<金冷シ付近の樹氷>
霧氷・泥濘・キツツキとネコの丹沢・塔ノ岳(今年12回目)
(往復とも大三郎に同行)
2012年2月22日(水) 晴後曇
■梅は未だだが春は間近だ
もう2月も残り僅かである.今年は何時までも寒いので,家の近くにある梅林の梅の蕾も全く膨らんでくる気配すら感じられない.そんな中,昨日(2月21日)は,五十三次洛遊会有志の方々をご案内しながら,鎌倉のあちらこちらを歩き回った.梅は未だだが春の気配が感じられる山野を,およそ12キロメートルばかり歩き回った.
本来ならば,散々遊び回った翌日の今日は,家の仕事をするのが筋だが,明日(2月23日)は天気が崩れるという予報なので,急遽,今日の内に塔ノ岳を往復してしまおうと思い立つ.天気予報によると,関東地方何尾には夜半に雨が降るとのことだったので,ひょっとすると塔ノ岳に新雪が降っているかもしれない.そんな期待もあってか,何時もより「行く,行かない」の葛藤が少ない.
何時ものように,家を5時10分に出掛ける.さすがに2月も下旬ともなると,外気は寒いとはいえ,厳冬期とは比較にならない.随分と楽になったなと肌で感じる.
大船から東海道本線の下り電車にのる.何時ものことながら電車は空いている.ボックス席に1人だけで座る.暖房が効いているので,茅ヶ崎を過ぎる辺りから,貯まらなく眠くなる.一眠りしたいところだが,小田原到着まで眠りモードのままでは,小田急線乗換3分間ダッシュで心臓が持たないかもしれない.そこで,極力眠らないように努めるが,ついつい居眠りをしてしまう.
国府津を過ぎる頃には,夜がすっかり明けて,辺りが明るくなる.随分と早く明るくなるようになったなと実感する.
小田原では,例により3分間猛烈ダッシュで何とか小田急電車に間に合う.これで,渋沢発大倉行1番バスに十分間に合うこと間違いない.発車のベルとほぼ同時に電車に乗り込んで,とにかく席に座る.そして深呼吸をして息を整える.今日の猛ダッシュでは,どうも体が重い感じがしたので,体調は今ひとつのようである.
1番バスの乗客は,パラパラと客席が埋まる程度,韋駄天のTさん,三角髭のTさん,超韋駄天のN村さん,カメラマンのM丸さん,Y内さん,大三郎さん,F田さん,ホッシーさんなどのご常連も顔を揃えている.何時もの朝の情景である.これで一安心.
■一番ビリで大倉を歩き出す
6時59分,バスが大倉に到着する.ご常連の皆様は次々に出発していく.私は,たまたま居合わせた大三郎さんとご一緒に,7時07分に大倉から歩き出す.もちろん,同じバスに乗り合わせた乗客の中では一番ビリの出発である.それでも,私にとっては,ストレッチを省略したので,4~5分早い出発である.
歩き出してから,暫くの間,一人で歩いているときに比較するとやや歩行速度が遅いが,特段急ぐ旅でもないので,雑談をしながらノンビリモードである.足許は良く乾いていて歩き易い.今日も登りから2本ストックを使うことにする.
やがて,日だまりの心地よいトラバース道に入るが,今日は高曇りで残念.
7時48分,ようやく見晴茶屋を通過する.何時も見晴茶屋からの眺望をデジカメに収めているが,今日は靄が掛かっていて,海は全く見えない.
すぐに見晴階段に差し掛かる.ご常連のホッシーさんの後ろ姿が,階段の中程に見えている.
階段を登り切って,もみじ坂に差し掛かるところでホッシーさんに追い付く.
<見晴階段>
■残念ながら富士山は見えない
登り坂に弱い私は,私の前を歩く大三郎さんに引っ張られるようにして山荘前の急坂を登る.そして,8時19分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は,1時間12分.単独山行に比較すると5~6分余計に時間が掛かっている.
駒止茶屋付近から,登山道の両側に,今朝降ったと思われる雪が少し残っている.登山道の路面は泥濘が融け始めている.やがて,堀山の尾根道に差し掛かる.進むにつれて泥濘がひどくなる.
上空には青空が広がっているが,水平線近くに雲が掛かっていて,富士山は見えるような見えないような・・・でも,儀式なので,富士山方向の写真を何枚か撮る.
<富士山は見えるような見えないような>
■キツツキとY沢さん
8時37分,堀山の家を通過する.小草平からも残念ながら富士山は見えない.
すぐに大倉尾根の核心部,萱場平までの急坂に差し掛かる.私は相変わらず大三郎さんのすぐ後に付いて登り続ける.結構,速い速度である,付いていくのがやっと.
谷間から,“ドドドドッ,ドドドドッ,・・・”と軽機関銃を撃つような音が森の中で響いている.詳しい鳥の名前は分からないが,キツツキの仲間が活動を始めたようである.この春,初めて聞く“ドドドドッ”である.
8時52分,戸沢分岐に近いところにある木の階段を登っていると,上の方から,突然,Y沢さんが現れる.例によって,2本のストックを飛行機の羽根のように持って,もの凄い速度で駆け下りていく,後ろ姿を写真に撮ろうとしたが,カメラを構えたときは遙か下.遠くに一寸だけ写っている.
<素早くカメラを出すが,もうY沢さんはずっと下>
■萱場平
8時58分,ようやく萱場平を通過する.日陰に残雪が見えるが,凍土が溶け出している.
以前にも,このブログで書いたことがあるが,写真を1枚撮ると約15秒ほど時間が掛かる.私のすぐ前を歩いていた大三郎さんの後ろ姿が写っているが,写真を構えるだけで,これだけの間が空いてしまうことが実証されている.
<一寸残雪の萱場平>
■花立山荘を通過
齋三郎さんの坂道を登る速度は結構早い.写真を撮るなど,ちょっと余計なことをするとすぐに間が空いてしまうので,その後,間を詰めるのに苦労する.
泥濘が溶けかけた岩礫混じりの急坂を登り続ける.途中で2人ばかり登山客を追い抜く.
後7分坂では,私が前に出て,約8分掛けて階段を登って,9時17分に花立山荘を通過する.大倉からの所要時間は,2時間10分.単独山行のときより6~7分ほど遅いが,何となく疲労感がある.そのまま花立山荘を通過する.
■超韋駄天のN村さん
9時23分,下山してくる超韋駄天のN村さんとすれ違う.同じバスに乗っていたのに,これだけの差が付いてしまうのだから驚異である.
「たまには写真を撮らせて下さい・・」
とお願いして,超韋駄天さんの写真をパチリ.ブログへの掲載の了承を得る.
N村さんから,
「韋駄天さんですか・・FHさんのブログで拝見しましたよ・・って,声を掛けられましたよ・・」
という話を伺う.
<超韋駄天のN村さん>
■凛とした山容を愛でる
N村さんとほんの少し雑談をしている間に,大三郎さんは,もう,花立山山頂近くを歩いている.これだけ離れてしまうと,追い付く気力も失せてしまう.
「どうぞ,先へ行って下さい・・・」
と大声で合図する.
「待っていますよ・・・」
と有り難いお返事.ちょっと歩行速度を速めて,9時26分に花立山を通過する.花立山荘からの所要時間が9分も掛かっている,やっぱり遅すぎる.
馬の背に差し掛かると凍結した残雪がビッシリと残っている.この辺りはやっぱり軽アイゼンを装着した方が無難である,でも,まあ,アイゼンなしで歩けるので,ズボラしてアイゼンは省略する.
馬の背から,残雪で凛とした山容の鍋割山稜や表尾根の山々が見えている.素晴らしい景色である.私は大三郎さんに迷惑かなと思いつつも写真を撮り続ける.
<寒々とした鍋割山稜>
■シカと見事な霧氷
金冷シに近付くと,辺り一面が霧氷となる.すぐ先の金冷シで大三郎さんが2~3人の登山客と何か話をしているのが聞こえる.でも,とにかく霧氷の写真を撮るのが先決なので,お待たせするのは申し訳ないが,続けて10枚ばかりの写真を撮る.そして,9時35分に金冷シを通過する.
すると,たまたま近くに居た登山客が,
「こんなに登山道の近くで,シカが見れるんですね・・」
と興奮している.母シカと2頭の子鹿が無心に何かを食んでいる.
<シカの群れ>
<金冷シ付近の霧氷>
■三角髭のTさんと韋駄天のTさん
最初の長い階段を登り切って,窪地に差し掛かったときに,下ってくる三角髭のTさんとすれ違う.
お願いして,ポーズを取ったところをデジカメに収める.
「それでは,お気を付けて・・・」
ですれ違う.その間,ほんの30秒程度だが,写真で見て明らかなように,私の前を行く大三郎さんとの距離が開いてしまう.
9時43分,山頂直下の階段で,下山してくる韋駄天のTさんとすれ違う.これですれ違うべきすべての皆さんと期待通りにすれ違ったことになる.
<三角髭のTさん:その向こうの後ろ姿が大三郎さん>
<韋駄天のTさん>
■塔ノ岳山頂
山頂に近付くと霧氷が少なくなる.
山頂直下の坂道は,凍結した雪がベッタリと残っていて,階段も雪の中,つるつると滑って極めて歩きにくい.でも,ここでアイゼンを装着するのも面倒.それに危険なところでもないので,そのままキックステップで登り続ける.
9時50分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は,2時間43分.出だしの速度が遅かったり,写真を撮ったりの割には,まあ,まあの所要時間である.
山頂付近には霧が掛かっていて,見通しは余り良くない.それでも儀式なので,辺りの写真を撮りまくる.そうこうしている内に,また,大三郎さんとの距離が空く.
「(山荘の)一寸裏手の霧氷を見に行きましょう・・」
と大声で大三郎さんを呼び止める.そして,一緒に山荘の裏手に回って辺りを眺めるが,今日の霧氷はあまり大したことはない.
<塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘;ネコのミー君と戯れる
山頂で一寸遊んでから尊仏山荘に入る.数名の先客が居られるが,大半がご常連である.山荘内の温度計によると,山頂の気温はプラス2℃.ちょっと高めである.
今日の小屋番はW林さんとW田さん.300円也のお茶を所望する.
今年の夏,塩見岳から蝙蝠岳を縦走し,さらに笊ヶ岳に廻りたいと仰るご常連の方と雑談する.FHも数年前にこれらの山へ登っているので,そのとき眺めた富士山の風景が素晴らしかったことを絶賛する.
雑談が暫くつづいた頃,W林さんがネコのミー君を,いきなり私の側にドサッと置いていく.居眠りでもしていたところを興されたのか,ミー君はキョトンとした顔をしている.そして寝ぼけ眼で,暫くの間,その辺りをノソノソと歩き回る.その仕草が可愛い.
何人かの登山客が,ネコの写真を撮ろうとしている.
「こっちを向いて・・・」
と盛んにミー君に呼びかけるが,ミー君は知らんぷり.そこがまたネコらしくて良い.
<今日もノンビリ;ミー君>
■ノンビリと下山
今日は大倉発12時52分のバスに乗ろうかと思う.
そこで,10時40分,4歩爪軽アイゼンを装着してから,下山を開始する.成り行きで下山も大三郎さんと一緒である.
私は何時も下山に2時間あまりタップリと時間を掛けている.加齢とともに足許がおぼつかなくなっているからである.特に,花立階段,駒止階段,見晴階段の3箇所が要注意である.同行の大三郎さんには申し訳ないが,急な下り坂では,特に時間を掛けている.
軽アイゼンながら,凍った雪を踏みつけると「ザクッ,ザクッ,・・」と小気味よい音がする.これがまた楽しい.相変わらず,途中で,写真を撮りながら,のっそり,のっそりと下山し続ける.
10時53分,花立山でアイゼンを脱着.
気温は日中も低いまま推移しているらしく,駒止茶屋までの泥濘道は,下山時にも少し融け始めた程度である.しかし,下るにつれて泥道がひどくなる.泥道に足を取られながら,やっぱり春だなを実感する.
12時21分,大倉高原山の家分岐を通過する.辺りは鬱蒼とした杉林である.大掛かりな間伐作業が進められている.登山道の傍らで数名の作業員が休憩を取っている.
ここで立ち止まって雑談.3月まで間伐作業が続けられるとのこと.
「伐採した材木はどうするんですか・・?」
「ここに放置しておきます・・」
「勿体ないですね・・」
「いや・・曲がっていたりで売り物にならない木だけを伐採しているんですよ・・・」
杉林の間に伐採された材木が地面に横たわっている.
13時40分,登山口を通過する.大倉の集落が見え始める.何時の間にか上空は高曇りになっている.
<間伐作業が進められている>
■箱根ソバを賞味してから帰宅
12時45分,大倉に到着する.下山所要時間は2時間05分.道草をしていたにしては,割合に速く下山したようである.
予定通り大倉発12時52分のバスに乗車する.私たちより一足先に下山し始めたY内さん,F田さんも同じバスに乗っている.
13時06分,渋沢駅に到着する.
小腹が空いている.大三郎さんに誘われるまま,駅構内の『箱根ソバ』に入り込む.店内は混雑している.私は「ちくわ天うどん」を所望する.
これまで何百回も塔ノ岳に登っているが,この店に入るのは初めての経験である.結構美味しい.癖になりそうである.
食事後,大三郎さんとお別れして,私は小田原経由で14時30分に大船駅に到着する.気温が大分下がって,かなり寒くなっている.私は急に美味しいコーヒーが飲みたくなる.そこで駅ビル内の某コーヒー店に入り込んで,バス待ち時間の5分ほどの間で,200円也のブレンドを賞味する.
帰宅後,例によって,少し熱めの風呂に入る.冷えた手先や足先がジンジンする.これがまた良い.
そして,ほんの30分ほどまどろむ.
今日も塔ノ岳を往復して良かったなと思っている.
<『箱根ソバ』のちくわうどん>
<ラップタイム>
7:07 大倉歩き出し
7:32 観音茶屋
7:48 見晴茶屋
8:19 駒止茶屋
8:37 堀山の家
9:17 花立山荘
9:37 金冷シ
9:50 塔ノ岳山頂着(2.0℃)
10:40 〃 発
10:49 金冷シ
10:53 花立山(10:56までアイゼン脱着)
10:59 花立山荘
11:31 堀山の家
11:47 駒止茶屋
12:10 見晴茶屋
12:27 観音茶屋
12:45 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:07
塔ノ岳 着 9:50
(所要時間) 2時間43分(2.72h)
水平歩行速度 7.0km/2.72h=2.57km/h
登攀速度 1269m/2.72h=466.5m/h
■下降所要時間(雑談時間を含む)
塔ノ岳 発 10:40
大倉 着 12:45
(所要時間) 2時間02分(2.03h)
水平歩行速度 7.0km/2.03h=3.44km/h
下降速度 1269m/2.03h=625.1m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/593aa4c912662050dabdd159f4c21d05
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/490af4a0e07419c4c86d1dbfcd4beab0
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