中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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雪の殿堂を行く丹沢:塔ノ岳(今年14回目)

2011年03月09日 17時14分15秒 | 丹沢の山旅

                      <下山途中,花立山付近で晴れてきた>

      雪の殿堂を行く丹沢:塔ノ岳(今年14回目)
           (単独山行)
        2011年3月8日(火)


■雪を期待して行くぞ!
 この所冴えない天気が続いている.昨日,月曜日,関東地方は時ならぬ大雪に見舞われた.とはいえ,海に近い鎌倉では,屋根の上がうっすらと白くなる程度しか雪は積もらなかった.この土日は家族の行事のために丹沢へ出掛けられなかった私は,当初,月曜日に丹沢へ出掛けるつもりだったが,天気が悪い上に寒かったので,躊躇なく山行は中止した.
 そして,今日,火曜日.昨夜の予報では真夜中に一雨あったはずである.標高の高い丹沢山塊では,多分雪が降っただろうと思われる.
 常々,私は新雪が見たいと思っていたので,迷わずに丹沢へ出掛けることにする.
 何時もの通りに5時10分に家を出る.外は寒いけれども,厳冬期に比較すれば随分と温かい.路面は夜半来の雨でジットリと濡れているが凍結してはいない.
 小田原駅で乗換時間3分しかないところを駆けっこして,東海道本線から小田急線の電車に乗り換える.この乗換だけでかなりの体力を消耗してしまう.ハアハア言いながら小田急線の電車に乗ると,すぐに発車する.そのくせ新松田で2分も停車するのだから,小田原の発車時間を,せめて1分だけ遅くしてくれたら大助かりなのにと,心の中で愚痴を言う.
 渋沢発大倉行1番バスは,若い人が沢山乗り込んだこともあって,平日にしては,結構混雑している.例によって,韋駄天のTさん,Sさん,三角髭のTさん,K林さんなどのご常連が乗車している.

■山麓も銀世界
 バスは7時丁度に大倉に到着する.
 バスを降りたときに,バス停周辺が一面の銀世界になっているのにビックリする.この時期,海辺の鎌倉と,内陸の大倉とでは,最低気温に4~5℃の差があることは承知しているが,それにしてもこの雪景色にはさすがにビックリしてしまう.
 バス停付近から垣間見える丹沢の山並みは雪で真っ白である.
 「この分だと,見事な樹氷が楽しめるかな・・」
と期待が高まる.
 身支度を調えて,7時08分に歩き出す.登山口までの舗装道路はビショビショに濡れているが,気温が高いためか凍結はしていない.両側の畠や民家の屋根には過魔利の積雪がある.この辺りで雪景色を見ることは滅多にないので,今日は山麓の雪景色に重点を絞って,沢山の写真を撮ることにしようと思う.
 幸いなことに,韋駄天組の面々は,とっくに出発してしまったし,私の前後にはほとんど登山客が居ない.私は心が乱されることなく,それこそマイペースで写真を撮りながら登山を開始する.
 登山道に入ると,もう,そこから銀世界である.


■樹氷に囲まれた克董窯
 7時16分,登山口に近いところにある克董窯を通過する.真っ白な樹氷に囲まれた克董窯のただずまいが絵になるので,思わずパチリ.
 こんなに素晴らしいところに住んでみたいなとついつい思う.


■雪化粧した杉林
 そこから先の杉林も,今日は雪が降り積もっていて,実に見事である,梅も桜も勿論綺麗だが,この樹氷の美しさも,また格別である.私は,もう,塔ノ岳まで何時間かかっても構わないという気分になり,辺りの写真を撮りまくる.ここだけで数十枚の写真を撮ってしまう.
 複雑に絡み合う木々の枝に雪が降り積もっている.何という美しさなのだろう.


■雪の見晴山荘
 7時46分,雑事場ノ平を通過する.
 ここから見晴山荘までの尾根道が,雪で神々しく変身している.まるで荘厳な社寺へ向かう参道のような雰囲気に変わっている.しずしずと荘厳な杉林を進むと,雪で美しく化粧した見晴山荘が見えはじめる.
 ここでも,また,写真,写真で,ますます歩行速度が鈍る.
 見晴山荘から下界を覗くと,何時もとは一味違った風景が広がっている.


■紅葉坂は雪の中
 8時04分,紅葉坂に到着する.雪はますます深くなり,木道が雪に埋もれ掛かっている.坂の上が一本松である.新雪を踏みながら,辺りの風景を楽しむ.一足一足毎に新雪が,ギュッ,ギュッと音を立てる.


某大学のワンゲル部
 8時10分,一本松手前の急坂で休憩を取っている大学生のグループに追いつく.伺うと,東京のM学院大学ワンダーフォーゲル部の学生とのことである.私が以前関係していた大学と同じ系列のミッション校である(とはいっても私は臨済宗徒).
 「もうチョット登れば,平でベンチがあるところがありますよ・・」
とアドバイスするが,後の祭り.そういえば,1~2年前に山旅スクールの連中も,ここで休憩していたなと思い出す.多分,長い坂をこの辺りまで登ってくると休憩したくなるんだろうなと想像する.
 「この雪なので,多分,塔ノ岳までは行かないで途中で引き返すことになると思います・・」
と一行の誰かが言う.


■駒止茶屋を通過
 天気予報では,6時頃から晴ということだったが,一向にその気配はない.それどころか,一本松を過ぎた辺りから,暫くの間,粉雪が舞い始める.
 8時32分,駒止茶屋を通過する.歩き出してから1時間16分も経過している.いくらユックリ登るにしても,余りのユックリさに「ありゃ~!」である.でもまあ,いいか.


■白銀の堀山の尾根を行く
 堀山の尾根から先は,雪がますます深くなる.もちろん富士山は全く見えない.でも,新雪の尾根道は,例えようもなく美しい.もう,所要時間など構うことない.私は周囲の風景を堪能しながらユックリと歩き続ける. ここでも,数十枚の写真を撮り続ける.


■堀山の家
 8時46分,堀山の家を通過する.樹氷に覆われた堀山の家は,人気もなく富士山も見えないが,実に風情のある雰囲気を醸し出している.ここでも,また,10枚ほどの写真を撮る.
 ここから花立山荘までの長い急坂が続く.私は雪の足許に注意しながら,堀山の家から坂道に差し掛かる.そのとき,頭上から,突然,
 「おはようございます・・」
と声を掛けられて,ビックリする.ご常連の2本ストック,Yさんである.


■雪に埋まった萱場平
 雪の覆われた露岩帯の急坂を登り続ける.積雪はますます深くなる.その内に階段道がほぼ雪に埋まるほどになる.相変わらず写真を撮りながら登り続ける.
 9時09分,漸く萱場平に到着する.何時もならば花立山荘に到着している時間である.
 萱場平はすっかり雪に埋もれていて,広場の中央にある木道も,一見何処にあるか分からないほど積雪である.ここで,また,定点観測用の写真を撮る.


■後7分坂は雪に埋まったぞ
 その後も,写真を撮りながらノソノソと登り続ける.
 その内に,すぐ後ろに人の気配を感じる.先に行って貰おうと道を譲る.その方は,私が乗ったバスより30分後のバスで来られたご常連Z氏(正確なお名前は分からない)である.
 「やあ,・・こんにちは,今日は大変な雪ですね・・」
と私に挨拶して,軽々と雪道を登っていく.私との距離は見る見るうちに広がっていく.
 「Zさんは凄いなあ・・」
私は,ただ,ただ.ビックリしながら,Z氏を見送る.
 後7分坂に到着する.階段は完全に雪に埋もれている.僅かに残る韋駄天組の踏み跡を忠実にたどって,訳の分からない階段を登り続ける.




■だれも居ない花立山荘
 階段を3分の2ほど登ったところで,同じバスに乗っていた韋駄天のS氏とすれ違う.これまたビックリ.凄い速さである.
 「何時もより(登山の所要時間が)20分も余計に掛かりましたよ・・」
とSさんが言う.1~2分立ち話.
 「(Sさんの)後ろ姿,写真に撮って良いですか・・」
 「後ろでなくて,前でも良いですよ・・」
とポーズしてくれる.
 「その内に,大船でお会いしましょう・・」
でお別れする.
 9時40分,漸く花立山荘に到着する.何時もならば,もうとっくに尊仏山荘に入っている時間である.
 踏み跡道から,1人だけ外れてベンチへ歩いたらしい足跡が,ボコッ,ボコッと付いている.
 富士山は残念ながら見えない.



<見晴山荘を過ぎると,まるで「雪の庭園」である>

■深雪の馬の背
 深い雪の中を花立山へ向かう.階段はどこにあるか全く分からないほどの積雪である.韋駄天組が残した踏み跡を辿りながら,ノソノソと登り続ける.辺りがすっかり雪に覆われているので,少々方向感覚が狂ってくる.一体どの辺りを自分が歩いているのか混乱してくる.とはいけ,富士山は見えないものの,辺りの風景は実に見事である.私は矢継ぎ早に写真を撮りまくる.
 やがて馬の背に差し掛かる.ここに小さな下りが2カ所ある.雪が凍結すると,ここが結構な難所になるが,今日は新雪なので,滑る心配は全くない.私は周囲の風景を堪能しながら,ユックリと歩き続ける.
 それにしても,もういくら何でも太陽が顔を出しても良さそうな時間である.青空を背景にして樹氷の写真を撮りたい私は,早く太陽が顔を出さないかなと思い続けている.たんに疲れているだけではなく,そんな思いがあるので,どうしても歩く速度は遅くなる.
 金冷シ近くで,下山してくる三角髭のTさんとすれ違う.頭に巻き付けた黄色い手拭いが周りの雪の色に良く合っている.Tさんが私に話しかける.
 「いや~ぁ・・今日はつかれましたね・・」
 「本当に・・今日は久々の雪なので,随分沢山の写真を撮りながら来ましたよ・・」
 「じゃあ・・また,お会いしましょう」


■金冷シ
 10時12分,やっと金冷シを通過する.雪はますます深くなる.金冷シ手前の階段は埋まっている.当然,金冷シから先の階段はすっかり雪の中である.
 金冷シから2番目の階段をノソノソと登っていると,先ほど私を追い越したZ氏が下山してくる.
 「今日は(雪で)大変でしたね・・もうすぐ,韋駄天のTさんが降りてきますよ・・」
と私に言いながらすれ違う.
 やがて,山頂直下の階段を登り始める.ここで韋駄天のTさんとすれ違う.
 「このところ,月曜日に大雪になることが多いようですね・・」
と毎日登られているTさんが言う.そう言われてみると,確かに月曜日に雪になることが多いようである.






■塔ノ岳山頂
 山頂の木の階段も深い雪に埋まっている.一瞬,あれっ・・自分は何処に居るんだろうとあやしくなる.上からチャンピョンが降りてくる.私を見て.
 「やあ・・・(沢山の雪の中),登ってきましたね・・!」
とニッコリする.

 10時34分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.何時もならば,もう,とっくに下山中で,そろそろ花立山荘辺りにいる時間である.
 山頂には霧がうっすらと掛かっていて,まったく人影がない.
 踏み跡を辿りながら尊仏山荘に向かう.雪の下に材木があったり凸凹があったりで,とても歩きづらい.フラフラしながら歩く.そのとき後ろに人の気配がある.U村さんである.
 「変だな,私より先に歩き出しているのに・・追い越した記憶は全くないし・・それに私よりずっと足が速い方なのに・・おかしいな」
と思いながら尊仏山荘に入る.


■尊仏山荘
 今日の小屋番はネコのOさん.先客は若い人数人のグループと,私には名前が分からないご常連2名.
 山荘の温度計では今の気温はプラス0.7℃.かなり温かい.
 ご常連の間で雑談.雑談する内に,U林さんは鍋割山を経由して塔ノ岳へ来たことが分かる.やっぱり凄い!
 300円也のお茶を飲んでいると,小屋番のOさんから,
 「FHさん・・」
と呼ばれる.振り返ると,ミー君を番台まで連れてきている.
 Oさんが居るのでミー君もご機嫌である.早速,ミー君とOさんのツーショットの写真を撮る.今日は雪を中心に白いものばかり撮ってきたので,始めて色の付いた対象物を写すことになる.それで,何となくホッとした気分になる.
 若手グループの人たちも,
 「可愛い・・毛並みが綺麗・・」
とミー君を絶賛する.
       

■山麓はもう道だ
 11時05分,下山を開始する.
 雪の下に隠れている階段がハッキリ分からないので,慎重には慎重を期して絶対怪我はしないぞ自分に言い聞かせながらユックリ下山し続ける.途中,ポツポツと登ってくる登山客とすれ違いながらの下山である. 
 花立山を通過する頃,やっと青空が見え出す.眼下には分厚い雲海が広がっている.実に見事な風景である.ここでまた道草をして写真を撮りまくる.
 僅かな時間の間に,中腹から山麓に掛けての雪は大分溶けてしまっている.駒止茶屋を過ぎると泥んこ道が多くなる.
 観音茶屋付近から下は,幾分濡れて入りものの普段と大差ない土道になる.
 途中から急ぎ足にして,13時47分,予定通りの時間に大倉に到着する. 雪道の山行だったので,何時もより大分疲労感がある.

<山麓の雪は跡形もない>

<ラップタイム>

 7:08  大倉歩き出し
 7:30  観音茶屋
 7:48  見晴茶屋
 8:24  駒止茶屋
 8:46  堀山の家
 9:40  花立山荘
10:12  金冷シ
10:34  塔ノ岳山頂 着(+0.7℃)
=========================================
11:05  塔ノ岳山頂 発
11:27  金冷シ
11:49  花立山荘
12:35  堀山の家
12:56  駒止茶屋
13:21  見晴茶屋
13:33  観音茶屋
13:47  大倉 着

[山行記録]

■水平距離
       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む) 
 大倉  発        7:08
 塔ノ岳 着      10:34  
 (所要時間)  3時間26分(3.43h) 
  登攀速度   1269m/3.46h=366.8m/h

■下降所要時間
  塔ノ岳 発      11:27
  大倉  着      13:47
 (所要時間)  2時間20分(2.50h)
 下降速度
   1269m/2.50h=507.6m/h
                                 (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/33905041be4c5090826adab11a4ec954
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/204f31f9e3ca26c4082451c572cdfeb1



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