中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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富士山・南アルプス・紅葉の丹沢;塔ノ岳(今年47回目)

2011年11月27日 22時19分06秒 | 丹沢の山旅

                             <花立山山頂から富士山と南アルプスを望む>
  
    富士山・南アルプス・紅葉の一望の丹沢;塔ノ岳(今年47回目)
           (O村さんに同行)
        2011年11月25日(金)
 快晴

■愚痴りたくなる
 もうすぐ冬である.
 この時期になると,さすがに朝早く起床するのが辛くなる.天気予報では,日中は日射しがたっぷりあり,絶好の行楽日和だといっているが,朝晩は結構冷え込む.
 何時ものように,早朝5時10分に自宅を出発する.真っ暗で寒い.
 今日は,今年47解明の塔ノ岳登山にでかける.前回,塔ノ岳を訪れたのは11月9日.もうかれこれ2週間もブランクがある.これだけブランクがあるとさぞかし体力も落ちているだろうなと心配になる.
 振り返ると,ここ2週間は我ながら随分と多忙であった.平素,「サンデー毎日」氏を標榜している私にとって,これほどめまぐるしい日々を送ることは滅多にない.
 まずは3泊4日(内1日はバスの車中泊)で中山道六十九宿巡りに出掛けたこと.旅の期間中のさることながら,この旅の事前準備にかなりの労力と時間を要した.
 次いで,鎌倉美術家連盟研究会に批評をお願いする2枚の水彩画をしゃかりきになって描き続けたことも時間,心労ともに大きな負担になった.
 その間,五十三次洛遊会の芦ノ湖西岸ハイキングや,山旅スクール5期「鎌倉トレッキング会」の皆さんと箱根浅間山・鷹巣山ハイキングにお付き合いもした.
 あとは,このブログで書くのは相応しくないので省略するが,仕事の関係で数日雑務に没頭した.
 そんな毎日を過ごしている内に,瞬く間に,2週間も経ってしまった.
 そうそう・・・それに,どうしたことか,“鬼の霍乱”とでも言うのだろうか.平素,風邪を引いたことがない私が,中山道の旅の途中,夜中にのどが痛くなり,声がかすれるようになった.風邪を引いたのである.声は2日目に正常に戻ったものの,咳や痰が続き,ついには数日間下痢が続いた.とはいえ,寝込むほどのことはなかったので,医者にも行かず,薬も飲まず成り行きに任せっぱなしにした.その結果,漸く,2~3日前に正常に戻ったという次第である.
 さて,そんなこんなの果ての今日である.
 今日は,五十三次洛遊会の幹事役を務めておられるO村さんの塔ノ岳初挑戦にお付き合いする日である.
 O村さんは,平素,ウォーキングで脚力を鍛えておられる方なので,私は何の心配もなく同行させて頂くことにした.

■大倉を歩き出す
 何時ものように大船駅から小田原経由で小田急電車に乗り換えた.ところが,どうした訳か,小田原駅の乗り換え時間が,何時もより30秒ほど短くて,私が,駆け足の末,やっと滑り込むと同時に,発車のベルが鳴り出すという慌ただしさである.
 電車が発車すると同時に,私は落ち合う予定のO村さん宛に,
 「・・予定の電車に間に合いました・・」
とメールを打ち始める.すると,いきなり着信.送信元はO村さん
 「・・今,渋沢に到着しました・・」
 1番バスは,平日にしてはかなりの乗客が乗っている.ところが,ご常連がほとんど居ない.カメラマンのMさんなど数えるほど.
 多分,明日から開催される塔ノ岳常連一泊旅行の関係で,今日は居ないのだろうと想像する.
 バスは6時58分に大倉に到着する.
 身支度を調えて,7時07分にO村さんと一緒に大倉から歩き出す.
 余談だが・・・
 塔ノ岳は低山とはいえ,累積標高差が1,269メートルもある結構ハードな山である.途中,危険箇所はないものの,長くて急傾斜な階段や,ちょっとしたガレ場がある.いくらウォーキングをしていたからとはいえ,ウォーキングと登山とはかなり違いがあるので,私は塔ノ岳山頂までの所要時間は良くて4時間,場合によっては堀山の家あるいは花立山荘辺りで引き返すことになるかな・・・万一,12時までに山頂に到着しない場合は,そこから下山・・というラフな計画を立てていた.
 歩き出すと,ある面で予想が的中した.これまで,丹沢発登山の方,数名とご一緒したことがあるが,全員に共通して言えることは,疲れがない最初に張り切って猛ダッシュしてしまうことである.この点はウォーキングのベテランであるO村さんでも同じであった.
 最初,O村さんに先頭に立って貰って歩き出すと,猛スピードである.このままの速度で登り続ければ,2時間10分台で山頂に着いてしまう.こんな速度では私も到底ついて行けない.
 「もっと,ユックリ歩きましょうよ・・・」
ということで,しばらくは私が先頭に立って,歩き続ける.
 山麓の気温は8℃.快晴で無風.路面の状態も乾いていて歩きやすい.路肩の雑草はもうすっかり枯れていて,山ヒルの心配ももうない.絶好の登山日和である.もし,私が単独登山をすれば,多分,2時間25分前後で登れる気象条件だなと想定する.
 私は,折角のチャンスなので,O村さんにも,是非,山頂まで行って貰いたいなと思う.そこで,山頂までの所要時間を4時間と想定して,歩行速度を調整する.

■見晴山荘
 大倉から登山口,登山口から克董窯,克董窯から丹沢ベース・・それぞれの間を,単独山行の場合は大体4分ずつ掛けている.そこを今日は5分ぐらいで通過する速度を保ったまま登り続ける.
 7時33分に観音茶屋を通過する.単独山行ならば多分7時26分に通過しているだろう.
 7時50分,見晴山荘に到着する.ここで,5分ほど給水休憩を取る.
 山荘から日光を反射して輝く相模湾が見下ろせる.素晴らしい景色である.

<見晴山荘から相模湾を望む>

■駒止茶屋から堀山へ
 いよいよ,最初の難所である急坂が始まる.ここで無理をするとたちまちの内に潰れてしまうので,超ユックリペースで登る.階段道を過ぎて,モミジ坂に差し掛かる.
 この辺りのモミジは,漸く色付き始めた程度で,見頃はまだまだ先のようである.とはいえ,モミジの木の下をユックリと登り続けるのは気分が良い.

<モミジ坂の紅葉>

駒止茶屋から堀山へ
 9時14分に一本松を通過する.そして,いよいよ2番目に難所である駒止茶屋前の急階段に差し掛かる.階段をゆっくり登り続けて,9時33分に駒止茶屋を通過する.大倉を歩き始めてからの所要時間は,1時間26分.初登山にしては,まあまあの時間である.私は内心でホッとしている.
 休憩を取らずに,そのまま歩き続ける.
 やがて,堀山の尾根道になる.所々に綺麗に紅葉した木々が見えている.
 富士山の展望スポットからは,八合目当たりから上が冠雪した富士山がクッキリと見えている.ここで数枚の写真を撮る.

<堀山の尾根からの富士山>

■萱場平
 8時47分,”タッ,ダッ,ダッダー・・”と,下山してくる韋駄天のY沢さんとすれ違う.
 8時50分,堀山の家に到着する.小草平のベンチで,今日2度目の休憩を取る.大きな杉の木の間から,相変わらず富士山が良く見えている.
 ここからが長い登り坂になる.やや急斜面のガレ場が連続する.ガレ場に馴れていないO村さんは歩きにくそうである.しかし,誰でも最初は同じである.私も北アルプスのザイテンラードを初めて登ったときの戸惑いを懐かしく思い出す.
 長い登り坂なので,結構,時間が掛かる.それでも,案外順調に登り続けて,9時19分に萱場平に到着する.
 「一休みしますか・・?」
とO村さんに聞く.
 O村さんは休憩を取らなくても良いとのことなので,そのまま歩き続ける.

<萱場平>

■花立山荘の富士山
 萱場平からの階段道が終わるとガレ場になる.登山に不慣れな方には少々歩きにくいところである.初登頂のO村さんも,かなり歩きにくそうである.ユックリ歩き続けて,9時41分に後7分坂に到着する.ここで、暫く深呼吸をして息を整え,9時43分に坂を登り始める.
 私は,
 「ユックリ歩きましょう・・」
を繰り返す.
 階段道をユックリと登って,9時51分に花立山荘に到着する.
 ところが,予想に反して,O村さんが汗ビッショリになっている.
 「これはマズイな」
と思った私は,花立山荘前のベンチで,暫くの間,休憩を取ることに決める.
 7時07分に大倉を歩き出してから2時間44分経過している.私が単独山行なら,ここまで2時間前後の所要時間なので,何時もの私の山行に比較すれば約45分ほど遅い.でも,初めての登山にしては,随分と速い歩行速度である.
 花立山荘から富士山がとても良く見えている.

<花立山荘からの富士山>

■富士山と南アルプスがクッキリ
 花立山荘で6分ほど休憩を取ってから花立山を目指す.
 遅くなった原因は明らかである.それは後7分坂で少々頑張りすぎて,歩行ペースを乱したからである.しかし,初めての登山にしては,O村さんの健闘振りは大いに評価できる.
 喘ぐように登って,10時08分,花立山に到着する.花立山荘から花立山までの所要時間は11分.喘ぐような登攀速度にしてはマアマアの出来である.
 花立山からの眺望は素晴らしい.雪を被った富士山と南アルプスが屏風のように連なっている.富士山の南側には越前岳,箱根,真鶴半島,相模湾が一望の下に見えている.さらに目を東に向けると,遠く江ノ島,鎌倉が見えている.そして,その右手に丹沢表尾根の山々が見える.
 前方にはこれから登る塔ノ岳の山頂が,すぐそこに見えている.
 「あそこが,塔ノ岳山頂ですよ・・・あと僅かです」
とO村さんを励ます.

<山頂付近から富士山を望む>

■霜柱の登山道
 周囲の風景を眺めながら,馬の背のヤセ尾根を行く.数週間前,この辺りの紅葉が素晴らしかったが,今はすっかり冬景色に変わっている.
 10時15分,金冷シを通過する.
 金冷シから先に,3箇所の階段がある.まずは最初の長い階段に差し掛かる.歩行速度は一段と遅くなるが,やむを得ない.2番目,3番目の階段は,さらに遅くなり,途中で何回も立ち休憩をしながら,登り続ける.
 金冷シ辺りから一段と寒さが厳しくなる.路傍の霜柱が見事である.

<霜柱の登山道>

■塔ノ岳山頂
 10時37分,ついに塔ノ岳山頂に到着する.大倉を歩き出してからの所要時間は,丁度3時間30分.初挑戦にしては素晴らしい記録である.万歳! やはり日頃からウォーキングで鍛えた脚力があったからこそ,この素晴らしい記録が生まれたんだろう.お世辞を抜きにして大したものだと思う.
 今日の山頂からの展望は実に素晴らしい.360度全方向の眺望が楽しめる.幾分霞が掛かっていて,遠くは少し霞んでいるが,目の良い人ならば東京スカイツリーも見えるだろう.
 山頂の気温は3.4℃.ピリッとした気温である.
 山頂では,数名の登山客が休憩を取っている.

<塔ノ岳山頂からの富士山>

■尊仏山荘
 尊仏山荘に入る.小屋番はW林さんとオーナーのHさん.
 O村さんにつられて,珍しく甘酒を注文する.尊仏山荘で甘酒を飲むのは初めての経験である.甘酒は予想以上に甘かった.登山で疲れたときには,確かに甘酒は美味しそうである.
 「今日の一番バスは珍しくご常連さんが少なかったです.見掛けたのはカメラマンのMさんだけだったです・・」
とW林さんに報告する.
 「今日は皆さん,明日の常連会の準備をしているようですよ・・」
とW林さんが言う.
 私は,内心で“シマッタ”と思う.このところの多忙さにかまけて,常連会のことは全く他人任せにしていて,何の手伝いをしていない.何だか申し訳ない気持ちで一杯になる.
 暫く雑談をしていると,W林さんが2階で昼寝をしている猫のミー君に
 「降りてきなさい・・」
と声を掛ける.すると,ミー君が素直にコトコトと階段を下りてくる.この素直さが実に可愛い.
 ミー君が石油ストーブの側に座りたそうな仕草をする.ストーブの近くに座っていた客が,
 「ここに座りたいの・・?」
と言いながら,場所を少し空けてくれる.
 W林さんが餌をストーブの側に持って行く.ミー君は一寸餌を食べただけ.
 「もう良いの・・?」
と言いながらW林さんが餌を片付ける.
 私がミー君の写真を撮っていると,居合わせた客が釣られてミー君の写真を取り出す.
 「こいつ,性格が素直で,とっても良いネコなんですよ・・・」
とミー君を紹介する.
 「そういえば,ネコのSさんは未だ登ってこないですね・・・」
とW林さんが言う.近々,ネコのSさんが丹沢に復帰するというウワサがあったが,まだ実現していない.ミー君ももう11歳になった.早く復帰してくれないと困るなと心の中で思っている.
 山荘の窓から富士山を眺める.山頂付近に雲が湧いてきたものの相変わらず素晴らしく良く見えている.

<尊仏山荘の窓から富士山を望む> 

 
<尊仏山荘の甘酒>                                         <ミー君>


<ミー君>


<ミー君>

■初挑戦のお二人
 11時15分,尊仏山荘から下山を開始する.
 何時の間にか,山頂は沢山の登山客で賑やかになっている.安全を念頭に置きながら,ゆっくり,ゆっくり,下山を続ける.
 山頂直下の階段で,ご常連のS女史が,今回初挑戦の女性1人を伴って,休憩を取っている.
 「おや,暫く振りです・・登りですか,下りですか?」
と声を掛ける.
 「まだ,登りなんです.こちら塔ノ岳初挑戦の方なんです.最初はせいぜい花立山荘までかなと思っていたんですが,頑張ってここまで来ちゃいました・・・」
 「そうでしたか・・私も初挑戦の方と一緒です.初挑戦で3時間30分で登っちゃいましたよ・・」
 「それは凄い!」
 「そうなんですよ.凄いんです・・」
 「・・・で,明日の常連会.参加されますか?」
 「もちろん! 参加しますよ・・・」
 「嬉しい! 楽しみにしていますよ・・・明日宜しく」
ですれ違う.

■堀山の家で一休み
 その後,安全第一で,ユックリ,ユックリと下山を続ける.
 岩混じりのガレ場は,さすがに初挑戦のO村さんは面食らっているようだが,
 「足場を良く見ると,階段のように足の置き場が並んでますよ.そこを2~3段先まで見つけて,ゆっくり降りるんです・・・」
と余計なお世話をする.
 下山途中,私が登山学校で習ったことを,オウム返しに,O村さんに披露する.少しでも山道になれて頂ければ良いなと思いながら・・・
 12時37分,堀山の家に到着する.平日だが珍しく開店している.小草平のベンチで,数分休憩を取る.

<堀山の家の冬支度>

■紅葉を愛でながら下山
 太陽の光線のせいか,堀山の尾根付近の紅葉が,登りで見たときと違って,実に綺麗に見えている.紅葉を充分に楽しみながら,ユックリ,ユックリと下山し続ける.
 その後,見晴茶屋でも休憩を取り,14時09分,無事,大倉バス停に到着する.
 下山所要時間は3時間12分.初登山にしては上出来である.
 O村さん万歳!
 …で,僭越ながら,私の初挑戦O村さんの評価は95点.
 5点のマイナスは,花立山荘手前の後7分坂の登りで,オーバーペースになったこと.
 これを機会に,O村さんが塔ノ岳常連の一角を占めるようになって貰いたいなと希望している.
 明日の常連会が,今から楽しみである.

<モミジ坂の紅葉を愛でながら・・・・>

<ラップタイム>

 7:07  大倉歩き出し
 7:33  観音茶屋
 7:50  見晴茶屋(7:55まで休憩)
 8:33  駒止茶屋(8.0℃)
 8:50  堀山の家(8:56まで休憩)
 9:51  花立山荘(9:57まで休憩)
10:15  金冷シ
10:37  塔ノ岳山頂着(3.4℃)
====================
11:17  塔ノ岳山頂発
11:33  金冷シ
11:50  花立山荘
12:37  堀山の家(12:39まで休憩)
12:57  駒止茶屋
13:25  見晴茶屋(13:28まで休憩)
13:45  観音茶屋
14:09  大倉 着

 [山行記録]

■水平距離
       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(休憩時間を含む)
  大倉   発       7:07
  塔ノ岳  着      10:37
 (所要時間)      3時間30分(3.50h)
 水平歩行速度    7.0km/3.50h=2.00km/h
 登攀速度       1269m/3.50h=362.6m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳  発       11:17
  大倉   着       14:09
 (所要時間)     3時間12分(3.20h)
 水平歩行速度   7.0km/3.20h=2.18km/h
 下降速度      1269m/3.20h=396.6m/h
                                    (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4c95882e15685288245d3902ac50b2dd
「丹沢の山旅」の次回の記事(常連一泊旅行の記事)
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8ff71e294ee6b6d31f1727498aca14ee



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