<花立山から富士山を望む>
雲間の富士を眺めながら登る丹沢:塔ノ岳(今年43回目)
(単独山行)
2012年8月29日(水) 晴・残暑
■小田急のダイヤが乱れる
どうした訳か,昨夜はよく眠れなかった.そのため,今朝は睡眠不足で何となく身体が重い感じがする.でも,まあ,無理をしないように気を遣いながら塔ノ岳を往復しようと思う.この頃は,つるべ落としに日の出の時間が遅くなっている.私が家を出る5時頃,やっと明るくなってくる.
東海道本線で小田原に向かう途中,車内でどうしても居眠りをしてしまう.でも,今日は平日.小田原駅で小田急電車に階段2段跳び乗換をしなければならない.車内で熟眠していて,いきなり2段跳びでは,私のロートル心臓は持たないと思うので,なるべく起きていようと思うのだが,ついつい数秒程度の居眠りを繰り返す.そんなたった数秒の居眠りの間でも,いろいろと夢を見るのが面白い.
6時21分,小田原駅に到着する.それ~っ! 階段だ.乗換の階段を2段跳びで駆け上がり,駅のコンコースを駆けっこして,小田急6時23分発の電車に飛び乗る・・・が,今朝方,経堂付近で人身事故があったとやらで,電車のダイアが乱れている.私が苦労して飛び乗った電車は今日に限って急行海老名行に変わり,発車時間が2分ほど遅延する.…ん,なら無理して走ること無かったのに!
6時40分,渋沢駅着.大倉行バス乗り場に向かう.乗り場にはご常連3人,韋駄天のTさん,三度笠のY内さん,レイン宮さんの3人しか居られない.結局,今日の大倉行1番バスの乗客は常連の4人だけ.
■見晴山荘
7時07分,韋駄天のTさん,Y内さんと一緒に大倉を歩き出す.
まだリハビリ中のTさんは,見晴山荘まで,毎日登っておられるとのこと.今日は私も見晴山荘まではご一緒することにする.3人で雑談しながら登り始めるが,そこは韋駄天の一角を占めるTさん.いくらリハビリ中とはいえ,結構な速度でドンドン歩かれる.私の巡航速度ギリギリなので,後に付いていくのが結構大変である.
話題は,最近解説したフェースブック上の「丹沢大倉尾根の瓦版」のことが中心になる.皆さんなかなかフェースブックに馴染めないようで,なかなかメンバーが増えないのが悩みの種である.そうこうしている内に,7時46分,見晴山荘に到着する.
「私はここまで・・・登り40分,下り40分で戻ります・・・何時もよりも(登りで)10分余計に掛かっています・・」
ということでTさんとお別れ.
すぐに見晴階段に差し掛かるが,私は到底Y内さんの速度では歩けないので,Y内さんには先に行ってもらう.そして,ここからは私の一人旅の始まりである.
<見晴階段>
■緑陰の尾根道
見晴階段の登り口では,私のすぐ前を歩いていたY内さんの後ろ姿は,瞬く間に見えなくなる.私は,まだ,白内障手術後の仮免の分際なので,額から滴れ落ちる汗が眼に入らないように細心の注意を払ってもぼらなければならない.少々苛立たしいがこれも御身のため,やむを得ない.
蝉時雨の中をゆっくりと登り続ける.
8時19分,堀山の家を通過する.大倉からの所要時間は1時間12分.欲を言えばもう5分補と縮めたいところだが,まあ,仮免中の身,仕方がない.
堀山の尾根道に入る.私には,この辺りの尾根道が一番楽しいところである.白内障手術の後,特に木々の緑が輝くように見えるので,緑陰の魅力に改めて感激している.そして,考えようによっては何の変哲もない山道の写真を撮りまくる.
いや全く・・・フィトンチット一杯の実に心地よい尾根道である.
<堀山の尾根道>
■木の枝の間から表尾根が見える
私はラップタイムなど気にしないと決めてはいるものの,やっぱり気になる.
堀山の尾根を歩いていると,風物を楽しみながらユックリ歩こうとしている自分と,この平らな所をサッサと歩いてラップタイムを少しでも短くしようという自分との葛藤がある.そして,結局,今日の私は速からず遅からずの速度で歩き続ける.
進行方向右手には緑陰の間から表尾根の山々が見事に見えている.素晴らしい風景である.
<緑陰に表尾根>
■富士山は雲の中
堀山の尾根で,富士山を眺めるのを楽しみにしていたが,今日は残念ながら富士山は雲の中.諦めきれない私は,雲の中の富士山の写真を撮る.
8時29分,堀山を通過する.
<堀山の尾根で富士山の見える方向を写す>
■常連さんとバッタリ
堀山からの下り坂に入る.
曲がり角から,下山中のKシゲさんがヒョコンと現れる.
「ヤァ,ヤァ,・・・・しばらく,ウワハッハ・・・・たった今,三度笠のY内さんに会ったよ・・」
で陽気に握手.
立ち話をしていると,私が乗車したバスより30分後のバスで来られたN村さんが現れる.余りに速いのでビックリ.
「速度違反じゃないの・・・」
とKシゲさんが冗談を言う.早速,ご常連の皆様の写真を撮る.
結局,7~8雑談の後,Kシゲさんとお別れして,堀山の家手前の坂まで,N村さんとご一緒する.道すがら,私の白内障手術のことが話題になる.
<ご常連の皆さん>
■萱場平
8時41分,堀山の家を通過する.再び一人旅.
多少微風が吹いているものの,今日も相変わらず蒸し暑い.流れるような汗をかかないように注意しながら登り続ける.
8時59分,萱場平を通過する.私の前後には誰も居ない.とても静かである.木道の真ん中で自生するアザミが木道にはみ出るほど大きくなっている.私はこのアザミから勇気をもらっている.
<萱場平>
■後7分坂
周囲の風物を楽しみながら,マイペースで登り続ける.
もう少しで後7分坂(花立階段)に到着するところで,私の乗車したバスから30分後に出発するバスで来られた韋駄天のS藤さんが私に追い付く.凄い韋駄天振りである.私など到底ご一緒できないので,勿論先に行ってもらう.
S藤さんは私など想像も付かない勢いで,後7分坂をグングン登っていく.私は半ばあきれ顔でS藤さんの後ろ姿を見送る.
ふと,横を見ると,なんと富士山が何時の間にか見えている.すかさず富士山の勇姿を写真に納める.
<後7分坂の上り口からの富士山>
■花立山荘
今日は,登り初めは身体が重いような気がしていたが,気がつくと至って快調なことが分かる.結局,後7分坂を7分で登って,9時20分に花立山荘に到着する.大倉からの所要時間は2時間13分.もう10分早く到着したいところだが,マア,マア,欲を言うなと自分を窘める.
7分前まで,頂上まで良く見えていた富士山だが,今はもう山頂は雲の中である.
まだ,時間が早いせいか,山荘付近に人気がない.
<花立山荘からの富士山>
■塔ノ岳山頂
9時30分,花立山を通過する.途中,例によって写真を撮りながら歩く.
9時35分,金冷シを通過する.金冷シから最初の階段に取りかかるところで,下山してくるH村さんとすれ違う.
案外快調に階段を登り続けて,9時49分に塔ノ岳山頂に到着する.大倉を歩き出してからの所要時間は2時間46分.山頂の気温,21.3℃.かなり高温である.ほとんど風もない.
例によって.山頂からの風景写真を摂りまくる.
丁度そのとき,レイン宮さんが山頂から下山を開始する.
「山ネコのミー君がネコ御殿に居るかな・・・」
と思いながら山頂周辺をブラブラ.そのとき同じように山頂を散策している韋駄天のS[富士山を見付ける.
暫く雑談をしてから,尊仏山荘に向かう.
<塔ノ岳山頂からの眺望>
■尊仏山荘;山猫ミーはお昼寝
ネコ御殿の2階窓際で,山猫ミー君が,気持ちよさそうに昼寝をしている.
「オマエ・・・三食昼寝付きか・・・良いご身分だな,全く・・・」
私は独り言を言いながらネコと富士山の写真を撮る.残念ながら写真術を知らない私には,肝心のネコの姿が上手に写せないが,まあ,写真のような雰囲気である.
韋駄天のS藤さんと別れして尊仏山荘に入る.先客は同じバスに乗っていたY内さんだけ.今日の小屋番はオーナーのHさん.
私が山荘に入るなり,Hさんは開口一番で,
「ネコ,あそこで昼寝をしていますよ・・・」
とボデーランゲージを交えて教えてくれる.
「この頃,ミー君もすっかり有名になっちゃって・・」
と私は独り言.
恒例の300円也のお茶を所望する.
今日は,大倉発1番バスに私たち4人しか乗車していなかった.その内2名は既に下山したので,1番バスの乗客で尊仏山荘を訪れたのは,結局,Y内さんと私の2人だけ.
暫く雑談の後,Y内さんが,花の写真を撮るとかで,先に山荘を出発される.
その後,誰も来ないまま,10時33分に私も下山を開始する.大倉発12時52分のバスに乗車するつもりである.
<富士山とネコ御殿> 窓の部分拡大→ネコが昼寝している
■下山開始・見知らぬ男性と雑談
毎度の事ながら,塔ノ岳登頂後の下山は楽しい.
山頂から2番目の階段を下っているときに,登ってくる男性に話しかけられる.
「・・・先ほど追い抜かれた方ですよね・・・」
伺うと,7時05分に大倉から歩き出して,ほどなく私たち3人に追い抜かれたそうである.私は話しに夢中だったので,この男性を追い抜いたとは気がつかなかった.
「速いですね・・・・もう,下山ですか?」
問われるままに,9時50分頃山頂に到着してから,40分ほど尊仏山荘でお茶してから下山し始めたと,ありのままにお話しする.
「凄いですね・・何時も(塔ノ岳に)登っておられるんですか?」
伺うと,この男性,まだ60才台前半も良いところ.老け込む年ではない.
「常連の中には,もっと年配の人達が沢山居られますよ・・・尊仏山荘に立ち寄って小屋番山にいろいろ伺ってみたら・・・」
でお別れする.
私も余所様と比較するのは良くないと思ってはいるが,私より俊足で軽々と塔ノ岳に登られる方々を常日頃とても羨ましく思っている.そして劣等感すら感じている.その私を羨ましく思う方が居るのだから,上を見ても,下を見てもきりがない世界だなとつくづく思う.
■まるで鳥になったようだ
塔ノ岳山頂から階段道を下る.
今日は,ここからの眺望が実に素晴らしい.多少霞がかっているが相模湾までとても良く見えている.自分がまるで鳥になったような気分になれる.思わず写真を1枚写す.
実に素晴らしい展望である.こんな展望を堪能できるなんて・・・やっぱり山歩きは止められない.
<塔ノ岳山頂からの階段>
■花立山荘でご常連と雑談
花立山の展望を楽しんでから,黄色い花が沢山咲いている場所を通過して,11時07分,花立山荘に到着する.相変わらず雲間に富士山が見えている.
山荘前のベンチで数名の登山客が休憩を取っている.
フト見ると,ホッシーさんがベンチで休んでいる.
「今日は電車が遅れて・・・何だか疲れちゃって・・・お昼頃までに山頂に着けばいいなと思ってます・・・・」
暫くの間,ホッシーさんと雑談.
そこに常連と思われる女性が登ってくる.そして同じベンチに座り込む.
私が,
「・・・ところで,あそこに咲いている黄色い花,何て言うんですか・・」
とホッシーさんにお尋ねする.するとお二人が同時に,
「マルバタケブキですよ・・」
と呪文のように難しい花の名前を教えてくれる.私はにわかには覚えられないので,何回も聞き返して,ノートにメモする(正確にメモできたかあやしいが・・・).
<花立山荘近くのマルバタケブキ>
■花立山荘で常連とすれ違う
雑談を終えて,花立山荘から下山を開始しようとすると,最近知り合った常連の男性が登ってくる.
「FHさんのように,週2回,登っているんですが,きつくて・・・・・」
と愚痴りながら,ベンチに腰を下ろす.
一方,ホッシーさん達は,連れたって山頂目指して歩き出す.偶然,お三方が1枚の写真に納まる.お三方の了承は得ていないが,後ろ姿ならブログに載せても良いなと判断する.
<花立山荘で出会ったご常連>
■再び堀山の尾根で富士山
11時49分,堀山の家を通過する.
往路では富士山は見えなかったが,今は富士山がうっすらと見えている.早速立ち止まって,富士山の写真を撮る.
丁度そのとき,登ってくる男性が話しかけてくる.
「うっすらと富士山が見えますね・・・山頂は未だ先ですか・・」
この男性,塔ノ岳は初めてのようである.
「塔ノ岳ですか? そうですね・・・この辺りだと,丁度半分ぐらいでしょう・・・」
「うえ~・・・まだ,半分ですか・・・」
「まあ,ユックリ登っていれば,そのうちに山頂に到着しますよ・・」
と訳の分からない返事をしてお別れする.
<堀山の尾根からの富士山>
■サルスベリを眺めながら大倉へ
大分道草をしたので,当初予定していた12時52分のバスに乗るのは無理.ならば,ユックリ下山しようと気楽な一人旅.
「こういうの・・・実に良いな・・」
私は満ち足りた気分で,ノンビリ,ユックリ,気儘である.
途中,見事なサルスベリの花を眺めながら道草.
13時12分,無事,バス停大倉に到着する.
<バス停大倉付近のサルスベリ>
■まだ電車のダイヤが乱れている
渋沢発13時38分発小田原行電車に乗車する.この電車なら小田原発14時04分特別快速高崎行に間に合うはずである.
ところが,今朝方の人身事故の影響が残っていて,小田原駅のホームが電車で満杯.手前の足柄駅で,ホームが空くまで発車できないとのこと.結局,帰りの時間もメチャメチャになり,大幅に遅れて,15時30分頃,漸く帰宅する.
でも,まあ,今日も無事登山ができて良かった,良かった.
<ラップタイム>
7:07 歩き出し
7:31 観音茶屋
7:46 見晴山荘
8:19 駒止茶屋
8:41 堀山の家
9:20 花立山荘
9:35 金冷シ
9:49 塔ノ岳山頂着(21.3℃)
10:33 〃 発
10:47 金冷シ
11:07 花立山荘(11:16まで雑談)
11:49 堀山の家
12:08 駒止茶屋
12:33 見晴山荘
12:43 観音茶屋
13:12 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:06
塔ノ岳 着 9:49
(所要時間) 2時間46分(2.77h)
水平歩行速度 7.0km/2.77h=2.52h
登攀速度 1269m/2.77h=458.1m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:33
大倉 着 12:33
(所要時間) 2時間39分(2.65h)
水平歩行速度 7.0km/2.65h=2.64km/h
下降速度 1269m/2.65h=478.9m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/692d971c383c0726cb8c990e15f83a1e
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b0dcd1656edc155fec665826a151c1ce
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