残月録

残月がやがて消えていく間にも、私の日常生活の中に何か一瞬の輝きを求めて写真を撮っています.

奥山に紅葉

2021-11-25 11:33:36 | 日記
奥山に 紅葉踏みわけ鳴く鹿の

声きく時ぞ 秋は悲しき

      猿丸太夫









奈良、春日大社の”神のお使い”である鹿は
奈良の人々から大事にされています。
交通の激しい道路でも悠々と横断して行きます。
車が渋滞しても心棒強く、鹿が渡り終えるまでは
待っています。
普段は人懐こい鹿でも紅葉が色ずく今頃は
繫殖期で、黒っぽくて大きいオスの鹿は気が立っていて
近ずくと危険です。数年前、写真を撮ることに夢中になっていて
オスの鹿に不意に突かれて2~3m吹っ飛んだことがります。
大腿骨が骨折したかと思いました。
そんな気性の激しいオスのし鹿でもメスを呼ぶときの
啼き声は優しく、切羽詰まったような声で鳴きます。
今の時期には奈良公園のあちらこちらから
メスを呼ぶ鳴き声が聞こえます。

”ピーとキイー”の間位の鳴き声です。

秋来ぬ

2021-11-11 13:23:28 | 日記
 秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども

 風の音にぞおどろかされぬる 
      (藤原敏行)

10月もすぎて、もう正月のおせっち料理が売り出される
頃になり、近所の公園の木々もやっと赤く色づいて来ました。
カエデの紅葉が見られるのも、もう真直かな?












都々逸

2021-11-04 13:04:36 | 日記




子供の頃を過ごしたのは京都、東寺の北門の近くで、
塀を隔てて隣が踊りの、お師匠さん。
当時は嫁入り前のお稽古事として娘さん達がよく
習いに来ていたものです。
特に、雨の日や、夕方には三味線の音がよく聞こえてきます。
”チンチンテンツツトツンテン” ”ハッ!。
”春は花 いざ見にでんせ 東山、
そこでくるっと回って右足でトン”
とまぁ、こんな感じ。
たまにどこかの大旦那と思われる人が来て、
三味線に合わせて都都逸の練習しています。
門前の小僧習わぬ経を読むで自然に耳に入ってきます。
そこで聞き覚えの都々逸を。
先ずは、差しさわりのないところで

”立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は 百合の花”

とまぁ、女性に憧れているうちがはなで

”君は野に咲く あざみの花よ 見ればやさしや 寄れば棘”

と痛い目に遭いますが、それでも理屈道理に
いかないのが男女の仲

”夢に見るよじゃ 惚れよがうすい 真に惚れたら 眠られぬ”

とそこまで惚れて一緒になっても、男は勝手なもんで
女房に隠れて浮気するが、しかし女性の感は鋭い故
すぐにばれます。

”あんな女が どうしていいの お前に似ている とこがいい”

なんて、うまいこと言うね色男。
しかし色恋沙汰も若いうち、長年連れ添っていれば

”うちの亭主と こたつの柱 なくてならぬが あって邪魔”

お後が宜しいようで。