<塔ノ岳山頂から蛭ヶ岳方面を望む>
新雪でネコが寒がる丹沢:塔ノ岳(今年15回目)
(上り単独;下りT中さんに同行)
2012年3月14日(水) 曇;粉雪舞う
■相変わらず心臓バクバクの電車乗換
前回塔ノ岳に登ってから,もう1週間になる.今日辺り塔ノ岳に登っておかなければ,ますます身体が衰えてしまうと言う強迫観念が頭を過(ヨ)ぎる.例によって,頭の中で出掛けようか止めようかを何回も繰り返すが,登山用の衣服に着替えると気持ちもシャンとする.
小田原駅での乗換たった3分の関門を突破して,小田原発6時24分の小田急電車に乗車して,ホッとするが,駅構内の駆け足で心臓ばバクバクしている.この乗換で私が持っている体力のすくなからずの部分を消耗してしまう.
渋沢発大倉行1番バスは,ほぼ満席,何時もよりかなり登山客が多そうである.
バスの中を見回す.居る.居る・・・たくさんのご常連.韋駄天のTさん,三角髭のTさん,韋駄天のS藤さん,U村さん,超韋駄天のN村(弟)さん,Y内さん,T中さん,ホッシーさん,F田さん・・・・,ここに居られるご常連さんは,ほぼ全員,私よりずっと俊足なので恐れ入る.
バスが大倉に到着すると同時に,数名のご常連はそのままサッサと歩き出す.皆さんの機動力の速さも驚異的である.
■ご常連と前後しながら登山開始
真っ先に歩き出した方より約10分遅れて7時10分に歩き出す.気温が丁度良いのか,何となく調子が良い.少々歩行ピッチが速すぎるかなと思いながらも,途中からY内さんと雑談しながら,雑事場ノ平付近までご一緒する.雑事場ノ平で衣服調整中の三角髭のTさんと会う.
7時46分,見晴茶屋を通過する.ここからの相模湾の眺望を期待していたが,天気予報が外れたのか,低く垂れ込めた雲で殆ど眺望がきかない.残念だが儀式として,数枚の写真をデジカメに収める.
昨夜の内に新雪があったらしく,見晴らし山荘付近から,辺りに雪が見え始める.
例により,見晴階段に差し掛かると,前方に何人かの登山客の後ろ姿が見えている.その中にご常連のホッシーさん,F田さんの後ろ姿も見えている.
一本松付近で,F田さんに追い付く.暫くの間,F田さんとアメリカのエルバート山の話などをしながら,ややユックリペースで歩き続ける.その間に,Y内さんに追い越される.
<新雪の見晴山荘>
<見晴階段>
■新雪が美しい丹沢の山並み
8時18分,駒止茶屋を通過する.大倉を歩き出してからの所要時間は1時間08分.やっぱり自分の希望時間より数分余計に掛かっている.でも,これもこの頃の体調を考えれば致し方ないことである.
平坦な堀山の尾根に差し掛かる.
残雪が一段と増して,辺りは真っ白である.今日は富士山が見えるかなと期待しながら尾根道を歩き続けるが,残念ながら,今日も富士山を拝むことができない.ただ,新雪で凛とした姿になった近場の山々が良く見えている.早速,デジカメタイムである.
<新雪の堀山の尾根>
<富士山は雲の中>
■萱場平
8時32分,堀山の家を通過する.
現在の私の体調では,歩行速度が,少々速すぎるかもしれないと反省して,少し歩行速度を落として登り続ける.標高が高まるにつれてますます雪の量が多くなる.
8時51分,萱場平に到着する.早速,定点観測の写真を撮る.その間,私のすぐ後ろに居られたF田さんに,先に行ってもらう.デジカメをゴシャゴシャと弄っている間に,F田さんの後ろ姿は視界から消えてしまう.
<萱場平>
■後7分坂
途中見え隠れする表尾根の写真を撮りながら,無理のない速度で登り続ける.今日は気温が案外低いようで,足許は凍結している.
やがて,後7分坂に差し掛かる.階段を隠すほどではないが,かなりの積雪である.何時も階段の上り口で振り返って,相模湾を望む写真を撮ることにしているが,今日は残念ながら霧の中.それだけではなく,先ほどから,粉雪がちらついている.
9時12分,後7分坂を3分の2ほど登ったところで,下山してくるKシゲさんとすれ違う.
「今日は,山頂も,こんな具合でしたよ・・・山頂すぐ下の急坂はアイゼンを付けた方が良いかもしれませんね.K井さんが張ったロープを使えばアイゼンなしで登れるかもしれませんが・・・」
と,いろいろと情報を頂く.
<後7分坂>
■花立山荘
9時18分,花立山荘に到着する.大倉を歩き出してから2時間08分.やっぱり遅いが致し方ない.山荘前の広場には誰も居ない.あいかわらず富士山は雲の中である.
山荘脇のベンチで丁度,アイゼンを付け終えたY内さんが,
「おさきに失礼します・・・」
と私に挨拶して歩き出す.
私は,当初,花立山山頂でアイゼンを装着しようかと思っていたが,Y内さんに見習って,花立山荘でアイゼンを装着することにする.ほんの3~4分でアイゼンの装着は終えたが,もうY内さんの後ろ姿は視界から消えている.
私がアイゼンを装着しているときに,N村(弟)さん,S藤さんが次々に下山してくる.幾ら私の足が遅いとはいえ,同じバスに乗っていたにもかかわらず,これだけの差が付くのだから恐れ入る.
9時30分,花立山山頂に到着する.一面の雪.素晴らしい冬景色である.この辺りからは,ラップタイムなどどうでも良い.とにかく美しい冬景色を堪能することに決める.
新雪に覆われたヤセ尾根道,馬の背からの鍋割山稜など,なかなか見応えのある冬景色である.手当たり次第,冬景色をデジカメに収める.
とくに馬の背付近の木々の枝には残雪が積もっていて,なかなか見応えのある風景になっている.
<寒々とした花立山荘>
<木の枝の残雪>
<凛とした鍋割山稜>
■食べ物に困っている鹿
9時40分,ようやく金冷シを通過する.新雪が一層深くなる.ここから山頂までの階段はすべて雪に埋もれている.
金冷シから雪に覆われた最初の階段道を登り切ってからの窪地で,大きな雄鹿に出くわす.鹿は私を無視して,一生懸命,倒木の樹皮を食(ハ)んでいる.近くには樹皮が完全になくなった倒木が1本,横たわっている.
「こいつ・・・雪で食べるものがないんだな・・・」
と同情する.
鹿の写真で道草を取った後,歩き始めてすぐに,下山してくる三角髭のTさんとすれ違う.つづいて,山頂直下の階段下で韋駄天のTさんとすれ違う.
<新雪に覆われた馬の背>
<雪に覆われた鍋割山稜>
<韋駄天のTさんが下る>
<腹が減った鹿>
<三角髭のTさんが下る>
■塔ノ岳山頂
9時58分,塔ノ岳山頂に到着する.
山頂は大量の雪で覆われている.上空には青空が見えているが,残念ながら富士山は分厚い雲に遮られて見えない.それでも,儀式として山頂からの風景を一回りデジカメに収める.
山頂での景色を一通りデジカメに収めてからも,塔ノ岳山頂から丹沢山方面に下ったところの風景が気になる.一旦,尊仏山荘に入ってから後で,丹沢山方面に行ってみようかとも思ったが,アイゼンを外したり装着したりするのが面倒なので,山荘に入る前に,ほんの少しだけ,樹氷を期待して,丹沢山方面に下ってみる.しかし,樹氷は全くない.
数枚の写真を撮った後,ふたたび塔ノ岳山頂に引き返す.
<塔ノ岳山頂>
<塔ノ岳山頂から蛭ヶ岳方面を望む>
■尊仏山荘;元気のないミー君
尊仏山荘に入る.10名ほどの登山客で賑わっている.その半分はご常連である.今日の小屋番はオーナーのHさん.山頂の気温は山荘の温度計で0℃.この時機にしては少し寒い.
例によって300円也のお茶を所望する.
客室の床に,ネコのミー君がジッと座り込んでいる.なんとも元気がない.
「大丈夫かな・・」
と少々心配になる.
ネコ年齢に換算すると,不肖FHは,11.3歳である.このところのFH,干からびた納豆のように悪臭とネトネトした糸を引く内蔵が気になっている.五臓六腑はおろか手足にも衰えを感じている.ましてや,FHより年上になった12歳のミー君も,一見元気そうでも,いろいろと調子の悪いところがあるに違いない.そう思うとミー君も哀れである.
元気のないミー君の姿を見かねたのか,F田さんが,床にうずくまるミー君を抱えて,ストーブの側にそっと置く.ミー君はホッとしたような表情でストーブの前に座り込む.
「寒いと,(ミー君は)おしっこを我慢しているんですよ・・」
とF田さんが言う.
F田さんの話だと,ミー君は,オシッコをしに外へ出ようとするが,外が寒いと出るのを止めてしまうとのこと.
<床に座り込む元気のないミー君>
<ストーブの前に連れて来られたミー君>
■山頂から大山を望む
10時37分,そろそろ下山しようかと思う.
山荘を出て,外でアイゼンを装着する.山頂で休憩を取っている登山客が,何時の間にか増えている.
厳冬期を思わせる雪の丹沢の山々が見えている.下山する前に,また,何枚かの写真を撮る.さらに,途中で道草をしながら下り続ける.
先ほどであった雄鹿が,相変わらず同じ場所で,倒木の樹皮を食べている.2人の登山客が,この鹿を見つめている.そして私に,
「鹿が居ますよ・・・」
と教えてくれる.
「まだ,ここに居るんですね・・実は1時間余り前に上りでここを通ったときにも,ここに居ましたよ・・」
その後も,雪の写真を撮りながら,ゆっくりと下山し続ける.
<山頂から大山方面を望む>
■無事下山
11時05分,花立山を通過する.目の前に相模湾の雄大な眺望が開けている.ここでまた道草.
花立山荘手前で,アイゼンを脱着する.ちょうどそのとき,下山してくるT中さんが私に追い付く.ここから,大倉まで,T中さんと雑談しながら一緒に下山する.
今,私は右足の踵の調子が悪い.そのために,どうしてもユックリとしか下山できない.そんな足の遅い私にお付き合い頂くY中さんも,随分焦れったかったろうなと思っている.
13時07分,無事,バス停大倉に到着する.そして,予定通り13時22分発渋沢行のバスに乗車する.渋沢駅,小田原駅ともに,乗り換え時間は僅か4分と慌ただしいが,それだけ電車の接続が良いとも言える.
14時32分に,無事,大船駅に到着する.15時前には無事帰宅.
体調は決して万全ではないが,それでも無事塔ノ岳を往復できたので大満足である.
もちろん,寝掛けに少々熱めの風呂に入って,随分と早い時間に就寝する.良かった.良かった.
<ラップタイム>
7:10 大倉歩き出し
7:31 観音茶屋
7:46 見晴茶屋
8:18 駒止茶屋
8:32 堀山の家
9:18 花立山荘(9:22アイゼン装着)
9:40 金冷シ
9:58 塔ノ岳山頂着(0.0℃)
10:37 〃 発
10:56 金冷シ
※花立山でアイゼン脱着
11:17 花立山荘
11:52 堀山の家
12:09 駒止茶屋
12:32 見晴茶屋
12:47 観音茶屋
13:07 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:10
塔ノ岳 着 9:58
(所要時間) 2時間48分(2.80h)
水平歩行速度 7.0km/2.80h=2.50km/h
登攀速度 1269m/2.80h=453.2m/h
■下降所要時間(雑談時間を含む)
塔ノ岳 発 10:37
大倉 着 13:07
(所要時間) 2時間30分(2.50h)
水平歩行速度 7.0km/2.50h=2.80km/h
下降速度 1269m/2.50h=507.6m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/874e2695639481a9f873a1f1497d547f
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f5c756733afb716ba1b35eec0e1ccf17
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