ウイルヘルム山登頂記(10):ケグルスグルへ(6)
クンディアワに到着
2007年2月10日(土)~17日(日)
第3日目 2007年2月12日(月)
■豪華なランチボックスを抱えて
同室のIさんによると,夜半に随分激しく雨が降ったらしい。私は夜中に1回トイレへ行ったが,熟睡していたためか,雨が降ったことには気が付かなくなった。目覚めた瞬間,自分が自宅にいるのと勘違いする。
5時30分,モーニングコールの電話が鳴る。扉を開けて外へ出てみる。随分と寒い。 尾籠な話で恐縮だが,海外へ出ると何時も困るのは,通じが悪くなることである。今朝も仕方なく「いちじく」のお世話になる。
6時30分,プール脇のレストランで朝食を摂る。トマトジュース,紅茶,オートミール,ベーコン,卵焼きなどで,軽く済ませる。幸いなことに,ここの食事は美味しいので大助かりである。
7時25分,ホテルロビーへ向かう。ホテルに預けておく荷物と,これからの旅に持参する荷物とに仕分けする。玄関前には,もうお土産屋が店開きをしている。
玄関でホテルが用意してくれたランチボックスを受け取る。大きな段ボール箱にサントイッチ,バナナ,トマト,ゆで卵,ミカンなどが無造作に入れてある。ボリューム満点で,なかなか豪華である。
<ボリュームタップリのランチボックス>
■小さな4輪駆動車に乗り込む
私達は,これから小さな2台の4輪駆動車を使って,Betty’s Lodgeのあるケグルスグルへ向かう。8時07分,1台目の4駆に全員が乗り込む。
ケイさんの厳命で,長靴を履いている。途中の泥道で,自動車を降りて「エンヤ,コ~ラ」で自動車の後押しをするかもしれないから,長靴が必須だという。
<長靴姿で4駆に乗り込む:ホテル前のH氏>
もう1台には,荷物と付添の警官が乗ることになっているようである。ケグルスグルまでの途中で,沢山の集落を通過する。そのときにどんなハプニングがあるか分からないので,実弾入りの小銃を持った警官が私達を警護するために同行することになっているらしい。考えてみると物騒な話である。
小さな4駆の後にある扉を開けると,狭い通路の両側に長いベンチが対面に並んでいる。ベンチは4人座るとキチキチになる。対面で4人ずつ座るとお互いの膝がぶつかってしまうほどの狭さである。手回り品を入れたリュックを抱えて座ると,殆ど身動きができない。
■クンディアワに到着
今日の運転手はトーマスさん。助手席にはパラダイス観光のソロモンが乗っている。運転手のすぐ後に私ことflower-hillが座っている。運転手が背もたれに何気なく掛けた上着が,彼の体臭をタップリ吸い込んでいて,臭くて堪らない。
8時08分,予定時間より少し遅れて,いよいよ出発である。ホテルの出入り口を開けて街に出る。町中は沢山の人でごった返している。私達を乗せた車は,この国随一の国道を東へ向かってひた走る。道路の両側を,沢山の人が絶え間なく歩いている。所々に青空市場があって,沢山の人が屯している。9時30分頃から,道路の道幅が少し狭くなる。車は快調に飛ばして,10時10分頃,マウントハーゲンから東へ70kmほど離れたクンディアワ(Kundiawa)という大きな街に到着する。
■マウントウイリアムホテルで休憩
私達の車は,クンディアワ市街地の雑踏を通り抜けて,10時10分,マウントウイリアムホテル(Mt.William Hotel)に入る。ここでは一流のホテルである。例によって,厳重な門を潜ってホテルの駐車場に車を停める。ホテルの敷地に入った途端に外部とは隔絶された静かな雰囲気が漂っている。
駐車場,というよりは空き地は,数台の車が駐車できるほどの広さである。駐車場のすぐ隣に屋根付きの休憩所があり,その奥にレストランがある。休憩所の壁には素晴らしい壁画が描かれている。思わず写真を撮る。
<休憩所の素晴らしい壁画>
休憩所のベンチに座る。芝生の中庭の向こうには,緑豊かな山並みが広がっているのが見える。奥へ進むと,ビリアド場,売店,トイレが一緒になった建物がある。建物の入口にはガードがいて,客が近付くと扉を開けてくれる。気の早い仲間が,早速ビールなどを楽しんでいる。
<突き当たりがビリアド場とトイレのある建物>
■やたらに時間が過ぎる
私達の車は,何時発車するのか分からない。どうやら荷物車の到着が遅れているようである。現地スタッフは,至ってノンビリとしている。私達も,あきらめ顔でひたすら待っている。
「・・・ここはPNGだ・・・ハプニングが起きても仕方がない・・・」
と苛立ちそうになる気持ちを抑える。
現地スタッフは平然としている。
■大きな地震
11時30分頃,私達に同行する警官4人が現れる。彼らは荷物車の方に乗るとのことである。だが,肝心の荷物車が一向に現れない。私達は休憩所のベンチに座って,ひたすら時の過ぎるのに身を任す。
12時15分,突然大きな地震がある。休憩所の建物も激しく振動する。突然の大きな地震でビックリする。たまたま私達の前にいた警官が,
“でかいぞ(Big one!)”
と,したり顔で言う。聞くところによると,PNGでは,しばしば地震があるとのことである。
■現地ガイドのスティーブンさん
12時38分,やっと荷物車が到着する。やっと到着したかと思ったら,また外へ出ていく。
「・・・すぐ戻るといって,出て行っちゃいましたよ・・・」
とツアーリーダーのケイさんが,あきれ顔で苦笑する。
20分ほどして,荷物車が再び戻ってくる。現地の登山ガイド,スティーブン(Steven)さんが,ここから私達に同行することになる。小柄だがガッチリとした体格の方である。
13時11分,私達は,ようやくマウントウリアムホテルを出発した。実に2時間余り,このホテルで時間を費やしたことになる。これから先,何が起こるやら,果たして無事にケグルスグルまで行けるのか,心配になってくる。
(つづく)
クンディアワに到着
2007年2月10日(土)~17日(日)
第3日目 2007年2月12日(月)
■豪華なランチボックスを抱えて
同室のIさんによると,夜半に随分激しく雨が降ったらしい。私は夜中に1回トイレへ行ったが,熟睡していたためか,雨が降ったことには気が付かなくなった。目覚めた瞬間,自分が自宅にいるのと勘違いする。
5時30分,モーニングコールの電話が鳴る。扉を開けて外へ出てみる。随分と寒い。 尾籠な話で恐縮だが,海外へ出ると何時も困るのは,通じが悪くなることである。今朝も仕方なく「いちじく」のお世話になる。
6時30分,プール脇のレストランで朝食を摂る。トマトジュース,紅茶,オートミール,ベーコン,卵焼きなどで,軽く済ませる。幸いなことに,ここの食事は美味しいので大助かりである。
7時25分,ホテルロビーへ向かう。ホテルに預けておく荷物と,これからの旅に持参する荷物とに仕分けする。玄関前には,もうお土産屋が店開きをしている。
玄関でホテルが用意してくれたランチボックスを受け取る。大きな段ボール箱にサントイッチ,バナナ,トマト,ゆで卵,ミカンなどが無造作に入れてある。ボリューム満点で,なかなか豪華である。
<ボリュームタップリのランチボックス>
■小さな4輪駆動車に乗り込む
私達は,これから小さな2台の4輪駆動車を使って,Betty’s Lodgeのあるケグルスグルへ向かう。8時07分,1台目の4駆に全員が乗り込む。
ケイさんの厳命で,長靴を履いている。途中の泥道で,自動車を降りて「エンヤ,コ~ラ」で自動車の後押しをするかもしれないから,長靴が必須だという。
<長靴姿で4駆に乗り込む:ホテル前のH氏>
もう1台には,荷物と付添の警官が乗ることになっているようである。ケグルスグルまでの途中で,沢山の集落を通過する。そのときにどんなハプニングがあるか分からないので,実弾入りの小銃を持った警官が私達を警護するために同行することになっているらしい。考えてみると物騒な話である。
小さな4駆の後にある扉を開けると,狭い通路の両側に長いベンチが対面に並んでいる。ベンチは4人座るとキチキチになる。対面で4人ずつ座るとお互いの膝がぶつかってしまうほどの狭さである。手回り品を入れたリュックを抱えて座ると,殆ど身動きができない。
■クンディアワに到着
今日の運転手はトーマスさん。助手席にはパラダイス観光のソロモンが乗っている。運転手のすぐ後に私ことflower-hillが座っている。運転手が背もたれに何気なく掛けた上着が,彼の体臭をタップリ吸い込んでいて,臭くて堪らない。
8時08分,予定時間より少し遅れて,いよいよ出発である。ホテルの出入り口を開けて街に出る。町中は沢山の人でごった返している。私達を乗せた車は,この国随一の国道を東へ向かってひた走る。道路の両側を,沢山の人が絶え間なく歩いている。所々に青空市場があって,沢山の人が屯している。9時30分頃から,道路の道幅が少し狭くなる。車は快調に飛ばして,10時10分頃,マウントハーゲンから東へ70kmほど離れたクンディアワ(Kundiawa)という大きな街に到着する。
■マウントウイリアムホテルで休憩
私達の車は,クンディアワ市街地の雑踏を通り抜けて,10時10分,マウントウイリアムホテル(Mt.William Hotel)に入る。ここでは一流のホテルである。例によって,厳重な門を潜ってホテルの駐車場に車を停める。ホテルの敷地に入った途端に外部とは隔絶された静かな雰囲気が漂っている。
駐車場,というよりは空き地は,数台の車が駐車できるほどの広さである。駐車場のすぐ隣に屋根付きの休憩所があり,その奥にレストランがある。休憩所の壁には素晴らしい壁画が描かれている。思わず写真を撮る。
<休憩所の素晴らしい壁画>
休憩所のベンチに座る。芝生の中庭の向こうには,緑豊かな山並みが広がっているのが見える。奥へ進むと,ビリアド場,売店,トイレが一緒になった建物がある。建物の入口にはガードがいて,客が近付くと扉を開けてくれる。気の早い仲間が,早速ビールなどを楽しんでいる。
<突き当たりがビリアド場とトイレのある建物>
■やたらに時間が過ぎる
私達の車は,何時発車するのか分からない。どうやら荷物車の到着が遅れているようである。現地スタッフは,至ってノンビリとしている。私達も,あきらめ顔でひたすら待っている。
「・・・ここはPNGだ・・・ハプニングが起きても仕方がない・・・」
と苛立ちそうになる気持ちを抑える。
現地スタッフは平然としている。
■大きな地震
11時30分頃,私達に同行する警官4人が現れる。彼らは荷物車の方に乗るとのことである。だが,肝心の荷物車が一向に現れない。私達は休憩所のベンチに座って,ひたすら時の過ぎるのに身を任す。
12時15分,突然大きな地震がある。休憩所の建物も激しく振動する。突然の大きな地震でビックリする。たまたま私達の前にいた警官が,
“でかいぞ(Big one!)”
と,したり顔で言う。聞くところによると,PNGでは,しばしば地震があるとのことである。
■現地ガイドのスティーブンさん
12時38分,やっと荷物車が到着する。やっと到着したかと思ったら,また外へ出ていく。
「・・・すぐ戻るといって,出て行っちゃいましたよ・・・」
とツアーリーダーのケイさんが,あきれ顔で苦笑する。
20分ほどして,荷物車が再び戻ってくる。現地の登山ガイド,スティーブン(Steven)さんが,ここから私達に同行することになる。小柄だがガッチリとした体格の方である。
13時11分,私達は,ようやくマウントウリアムホテルを出発した。実に2時間余り,このホテルで時間を費やしたことになる。これから先,何が起こるやら,果たして無事にケグルスグルまで行けるのか,心配になってくる。
(つづく)