中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ペルー周遊記(16):第5日目(3):オリャンタイタンポ

2008年08月15日 10時03分39秒 | ペルー:ブランカ山脈ピスコ山登頂

                  <オリャンタイタンポ遺跡の入口>

     ペルー周遊記(16):第5日目(3):オリャンタイタンポ
      2008年7月5日(土)(つづき) 


<オリャンタイタンポ遺跡見学>


             <オリャンタイタンポ遺跡前の土産市場>

■遺跡に到着
 クスコを,専用バスで出発した私達は,16時23分にオリャンタイタンポ遺跡に到着する.
 広場に降りると,立派な塀が建っている.その塀の一角に遺跡への入口がある.入口の前には,沢山の土産店が軒を連ねている.多くの観光客が,土産店でショッピングを楽しんでいる.
 塀の向こうには,急傾斜の岩山が聳えている.岩山の裾の鞍部には,大規模な段々畑が広がっている.一見して,凄い所だなという印象を受ける.
 
               <オリャンタイタンポ遺跡>
       ※残念ながらデジカメでは,視野が狭くて全体が撮れない.
        上の絵は,その場で描いた汚いスケッチだが,全体の雰囲気はこんなである.

■四つの区域
 遺跡の中に入る.早速,日本語が堪能なアレックスが,流暢に説明を開始する.
 「・・・この遺跡は,大きく分けて,四つの区域に分けられています.第1の区域は王様の住居,第2の区域は神殿,第3の区域は一般人の住居,第4の区域は農耕地です・・・」
 アレックスの説明によると,オリャンタイタンポの“オリャンタイ”は将軍の名前,そして“タンポ”は“豊かな所”という意味だそうである.ここは,インカ時代,政治的に大変重要な所だった.そして,ここに住む住民の70パーセントは軍人だったそうである.
 アレックスの説明によると,

               |
        神 殿    |    王家の宮殿
               |
     __________|___________
               |
               |
        農耕地        |    住 居
               |

という配置になっているという.         

■長い階段
 目の前の急な斜面一面に段々畑が広がる.汚いスケッチ図で,少々,気が引けるが,遺跡の配置は,概ね,このスケッチの通りになっている.
 凄い傾斜に作られた段々畑の中央に,長い階段が斜めに通っている.この階段に向かって左上の斜面はお花畑.そして,その上の岩山には「太陽の神殿」が作られていた.そして鞍部を挟んで反対側,つまり向かって右側で,鞍部より少し上の所に「将軍の宮殿」がある.さらに将軍の宮殿からトラバースすると「植物の種の倉庫」が建っている.
 私達は,この階段をユックリと登ってみる.

■崖の上の建造物
 階段の途中から,谷を挟んだ反対側を見ると,目の前に切り立った岩山が聳えている.この岩山の下には段々畑が続いているが,その上には,どうやって,あんな高い所まで登るのだろうかと不思議になるほど,屹立した岩の中腹に,3棟の建物が建っている.
 中央のやや大きな建物が「穀物小屋」で,収穫した穀物を貯蔵する場所である.この建物には,窓がないだけでなく,水路もないことから,穀物小屋だと推定されたという.
 穀物小屋から,向かって右に,目を移すと,がけの縁に「見張小屋」が建っている.逆に,向かって左に移動すると,断崖に突き当たる.そこに「刑務所」が建っている.先ほどの「見張小屋」から,垂直に近い崖を登ると山頂近くに,もう一箇所,「見張小屋」が建っている.あんな所まで,一体,どうやって登るのだろうか.仮に登れたとしても,高所恐怖症の私など,足が震えてどうにもならないだろうと勝手に想像する.
 余談だが,アレックスの説明によると,当時,この遺跡に住んでいた人は,死後,ミイラにする習慣があったという.ただ,刑務所からは,ミイラにしない人骨が出土するという.

        <断崖に作られた穀物小屋・見張小屋(2箇所),刑務所>

■不思議な石
 16時35分,アレックスの案内で,不思議な石を見学する.この石には,明らかに自然でできた者ではなく,人手で作られたと思われる凹みが刻まれている.不思議なことに,この凹みの表面は,とてもツルツルしている.とてもノミなどで刻んだものではない.何故,こんなにツルツルな凹みが作れるかが不思議である.
 アレックスが,この凹みの不思議を説明をする.
 「皆さん,こんなにツルツルな凹み,不思議でしょう・・・インカには石を溶かす技術があったとしか考えようがありません・・・」
 私は岩石・鉱物の素人だから,何ともいえないが,このような石を溶かすには,多分,千数百℃の高温が必要だろう.そう考えると,俄にアレックスの説明を鵜呑みにすることはできない.

    <つるつるな石>                   <巧妙な石積み>

■沐浴場
 16時39分,私達はアレックスの後について,沐浴場の遺跡に到着する.沐浴場は神聖な場所である.石垣の間から,大きな石の上に刻まれたなだらかな溝を通して,水が滴れ落ちている.沐浴場は数段連なっているが,何れも東向きに作られている.

                      <沐浴場>

■太陽の神殿
 17時06分,階段を登り詰めて,頂上付近の広場に出る.ここに「太陽の神殿」が残っている.高さ4~5メートル,幅1.5~2メートル,奥行約1メートルの巨石が,6個横に並んでいる.アレックスの説明によれば,この巨石群が太陽の神殿跡だという.
 神殿の前の空間に余り奥行きがないことと,全体があまりに大きすぎて,私のデジカメでは,全体を撮ることができない.残念.
 アレックスによると,これらの巨石は,ここから約8キロメートル離れた所にある石切場から運ばれてきたという.これまた壮大な話である.どのような方法で運んだのか,また,どのようにして,こんな高所まで,大きな石を運び上げたのか,興味は深まるばかりである.
 どの石の表面にも,上,中,下の3箇所に彫刻が施されている.一番上がコンドル,真ん中がピューマ,一番下がヘビの彫刻である.コンドルは「神」と「未来」を象徴している.ピューマは「人」と「現在」を表す.そしてヘビは「死の神」と「過去」を表しているそうである.
 これらの巨石の全てに金箔が貼ってあったという.
 巨石と巨石の接合部分には,細かい石が使われている.この辺りの手法は,クスコの石と石を直接積み重ねる方式と違っている.そこがまた面白い.
 太陽の神殿は高い所にある.眼下の谷間には集落や田園が広がっているのが見渡せる.

             <太陽の神殿のラフなスケッチ>
       ※それぞれの石に,上から「コンドル(未来)」「ピューマ(現在)」
        「ヘビ(死の神:過去)」が刻まれている.


                  <太陽の神殿>
              ※アレックスが熱心に説明する.
               巨石が6個並んでいるが,カメラに収まらない.

■月の神殿
 太陽の神殿から続いて,月の神殿に廻る.二つの巨石の敷石の上に,さらに大きな石がのせてある.この石には,水平方向に溝のようなものが彫り込まれている.この溝が何を意味しているのか良く分からない.
 アレックスの説明によると,この月の神殿は,15世紀頃建造されたもので,神殿全体に,銀色の装飾が施されていたという.
 
       <刑務所・穀物小屋・見張小屋>              <月の神殿>
  
     
■石造りの妙技
 次いで,綺麗に石積されている石垣を見学する.ここで,石造りの妙技に驚嘆する.幾つもの石が,全く隙間なしに組み込まれている.アレックスが,
 「・・・どうです.凄いでしょう.ここのところは,3個の石が微妙に重なり合っているでしょう・・」
と,石の接合部を指さしながら説明する.

             <精巧な石積みを説明するアレックス>

<ホテルパカリタンプ>

■オリャンタイタンポ遺跡を出発

 遺跡を一回りした私達は,17時35分頃,遺跡から外に出る.
 先ほどから,「大」を催していた私は,大急ぎで,市場横のトイレに駆け込む.そして,用を済ませ,ホッとする.
 皆が待っている所に戻ると,
 「フラワヒルさん・・・あなた女性用のトイレに入っていましたよ・・」
と注意される.
 「あじゃ~・・・参ったな!」
 ペルーのトイレは,総じて男女を区別するマークが分かりにくい.私としては注意をしてアルカリ性のトイレを選んだはずなのに,そこが女性用のトイレだったとは・・・
 もう,「ウン」が悪かったとしか言いようがない.悪くすると,警察沙汰になりかねない.後になって,この時のことを思い出すと,痴漢に間違えられなくて良かったなと,ヒヤヒヤする.
 17時43分に,専用バスに乗車,オリャンタイタンポ遺跡を出発する.

■ホテルパカリタンプに到着
 遺跡を出発した私達のバスは,集落の中をノロノロと走り続ける.そして,17時43分,オリャンタイタンポの中心部にあるホテルパカリタンプ(Hotel Pakaritampu)に到着する.ここはマチュピチュ行の列車が発着する駅から,徒歩でたった2分の所にある便利なホテルである.
 ホテルのある集落は,四方を切り立った断崖のような山に囲まれている.山頂を見上げると首が痛くなるほどの絶壁である.いくら岩登りのベテランでも,この断崖を登るのは,ちょっと無理かなと,勝手に想像する.

                    <ホテルパカリタンプ>

■早速シャワーと洗濯
 ロビーのある建物に,チェックイン,チェックアウトなどを行うサービスカウンターがある.この建物に隣接して,レストランの建物がある.この二つの建物を囲むようにして,何棟かのロッジ風の客室が並んでいる.
 早速,部屋に入る.入口から部屋にはいると,右手にシャワーとトイレ,左手にクロークとテーブル,その奥の部屋にシングルベッドが3台並べてある.
 部屋に入って一息入れてから,シャワーを浴びる.残念ながら,このホテルにはバスはない.
 続いて,今日着ていた下着の洗濯を済ませる.

■夕食はトルージャ料理
 19時00分から,ホテルのレストランで夕食を摂る.メニューは,アレックスの意見を聞きながら,実に簡単に選んでしまう.正直な所,食べ物に好き嫌いがない私は,何を食べても構わない.
 最初にキノコスープが出る.これがまた,大変美味しい.何というキノコか分からないが,スープの中にドッサリと入っている.このドッサリ感がたまらない.
 メインディッシュはトルージャという白身の魚の料理である.美味しいが,ここに醤油を数滴垂らせばさらに風味が増しそうである.ウッカリ,醤油を部屋に置いてきてしまったのが悔やまれる.
 デザートはチョコレートプリンである.ちょっと甘めである.やたらと量が多いが,食べ物に卑しい私は,カロリーオーバーを気にしながらも,全部食べてしまう.
 締めくくりが,コカ茶.ほんの少々,砂糖をコカ茶に入れると,味がまろやかになって,とても美味しい.
 

■早々に就寝:長い一日が終わった
 20時35分,夕食が終わる.
 一旦,ロビーに集合して,アレックスから,明日の行動予定,および注意事項の説明を受ける.
 明日は,オリャンタイタンポ7時50分発の列車に乗って,マチュピチュ見学に出掛ける.従って,ホテルを7時00分に出発するという.
 日光が強いので,日焼け止めを忘れないように.また,防虫剤,帽子などを忘れないようにという注意を埋める.
 私は直ぐに部屋に戻って,21時頃就寝する.
 長い一日が終わった.
                         (つづく)
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