<花立山荘から相模湾を望む>
台風一過強風と荒れた登山道の丹沢;塔ノ岳(今年32回目)
(上り単独;下り途中からM田夫妻に同行)
2012年6月20日(水) 晴後霧小雨晴
■台風一過;電車が大幅に遅延する
台風4号は,昨夜の内に,日本列島を縦断して,関東地方から過ぎ去った.今朝は風が強いものの天気は回復している.
この所,雨の日が多く,さらにヤボ用や鎌倉散策の予定などがあって,ここ1週間ばかり塔ノ岳から遠ざかったままである.また,今週金曜日からは2泊3日の中山道六十九宿の旅が始まる.そうなると,今日を逃したら当分塔ノ岳はお預けである.
風が強そうなのが多少気になるが,私は何時ものように5時10分に家を出発する.
台風一過の清々しい天気だが,上空には怪しい形をした雲があちこちに湧いている.近くの駅まで住宅地を歩く.風で吹き飛ばされた落ち葉や小枝,それにプラスチックの破片などがあちこちの沢山落ちている.何時ものように湘南モノレールの駅から富士山の方向を眺める.天気が良ければ,この駅のホームから素晴らしい富士山が望めるが,今日は箱根富士山方面に真っ黒な雲が覆い被さっている.
JR大船駅に到着する.何となく異様な雰囲気である.どうやら,品川駅構内に強風で吹き飛ばされたものが散乱していて電車が運転できないようである.そのため,何時も乗車する大船5時44分発小田原行電車は運休.次の6時04分発沼津行も10分程度遅れるとのことである.
出出しの勢いを削がれた私は,塔ノ岳行を諦めて,帰宅しようかと思った.ところが我が家近くのバス停を通るバスの始発まで45分もある.
再び私は困惑する.駅とバス停の間をウロウロしていた私は,やっぱり丹沢に行こうかと決心する.
結局,私が乗った東海道本線の下り始発電車は,大船を6時12分に発車する.1本電車が運休になっているので,電車は随分と混雑している.当然,平塚まで立ちんぼ.ところが,国府津で,信号が青にならないということで,またもや長時間停車.結局20風近く遅延して,7時03分,ようやく小田原駅に到着する.何時もならば,大倉からそろそろ歩き出す時間である.
7時27分,漸く渋沢に到着する.もう大倉行2番バスにも間に合わない.結局,7時40分発のバスに乗車する.何時もより1時間近く遅くなってしまう.バスの乗客はたった6人,その内登山姿の場弱は私を含めて3人だけである.
何時もより1時間遅いバスの様子も車窓から眺める風景も,何となく違うのが面白い.特に,小学校へ通う子ども達が,ぞろぞろと歩いているのが印象的である.
<富士山箱根方面に暗雲が立ちこめている>
■荒れた登山道
8時01分,大倉バス停から歩き出す.
駐車場入口で,自家用車を駐車場に入れようとしている超韋駄天のマコさんとバッタリ.
「先に登っています・・・」
と挨拶して,そのまま歩き始める.
路面はまだ濡れている.歩き出してすぐのところにある土手が昨日の雨で土砂崩れを起こしている.この辺りにも随分と強い雨が降ったようである.
すぐに登山道に入る.台風で吹き飛ばされた青葉や小枝が路面一面に敷き詰められたように落ちている.しかもベタベタに濡れている.いかにも山ヒルがでそうな雰囲気である.気温は25℃もあり蒸し暑い.これはもう,ゆっくり歩くしかない.
<大倉の土砂崩れ>
■ご常連のYさんとすれ違う
過ぎ場は氏の中のジメジメとした登山道を登り続ける.いかにも山ヒルがでそうな雰囲気である.
8時24分,観音茶屋を通過する.すぐにトラバース道になる.上の方から,ご常連のY沢さんが快調に下山していく.
8時29分,雑事場ノ平を通過する.見晴茶屋に通じる尾根道に入ると,尾根を越える風が吹いている.これまでジトジトと肌に纏わり付いていたベタベタを一気に吹き飛ばしてくれる.実に爽快である.
<Y沢さんが下る>
■緑青々の見晴階段
8時43分,見晴山荘を通過する.
すぐに見晴階段に差し掛かる.私の前後には全く人の気配がない.何だか拍子抜けしたような,嬉しいような複雑な気分である.
もう夏.
見晴階段を覆う木々の緑が,随分と分厚くなっている.
急ぐとすぐに汗だらけになるので,ユックリと登り続ける・・・と,言えば格好良いが,これ以上hの速度では,蒸し暑くてとても歩けない.
<緑一杯の見晴階段>
■暫くマコさんとご一緒する
モミジ坂に差し掛かる.後ろに何となく人の気配がしたので振り返る.マコさんである.相変わらずの俊足である.
「・・・どうぞお先へ・・・」
と先を譲るが,暫くの間,ご一緒する.
「FHさん,なかなか速いですね・・・なかなか追い付けなかったです」
とマコさんはお世辞を言う.
「健康のために何か心掛けていることがあるんですか・・・何か食べ物に気を付けているものあるんですか・・?」
と質問を受ける.
まあ,私が高年齢ながら,とにもかくにも何とか塔ノ岳を往復しているからの質問だろう.
私には特段気を付けていることも,食べ物に好き嫌いもない.
「・・特にないですよ.食事も金井が作るものをそのまま食べているだけです・・・」
と答える.
率直な感想を言えば,私がこの年になっても,何とか塔ノ岳に登れるのは,両親が私を丈夫に産み育ててくれたことが一番大きいなと感じている.改めて今は亡き両親に感謝である.
<モミジ坂入口でマコさんに追い付かれる>
■堀山の尾根
堀山の尾根の平坦な道に差し掛かる.平坦なところは早足で歩くのがFH流である.ここだけはマコさんにお断りして先に行かせてもらう.どうせ,堀山の家からの長い急坂ですぐに追い付かれるに決まっているので・・・
今日は台風一過の青空と抜けるような富士山の姿を期待していたが,残念ながら富士山は,一面の雲の中である.それでも,習慣に従って,見えない富士山の写真を撮る.
<堀山の尾根からの富士山・・残念!>
■萱場平
9時31分,漸く堀山の家を通過する.小草平には誰も居ない.今日は,自分の体調と気温を勘案して,堀山の家から花立山荘まで37~38分程度の時間を掛けて登ろうと思う.後7分坂は,まあ,8分ぐらい掛かるかな?
戸沢分岐手前の急坂で,再びマコさんが私に追い付く.私に合わせてユックリ登っておられるようなので気の毒.
「お先にどうぞ・・・・」
と道を譲る.
「それでは・・・」
と私を追い越していくマコさんは,またたくまに私の視界から消えてしまう.
9時56分,やっと萱場平に到着する.何時もならばもうとっくに尊仏山荘に入っている時間である.
萱場平にも誰も居ない.
<誰も居ない萱場平>
■三角髭のTさんと立ち話
萱場平に続く階段道を通過してガレ場に入る.台風4号のもたらした大量の雨が流下したらしく登山道は随分と荒れている.浮き石がゴロゴロと転がっている.
まあ,急ぐ旅でもないので,文字通りエッチラホッチラと登り続ける.体調はなかなか良いので,疲労感は全くない.
やがて,予定の時間より数分早く後7分坂に差しか掛かる.坂の中腹に2人ずれの登山客が今にも止まりそうな速度で喘いでいる.私の速度はそんなに速くないが,それでもすぐに追い付いてしまう.ちょうどそのとき,下山してくる三角髭のTさんとバッタリ.
「やあ,今日は・・・早速,写真を撮らせてください・・」
「(そういえば)息子が,ブログで(オヤジを)見たと言っていましたよ・・」
坂の途中で,これ幸いと,いろいろ打ち合わせをする.
まず最初に,12月の常連1泊旅行参加者のこと.私の関係の山猛女お三方の氏名をお伝えした.そして,その中のお二人は参加確定.残りのお一人は未確認なので,すぐに確認を取って連絡すると約束する.
次いで『尾根の掲示板』の原稿のこと.
私は原稿の打ち込みをお手伝いしている.つい先日,三角髭のTさんの冒険山行の原稿を打ち終えたばかりである.当然のことながら,この記事は未発行なので,ここで明らかにできないが,血湧き肉躍る記事に,舞台となる場所の地形図と歩行ルートを付け加えたら良いなと思っていた.
そこで,リュックから地形図を取り出して,三角髭のTさんの足取りを伺った.私は三角髭のTさんのご了承のもとで,パソコンを使って冒険図を仕上げ,記事に追加して貰おうと思っている.もちろん,編集長のY川さんの了承を得なければならないが・・・
<後7分坂で三角髭のTさんとバッタリ>
■大山が良く見えている
10時23分,漸く花立山荘を通過する.この辺りから霧が出始める.そろそろ雲の中に入っていくようである.山荘付近は静まり返っている.
大倉を歩き出してから,花立て山荘までの所要時間は2時間22分.途中5~10分ほど三角髭のTさんと立ち話をしたにしても,随分と遅いが,まあやむを得ないことである.
霧の中,花立山を目指す.階段道を終えてガレ場に差し掛かったところで,下山してくるご常連のY内さんとすれ違う.一言二言立ち話.どうやら,今日は韋駄天のTさんを始め,ご常連は殆ど来ていないようである.
ガレ場から富士山は全く見えないが,反対側の大山は良く見えている.
先ほど私の前にいた二人連れに道を譲って貰う.
<花立山に差し掛かるところから大山を望む>
■霧の金冷シ
花立山を通過する辺りから,「ジージー・・」とセミ(かな?)の啼き声が頻りに聞こえるようになる.霧が立ちこめて,視界が悪くなる.多分,雲の中に入ったのだろう.
10時39分,金冷シを通過する.気温18℃.少し寒い.絶えず風が吹いている.ここまで登れば山頂まではあと僅か.少々気が抜ける.
霧の風景もなかなか乙なものだなと思いながら,懲りずに霧の写真を撮り続ける.いつかこんな風景を水彩画にしてみたいなと思う.
階段を登っていると韋駄天のマコさんが下山してくる.
「山頂はもの凄い風です・・・早々に下山してきました」
とのことである.
<霧の中マコさんが下る>
■M田夫妻とバッタリ
塔ノ岳山頂直下の木道に差し掛かる.木道をもう少しで登り切るところで,下山してくるM田夫妻とすれ違う.ご夫妻の了承を得て写真を撮らせて頂く.
「あれ・・一寸前まで尊仏山荘に居たんです.お話しができたのに・・・」
私はJRの電車が動かなかったので,1時間ばかり歩き出しが遅れたことを説明する.
「私も,今日は遅くなったので,尊仏山荘に寄らずに,山頂のポールにタッチしたらすぐ下山します・・」
ということでお別れする.
<山頂直下にて>
■塔ノ岳山頂
10時56分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間55分.どえらく時間が掛かったが,途中でお喋りをしたり,道が悪かったりで,まあ,こんなところがせいぜいだなと仕方なく納得する.
山頂には濃い霧が掛かっている.全く人の気配もない.もの凄い風が吹いていて,身体ごと吹き飛ばされそうである.とてもではないが,立ち止まってなど居られない.
私は少しでも風を避けようと思って,やや低いところから山頂のポールを写真に納める.
もう大分時間が押しているので,尊仏山荘には立ち寄らないことにする.
ストックを取り出して下山の準備をするが,風が強いので,ついつい時間が掛かる.11時過ぎに漸く下山を開始する.
<吹き荒れる塔ノ岳山頂>
■堀山の家からM田夫妻と一緒に下山
寒さは殆ど感じないが,とにかく風が強い.それにポツポツと雨粒が落ち始める.足許は落ち葉や枝,それに何時もより浮き石が多いので歩きにくい.私はM田夫妻に追い付こうかと思っていたが,すぐに諦める.「御身のために安全第一」と思ったからである.
すれ違う登山客は何時もより大分少なめである.
年を取るとどうしてもバランス感覚が鈍くなる.私は「御前は年寄りなんだぞ,足許に注意しなさい」と絶えず自分に言い聞かせながら下り続ける.
途中ですれ違った男性から,山頂まであとどの位かと質問を受ける.それを切っ掛けにして,さまざまな質問を受ける.応対している内にますます時間が遅くなる.
11時59分,ようやく堀山の家に到着する.先に到着したM田夫妻が食事を摂っている.私は何時も尊仏山荘で早めの食事をするが,今日は尊仏山荘に立ち寄っていない.そこで私もここで昼食を摂ることにする.早速,M田さんからキュウリ漬,カマボコなどのネーベンをお裾分けして頂く.有り難く頂戴する.
以後,大倉まで,村田夫妻とご一緒する.
13時47分,無事,大倉に到着する.
出発が1時間遅くなったので,下山も丁度1時間遅くなる.
渋沢から小田原経由で,15時50分頃,無事帰宅する.大して遅くなったわけでもないのに,何だか一日がかりの登山になってしまったような気分である.
すぐに少し熱めの風呂に入る.やっぱり登山後の風呂は爽快である.
<ラップタイム>
8:01 大倉歩き出し
8:24 観音茶屋
8:43 見晴茶屋
9:15 駒止茶屋
9:31 堀山の家
10:23 花立山荘
10:39 金冷シ
10:56 塔ノ岳山頂着(18.0℃)
11:00 〃 発
11:11 金冷シ
11:16 花立山
11:23 花立山荘
11:59 堀山の家(12:10まで昼食;M田さん夫妻に合流)
12:38 駒止茶屋
13:08 見晴茶屋
13:23 観音茶屋
13:47 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 8:01
塔ノ岳 着 10:56
(所要時間) 2時間55分(2.92h)
水平歩行速度 7.0km/2.92h=2.39km/h
登攀速度 1269m/2.92h=434.6m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 11:00
大倉 着 13:47
(所要時間) 2時間42分(2.70h)
水平歩行速度 7.0km/2.70h=2.37km/h
下降速度 1269m/2.70h=470.0m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/7e26e17e7fa2fe23acdd296d0c24ad65
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/78c6b76f53046484d09fcae92642f439
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