<塔ノ岳山頂からの富士山>
漸く涼しくなった丹沢;塔ノ岳(今年46回目)
(単独山行)
2014年9月20日(土) 曇後小雨
■富士山と矢倉岳
この所,秋も深まり,随分と涼しくなってきた.
何時もの通り,4時10分に,家を出発するが,今朝は涼しさを通り越して,むしろ寒いぐらいである.相変わらず路傍の草むらでコーロギが啼いているが,心なしか寂しげな啼き声である.
東海道本線下り1番電車に乗車する.今日は土曜日,何時もなら行楽客で,もう少し混雑するが,今日はガラガラ.多分,2~3日前までの天気予報では,今日の天気は雨だった.そんなことが影響してか.電車が空いているのだろう.
小田原で小田急電車に乗り換える.上空一面雲が覆い被さるように広がっているが,今日の雲は高いらしく,車窓から富士山と矢倉岳が良く見えている.
車窓から富士山を眺めるのは,久々のことである.私はデジカメを構えて,富士山と矢倉岳が重なる瞬間を写真に収める.これで,なんだか得をしたような気分になる.
<小田急電車の車窓から富士山と矢倉岳を望む>
■マイペース堅持で登山開始
6時15分に渋沢駅に到着する.早すぎる,でももう先客が居る.
バス乗り場近くの柱の陰でストレッチをしていると,下り電車が到着したらしく,登山客が増え出す.ほんの10分程度の間に,バス待ちの列が随分と長くなる.でも,今日は土曜日にもかかわらず臨時便のバスは出ないようである.
1番バスに乗り合わせた常連は,駆けっこのHさん,TGさん,TDさん,YUさん,YKさん,KIさん,MTさん,YDさん,STさん,IIjさん他.顔見知り若干名.
バスは大混雑.
6時59分,バスは大倉に到着する.
7時05分,大倉から歩き出す.私と前後して常連の皆さんも,続々,大倉から歩き出す.たまたま私の前には,TGさん,YDさん,TSさん達が歩いている.
“よぉ~しっ…! 今日は絶対にマイぺーすを守るぞ…!”
私は,他の人の歩行速度に左右されないことを自分自身に誓う.
“とにかく出だしはユックリだ…”
…というわけで,私の前を歩いている常連の皆さんとの距離が段々と開いていくのを我慢しながら,
“これでイイノダ!”
と自分自身に言い聞かせる.
私の後ろから,IIjさんとSTさんの話し声が聞こえている.
時々,極小さな雨粒が,ポツン,ポツンと落ちているような感じがする.
7時20分,観音茶屋を通過する.もう前を行く常連の後ろ姿は見えなくなっている.後ろから聞こえていた話し声も聞こえなくなった.この辺りから私は完全な一人旅になる.
<大倉から歩き出す.私の前をTGさんとYDさんが歩いている>
■見晴階段
7時49分,見晴茶屋を通過する.気温22℃.ポツン,ポツンの雨は何時の間にか止んでいる.
すぐに見晴階段に差し掛かる.
今日は,案外,体調が良い.…と,言うのも,歩き出しをごくごくユックリと,マイペースで歩いてきたので,見晴階段に差し掛かっても,全く疲労していない.
“良し! この調子だ…!”
私はこのままの調子で,ゆっくりと登り続けようと決心する.
いつもの土曜日ならば,見晴階段を見上げると,沢山の登山者の後ろ姿が見えるが,今日はほとんど見えない.どうやら,天気予報が良くなかったので.登山者が少ないんだろう.
<見晴階段>
■駒止階段
8時04分,一本松を通過する.大倉から歩き出して,すでに1時間を経過している.これはいくら何でも遅すぎるなと思う一方,お前はもう良い年令だから“これでいのだ”という思いが交錯する.
やがて,駒止階段に差し掛かる.
今日は,案外,楽に階段が登れる.やっぱり歩き出しをユックリ歩いて,体力をセーブしたのが,ここに来て成果が出ているんだろう.
8時20分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間15分.欲を言えば,楽に歩いて1時間10分を切りたいものである.あと5分の短縮だ.
駒止茶屋の気温は21℃.
<駒止階段>
■堀山の尾根道
堀山の尾根道に差し掛かる.この辺りが歩いていて一番楽しいところである.
すぐに,富士山が良く見える場所に到着する.
今日は曇り空ながら富士山が良く見えている.
私はここで立ち止まって,富士山の写真を数枚撮る.富士山の山頂付近に棚雲が掛かっている.風情のある風景だ.
<堀山の尾根道から富士山を眺める>
■堀山の家
8時20分,小草平に到着する.常連のお一人が汗ビッショリになって休憩を取っている.気温18℃.
水曜日に出ていた営業中の幟旗が何時の間にか仕舞われている.今日はまだ開店していない.一体,何時,幟旗を仕舞ったんだろうか.どうも気になる.
“今日は,ここから花立山荘まで40分で登れればいいな…”
と思いながら,小草平を通過する.
<堀山の家>
■萱場平
堀山の家を通過してすぐに,後ろに人の気配を感じる.鬼神出没のTDさんである.
「…お先にどうぞ…」
と先を譲るが,
「いいですよ…私もユックリ歩きますよ…」
とのことで,暫くの間,私の後ろの付いたまま登り続ける.足が遅い私には,少々気になるが…途中から,TDさんは私を追い越して先に行かれる.また一人旅になる.
戸沢分岐付近で,次のバスで来られたMGさんに追い抜かれる.まるで情けなくなるほど,沢山のご常連に追い抜かれる.正直なところ,情けない.口惜しい.でも,私の手の届かないところに居られる皆様だ.諦めるしかない.
8時53分,萱場平を通過する.これで,今日も間違いなく10時前に塔ノ岳山頂に到着できるなと確信する.気温16℃.涼しい.
<萱場平>
■木道のアザミ
萱場平の木道の間に繁茂するアザミをシゲシゲと眺める.最盛期に比較すると幾分精彩に欠けているように見える.こんなことからも秋が深まったことを実感する.
”おい…アザミよ! まだまだ冬は先だ.頑張れよ…”
と無言でエールを送る.
アザミと話をしている自分を見て,私は自分のことを“馬鹿だな”と苦笑する.でも,四季の移り変わりに合わせて,新芽が出たり繁茂したりを繰り返すこのアザミに,いつも親近感を持っている.
<萱場平のアザミ>
■後七分坂(花立階段)
10時09分,後七分坂(花立階段のこと)に到着する.ここで後から来られたYUさんに追い抜かれる.
私が後七分坂をやっと3分の2ほど登ったときには,YUさんはもう花立山荘前に到着している.脚力の差ばかりは,如何ともし難い.
私はそれでも自分としては,まあまあの調子で登り続ける.正直なところ,ほとんど疲労感もないのは自分でも意外である.
<後七分坂を登る>
■花立山荘
9時15分,花立山荘に到着する.今日は,後七分坂を6分で登っている.もっとも分単位で計測しているので±59秒の差があるので,本当に6分で登れたかどうかは定かでないが,何れにしても今日の体調はまあまあである.
富士山は,花立山荘前からも,相変わらず良く見えている.前方には,先ほど私を追い越したYUさんの後ろ姿が小さく見えている.
花立山荘前の気温は16℃,結構涼しい.
大倉からの所要時間は2時間10分.
“ムム…せめて,あと5分縮めたい…”
小草平からの所要時間は39分,こちらは合格.ということは,大倉から小草平まで,あまりに慎重に歩きすぎたということになる.でも,あれこれと“ご託”を並べていても仕方がない.花立山荘でも休憩は取らずにそのまま登り続ける.
<花立山荘からも富士山が見えている>
■花立山山頂
花立山荘からも暫く登り階段が続く.ここが結構厳しい.ヘイコラ,ヘイコラ階段道を登る.そして急傾斜のガレ場に入る.前方には,YUさんの後ろ姿が見えている.YUさんは,そろそろ花立山の山頂に到着するところである.この時点で,YUさんと私のラップ差は推定2~3分位か.このラップ差に,花立山から塔ノ岳山頂までのラップ差プラス大倉歩き出しの時間差を加えれば,正確なラップ差がえられる筈である,ということはYUさんと私のラップ差は10から5分程度か.これは大きな値だな,
9時25分,花立山山頂に到着する.山頂で富士山や丹沢の山々の写真を数枚撮る.
花立山荘から花立山山頂までのラップタイムは10分.これは少し遅い.
花立山山頂付近の気温は12℃.花立山まで登ると気温が一気に下がる気がする.
<花立山山頂から富士山を望む>
■塔ノ岳山頂
9時29分,金冷シを通過する.今日の体調ならば,金冷シから塔ノ岳山頂までは15分もあれば登れるだろうと確信する.
9時39分,金冷シから2番目の階段の途中で,下山してくるTGさんとすれ違う.
「…今日は涼しいのでサッサと山頂まで登っちゃいました…」
とTGさんが言う.
最後の階段を登り切って,塔ノ岳山頂手前の木道を上りきったところで,丁度下山しようとしているNGさとYDさんとバッタリ.私はお二人に.
「私もすぐ降りるから一寸待ってて…」
とお願いする.そして,大急ぎで塔ノ岳山頂まで登って,数枚の斜視を撮る.そして山頂の気温を測定して,すぐにお二人と一緒に下山を開始する.
山頂には9時44分に到着する.そして山頂滞在時間は僅か2分.9時47分に下山開始.とても慌ただしい.
塔ノ岳山頂の気温は11℃.冷たい風が吹いていて寒い
大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間39分.花立山荘からは29分,金冷シからは15分である.今回は山麓より山頂近くの方のラップの方が良いようである.
後になって,山頂で何気なく写した写真にTDさんが写っているのに気がつく.
<塔ノ岳山頂>
■常連の皆さんと下山
MGさん,YDさん,それにTDさんと一緒に下山開始である.たまたま私が先頭になって下り続ける.私の足が遅くて,皆に迷惑が掛かっているのではないかと気になる…が,暫くの間はマイぺーすを維持する.
10時07分に,花立山荘を通過する.先ほど登りで花立山荘を通過したときには,ベンチで休憩を取っている人は,ほんの2~3人だったが,今はもうベンチは満席状態である.
花立階段ではMGさんがトップになって下り続ける.
10時20分,萱場平を通過する.戸沢分岐から先の長い階段を下りている途中で,TGさんとIIjさんに追い付く.さらに,下山中のSTさんに追い付く.
「あら…もう降りて来ちゃったの…」
とSTさんが言う.
こうして,一緒に下山する方々はTGさん,MGさん,YDさん,STさん,TDさん,それに私の合計6人になる.
10時32分,堀山の家に到着する.TGさんがここで途中下車.私は,堀山の家に立ち寄ろうか,それとも通過しようかで迷うが.MGさん達が立ち寄らずに下るというので,私もMGさんの指示に従う.
10時50分,駒止茶屋を通過して,駒止階段に差し掛かる.階段を下っているときに,私が何となく先頭になってしまう.そのまま,階段を下り続ける.その内に,私の後ろに居られた皆さんとの距離がかなり開いてしまう.
“まあ,いいか…”
ということで,私は重力には逆らわずに,ドンドン下山速度を上げる.勿論,安全を十分に考慮しての加速である.一本松を通過する頃には,後ろが見えなくなるほどの差が付く.でも,まあ,どうせ一人旅が基本パターンだから,一人になっても構わないなと割り切る.だって,登りではこのメンバーに追い抜かれたんだから,登りも下りは逆パターンでも良いはずだ.
11時10分,見晴茶屋を通過.そして,11時12分,雑事場ノ平に到着する.
私は雑事場ノ平のベンチに座り込んで,皆さんの到着を待つ.そして,待っている間に,昼食を摂る.
ベンチに座ってから,およそ6分経った頃,常連の皆さんが雑談をしながら雑事場ノ平に到着する.ここからは,私も皆さんと一緒に下山し続ける.勿論,もう先頭に飛び出すようなぶしつけなことはしない.こうして,皆さんと他愛のない雑談しながら下山するのも,塔ノ岳詣での楽しみのひとつである.
<一緒に下山>
■かき氷はパス
11時30分,観音茶屋に到着する.
今日は幾分寒いほどの天候なので,折角,観音茶屋に到着しても,かき氷を食べようという気になれない.
店番をしているSTさんに,
「スミマセン…今日はパスします」
と挨拶をして観音茶屋を通過する.
私は何だか関所破りをしたような,少し後ろめたい気分で,STさんに会釈をして通過する.
<観音茶屋を通過>
■渋沢駅ビルの喫茶店
堀山の家で途中下車したTGさんが,登山口付近で私達に追い付く.あれ,もう追い付いたのかとビックリする.
11時52分,沢山のご常連と一緒に大倉に到着する.
大倉12時15分発渋沢駅行バスに,ご常連と一緒に乗車する.
渋沢駅ビルの1階にあるミスタードーナッツに立ち寄る.これは土曜日の恒例行事である.私は,コーヒーを注文する,この店ではコーヒーのお代わりが楽しめる.なかなか良いシステムである.
塔ノ岳往復を無事終えて,ホッとした気分で味わうコーヒーは,また格別である.
コーヒーを味わいながらの雑談の中で,私の下山速度が速いと指摘される.
「…いえ,その,速いのではなく,重力に逆らえないからです…」
と訳の分からない弁解をする.そんな出任せを言いながらも,内心では,
“なるほど! ‘重力に逆らえない’か…言い得て妙だな…”
とニタニタする.考えてみれば重力に逆らえないから登りが遅いんだ.そうだったんだ!
<ミスタードーナッツのコーヒー>
■今日も無事だった
13時10分,懇親会はお開きになる.
私は渋沢から小田急の電車で小田原へ,東海道本線の電車に乗り換えて,14時28分,大船駅に到着する.
大船駅からバスに乗って,14時57分に無事帰宅する.
今日はほとんど汗をかかずに塔ノ岳を往復したので,着ているものも乾いたままだし,肌もベトベトしていない.急いでシャワーを浴びたいという気分にもならない.風呂も急ぐ必要もないな…という訳で,顔だけを洗って,そのまま夕方まで過ごす.
パソコンの電源をONにする.
編集長のYKさんから,数人の原稿の入力依頼のメールが来ている.早速,入力.結果をYKさんに返信する.ここでは,その内容を明らかにすることはできないが,某氏の原稿を入力している内に,強く感動をしてしまう.
こうして今日一日も無事に終る.
今のところ,身体に痛いところも痒いところもなく平々凡々.だから,良かった!良かった!である.
<ラップタイム>
7:05 大倉歩き出し(23℃)
7:30 観音茶屋(20℃)
7:49 見晴茶屋(22℃)
8:20 駒止茶屋(21℃)
8:36 堀山の家(18℃)
9:15 花立山荘(16℃)
9:29 金冷シ
9:44 塔ノ岳 着(11℃)
9:47 〃 発
9:58 金冷シ
10:07 花立山荘
10:32 堀山の家
10:50 駒止茶屋
11:10 見晴茶屋
11:12 雑事場ノ平(11:18まで休憩)
11:30 観音茶屋
11:52 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 9:44
(所要時間) 2 時間39分(2.65h)
水平歩行速度 7.0km/2.65h=2.64km/h
登攀速度 1,269m/2.65h=478.9m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 9:47
大倉 着 11:52
(所要時間) 2時間05 分(2.08h)
水平歩行速度 7.0km/2.08h=3.36km/h
下降速度 1,269m/2.08h=610.1m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/81da4190547d51509e725cfbff9b0d76
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0b9f6557ba23644b43c73bd34be91047
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