きながら,先へ進む。楽しみにしていた岩稜帯からの眺望は,雲に覆われていて,全く見えない。
 路面の雪質は,暖かいために水分を吹くんだザラメ状に変わっている。やがてヤセ尾根を通過する。

■山旅スクールのノシイカさんと痛子さんにバッタリ
 ヤセ尾根を歩いていると,前方から見慣れた顔がやってくる。山旅スクール同期のノシイカさんと痛子さんである。
 「昨日,塔ノ岳に登ったんだけど,ダイヤモンド富士が見られるっていうんで,尊仏山荘に泊まっちゃった・・・丹沢山まで行ってきましたよ」
という。二人ともさすがに元気である。

■風が強い塔ノ岳山頂
 金冷し手前の急坂には,まだ沢山の雪が残っていて,とても滑りやすい。普段,山登りを余りしていない人達が多いらしくて,どうしてこんな所で滑るんだろうと思うような所で,四苦八苦している。
 何人もの人達を追い抜いて,11時23分に塔ノ岳山頂に到着する。大分風が強くなり始めている。そのために山頂の体感温度は,とても低く感じる。雲が湧き始めていて,富士山や南アルプスは全く見えないが,例によって周囲の風景を儀式的に撮る。

              <別棟で日向ぼっこ>
       ※小屋番のOさんに「ネコが日向ぼっこしているよ」と言われて,撮影する。
        三食昼寝暖房付き。「お前は,本当に幸せ者だよ・・」とつくづく思う。

■混雑する尊仏山荘
 アイゼンを外して,尊仏山荘に入り込む。山荘の寒暖計では,現在の山頂の気温はプラス2℃。暖かい。
 山荘は登山客で満席である。私が山荘にはいると,オーナーのHさんが,「おや!」というような顔をする。というのも,一昨日,
 「土曜日には,元令嬢を3人連れてきますよ・・・」
と言っていたのに,1人で山荘に入ったからである。
 「3人とも途中で落後しましたよ」
 「おや,そうですか。どこで落後したんですか」
 「1人は萱場平,後2人は花立山荘です。折角花立山荘まで来たのに残念でした・・」
 オーナーのHさんが,
 「そちらにflower-hillさんをお待ちの方が居りますよ」
と私に言う。
 振り向くと,中年の男性が,
 「flower-hillさんですか?」
と私に話しかける。
 「そうです」
と答えると,
 「ジャイアンさんからの伝言です・・・先に三ノ塔経由で下山するとのことでした」
 それを切っ掛けに,この男性と,暫くの間,雑談する。
 「私は,ジャイアンさんの山友達ですよ・・」
どうやら,ジャイアンさんのお客さんのようである。
 「ジャイアンさんとは,山の話ばかりしていますよ・・・ジャイアンさんからflower-hillさんのことも良く聞いていますよ・・・毎週1回塔ノ岳に登って居るんですって・・」
 私は恐縮する。
 実の所,他の山に行く予定のない時は,週に2~3回,登っている。でも夏場は登る回数が少なくなるので,
 「いえいえ・・・夏は余り登らないですよ」
と照れくさい返事をする。

                 <ノンビリ日向ぼっこの営業部長>

■下山開始
 山荘が混雑しているので,11時44分に山荘を出ることにする。オーナーや小屋番のOさんに挨拶をすると,Oさんが,
 「ネコは,今,隣の建物で日向ぼっこをしていますよ」
と教えてくれる。私は,
 「そういえば,昨日,2月22日は『ネコの日』でしたね。何かお祝いしましたか?」
と聞く。するとOさんは,
 「へえ~・・・ネコの日なんて知りませんでした」
 山荘の外に出る。やけに寒くなり始めている。風の中で,4本爪アイゼンを装着する。そして,隣の小屋で日向ぼっこをしているネコの姿を窓越しにデジカメに収める。如何にも暖かそうである。あいつ随分と幸福なネコだなと羨ましくなる。
 下り始めると,これから登ってくる登山客と次から次へとすれ違う。中には,アイゼンを左右逆に履いている人が,かなり居るのにビックリする。
 11時58分に金冷し,12時10分に花立山荘を通過する。花立山荘のベンチには満席になるほど沢山の登山客が休憩を取っている。念のために,途中で落後した皆さんや痛子さん達が居ないか確かめるが,さすがに居ない。
 幸い付けている軽アイゼンは4本爪。装着しっぱなしでも,あまり苦にならないので,一本松まで,そのまま脱着せずに,泥濘とアイスバーンの斑道を下り続ける。途中,萱場平のベンチには,10人ほどの登山客が屯している。今から登ったら,一体何時頃山頂に到着するのだろうかと心配になる。もっとも途中で下山してしまう方も多いのかもしれない。

■突風で電車のダイヤが乱れる
 今日は土曜日。平日とバスの時間が違うので,バスは成り行きに任せて乗るしかない。そうなると,特段,急ぐこともあるまいと思って,速くもなく遅くもない速度で下り続けて,10時44分に大倉に到着する。下山所要時間は,丁度,2時間。寒くなったので,途中から飛ばしたらしくて,意外に早く下山してしまった。
 バス停には,もうとっくに下山してしまったと思っていた6期の皆さんと,ノシイカさん,痛子さんが居る。どうやら,彼女らが大倉に到着してから,余り時間が経っていないようである。
 大倉発14時08分のバスで渋沢に出る。
 私以外は小田急で新宿方面へ。私は小田原に向かう。
 小田原までは順調だったが,埼玉方面で強風が吹き荒れたとかで,JRのダイヤが乱れている。15時00分発の特別快速高崎行に乗車するつもりだったが運休。吹き曝しのホームで,長い時間,電車を待っている内に,喉が痛くなってくる。ようやく大船駅に到着したが,またもや,接続が悪くて,バスを待っている内に,寒い風の吹き曝しになる。大したことはないとは思うが,スッカリ風邪を引いてしまったようである。
 寒気がする。家に帰ってからも,冷え切った身体が治まらない。
 残念だが,明日のARENA登山は不参加にして,終日休養しようと思う。

[ラップタイム]

 7:54  大倉歩き出し
 8:01  登山口
 8:08  克董窯
 8:15  丹沢ベース
 8:23  観音茶屋
 8:28  分岐
 8:32  雑事場ノ平
 8:42  見晴茶屋(8:46まで休憩)
 9:05  一本松(9:07まで休憩)
 9:25  駒止茶屋(9:27まで休憩)
 9:40  堀山
 9:52  堀山ノ家
 9:58  標高1215m付近(10:01まで休憩)
10:16  戸沢分岐
10:18  萱場平(10:20まで休憩)Hさんリタイア
10:48  花立山荘 Mさん・Yさんリタイア(アイゼン装着)
11:08  金冷シ
11:23  塔ノ岳山頂 着
==================================
11:44  塔ノ岳山頂 発(+2.0℃)
11:58  金冷シ
12:10  花立山荘
12:25  萱場平
12:27  戸沢分岐
12:38  堀山ノ家
12:44  堀山
12:51  駒止茶屋
13:00  一本松(13:03までアイゼン外し)
13:15  見晴茶屋
13:17  雑事場ノ平
13:24  分岐
13:24  観音茶屋
13:32  丹沢ベース
13:36  克董窯
13:40  登山口
13:44  大倉 着

[山行記録]

■登攀・下降高度
  1201m
■水平移動距離   6.5km
■登攀所要時間(休憩時間を含み)
  大倉発      7:54
  塔ノ岳山頂着  11:23
  (所要時間)  3時間29分(3.48h)
 登攀速度
   1,201m/3.48h=345.1m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳山頂発  11;44
  大倉発     13:44
  (所要時間)  2時間00分(2.00h)
 下降速度   1,201m/2.00h=600.5m/h
                               (おわり)



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