マリモ入り水晶

2021-01-08 | インクルージョン

緑泥石類 Chlorite 大分県豊後大野市 尾平鉱山

 緑泥石は、様々な環境で観察される造岩鉱物群の名称。シャモス石、クリノクロア、クーク石などがあり、粉末状や薄い鱗片状の結晶集合を成し、中にはマリモと呼ばれる球状に集合した緑泥石類があって有名。尾平鉱山のマリモはクーク石とクリノクロアの固溶体のようだ。

マリモは大分県の尾平鉱山の特産とも言われているが、内包されている結晶集合の大きさや量を問わなければ、他の地域でも産出している。例えば、先に紹介した山梨県の水晶峠、富山県の水晶岳、長崎県の奈留島では水晶の日本式双晶中に観察されることがある。マリモについては形状からの呼称であり、多くは小さな緑泥石の鱗片状結晶の球状集合だが、雲母の球状集合の場合も考えられる。鉱物の多くは、成長を阻害する場がなければ全周方向に放射状に成長する。そのため、球状を成すことになる。

 

緑泥石類Chlorite

シャモス石 Chamosite  (Fe,Mg,Fe)5Al(Si3Al)O10(OH)8 単斜晶系

クリノクロア Clinochlore  (Fe,Mg)5Al(Si3Al)O10(OH)8 単斜晶系

クーク石 Cookeite LiAl4(Si3Al)O10(OH)8 単斜晶系

 

雲母類Mica

白雲母 Muscovite KAl2□AlSi3O10(OH)2 

クロム雲母 Fuchsite  K(Al,Cr)3Si3O10(OH)2 単斜晶系

リチア雲母 Lepidolite KLi2Al(Si4O10)(F,OH)2~K(Li1.5Al1.5)(AlSi3O10)(F,OH)2 単斜晶系