英語学習は続く・・

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怪人二十面相 81

2023-01-24 00:52:02 | 怪人二十面相

「これでいいかね。ほら、あいつらが階段をおりていく足音が聞こえるだろう。」

"Are you satisfied? Listen, you can hear their footsteps."

 明智はやっと窓ぎわをはなれ、ハンカチをポケットにおさめました。まさか鉄道ホテルぜんたいが賊のために占領されているはずはありませんから、廊下へ出てしまえば、もう大じょうぶです。少しはなれた部屋には、客もいるようすですし、そのへんの廊下には、賊の部下でない、ほんとうのボーイも歩いているのですから。

Akechi left the windowside finally putting the handkerchief in his pocket. There is no way that the thief could take over the whole hotel, so it must be all right once he could get out of the room. It seems there are other customers in a little distant rooms and there are real staffs walking in the corridor.

 ふたりは、まるで、親しい友だちのように、肩をならべて、エレベーターの前まで歩いていきました。エレベーターの入り口はあいたままで、二十歳ぐらいの制服のエレベーター・ボーイが、人待ち顔にたたずんでいます。

The two of them walked abreast to the elevater as if they are friends. The elevater door was open, an elevater-boy was standing expectantly.

  明智はなにげなく、一足先にその中へはいりましたが、
「あ、ぼくはステッキ忘れた。きみは先へおりてください。」
 二十面相のそういう声がしたかと思うと、いきなり鉄のとびらがガラガラとしまって、エレベーターは下降しはじめました。

Akechi got in the elevater nonchalantly.
"Uh, I left my walking stick. You go ahead."
As he heard Twenty Faces's voice, the iron door were shut suddenly and it started going down.

「へんだな。」
 明智は早くもそれとさとりました。しかし、べつにあわてるようすもなく、じっとエレベーター・ボーイの手もとを見つめています。

"It's odd."
Akechi recognized soon. Still he remained calm, just watching the elevater-boy's hands.

 すると案のじょう、エレベーターが二階と一階との中間の、四ほうを壁でとりかこまれた個所までくだると、とつぜんパッタリ運転がとまってしまいました。

Sure enough, the elevater stopped between the first and second floor, surrounded by nothing but walls.

「どうしたんだ。」
「すみません。機械に故障ができたようです。少しお待ちください。じきなおりましょうから。」

"What happened?"
"I'm sorry. There must be some technical problem. Please wait for a moment. It will be fixed soon."

 ボーイは、申しわけなさそうにいいながら、しきりに、運転機のハンドルのへんをいじくりまわしています。
「なにをしているんだ。のきたまえ。」

The boy said apologetically fumbling somewhere around the elevater handle.
"What are you doing. Stand off."

 明智はするどくいうと、ボーイの首すじをつかんで、グーッとうしろに引きました。それがあまりひどい力だったものですから、ボーイは思わずエレベーターのすみにしりもちをついてしまいました。

Akechi said sharply and pulled him by his neck. It was so powerful that the boy flopped down in the corner.

「ごまかしたってだめだよ。ぼくがエレベーターの運転ぐらい知らないと思っているのか。」

It doesn't work if you try deceive me. Don't imagine I don't know how to move elevater."

 しかりつけておいて、ハンドルをカチッとまわしますと、なんということでしょう。エレベーターは苦もなく下降をはじめたではありませんか。

He scolded the boy, switch the handle. Alas, the elevater started going down with no difficulty.

 階下につくと、明智はやはりハンドルをにぎったまま、まだしりもちをついているボーイの顔を、グッとするどくにらみつけました。その眼光がんこうのおそろしさ。年若いボーイはふるえあがって、思わず右のポケットの上を、なにかたいせつなものでもはいっているようにおさえるのでした。

When it arrived the ground floor Akechi who was still holding the handle glared at the elevater-boy on the floor. How terrible those sharp eyes are. The young boy got shivered, put his hand on his right pocket without knowing it.

 機敏きびんな探偵は、その表情と手の動きを見のがしませんでした。いきなりとびついていって、おさえているポケットに手を入れ、一枚の紙幣を取りだしてしまいました。千円札です。エレベーター・ボーイは、二十面相の部下のために、千円札で買収されていたのでした。

The adroit detective didn't miss his expression and movement. He jumped and took a bill out of the pocket the boy was covering. It was a thousand bill. The elevater-boy was suborned by Twenty Faces.

 

 



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