ウイルヘルム山登頂記(8):ケグルスグルへ(4)
ソロモンの館を見学
2007年2月10日(土)~17日(日)
第2日目 2007年2月11日(日)(つづき)
■ソロモンの村へ入る
私達を乗せたリムジンは,14時52分,ソロモンの所有する敷地の中に入る。どこからともなく人が現れて入口の柵を開け,リムジンは柵の中に迎え入れる。
中に入ると400~500平方メートルの前庭がある。庭に向かってすぐ左側には大きな温室が建っている。温室の中には,沢山の草花が育てられている。残念ながら,flower-hillは花の知識は殆どないので,何という花か全く分からない。でも,大事に育てられていることだけは分かる。どの花も日本では余りお目に掛かったことないものばかりである。どこか日本の盆栽に似ているものも沢山育てられている。
<ソロモンの温室:後ろ姿はソロモン>
■ソロモンの立派な家VS掘っ建て小屋
温室の隣には,2階建ての立派な建家がある。ここがソロモンの家だという。この辺りの一般的な住居とは隔絶した豪華さである。広場の反対側には,泥の芯壁に草葺きの粗末な小屋が建っている。ソロモンの説明によると,この建物は台所だという。
広場から草が生えたなだらかな坂道を少し登ると,再び広場に出る。広場の左手には縦穴に草葺きの屋根を付けたような原始的な小屋が2軒並んでいる。小屋の前には痩せた年輩の女性が,何か陽気な調子で話している。彼女に断って,小屋の中を拝見する。中は真っ暗,5~6畳ほどの広さである。中央に囲炉裏がある。その奥に何枚かの鍋釜が積み重ねられている。その周囲が居室兼寝室になっているようである。室内の焚き火のためか部屋全体が黒く煤けている。
■グロテスクな怪鳥カリワカ
小屋を出る。空き地を横切って反対側の茂みの中を進む。木の枝で囲まれた少々不細工な鶏小屋が建っている。その小屋には,身の丈1メートルほどのグロテスクで大きな鳥が窮屈そうに飼育されている。ダチョウのようなクジャクのような妙な鳥である。大きな丸い目で私達を見詰めながら頭をキコキコと振る。この妙な鳥は,カリワリというらしい。
<怪鳥カリワリ>
「この鳥,食用ですか・・・」
とソロモンに聞く。どうも食用でもなく,ただ裕福な人達がステータスとして,飼育しているだけの鳥のようである。この鳥の性格は,結構,どう猛で,危険だという。
■人が涌いて出てくる
15時20分頃,私達を見物するために,どこからともなく集まってきた子供達の写真を撮ろうとする。すると次から次へと新顔が集まってきて,大人子供合わせて,瞬く間に10人ほどになった。これらの人達とソロモンとの関係が良く分からない。兎に角,ここの人達は写真に撮られるのが好きなようである。
<どこからともなく人が集まる:右から3人目が運転手>
さらに奥へと進む。ソロモンの土地は随分と広い。坂を少し登り,15時40分,また広場に出る。この広場の片隅で,地面に敷物を敷いて,土産物を並べている人達がいる。良く見ると,先ほど小屋の前で陽気に話していた女性も混じっている。どうやら,私達を目当てにして土産物を並べているようである。
■放し飼いの生き物
広場近くには,植木と雑草が生え茂る空間が広がる。植木の影で何かが動いている。近付いてみると,大きなブタである。何を探しているのか鼻と牙で盛んに土を掘っている。辺りを見回すと,至る所に,ブタが掘ったヌタ場のようなところが散在している。 広場の片隅では,鮮やかな色彩のオウムが「ギャ~,ギャ~」と啼いている。
何とものどかな光景である。
<大きなブタが地面を掘っている>
■吊り橋を渡る
15時45分,広場を後にして,更に奥へと進む。ジャングルとなる。ジャングルの中の踏み跡を辿る。
「吊り橋を渡るよ・・」
とソロモンが言う。後を付いていく。ジャングルの中をドンドンと進む。すると空堀の上に蔦のようなもので編んだ太鼓状の粗末な吊り橋が掛かっている。橋の断面は「V」字になっている。歩くところは足の裏の幅位しかない。
「1人ずつ渡って・・・・」
とソロモンが注意する。ベティさんが屁っ放り腰で恐る恐る渡っている姿が滑稽である。
<ソロモンの吊り橋>
「これから洞窟へ行くよ・・・」
とソロモンがいう。
■不気味な現地人
ソロモンの後を追って,更に奥へ奥へと進む。すると,岩が屹立する場所に突き当たる。洞窟の入口に,顔に白い色を塗り,腰蓑を付けた男性が1人,ヌッと立っている。突然のことなのでビックリする。
「これから洞窟の中のコーモリと捕獲する・・・」
とソロモンがいう。彼は何やら洞窟に向かって捕獲するような仕草をする。
15時55分,私達は,洞窟から,今来た道を引き返す。途中から別の道に入ったらしくて,16時10分に,小さな四阿屋風の建物の前に出る。そこには先ほど洞窟の前にいた男性と,もう1人,同じような格好をした新顔の男性が私達を待っていた。私達が到着すると2人は,竹製の楽器を弾きながら,Welcome Songを奏でる。小さな音で哀調がある。 改めて2人の姿を観察する。とにかく,もの凄い格好である。頭には鳥の羽根(?)で作った冠を被っている。そして短冊のような首飾りと,竹(?)で編んだ腕輪をしている。麻のようなもので編んだ褌を付けている。
■殺したブタの数
竹の音楽が終わると,火を点ける実演をしてみせる。終えやすい枯れ草の上で,弓のようなもとを使って,木の棒を猛烈な勢いで回転させる。なるほど,ほんの数秒で枯れ草に点火した。
<火起こしの実演>
胸からぶら下げている短冊状の代物は,短い鉛筆のような形状の棒をソロバンのように編んだ物である。棒の数は殺したブタの頭数を表しているという。金持ちになればなるほど,棒の数が増えるので,短冊の長さは長くなる。大金持ちになると,短冊の長さが,足下で引きずるほどにもなるという。ちなみにわれわれのリムジンの運転手は大金持ちである。すでに70頭のブタを殺したというから凄い。
■大きなパラボラアンテナ
16時28分,さきほどの市場広場へ戻る。
先ほども見た広場の横の台所棟から煙が出ている。草葺きの屋根から煙がジワリ,ジワリと沸き上がっている。小屋全体が薫製になっているように見える。
反対側の母屋の裏手に廻ってみる。大きなパラボラアンテナが設置されている。すぐ近くに谷があり,ざわざわと川が流れている。ここにも,奇鳥カリワリ1羽が,窮屈な小屋の中に押し込められている。
私達の運転手,ソロモンは,風体に似合わず,飛んでもない大地主,大金持ちである。
16時50分,私達は再びリムジンに乗車し,ソロモン王国を出発する。
(つづく)
ソロモンの館を見学
2007年2月10日(土)~17日(日)
第2日目 2007年2月11日(日)(つづき)
■ソロモンの村へ入る
私達を乗せたリムジンは,14時52分,ソロモンの所有する敷地の中に入る。どこからともなく人が現れて入口の柵を開け,リムジンは柵の中に迎え入れる。
中に入ると400~500平方メートルの前庭がある。庭に向かってすぐ左側には大きな温室が建っている。温室の中には,沢山の草花が育てられている。残念ながら,flower-hillは花の知識は殆どないので,何という花か全く分からない。でも,大事に育てられていることだけは分かる。どの花も日本では余りお目に掛かったことないものばかりである。どこか日本の盆栽に似ているものも沢山育てられている。
<ソロモンの温室:後ろ姿はソロモン>
■ソロモンの立派な家VS掘っ建て小屋
温室の隣には,2階建ての立派な建家がある。ここがソロモンの家だという。この辺りの一般的な住居とは隔絶した豪華さである。広場の反対側には,泥の芯壁に草葺きの粗末な小屋が建っている。ソロモンの説明によると,この建物は台所だという。
広場から草が生えたなだらかな坂道を少し登ると,再び広場に出る。広場の左手には縦穴に草葺きの屋根を付けたような原始的な小屋が2軒並んでいる。小屋の前には痩せた年輩の女性が,何か陽気な調子で話している。彼女に断って,小屋の中を拝見する。中は真っ暗,5~6畳ほどの広さである。中央に囲炉裏がある。その奥に何枚かの鍋釜が積み重ねられている。その周囲が居室兼寝室になっているようである。室内の焚き火のためか部屋全体が黒く煤けている。
■グロテスクな怪鳥カリワカ
小屋を出る。空き地を横切って反対側の茂みの中を進む。木の枝で囲まれた少々不細工な鶏小屋が建っている。その小屋には,身の丈1メートルほどのグロテスクで大きな鳥が窮屈そうに飼育されている。ダチョウのようなクジャクのような妙な鳥である。大きな丸い目で私達を見詰めながら頭をキコキコと振る。この妙な鳥は,カリワリというらしい。
<怪鳥カリワリ>
「この鳥,食用ですか・・・」
とソロモンに聞く。どうも食用でもなく,ただ裕福な人達がステータスとして,飼育しているだけの鳥のようである。この鳥の性格は,結構,どう猛で,危険だという。
■人が涌いて出てくる
15時20分頃,私達を見物するために,どこからともなく集まってきた子供達の写真を撮ろうとする。すると次から次へと新顔が集まってきて,大人子供合わせて,瞬く間に10人ほどになった。これらの人達とソロモンとの関係が良く分からない。兎に角,ここの人達は写真に撮られるのが好きなようである。
<どこからともなく人が集まる:右から3人目が運転手>
さらに奥へと進む。ソロモンの土地は随分と広い。坂を少し登り,15時40分,また広場に出る。この広場の片隅で,地面に敷物を敷いて,土産物を並べている人達がいる。良く見ると,先ほど小屋の前で陽気に話していた女性も混じっている。どうやら,私達を目当てにして土産物を並べているようである。
■放し飼いの生き物
広場近くには,植木と雑草が生え茂る空間が広がる。植木の影で何かが動いている。近付いてみると,大きなブタである。何を探しているのか鼻と牙で盛んに土を掘っている。辺りを見回すと,至る所に,ブタが掘ったヌタ場のようなところが散在している。 広場の片隅では,鮮やかな色彩のオウムが「ギャ~,ギャ~」と啼いている。
何とものどかな光景である。
<大きなブタが地面を掘っている>
■吊り橋を渡る
15時45分,広場を後にして,更に奥へと進む。ジャングルとなる。ジャングルの中の踏み跡を辿る。
「吊り橋を渡るよ・・」
とソロモンが言う。後を付いていく。ジャングルの中をドンドンと進む。すると空堀の上に蔦のようなもので編んだ太鼓状の粗末な吊り橋が掛かっている。橋の断面は「V」字になっている。歩くところは足の裏の幅位しかない。
「1人ずつ渡って・・・・」
とソロモンが注意する。ベティさんが屁っ放り腰で恐る恐る渡っている姿が滑稽である。
<ソロモンの吊り橋>
「これから洞窟へ行くよ・・・」
とソロモンがいう。
■不気味な現地人
ソロモンの後を追って,更に奥へ奥へと進む。すると,岩が屹立する場所に突き当たる。洞窟の入口に,顔に白い色を塗り,腰蓑を付けた男性が1人,ヌッと立っている。突然のことなのでビックリする。
「これから洞窟の中のコーモリと捕獲する・・・」
とソロモンがいう。彼は何やら洞窟に向かって捕獲するような仕草をする。
15時55分,私達は,洞窟から,今来た道を引き返す。途中から別の道に入ったらしくて,16時10分に,小さな四阿屋風の建物の前に出る。そこには先ほど洞窟の前にいた男性と,もう1人,同じような格好をした新顔の男性が私達を待っていた。私達が到着すると2人は,竹製の楽器を弾きながら,Welcome Songを奏でる。小さな音で哀調がある。 改めて2人の姿を観察する。とにかく,もの凄い格好である。頭には鳥の羽根(?)で作った冠を被っている。そして短冊のような首飾りと,竹(?)で編んだ腕輪をしている。麻のようなもので編んだ褌を付けている。
■殺したブタの数
竹の音楽が終わると,火を点ける実演をしてみせる。終えやすい枯れ草の上で,弓のようなもとを使って,木の棒を猛烈な勢いで回転させる。なるほど,ほんの数秒で枯れ草に点火した。
<火起こしの実演>
胸からぶら下げている短冊状の代物は,短い鉛筆のような形状の棒をソロバンのように編んだ物である。棒の数は殺したブタの頭数を表しているという。金持ちになればなるほど,棒の数が増えるので,短冊の長さは長くなる。大金持ちになると,短冊の長さが,足下で引きずるほどにもなるという。ちなみにわれわれのリムジンの運転手は大金持ちである。すでに70頭のブタを殺したというから凄い。
■大きなパラボラアンテナ
16時28分,さきほどの市場広場へ戻る。
先ほども見た広場の横の台所棟から煙が出ている。草葺きの屋根から煙がジワリ,ジワリと沸き上がっている。小屋全体が薫製になっているように見える。
反対側の母屋の裏手に廻ってみる。大きなパラボラアンテナが設置されている。すぐ近くに谷があり,ざわざわと川が流れている。ここにも,奇鳥カリワリ1羽が,窮屈な小屋の中に押し込められている。
私達の運転手,ソロモンは,風体に似合わず,飛んでもない大地主,大金持ちである。
16時50分,私達は再びリムジンに乗車し,ソロモン王国を出発する。
(つづく)