<雪の枯れ枝の間から富士山が見える>
樹氷トンネルとのんびりネコの丹沢:塔ノ岳(今年11回目)(2)
(単独山行)
2009年3月2日(月)
(前回から続く)
<鍋割山稜の向こうに富士山が見える:花立台からの眺望>
■見事な樹氷
金冷シを通過すると,一段と残雪が深くなる.つい数日前の木曜日に登ったときは,この辺りも,泥んこだったが,この変わり様には大変驚いてしまう.
それにしても,雪景色は美しい.枯れ木に積もった残雪が凍結して,キラキラと透明に輝いている.日の光の当たり具合で,樹氷の輝きが微妙に変化する.それがまた美しい.
私はラップタイムを気にすることは,もうやめた.
何回も,何回も,途中で立ち止まって,美しい樹氷を眺め,そして,写真に撮りまくる.
足許は,残雪は少ないものの,カチカチに凍結している.アイゼンを履くまでもないが,十分,注意をしながら,ユックリと登り続ける.そして,10時13分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.
<残雪の登山道:金冷シ付近>
■素晴らしい山頂からの眺望
今日は,大倉から山頂まで,実に2時間33分も掛かっている.途中で写真を撮りながら,ノンビリと登ってきたとはいえ,随分と遅い.でも,まあ,良いかと,自分自身を慰める.
山頂は残雪で真っ白である.真っ青な空から眩しく明るい太陽の光が降り注いでいる.冷たい微風が吹き抜けている.先客が1人,吹き曝しのベンチで休憩を取っている. 前方には,真っ白な富士山が聳えている.今日は雨上がりのために,空気がとても透明である.すそ野に雲が棚引く富士山の姿は実に神々しい.その右手奥には,真っ白な南アルプスの尾根が連なっている.何時もより随分と近くに見えているような気がする.それだけ今日の空気が透明なのだろう.
<山頂からの富士山の眺望>
<丹沢の山々の向こうに八ヶ岳連峰が見える:塔ノ岳山頂から>
■尊仏山荘のネコ
山頂で写真を撮りまくった後,尊仏山荘に入る.
今日の小屋番は,オーナーのHさんである.先客は,「ネコのSさん」と,ご常連の女性.それに,お会いしたことのない年輩の男性1人である.
早速,温度計を見る.今日の10時過ぎの山頂の気温はマイナス2.8℃.勿論,先週の木曜日よりは寒いが,この時期としては,大分暖かい.
Sさんが私に話しかける.
「・・・今日は大分ユックリですね.何時も萱場平で追い越されているのに・・・」
「・・・今日は足場も良くなかったので,ユックリ来ましたよ.出発する時間が何時もより遅かったし・・・」
と訳の分からない言い訳をする.
営業部長のミー君が,Sさんの側に寄ってくる.ミー君もSさんの側に居ると,随分と落ち着くようである.私もミー君の背中や首筋を撫でる.綺麗な毛並みである.触った質感も最高である.
「こいつは,本当に良いネコですね.おっとりとしていて性根が良いですよ・・・」
と私がミー君を褒める.すると,Sさんが,
「これは良い子ですよ.以前,病院に連れて行ったら,医者が良いネコだと言っていましたよ・・」
私は,Sさんに抱かれたネコの写真を撮る.
「Sさんも一緒にブログに載せちゃいますよ・・・」
とSさんにお願いする.
「構わないですよ・・・」
とのお返事である.私が独り言を言う.
「大倉で,茶色のネコ,居ましたね.あのネコより,ミー君の方が断然可愛いですね・・」
すると,Sさんが,
「そういえば,ネコ,居ましたね・・・そろそろシーズンかな?」
とポツリ返事をする.
言われてみれば,私の家の近くでも,雄ネコが「ガーオン,ガーオン」と変な鳴き声をあげ始めている.人間も,自分の女房に,春になったら「ガーオン,ガーオン・・」って啼いたら面白いなと,妙なことを考える.ガーオンが俳句の季語になったら良いなって突拍子もない提案が頭の中をよぎる.
私は,大倉で見知らぬ女性から,私の実名で話しかけられたことを,ふと思い出す.そこで,オーナーのHさんに,ことの顛末をお話しして,この女性がどなたかを伺うが,良く分からない.そのやり取りを聞いていたSさんが,
「・・・フラワーヒルさんは,塔ノ岳で有名ですよ・・・」
という.
「あれ! 何で有名なのだろうか・・・」
私はキツネに摘まれたような訳の分からない気分になる.
山荘の記録帳を覗く.その中に,「ソソ」という方が,1時間33分で登ったと書いてある.私は凄い人がいるものだと驚嘆する.すると,Hさんが,
「・・1日に3回登って来られる人もいますよ・・」
とノートの中の1人を指しながら言う.
ここでお会いするご常連の大半は,私より数段速く登れる方ばかりである.私は登山の時間など比較するつもりはない・・とはいうものの,やっぱり速く登れるに越したことはない.やっぱり羨ましいのである.
そうこうしていると,突然,汗でビッショリの男性が山荘に飛び込むように入ってくる.メガネが汗で前が見えないほど曇っている.山旅スクール8期の男性,Sさんである.暫く振りに偶然にお会いしてビックリする.
Sさんは3番バスで来られたという.それにしては随分と速い.伺うと2時間20分くらいで登ったという.
<Sさんに頼り切ったネコの表情が可愛い>
■ユックリ下山
何時ものように,大倉発12時52分のバスに乗ろうと思う.ユックリ下りたいので,10時39分に尊仏山荘を出発する.山荘の外に出ると,やけに寒い.寒くて堪らないので,多少速度を上げて下山し続ける.
山頂から少し下って森林帯に入ると冷たい風も遮られ,ホッとする.ここからは,周囲の樹氷を眺めながら,ユックリと下る.この辺りを登りに通過したときから,まだ,1時間ほどしか経っていないのに,樹氷はかなり融け始めている.
金冷シ付近で,同じバスに乗り合わせた方とすれ違う.先方は,
「あれ・・・随分と速いですね.もう下山ですか・・」
と驚かれる.先ほどまで,速い人のことばかり考えていたので,自分が速いと言われると,何となくちぐはぐな気分になる.
■チャンピョンが登ってくる
馬の背付近を通過しているときに,重たそうな荷物を背負ったチャンピョンとすれ違う.そういえば,気のせいか,チャンピョンとすれ違う頻度が少し減ったような気がしている.
<重い荷物を背負ったチャンピョンとすれ違う>
■再びローギヤー氏と会う
彼方此方の写真を撮りながら,ユックリと下る.花立山荘で,後から下ってきた山旅スクールのSさんに追い越されてしまう.
11時22分,戸沢分岐を通過する.堀山ノ家に近付く頃,海風が強く吹き付けはじめる.冷たい風がビュービューと梢を鳴らしながら吹き抜けていく.どうやら,天気は下り坂に向かっているようである.
12時43分,予定通りの時間に,大倉に到着する.
大倉で,再びローギヤー氏と一緒になる.私が尊仏山荘で油を売っている間に,ローギヤー氏は山頂に到着し,そのまま下山したようである. 12時52分発のバスに乗車する.木曜日と同じバスである.木曜日の乗客は,終始,私1人だけだったが,今日は始発から4名の登山者が乗車しただけでなく,途中からも沢山の乗降客があった.
小田急の電車の中で,窓から射し込む太陽に暖められて,終始,居眠りを続ける.
何となく美味しいコーヒーが飲みたくなり,大船駅前のファストフード店で,200円也のコーヒーを賞味する.この店では,ちゃんとしたマグカップを使用している.その分だけ好感が持てる.
[ラップタイム]
7:40 大倉歩き出し
8:01 観音茶屋
8:17 見晴茶屋
8:45 駒止茶屋
9:02 堀山ノ家
9:42 花立山荘
9:57 金冷シ
10:13 塔ノ岳山頂 着
====================================
10:39 塔ノ岳山頂 発
10:52 金冷シ
11:04 花立山荘
11:35 堀山ノ家
11:50 駒止茶屋
12:12 見晴茶屋
12:24 観音茶屋
12:47 大倉 着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km
■累積登攀・下降高度 1201m
■登攀所要時間
大倉発 7:40
塔ノ岳山頂着 10:13
(所要時間) 2時間33分(2.55h)
登攀速度 1201m/2.55h=471.0m/h
水平速度 7.0km/2.55h=2.75km/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:39
大倉着 12:43
(所要時間) 2時間08分(2.30h)
下降速度 1201m/2.30h=522.2m/h
水平速度 7.0km/2.30h=3.04km/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/bfc84239f35e4e3b7c3bf057f5b5393c
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/44db86fbec111620d0cf195011b78c75
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