中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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東南アジア紀行[9]:ちょっと寄り道;瘋癲先生の屁理屈(2)

2012年02月24日 05時37分28秒 | 東南アジア訪問記 

[復刻版]  東南アジア紀行[9]:ちょっと寄り道;瘋癲先生の屁理屈(2)
       (マレーシア・シンガポール駆け足の旅)
       1997年8月26日(火)~9月4日(木)



(前回からの続き)

■多能工養成の困難さ
 以上の「瘋癲先生」の枠組みである第1~第4象象限論を前提で,すこし,屁理屈を述べてみよう.
 「もの作り」の世界では「多能工」,さらに進んで「"他"能工」などという言葉が流行語になってから,もう何年かになる.これが,これからの日本の製造業が生き残っていくための決め手のひとつになるからである.しかし,多能工や他能工を養成するには,終身雇用とまでは言わないまでも,ある程度,長期にわたって,じっくりと一ヶ所で勤務してくれないと多能工に必要な技術や技能を養成することができない.この点が,ジョブホッピングを日常的に繰り返す国々に比較して,日本が優位になる理由でもある.
 では,要員が「一ヶ所にとどまっている要因」は何かとなると,これは難しい.が,上の図の第3象限のISが深い関をもっていることは容易に頷ける.
 東南アジアに進出している日本企業を訪問してみると,異口同音に,従業員のジョブホッピングに悩んでいるという.もっとも,ホッピング先が日系企業の場合が多いので,「お互い様ではないか」という感もなくはない.また,常にジョブホッピングを繰り返している人間は,想像するほどは多くなく,少数の人間がホッピングを何回も繰り返して,統計値を必要以上に高く押し上げていることも事実のようである.とはいえ,日本国内の企業と,海外の企業(十把一からげの表現はまずいが)の企業文化の差は,実はこの第3象限あたりに顕著に現れるのではないか.
 所で,わが国の企業の最近の事務部門では,ワークフローなるものが,だんだんと普及しつつある.確かに業務効率は改善されるであろうし,ポカミスも撲滅されるであろう.ただ,行きつく先は,アメリカのオフィスで垣間見た「鵜匠の世界」であろう.鵜匠(スーパーバイザ)一人の元に,「私,電話番」「私,切手貼り掛」「私・・」と細かいジョブディスクリプションのもとで,同じ職場にいる限り,原則的には,何歳になっても,何時までも,単調で,同じ仕事をやり続けることになる.だから,アメリカの事務部門では,ワークフローが導入しやすく,さらにはABCないしはABMが導入しやすいというメリットもあるが・・・
 また,これならば多少のジョブホッピングで従業員が入れ替わっても,大した教育をしなくても,次の担当者に事務引継が簡単にできるという大きなメリットがある.

■日本のホワイトカラーの生産性は低いのか
 話が変わるが,ARENAの#16会議室で,故人を偲びつつ Remenbering S・・・・ を大変,感銘深く拝見している.そこには,紛れもなくワークフローの世界に潜んでいるアメリカ的な第3象限が顕在化しているからである."鵜匠型"のビジネス慣行が,日本の企業にあれば,多分,Ms. NAOMI は"地のままの"生き様で,大成功しただろうと推察される.

(2012年注)この会議室は既に閉鎖されていて,現在は見ることが出来ない


 翻って,それにもかかわらず,なぜ,日本企業の事務部門で,多能事務員,他能事務員が珍重されないのかが解せない.日本の企業には,現在でも多能事務員,他能事務員が沢山いる.なぜ,これらの有能な人材を珍重しないのだろうか?

 本当に,日本のホワイトカラーは,どうしようもないほど,非能率なのだろうか?
 ホワイトカラーの生産性についても,間接的なデータばかりで,核心を衝いた統計資料を見たことがない.そりゃぁ~ 企業内失業者も居るよ(最近はだんだんと厳しく,居づらくなったと聞いているが・・・).
 私も企業人末期に,現職に就くまでの数ヶ月,企業内失業者(?)を経験したが,結構,辛いものがあった.アメリカ,東南アジアの企業を垣間見ると,こんな素朴な疑問が湧いてくる.

 某協会の発行したホワイトカラーの生産性のデータも,このような前提条件の違いには,全く触れずにマクロなデータを空疎に並べているに過ぎないような気がする.だから私は失望した.そして,以後,この本(年鑑)を買うのをやめた.
 それほど沢山の企業を見て回ったわけではないが,内外の企業を比較すると「日本の中間管理職は優秀だ!」 これが私の率直な感想なのである.いくら若い方々から見て頼りなげに見えても.また,コンピューターのキーボードに触(サワ)る触らないは,それ程大きな問題じゃぁ~ないっ・・・と断言したい.また,その優秀さは,上の図の第3象限のISに,極めて長けているからなのだというのが,私の持論である.
 管理の神髄は,実は第3象限にあるのではないか(?!).良い悪いは別にして・・・

(2012年注)今になって,この記事を読むと,ハズカシイ・・・が,これも記録.そのままの形でブログに残して置くことにしよう.

                                                  (第9回おわり)
                                                  (次回につづく)

「東南アジア紀行」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2c111b9435f5499d11b0fade67fee92b
「東南アジア紀行」の次回の記事
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