虹入り方解石

2021-01-11 | 虹の結晶

方解石 Calcite CaCO3 炭酸塩鉱物 三方晶系

Las Choyas, Mun. de Aldama, Chihuahua, Mexico

ジオードの内部に結晶した方解石から見つけた虹彩である。一つのジオード内に生じている数個の方解石の結晶に虹彩がみられ。結晶成長の過程で層状構造となったのであろう、光の反射と干渉を起こしている。この産地のジオードには、空隙に小さな水晶や針状の赤鉄鉱、方解石などが結晶していることがある。


虹入り柘榴石

2021-01-11 | 虹の結晶

灰鉄柘榴石 Andradite  Ca3Fe32(SiO4)3 珪酸塩鉱物 等軸晶系 

奈良県吉野郡天川村

柘榴石の結晶は、含まれているカルシウムと鉄の量が微妙に変化しながら成長するため、累帯構造を成すことがある。累帯構造の薄い層がミクロンオーダーであると、入射した光が干渉を起こして虹色を呈することになる。研磨によって結晶端部に薄い層状の虹色が鮮明に表れることがある。


虹入り水晶

2021-01-11 | 虹の結晶

水晶 Quartz SiO2 Nepal

 水晶内部には様々な他の鉱物が閉じ込められることがあり、インクルージョン、あるいは包有鉱物と呼ばれている。水晶の場合、インクルージョン鉱物の表面から写真のような自然のひずみによる虹彩が観察されることが多い。自然のひずみは、高温で成長した結晶が冷える際に、結晶内部の包有物に端を発して生じ、母結晶内に広がることがあり、時にはミクロン単位の隙間が生じ、反射と干渉で虹を呈する。


虹の結晶 オパール

2021-01-11 | 虹の結晶

虹色を呈する鉱物

無色透明な水晶などの内部に現れる虹は素敵だ。ここで言う虹とは、結晶内部に生じている隙間で起こる光の屈折や反射、回折、干渉などが要因の色の滲み。もっとも有名なのがオパールの遊色だろう。オパールは、小さな二酸化ケイ素の粒が規則正しく沈殿したもので、その層間に生じた隙間で起こる干渉が要因である。

即ち、干渉が起こる程度の層を持つ鉱物であれば、どのような鉱物でも虹は発生すると考えて良い。また、質の異なる二種類の長石や不純物が層を成して成長したサンストーン、ムーンストーン、ラブラドライトなどは、シラーのような独特の呼称が付された光の滲みを持つ。

虹の発生源である結晶内に生じた隙間には、大きく分けて2種類ある。一つは割れ。二つ目は、結晶と結晶の狭い隙間。また、表面に付着したごく薄い鉄の酸化被膜などにより、結晶内部と同様に皮膜と結晶面の間で干渉が起こり、虹が生じることもある。虹色を呈するシャボン玉が結晶の表面にあると考えれば分かりやすい。

 割れによる虹を貴重なものと考えて有り難がるのはどうかと思うが、綺麗であれば良いではないかと、頭の一方では許す気持ちもある。だが、求める際に後成的な欠陥か、天然のものかは理解しておいた方が良いだろう。もちろん割れであっても天然の成長に伴う割れがあり、採集時の衝撃による割れとは異なることから許容される方も多いだろう。

 天然の割れとは、高温で結晶した鉱物の温度が下がる際にひずみが生じて割れになったもの、また地震などで結晶内部に潜む劈開部分に生じたものが多い。蛍石や魚眼石、トパズなどは、劈開が強いことから、ちょっとした衝撃で内部にひずみや割れが生じる。

オパール Opal SiO2・nH2O

Mintabie opal field, Mintabie district, North West Province, South Australia, Australia

オパールの遊色は、微細でしかも粒の大きさが揃った球状のシリカが規則正しく並んだ、回折格子と同じ構造状態にあるために起こる。ここに入射した光が回折を起こして虹彩を呈すると同時に、珪酸の層間に空隙があって薄膜状となり、層間で干渉が起きる。この二つの虹彩が重なり合って見えているのである。ブラックオパールと呼ばれる濃密な色合いの虹は素敵ではあるが、このような穏やかな虹彩も魅力的である。


蛍光する閃亜鉛鉱のインクルージョン

2021-01-11 | インクルージョン

閃亜鉛鉱 Sphalerite  (Zn,Fe)S 硫化鉱物 等軸晶系

Mundo Nuevo Mine, Pallasca Province, Ancash Department, Peru

 淡いピンクの蛍石と共に産出する閃亜鉛鉱。この標本の閃亜鉛鉱は色合いが淡い褐色であることから鉄の量が比較的少ないと思われる。また、長波長紫外線でオレンジ色の蛍光を呈する。比較的淡い色であるため外部からは分かり難いが、蛍石にはかなりの量の小さな閃亜鉛鉱が包有されていることが、紫外線での観察で確認される。ただし、この標本では、結晶の多くがはっきりとした結晶形態を示していない。閃亜鉛鉱は長波長紫外線で蛍光を呈すると記した書物が多いものの、総てが蛍光するわけではなく、この標本でも、一部の閃亜鉛鉱は蛍光していない。

いずれの写真も、上が太陽光で、下が長波長紫外線。