
<美術年鑑>
閑話休題:緊張する新年会とリラックスの孫の展覧会
2011年1月23日(日)
■今日はきっと緊張するぞ!”
今日は某美術関係団体の新年会が横浜で開催される.私は,昨年,この団体の公募展に応募して,水彩画を2枚入選させて貰い,やっとこの団体の会員になった.そして,今日は,平成23年新年会が,横浜の県民ホール6回の「英一番館」で開催される.
生まれながらの引っ込み思案で内気な私は,出席するかしないかで,散々迷った末に出席することにした.
幸いなことに,孫娘が校内選抜されて書を出品している横浜市立小学校児童書写展が,県民ホール近くの横浜市民ギャラリーで開催されている.そこで,私は,新年会あわせて,こちらも観覧することにする.
■久々に背広を着る
さて,そうなると,何時もの山へ行くようなラフな姿で出掛けるわけにもいかない.私は実に久々にネクタイを着用して背広姿になる.
不思議なもので,背広を着た途端に,現役時代に戻ったような気分になる.“馬子にも衣装”とは良く言ったものだと,鏡を見ながら苦笑する.
さて,ここからが問題である.
久々に鏡を覗き込んだ私は,鏡に映る自分の姿に唖然とする.
“まあ,何と薄汚いことよ・・”
“鏡に映っているお前は,本当にオレかよ!”
平素,頭髪など全く気にせずに,五本指で掻き上げただけで,外出していたが,改めて鏡の中の自分を見ると,頭の毛は寝癖でグシャグシャ.もっとも,寄る年波でジャングルとまでは行かないが,薄くなった頭髪が滅び行く草原のように無秩序に広がっている.
長い間,整髪料は使ったことがないので,何処へ行ってしまったか分からない.もう数年も使っていないので,どうせ見つけたところで揮発してしまっているだろう.私は探すのも面倒なので,頭髪に水を付けて癖毛を直そうとするが,肝心の水がすぐに首筋に流下するだけで,頭の毛のグシャグシャはどうにもならない.
ここで,“ままよ”と良いことに思いついた.
話が変わるが,昨年,足の脹ら脛がかゆくて仕方がないので,水虫ではないかと思って,市販の水虫薬を塗ったが一向に治らない.仕方なく皮膚科の医院を訪れたところ,痒いのは水虫ではなく老化で皮膚が乾燥しているからだと言われた.それ以来,近くの薬局で「コエンザイムQ10スキンミルク」というクリームを,足に時々塗っている.これがまた具合が良くて,このクリームを薄く塗ると,暫くの間は皮膚のカサカサがなくなって気分が良い.
・・・で,話を戻す.
どこかで,“頭髪は皮膚の変形”と聞いたような,聞かないような・・まあ,どうせ皮膚も髪の毛も同じようなものだろうと勝手に考えて,このスキンミルクなるものを,少しばかり毛髪に塗りつけて見る.
良くしたもので,これで何となく寝癖の頭髪も何とか治まる.
こうして,私は本当に何年ぶりかで背広姿で外出する.
■根岸線で関内へ
久々に背広を着てみると,実に使い勝手が良い衣装だと気がつく.背広に付いているポケットが実に機能的で,定期入れ,財布,名刺入れ,小銭入れが具合良くポケットに収まるし,出し入れも楽である.改めて背広って良いなと実感する.
黒いビジネスシューズも気分をスッキリさせる.私はすっかり昔のサラリーマン時代に戻ったような気分になる.
11時過ぎに大船駅から根岸線電車に乗車する.日曜日の昼時とあって,沢山の家族連れが乗車している.楽しそうな家族連れの姿を見ながら,
“オレにもあんな時代があったな~ぁ・・”
と過去のことを懐かしく思い出す.
親にピッタリへばり付いて離れたがらなかった末っ子の息子は,もう不惑の年を迎えている.その息子の娘(つまり孫娘)の展覧会を,今,私は見に行こうとしている.歳月の過ぎる速さを実感する.
■緊張する新年会
関内駅から現在改修工事が進められている横浜球場の前を通過して,山下公園に向かう.立派なビルが建ち並ぶ美しい街並みを通り過ぎる.
丁度昼時,山下公園に到着する.沢山の市民が公園を散策している.港には何隻かの船が停泊している.まだ,少々時間があるので,公園内を散策する.
12時少し前に,県民ホール6階の「英一番館」へ.店員に案内されて新年会会場へ向かう.
会場入口で会費を支払って,中に入る.大きな丸いテーブルが3セットほど並んでいる.出席者は40人ほど.緊張する.
出席者の中で顔見知りは,私が世話になっているIさんだけ.私は借りてきたネコのように,空いている席に座る.ところが,たまたま空いていた席は,重鎮や役員の方ばかりが座っているところ.つまり高い席である.でも,“まあ,良いか”で,図々しくそのまま.席の移動は面倒だからヤメた.
やがて儀式が進み自己紹介が始まる.その内に,新人が私の他に若干名居られることが分かり.私も落ち着いてくる.
やがて,私の番になる.スピーチは苦手.
「・・・あのその,・・私は現役アマチュアアルピニスト・・遠景として見上げる山は美しいです.でも,私が描きたい山は,遠目の美しい山ではなく,中でマグマが煮えたぎって・・登ると苦しくて汗が出て,岩や礫がゴロゴロしていて・・こんな生きている山を描きたいと思ってます・・」
と訳の分からないことを,早口で一方的に話して座り込む.
これ私の本音である.
自己紹介が切っ掛けで,数名の方から話しかけられる.山の仲間とは一味違う方々が多いので,とても新鮮に感じる.
■美術年鑑(2011)
会場受付に分厚い本が平積みに置いてある.会長が,
「まだ,何冊か残っています.どうそ購入して下さぁ~い・・」
と言っている.知人のIさんが,
「1冊は持っていても良い本ですよ・・」
と私に勧める.定価3,800円+税の本が,ここでは2,000円だという.この会のお付き合い初めという意味もあるし,2,000円の割安感も手伝って,重いのを覚悟で1冊購入する.
中を見ると,絵描きだった私の祖父の名前も「古美術大総覧」の中に掲載されている.○百○○万・・と凄い値段がついている.本当かな?
さらにページをめくると,新人の私の名前も某団体の一員として小さな字で掲載されている.
「ありゃ~っ・・! まさか!」
と驚くとともに.少しは真面目に絵に没頭しなければいけないなと,認識を新たにする.
新年会は2時間少々で終わる.
<ありゃ~・・何時の間にか自分の名前が・・こりゃ大変!>
<祖父が“古”美術に! そうだろうな,孫の私がもう○○才だもの>
■横浜市立小学校児童書写展
会場から外へ出る.
日が傾きかけていて,少し寒い.会場のあるビルの変な入口から外へ出たので,一瞬,方向感が失われる.関内駅がどっちなのか良く分からない.
「まあ...いいか.その内に分かるだろう・・」
私はデタラメに歩き出す.すろとビルの向こうにマリンタワーの天辺がチラリと見える.これで,方向がバッチリと分かる.
ブラブラとビルの町を歩いて,関内駅に到着する.
そのまま,孫の書が展示されている横浜市民ギャラリーへ向かう.こちらは小学生を連れた家族連れで大賑わいである.
3階の会場に到着する.夥しい数の展示である.案内の先生に,
「○○区の○○小学校の展示はどの辺りですか・・・?」
と伺う.
少々迷いながら,教えられたブースに向かう.
やっと孫娘の主氏を探し当てる.墨黒々とのびのびした字で「はと」と書いてある.々学年から数名の作品が展示されている.孫が選ばれたことは率直に嬉しい.
■よお~しっ・・と・・!
こうして,私にとっては山歩きではない珍しい1日が終わる.ある種の感動で,胸を熱くしたまま帰宅する.
「よお~しっ・・と,・・これから自分の熱い思いをキャンバスに叩き付けるぞ」
と年甲斐もなく,めったやたらに張り切りはじめる.どうせ三日坊主の癖に・・
(おわり)
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