＜秋田駅「東洋軒の幕の内弁当」＞
趣味三昧；駅弁回顧録：昭和5８年秋田駅「東洋軒の幕の内弁当」
２０１２年８月２９日（水）
※駅弁回顧録のつづき
昭和58年10月29日
当時，私は，今は死語になってしまったオフィスコンピュータの販売会社に，約2年ほどの間，出向していた．当時，私が勤務していた大手電機会社は，オフィスコンピュータをディラー経由で販売していたので，サラリーマン生活も終末期に近い私にとっては当然のキャリアパスだった．
でも，社風，業務のやり方，何もかも親会社と違う新しい環境での仕事は随分と戸惑いも多く，気苦労も多かった．今，自分の人生を振り返ると，一番苦労が多かった時代かもしれない．
蒸し暑い夏の某日，私は秋田で開催された販売店の会合に出席していた．
残念ながら私は，生来，アルコールに弱い．有り体に言えば体質的に飲めない．さらにカラオケなどからきしダメ．
当時の上司から，
｛オマエも近代五種をやらなきゃダメだ・・・！」
と強く叱責された．
「酒を飲まない輩には，人生の機微は分からないだろう・・」
と上司は私に畳み掛ける．
近代五種とは，ゴルフ，麻雀，酒，カラオケ・・・あと一つ，今になっては思い出せないが・・・
私は，秋田の宴会場でも，
「飲め，飲め，・・・オレの杯が受けられないのか・・・」
と散々だった．揚げ句の果てに，カラオケで歌えと強制される．私の知っている歌と言えば，小学校で習った歌と軍歌だけ．仕方なく，妙な歌を歌ったら，座が白けた．私はいたたまれない気持ちで，早く宴会が終わらないかなと思っていた．
無理に飲まされた酒で，心臓はバクバク・・・揚げ句の果て，翌日は二日酔いでひどいめにあった．私は，もう，サラリーマンなどやってれないな・・・自分はサラリーマンとして落第だと強く意識した．このときの体験が，私が第二の人生に大学の教師の道を選んだ大きな切っ掛けになったかもしれない．
会合の翌日，小一時間，秋田市内の千秋公園をブラブラ歩きしてから，この駅弁を買って，列車に乗りこんだ．駅弁に入って居た1切れの白身の魚がとても美味しかったことを思い出す．
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あれから幾星霜さ
威勢の良かった上司は，もうとっくの昔に，60歳になるかならないかの若さで，あの世に旅立ってしまった．そして，サラリーマンとして落ちこぼれだった私が，平凡に馬齢を重ねている．
世間では，人生の生き様について，”太く短く”と，”細く長く”と，“どっちが良いんだ”と良く言われる．私はどちらもイヤだ．敢えて言えば，
”長く短くは神仏の思し召し，朝目が覚めたら今日一日を大切にしよう”
と思うだけ．だから，100歳迄頑張ろうとか，後○○までやるぞというような意気込みは一切無い．これが老齢期の私の生き方に合っているなと思うだけ・・・
（つづく）
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