<客が入れ替わり立ち替わり我が輩にチョカイする>
丹沢:山猫“ミャ~”との交友録(4);キャベツ談義
2012年3月4日(日)
■賑やかな山荘の夜
今年は何時までも寒い日が続いている.そのために,ここ丹沢の塔ノ岳でも,春の訪れは大分遅いようである.それでも,土日ともなると,ここ尊仏山荘も元気な登山客で賑やかになる.昨夜も若い登山客に混じって,常連のFHさんのグループ,4人が宿泊している.この4人,全員が還暦を過ぎたロートル(失礼!)である.
かくいう我が輩も,何時の間にか,ネコ年で12歳の老いぼれジジイになってしまった.これでも若くて元気な頃は,遙か山麓の大倉くんだりまで,嫁さん探しにでかけたものだが,今はも大倉まで下ろうとは思わない.だから,冬の間は,ストーブの前にしゃがみこんで,登山客の話をそれとなく聞いているのが唯一の楽しみである.
我が輩も,どうやら人気があるらしくて,宿泊客が入れ替わり立ち替わり我が輩の背中を撫でたり,顔をつまんだりする.もてるのは嬉しいが,こう弄くり回されると少々煩わしい.でも,これも我が輩が営業部長なのだから,お客さんへのサービスだと思って,じっと我慢するさ.
<ちょっとだけ客席に顔を出すか・・・営業部長だからね>
<入れ替わり立ち替わり,みんなが私を撫でるんだ>
<明るい内から宴もたけなわ>
■キャベツを肴に・・・
その内に,FHさんのグループの長老,ライスさんが,おもむろに4分の1にカットした生のキャベツをテーブルの上に置く.ライスさんは,40年以上にわたって丹沢に登り続けている大ベテランの男性である.
「酒の肴には,キャベツが一番良いですよ・・・」
とライスさんが勧める.
4分の1にカットされたキャベツは,もうかなり食べられていて,数センチほど芯だけが長くなっている.
生のままの食べかけのキャベツの塊なので,少々,取っつきにくいようだが,FHさんが,最初に1枚葉っぱをちぎって食べてみる.
「なるほど,ボリボリとした歯応えは,キャベツそのものですね」
とFHさんが言う.
FHさんによると,キャベツは,噛むほどに,ほどよい甘さが口いっぱいに広がってくるようである.案外美味しいという.同行の名古屋からの客人夫妻も,ライスさんのキャベツを千切って食べる.
「なかなか美味しいですね・・・」
「美味しいでしょう! キャベツはキャベジン・・・健康にも良いですよ.」
「なるほど・・! 私も今度からキャベツを持ち歩こうかな・・」
「キャベツは,葉を剥がしたりしないで,4分の1カットぐらいのままで持ち運ぶのが良いですよ・・・とにかくキャベツは生命力が強いので,放っておくと,4分の1カットからも芽が出てきますよ・・・」
この夜食べた生のキャベツはびっくりするほど美味しかった.
「レタスはすぐにベタベタになってしまうのでダメですね・・・キュウリも長持ちしないです.やっぱりキャベツが一番ですよ・・・」
とライスさんが力説する.
FHさんは,これから山へ行くときは4分の1カットのキャベツを持参するそうである.
いくらキャベツが美味しいからといって,ネコ属の我が輩は,ちょっと食べる気がしないな.
<キャベツを肴に・・>
(つづく)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b65c36a8dd1dbec8e3fa3803bdca3730
「丹沢の山旅」の次回の記事
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