<I画伯の絵>
かまくら絆の会:海の風/山の音を楽しむ(1)
2009年5月28日(木),30日(土)
このところ梅雨を思わせるぐずついた日が続いている.
今週中にもう一度塔ノ岳を往復しておきたかったけれども,雨の日が続いていてどうにもならない.
そこで・・・という訳ではないが,私は鎌倉の小町通にある画廊で,28日から開催される「かまくら絆の会」の展覧会を見に行くことにした.
絆の会がどのような会かは,よそ者の私には知るよしもないが,ただ,この会のメンバーの1人であるI画伯は,京都時代に〃研究室に居られた旧知の友人である.
I画伯は,某大手の商事会社に勤務されていたが,今は悠々自適.絵を趣味として活躍しておられる.Iさんが絵を始めてから,もう,かれこれ十年ほどになるだろうか,私はIさんが出展している展覧会には,ほぼ毎回顔を出している.
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5月28日(木)は,かまくら絆の会展覧会の初日である.雨の中私は待ちかねたように会場に出掛けた.ところが生憎なことに肝心のI画伯は所用があって会場には居られなかった.
それでも,私は3時間ほど展覧会場にとどまって,I画伯の絵だけでなく,他の方々の絵も食い入るように見て回った.
あいにく,雨足がますます強まる.そんな天候が災いしてか,会場には私以外の入場者が全く居ない.その内に,会場に居られた出展者と雑談を交わし始める.今の私は,もっぱら山登りばかりしているように思えるかもしれないが,絵も大好きである.たちまちの内に意気投合して話が弾む.そのうちに出展者の方から,ビールをご馳走して頂くことになる.
私は,相変わらず雨が降り続く30日にも再び会場を訪れた.
今度は,I画伯にお目に掛かることができた.
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そこで,数回にわたって,見学した絵画を紹介することにしたい.
■せせらぎ小径
I画伯のの絵である.散在ヶ池(さんざがいけ)の下流にある「せせらぎ小径」を画いたものである.
私の独断と偏見で感想を述べよう.
まず私が,この絵を見て感じたのは,絵の奥行きである.手前から小川が静かに流れている.右岸の木々が水面に反射している.小川がずっと向こうまで流れている.絵に描かれていない遠くまで流れている.その奥行きを感じる.真っ直ぐに延びている木は画面をはみ出して上まで延びていることが感じられる.同様に,水面に写る木の陰も画面をはみ出して手前まで続いているのが感じられる.
この絵の特徴は,画かれてる範囲を越えて,廻りの風景が想像できることにある.つまり,奥行きも,上下の空間も,絵以上に広がっているように見えることにある.
絵の右上が,妙に明るい.そして影絵のような人物が,逆光の中を明るい方に向かって歩いている.綿は,この絵から何か宗教的な雰囲気を感じてしまう.
一体,この人物は誰なのだろうか?
あるいは,この絵の作者,I画伯その人のような気がしてくる.
私もI画伯も,もう,十分に高齢である.私は,この絵から,何か終末期の人生を象徴しているような得体の知れない胸騒ぎを感じてしまう.私は堪らず,I画伯に,
「この絵の中の人物は,Iさんご自身ですか・・?」
と伺ってみる.
「いや~ぁ・・・ハハハ・・」
とI画伯ははぐらかす.
それにしても妙に胸騒ぎのする絵である.
昨年までのI画伯の絵とは,大分趣が変わってきたような気がする.
「Iさん,画風が変わりましたね・・」
と尋ねてみる.
「まあ・・・こういう絵も描けるということを,皆さんに見せたかったんです・・」
と,ややはぐらかした返答がある.
(つづく)
「かまくら絆の会」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/63cfcd45c815068071eb43ec9185f9df
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