中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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泥濘とネコのんびりの丹沢;塔ノ岳(今年12回目)

2011年02月27日 04時45分55秒 | 丹沢の山旅

                              <塔ノ岳山頂からの眺望>

     泥濘とネコのんびりの丹沢;塔ノ岳(今年12回目)
           (単独山行)
       2011年2月26日(土).,

■相変わらずの土曜日1番バス
 三日月(かな?)を背中に背負いながら真っ暗な道を駅へ急ぐ.昨日の陽春のようなポカポカ陽気は一転して,今日は寒い一日に戻ってしまった.とはいえ,もう2月下旬.いくら寒いとはいえ,厳冬期ほどの寒さではない.そういえば,昨日(2月25に),関東地方に春一番が吹き荒れた.季節は着実に移り変わっている.
 今日は土曜日,渋沢発大倉行1番バスに乗車する.私が乗車したときは,沢山の空席がある.私は,乗車口のすぐ後ろの席の窓側に座る.
 下り電車が到着する.例によって,ドヤドヤと沢山の登山客が乗り込んでくる.たちまちの内に沢山お立ち席が出るほどバスは混雑する.韋駄天のTさん,三角髭のTさん,女性のT田さん,K大Nさん,K井さん,K林さん他,ご常連が顔を揃える.
 山旅スクール7期(かな?)のT井さんが私の席の隣に座る.
 「今日はMロクですか?」
と伺うと,今日は,ご自分の訓練のために,蛭ヶ岳辺りまでピストンで登るとのことである.凄い!
 バスは,7時少し前に大倉に到着する.大半のご常連は,バスが到着すると同時に,サッサと歩き出す.その手際の良さは,モタモタの私には呆れるほどである.でも,私も7時11分に,何とか大倉から歩き出す.気温は4℃.まあまあのコンディションである.

■朝日が心地よいトラバース道
 登山口付近では梅が見頃である.近くの杉林はタップリと花粉を蓄えている.花粉で杉林全体が真っ黄色になっている.そろそろ花粉除けのマスクを早着しないといけないなと思い始める.
 この所,雨が降っていないので,路面は良く乾いている.
 歩き出してすぐに,T井さんに追いつく.急傾斜がなくて,写真を撮りたいなと思う場所が少ない間は,T井さんより先に行かせて貰う.
 要所,要所でラップタイムを記録しながらマイペースで歩く.
 今日は体調が良さそうである.そうなると気分も高揚してくる.朝日が進行方向右手から,林を抜けて水平に差し込んでくる.観音茶屋に近付くと,朝日がやわらかに当たるトラバース道になる.朝日を浴びながらノンビリと歩く.実に気分が良い.
 7時46分,見晴山荘を通過して,急坂に差し掛かる.坂に沿って上の方まで,登山者が連なっている.
 8時16分に駒止茶屋を通過する.歩き出してから1時間05分経過している.
 「ありゃ~っ・・ちょっとノンビリしすぎたかな」


■丹沢ウッズさんが下る
 堀山の尾根に入る.私の影法師が,地面や杉林に映っている.そして,雲一つない空に真っ白な富士山が良く見えている.ただ,いくらか春霞がただよっているためか,空が何となくコバルトブルー色になっている.
 勿論,私は,今日も沢山の富士山の写真を撮りまくる.そして,ダイヤモンド富士の日も過ぎたことなので,私の影の映り方も少しは変わったのではないかと思って,富士山と私の影を1枚の写真に収めたいなと思う.先日失敗したばかりなのに・・・
 色々試してみるが,今日もやっぱりうまく行かない.残念.結果的に時間の浪費であった.
 前方から,丹沢ウッズさんが,軽快に下ってくる.
 「やあ・・山頂近くにちょっと雪があるけれども,今日はあるきやすいですよ・・」
と教えてくれる.


■私はマリオネット
 8時32分,堀山の家を通過する.小草平からも富士山が良く見えている.ここでも道草をして富士山の写真を撮りまくる.
 萱場平までの急坂の途中で,1カ所,富士山が良く見えるところがある.ここでも性懲りもなく富士山の写真を何枚も撮る.
 そして,暫くの間は階段道を何となく登り続ける.今,山を登っているという意識が遠のき,登りながら雑多なことを考えている.ただ,足だけは,まるでマリオネットのように規則正しく登り続けている.
 坂道を登りながら,幼い頃,母親に,
 「・・こんな坂,何だ,坂.こんな坂,何だ,坂,・・」
と励まされながら,故郷の坂道を登ったことを甘酸っぱく思い出す.その途端,昨年,アメリカのエルバート山へ登っていたときのことを不意に思い出す.あのとき,私が母との思い出を話ながら,同行者と坂道を登っていると,横から不意に男性が割り込んできて,
 「そんな話は嘘だ・・『こんな坂,何だ坂』は,蒸気機関車が坂道を登る様子を擬人的に表したんだ・・」
と私に食って掛かったことを思い出す.
 そのとき,私は,
 「蒸気機関車のことなど,私にはどうでも良いこと,母との思い出を話していることです」
と突っぱねた.多分,この男性が言っていることは本当だろう.でも,蒸気機関車なんて,私には南野か関係はない.要するに母との思い出が大切なんだ・・・
 そんなことを考え出すと,余計にムシャクシャしてくる.もう,かの男性と会うことはないが,仮に再会したら,猛烈に言い返してやろう・・・と,気が苛立ってくる.
 「はっ・・」
と我に返る.一体私は何をしているんだろう.
 マリオネット人間になっていた私は,バックグラウンドジョブで,心は虚ろ.まるで登攀機械のように登り続けている.当然,ノソノソ歩きになっている.
 「ありゃ~っ・・! 随分ノンビリしちゃったな・・」
 正気に返ったとき,私は戸沢分岐に到着している.8時50分.

■萱場平
 とにかく萱場平まで登って,定点観測の写真を撮る.このとき,登山口付近で追い越したはずのT井さんに追いつかれてしまう.別に競争をしているわけではないので,追いつかれても構わないのだが,萱場平から先は,T井さんのすぐ後ろを歩くことにする.


■花立山荘まで真面目に歩く
 T井さんの登攀速度は,私にも丁度良い速度である.私はT井さんから5メートルほど離れた所を付かず離れずに登り続ける.真面目に歩いて,後7分坂に到着する.
 坂の途中で振り返って,相模湾の眺望を写真に収める.そんな些細なことで,T井さんとの距離が数メートル広がってしまう.
 間隔を少し詰めようと思って,登攀速度を少し早めるが,返って足に疲労が貯まり,速度が落ちる.それでも,5メートルほどの間隔を保ったまま,9時10分に花立山荘に到着する.
 大倉からの所要時間が結果的に2時間を切っている.わずか1分だけだが・・・今の私には上出来.
 山荘前のベンチには,もう何人かの登山客が休憩を取っている.ベンチの向こうには,相変わらず富士山が良く見えている.私はここでも富士山の写真を数枚撮る.
 そうこうしている内に,T井さんとの距離が20メートルほどに広がってしまう.私はT井さんの後を付けるのを諦める.T井さんはMロクD.所詮,私ごときが同じペースで歩ける方ではない.それに,余り何時までも後ろに付いていたら,気分が悪かろうという遠慮もある.


■見事な富士山と南アルプスの眺望
 9時09分,花立山に到着する.
 今日のここからの眺望は素晴らしい.雲一つない青空に真っ白な富士山と南アルプスが見えている.素晴らしい眺望を見ていると,時間の許す限り,この場所で風景を眺めていたくなるが,そうもいかない.10枚ほどの写真を撮ってから,先へ進む.
 馬の背に差し掛かると,突然残雪が増え出す.踏み固められた雪の表面に砂が混じっているので,中有をして歩けば,特に危険はない.金冷シまでの2カ所の下り坂も,踏み固められた残雪はあるものの,容易に通過することができる.
 馬の背からの鍋割山稜の眺めが素晴らしい.ここでも,暫く立ち止まって写真を撮る.
 歩き出すと,後ろから誰かが近付いてくる.何時も土曜日にこの辺りで追い抜かれてしまうスーパージャイアンである.
 「やあ,ヤア,こんにちは・・」
と挨拶を交わしてから,先に行って貰う.


■山頂まで悪路の連続
 9時26分,金冷シを通過する.泥濘は無数の足跡を残したまま凍結している.でも,間もなく融け出しそうである.
 「帰りは泥んこ道だな・・」
と覚悟する.
 金冷シから最初の長い階段を登り切ると窪地になる.ここにはツルツルに凍り付いた雪がかなり残っている.ツルツルの所を避けながら先へ進む.
 山頂直下の最後の階段を登っているときに,下ってくる韋駄天のTさんとすれ違う.私はTさんに,
 「(小屋番の)××さんのことですが,何か変わった様子はありましたか」
と伺う.実は,つい先日,ここでは公表できないが,噂話を小耳に挟んだので確かめたかった.Tさんは知らないという.まあ,いいか・・
 つづいて,三角髭のTさんとすれ違う.
 9時42分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間31分.わずか1分とはいえ,30分をオーバーしている.相変わらずショボイ記録だが,今の私には,この程度が精一杯.
 山頂には沢山の登山客が屯している.雪は殆どない.




■尊仏山荘
 山頂からの眺望を一回り写真に収めてから尊仏山荘に入る.今日の小屋番はOさんとWさん.
 入口近くのテーブルには,土曜日のご常連,数名が座っている.山荘の温度計は0.0℃.例によって300円也のお茶を所望する.
 暫くすると,Oさんが奥の部屋からミー君を抱きかかえてくる.寝ていたのだろうか,ミー君はボンヤリと立ちすくむ.これがまた可愛い.女性の客が,
 「かわいい・・」
と言っている.早速,ネコの写真と,Oさんとネコのツーショット写真を撮る.
 そうこうしていると,K大NさんとカメラマンのMさんが相次いで山荘に到着する.この頃,K大Nさんのスピードが随分速くなったような気がする.あるいは私が遅くなったのかな?
 暫くすると,丹沢ウッズさんが山荘に到着する.今日2本目の塔ノ岳ランニングである.
 杉の花粉アレルギーが話題になる.
 「・・実は私も,杉花粉アレルギーです・・でも山に登ると症状が出ないんですよ・・」
と不思議なことを仰る方も居る.その内に,どなたかが立て続けに10連発ほどの猛烈なハクションをする.
     



■泥んこ道を下山
 小屋の中が大分賑やかになる.座席も満席に近い.この辺りで失礼する潮時かなと思って,10時12分に下山を開始する.
 山頂は溢れるほどの登山客で一杯になっている.暫く山荘にいた間に,気温は大分高くなっている.登りでは凍結していた泥が,すっかり溶け始めている.山頂から金冷シの間に,ほんの少し残雪があるだけで,後は泥道の連続である.
 次から次へと登山客が登ってくる.私は,大倉発12時40分のバスに乗るつもりである.まだ,時間はたっぷりある.登ってくる登山客とすれ違いながら,ノンビリと下山し続ける.
 金冷シ手前で,走り降りるウッズさんに追い抜かれる.金冷シより少し手前の平坦なところで,登ってくる尊仏山荘のHさんとバッタリ.
 「やあ,やあ,・・・」
と挨拶してすれ違う.
 10時34分,花立山で立ち止まる.ここから相模湾を見下ろすと,幾重にも山並みが折り重なっている.春霞で遠くが茫洋としている.正に春の風景である.
 花立山荘前はベンチに座りきれないほどの登山客で賑わっている.後7分坂を下り始める.下から重い荷物を背負ったチャンピョンが登ってくる.
 「Hさんとどの辺で合いましたか・・?」
とチャンピョンが私に聞く.

■予定通り帰宅
 11時32分に駒止茶屋を通過する.相変わらず登ってくる登山客が多い.急な階段を降りると,今までの泥んこ道が一変して,良く乾いた歩きやすい道になる.後,50分もあれば楽に大倉に到着する.時間が十分にあることを確かめながら,心地よい尾根道を楽しむ.
 見晴山荘前の急坂を下りきったところで,また登ってくる丹沢ウッズさんとすれ違う.彼は,大倉を折り返して,今日3本目の登りである.正に超人.
 12時28分,無事大倉に下山する.
 靴の泥を洗い落として,スパッツなどをリュックに仕舞っているとバスが到着する.バス停脇の青空市場を一回りしてからバスに乗り込む.バスの発車間際に,ご常連さん3人がバスに飛び乗ってくる.
 2時過ぎに無事帰宅する.
 明日は,山仲間達と南郷山・幕山・湯河原梅林をぐるり一回りする予定である.こんなに遊び回っていて良いのかなと,少し反省.

<ラップタイム>

 7:11  大倉歩き出し
 7:30  観音茶屋
 7:46  見晴茶屋
 8:16  駒止茶屋
 8:32  堀山の家
 9:10  花立山荘
 9:27  金冷シ
 9:42  塔ノ岳山頂 着(0.0℃)
===========================================
10:12  塔ノ岳山頂 発
10:27  金冷シ
10:41  花立山荘
11:16  堀山の家
11:32  駒止茶屋
11:57  見晴茶屋
12:10  観音茶屋
12:28  大倉 着

[山行記録]

■水平距離
       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉  発       7:11
   塔ノ岳 着       9:42
 (所要時間)  2時間31分(2.52h)
 登攀速度   1269m/2.52h=503.6m/h

■下降所要時間
  塔ノ岳 発      10:12
  大倉  着      12:28
 (所要時間)  2時間16分(2.27h)
 下降速度   1269m/2.27h=559.0m/h
                               (おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/7ce2197362a42fa113053a679b3cc334
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/33905041be4c5090826adab11a4ec954



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